標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第145回]
●前回の続きです
前回の「ヒゲ」のお話については、それで「完了」のつもりだったのですが…、あともう少し、「追補」が必要になってしまいました。
まずは、前回の「訂正」です。
前回、「74LS90と74HC93は、過去のものになってしまった」というような書き方をしました。
なにしろ、早く書いてしまって、もう寝たいぃぃ…、なので、ろくに確認もしないで書いてしまいます。
朝になってから、ちょいと気になって調べてみますと…。
あれま、74LS90(および74LS93)は、まだ現役だったのですね。
「トランジスタ技術(CQ出版社)」のパーツ屋さんの通販広告には、まだ74LS90も74LS93もしっかりと載っていました。
やっぱり確認してから、書かないといけませんね。
あ。でも、74HC93は、ありませんですよ。
「トランジスタ技術」も以前に比べると広告ページが激減してしまって、ほんと薄っぺらになってしまいました(昔は当社も広告を出していたのですけれど…)。
パーツ屋さんの広告もほとんど無くなってしまいましたね。…さみしいですねぇ。
えっと。本題に戻ります。
ちなみに、74HC93は、Webではまだdatasheetを見ることができますが、74HC90というICは存在しないようです。
74HCが作られるようになったとき、すでに10進カウンタは過去のものだったということでしょうか。
そこで、また参考までに…。
●74HC93のデータシート(部分)です
[出典]Texas Instruments社CD74HC93datasheet(赤線は筆者)
おお。しっかりと書いてありますね。
Sate changes というのは、見なれない言葉(不勉強のせいか)ですが、satisfyという語を連想しますから、多分「十分な変化」というような意味だと思います。
Qn出力の変化は、「同時には発生しない」(赤下線部)ということですね。
う…。これは日本語としては、ややぎこちない訳です。
Qn出力の変化は同時ではない、というほうがしっくりしますね。
ここが、前回お話した「非同期」である、という部分です。
でその下、Therefore(「それゆえに」なんていう受験英語訳が出てきてしまいます)と続いて、(Qnをデコードした信号を使うと)ヒゲが発生するので、「クロックやストローブパルスには使うべきではない(赤下線部)」だそうです。should notは中学の英語で出てきた(高校だったっけ?)から、わかりますよね。
使っちゃいかん、と書いてありますね(でも、使ってしまいました…)。
ところで、are subject to って…?
●be subject to
またまた、脱線してしまいます。
ここ(decoded以下strobesまでの文)の意味は、訳さなくったってわかります。そういうことですから。
ですけれど、be subject to って、はて?こんなところで使うのかいな?
be subject to といえば真っ先に頭に浮かぶのは、かのポツダム宣言受諾(お若い方、わかります?日本が連合国に無条件降伏したときのお話ですよ。最近の若いコたちの中には、「えーっ、日本がアメリカと戦争したのォ?うっそー」なんて方がいらっしゃって、もう、がっくりきてしまいます)。
そう、それで、そのポツダム宣言受諾に際しての逸話です。
ポツダム宣言を受けて、日本政府が「天皇ノ国家統治ノ大権ニ変更アラザルコト」の了解のもとに、同宣言を受諾する、との意思を表明したのに対して、連合国側は、バーンズ国務長官名の回答文書で、「(天皇および日本国政府の統治の権限は)連合軍最高司令官に従属する(subject to)」と回答した(のだそうですが、原文は見ていませんから、本当のところは知りません)。
このsubject toを隷属すると訳すか、制約を受けると訳すかで、当時の日本の首脳部がもめたんだそうですね(まあ、テレビのドキュメント番組などでよく出てくる有名なくだりです)。
なので、そのsubject toですけれど、しかし「デコードした信号がヒゲに従属する」はあんまりです。
辞書を引いてみましたが、今一つしっくりしません。
そこでまた、Webで検索してみました。
そうしたら、まあ、ぴったり、ビンゴ!といった感じのページをみつけてしまいました。
NHKラジオ/英語復習帳
40代の主婦の方なんだそうですけれど、すごいですねぇ、家事のかたわらラジオを聞いて英語を勉強。ついに英検1級に合格されたんだそうですね(脱帽!)。
この方のページで、ぴったりの訳をみつけました。
将来リンクが切れてしまうかもしれませんから、そのときのために、ちょいと引用させてくださいましね。
subject to
likely to be affected by something, especially something bad(特に何か悪いことよって影響を受けやすい)
おおお。そうですか。そういう意味があったのですね。
勉強になりました。
●ヒゲは退治しておきましたよ
転ばぬ先の杖、と言いますし、まあ、後顧の憂いを無くす、という言葉もあることですから、将来に禍根を残すよりは(大時代な表現ですけれど、なにしろ大基板なものですから)、今のうちに退治しておくことにいたしました。
前回説明をしました、74HC238の出力のうち、T0、T16、M0、W4とGNDとの間に270pFのセラミックコンデンサを追加しました(W0は未使用です)。
思っていたよりも大きな値のコンデンサが必要でした。
まだほんのわずかに痕跡程度のヒゲが残っていますが、74HCならばこの程度のヒゲは問題にはなりません。多分大丈夫だと思います。
2009.1.21upload
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