2016.6.29
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[プチ連載です]
Legacy8080用オプションボードの製作

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葛Z術少年出版様からLegacy8080用のオプションボード製作の依頼を受けました。
そのボードには電流制限素子(ポリスイッチ)をつけることになりました。
そこで…。
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[第3回]


●ポリスイッチをテストしてみました(2)

ポリスイッチと1Ωの抵抗5本を直列につないでそこに+5Vを加えました。
前回の回路図の(A)点と(B)点の電圧の波形です。

+5Vを印加した直後は(A)点では約3Vですが3秒ほどで1V以下になっています。
(A)点は5Ωですから、その両端の電圧が3Vということは電源投入直後は約600mAの電流が流れたことになります。

電源投入直後の電流計の値です。

550mAですから大体計算通りの値です。

少し時間が経つと100mAまで落ちてしまいました。

あとはこの値でずっと変わりませんでした。

ところで5Ωの抵抗に100mAの電流が流れているということは、このときの抵抗の両端の電圧は0.5Vということになります。
ほとんどシャットダウンに近い状態です。
このときポリスイッチによる電圧降下は4.5Vほどにもなります。

ここまで書いてきて、ちょっとアバウトなことを書いていることに気が付きました。
ここはやっぱりもう少しはっきりさせておくべきでありましょう。
で。
あらためてもう一度テストをして写真に撮りました。

電源投入直後の写真です。

500mAの電流計が振り切れています。
1Ω×5本の両端電圧は約3Vです。
そこから逆算すると約600mA流れていることになります。
先ほどの写真より少し大きい数字のようです。
電流計の精度や内部抵抗も関係しているかもしれません。
この状態は約5秒間続きました。
その後急速に電流量が低下しました。

大体30秒ぐらいで下の写真の値に落ち着きました。

電流は125mAです。
電圧は0.64Vです。
0.64(V)/5(Ω)=128mAですから測定結果と計算とは大体一致しています。

このとき電流計の内部抵抗を無視するとポリスイッチの両端電圧は4.36Vあることになります。
そこにも125mAの電流が流れています。
ポリスイッチをさわるとやけどしそうなくらい熱くなっています。
4.36×125=544mWです。
それだけを熱にして逃がしているわけですから熱いわけです。

さわると熱いのでほんのちょっと指先でさわっただけですが、すると一瞬電流量がハネ上がりました。

これは相当に熱に敏感な素子のようです。
温度が上昇するとそれに比例して抵抗値が大きくなる素子のようです。
普通の素子なら熱暴走して焼き切れてしまうところなのですが、この素子の場合には一定のところで安定してしまうようです。
しかしちょっと指でさわっただけで上の写真のようになることから考えると、外気温などの影響もかなり受けそうです。

ところでちょっと気になるのは、電源投入直後に一体どのくらいの電流が流れるだろうか、ということです。
上のテストでは約600mAの電流が5秒ほど流れました。
目には見えないけれど、ひょっとして電源を投入した瞬間にはもっと大きな電流が流れるのではないだろうか、という疑問が出てきました。
たとえば回路がショートしたようなときを想定すると、たとえ瞬間でも大電流が流れたりするのは危険です。

最初の写真ではオシロの時間軸をうんとゆっくりにして測定しましたが、今度は時間軸を短くして測定してみました。

どうやら短い時間軸(水平の1目盛りは50ms)で観測しても、電源投入時に大電流が流れるということはないようです。

ここまで書いてきて、思いつきました。
ひょっとしたら、ポリスイッチの内部抵抗は。

測ってみましたら3.3Ωでした。
ということは今回のテスト回路は電源投入時にはポリスイッチ3.3Ω+抵抗5Ω=8.3Ωのところに5Vの電圧をかけたことになります。
5/8.3=0.6A
おお。
この回路の場合最大でも600mAしか流れないことが計算で確かめられました。

あれ?
ということは。
もう一度、ひょっとして…!

抵抗を1Ω×2本にして試してみました。
そうしましたら!

シャッターを押すタイミングが少し遅れてしまいましたが、それでも900mA流れています。
5/(3.3+2)=0.943(A)です。

おお。
ということは!

抵抗を1Ω1本にして試してみました。

今度は電源投入とほとんど同時にシャッターを押しました。
テスターは液晶表示なのでまだまともな電圧表示ができていません。
しかし、電流計は!
振り切れています。
手元には1Aの電流計しかないので、これしかできませんが、間違いなく1A以上流れています!
5/4.3=1.163(A)です。

おおお。
ということは!

大きな電流計がありませんから、実際にテストして確認することはできませんが、上の一連のテストの結果から推測しますと、もしこのポリスイッチがついている状態で回路が完全にショートした場合、1〜2秒間ですけれど、5/3.3≒1.5(A)の電流が流れることになります。

ちょっと、こわいですねえ。

Legacy8080用オプションボードの製作[第3回]
2016.6.29upload

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