2019.3.19
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[新連載]CPLD入門!
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いつか使うことになるだろうと思ってはいたのですが。
何を今頃になって、というようなものですが。
ようやく本気で、CPLDと四つに取り組みます。
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[第23回]


●Eの悲劇

こういうタイトルを書きますと、推理小説がお好きな方でしたらすぐにエラリークイーンの有名な三部作、「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」を想起されるでありましょう。

推理小説には名探偵が欠かせません。
ただの名探偵では面白くないというので素人探偵などが登場したりします。
初期の探偵物といえばこれはもう名探偵ホームズでありましょう。
謎の事件がおきるとそこに名探偵ホームズが登場して、驚くべき推理力を発揮して快刀乱麻を断つごとくあっという間に事件を解決してしまいます。
それはそれで面白いのでありますが、だんだんとその世界にはまっていきますと、それにつれて不満も高まってきたりします。
なにしろ名探偵殿は読者が知らないカギを握っていて、それを使って謎を解いてしまうのですから、「犯人は誰だろう」なんてあれこれ推理して読み進めてきた読者にしてみれば、「ちょっと待ってよお。それってアンフェアじゃないのさ」と文句の一言も言ってみたくなります。
そこに登場したのがかのエラリークイーンでありました。
物語がクライマックスにさしかかったあたりで、「読者への挑戦状」なるページが現れます。
いわく
「(ここまでのくだりで)作者は犯人を特定する手がかりの全てを読者に公開したのである。聡明なる読者ならばすでに犯人が誰かわかったはずである」
随分昔、まだうんと若かったころに読んだのですけれど、わかりませんでしたねえ。
なにしろ昔から人の名前を覚えるのが超苦手で、ましてカナ文字の名前などさっぱり覚えられません。
おまけに特に若い頃は気短かでありましたので、つい斜め読みになってしまうものですから、なおのこと犯人など判るわけがありませぬ。
最後まで読んで、「ああそういうことであったか」と納得するのが落ちでありました。

あ。
いえ。
このサイトは推理小説の紹介をするサイトではありませんでした。
ついこんなタイトルが頭に浮かんだものですから、横道にそれてしまいました。

えっと。
今度はまともに、前回からの続きということで、書くことにいたします。
でも。
今回のタイトルにありますように、私にとってはやっぱり「Eの悲劇」そのものでありました。

前々回にも書きましたように、EPM7032SLC44によるPICUSBIFはこれから色々な回路のCPLD化に取り組んでいくためのとりあえずの習作とでもいうもので、当然私としてはそのための準備は着々と進めておりました。
前回までのところで、まあなんとなくCPLDなるものやVHDLなどについて理解も深まってきたように思います。
そういうことになりますと、もう少し複雑な回路も手がけてみたくなります。
EPM7032SLC44ではちょっと小さすぎて少し大きな回路になるとすぐにオーバーしてしまいます。
いままで作ってきたPICUSBIF回路は、USBIFもキー入力回路も7セグメント表示回路もないほとんどZ80とメモリしかないND80ZSMに外付けでUSBIFを追加する目的で作ってきたものです。
前回までのところで、とりあえずその目的は達成できました。
そうしますと次はやっぱりキー入力回路と7セグメントLED表示回路のCPLD化ということになりましょう。
これはちょっと回路が大きくなりますからとてもEPM7032SLC44には収まりません。

インターネットで検索してみましたところ、いい出物がみつかりました。
前にも書きましたようにMAX7000はちょっと前の石なので、今は生産されておりません。
インターネットで検索しても国内ではまず手に入りません。
でも世界は広いです。
海外からならまだ入手可能です。
いい時代になりました。
以前なら個人で輸入するなどということはなかなかに敷居が高くておいそれとはできませんでした。
それが今ならインターネットで注文すれば国際便でどこからでも送ってくれます。
そういうわけで入手したのがこちらの品物です。

EPM7128ELC84です。
品名から想像できますように128個のMacrocellを内蔵しています。
端子数は84本です。
前回までさわっていたEPM7032SLC44はMacrocellが32個で端子数が44本でしたから、Macrocellで4倍、端子数で約2倍になります。
おお、これこれ、これがいい。
ということで迷わず10個まとめて入手してしまいました。

そのようにして入手したのは少し前のことでしたが、EPM7032SLC44を使ったPICUSBIFもやっと完成したことですし、今度はいよいよ、かねて買っておいたEPM7128に取り掛かる番です。
買ったままにしておいたEPM7128ELC84を取り出してきて、これももうとっくの昔に製作済みの試作プリント基板に装着しました。
そしてわくわくしながら、EPM7032のときと同じようにQUARTUSUを起動してみましたところ。

ぬぁんと!
デバイスを認識してくれません。

んな、ばかな。
一瞬にして血の気が引く思いです。
いやいや、これは何かの冗談に違いない。
気を取り直して、基板の配線のどこかにミスがないかどうか確認したり、電源の状態を確認したりしてみたのですが、どこにもおかしなところはありません。

ひょっとすると、これは壊れているのかもしれない。
海外からの購入は玉石混交で、ときにはとんでもないものをつかまされたりすることがあります。
不良品や壊れているものもあります。
そういう経験は何回もしていますから、今回もたまたま壊れている石に当たったんだ、そうに違いないと考えました。
で。
気を取り直して、もう1個、試してみましたところ、なんと、それも駄目、認識してくれません。
ちょっと目が血走っております。
むむむ。
こうなったら。
購入した分を片っ端から確認してみましたところ。

ぬぁんと。
全部アウトでありました。
ええ、ぜーんぶ。
がくっと肩の力が抜けてしまいました。
やられた。
不良品をつかまされてしまった…。

一度こういうことを経験してしまいますと、インターネットで検索してヒットしたもの全てが疑わしくなってしまいます。
ちょっともう一度入手する気にはなれません。
むむむ。
国内で、どこか扱っているところはないか?
あらためてインターネットで検索してみましたら。
おお。
ありました。
秋葉原の老舗、W通商です。
ここにEPM7128ELC84がありました。
し、しかし、高い。
むむむ。
ここはしかし、背に腹は代えられぬ。
とりあえずこの窮状から抜け出すには、高くともせめて1個は購入しないことには先に進めません。
ちょいと複雑な思いでありましたが、とにかく1個注文いたしました。

上のほうでお見せした写真にはEPM7128ELC84が11個写っています。
右下に少し離れて写っている1個がW通商からの購入品です。
ほどなくして届いたそのEPM7128ELC84を、今度こそ認識してくださいよ、と祈る気持ちで試してみたのでありましたが。
期待はもろくも崩れ去ってしまいました。
あろうことかなかろうことか。
なんと。
W通商からの購入品も駄目でありました。

ここまでをお読みいただいて、ひょっとして今までにMAX7000シリーズをお使いになられた方の中には、何がおきているのかおわかりになった方もいらっしゃるかも知れません。
この時点では、私としてはもうお先真っ暗、五里霧中、前代未聞の連続殺人事件、死屍累々、まさしく「Eの悲劇」でありました。
(往々にして推理小説のタイトルそのものが伏線である場合があります)

次回に続きます。

CPLD入門![第23回]
2019.3.19upload

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