2019.9.17
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第157回]


●出力ショートテスト

前回はバイポーラトランジスタA1015とC1815を使ったインバータ(NOT)回路を紹介しました。
回路そのものは以前の回に書いていましたBS250とN7000を使った回路をA1015とC1815に置き換えただけで基本的な考え方は同じです(もちろん置き換えに伴ってベース抵抗やコンデンサも値の変更や追加を行ないました)。
実はそのベース抵抗がなかなかの働き者なのです。
[第155回]の終わりに、バイポーラトランジスタ回路は余程雑に扱わない限りこわれません。
安全な回路です。
と書きました。

バイポーラトランジスタ回路ならなんでも安全かというとそんなことはありません。
耐圧以上の電圧をかけたらパチンといって破裂してしまいます。
最大定格を越える電流を流せば煙が出て焼損してしまいます。
あくまでトランジスタCPU回路で使う予定の回路に限っては、という但し書きがつきます。
[第155回]では、こわいのは入力オープンですが、その場合でもベース抵抗が入っているおかげで最大定格を越える電流は流れません、ということを説明しました。

しかしもっとこわいことがありました。
トランジスタ回路に限らず電子、電気回路でもっとこわいのは配線のショートです。
ワーストケースではプリント基板や配線が燃えたりすることもあるほどです。
そこで念のために出力ショートのテストもしてみました。

まずはシンク(SINK)電流のテストです。

入力をHにするとC1815がONになって出力はLになります。
図のように出力に+5Vをつなぎました。
完全な出力ショートです。

下はそのときの写真です。

約30mA流れています。
ベース抵抗は51KΩなのでこのときC1815のベースエミッタ間には0.1mAの電流が流れていることになります。
そのときのコレクタ電流が30mAですから、このC1815のhFEは300(倍)と考えられます。
C1815のデータシートではhFEは最大400(タイプGRの場合)とありますから、すると出力ショートのときにはよく流れてもせいぜい40mAだということになります。
コレクタ電流の絶対最大定格は150mAですから、出力ショートしてもまずまず安全ということになります。

次はソース(SOURCE)電流のテストです。

入力をLにするとA1015がONになって出力はHになります。
図のように出力にGNDをつなぎました。
こちらも完全な出力ショートです。

下はそのときの写真です。

こちらもC1815のときと同じで約30mA流れています。
ベース抵抗は51KΩなのでこのときA1015のベースエミッタ間には0.1mAの電流が流れていることになります。
そのときのコレクタ電流が30mAですから、このA1015のhFEは300(倍)と考えられます。
たまたまC1815とA1015でhFEが約300倍ということで一致しましたが、いつもこうなるとは限りません。
データシートではA1015もC1815もhFEは200〜400とかなりばらつきがあるようです。
ま、しかしC1815のところで書きましたようにhFEが最大400の場合でも、出力ショートのときにはよく流れてもせいぜい40mAだということになります。
A1015のコレクタ電流の絶対最大定格も150mAですから、万一ショートしてもまずまず安全ということが言えると思います。

さて。
以上はバイポーラトランジスタについて言えることです。
以前の回ではBS250とN7000を組み合わせた回路について考えてきました。
そのようなMOSFET回路は出力ショートをしたら大変です。
バイポーラトランジスタは電流増幅ですが、MOSFETは電圧増幅です。
バイポーラトランジスタのようにベース抵抗(ベース電流)によって出力を制御するようにはできません。
BS250とN7000を組み合わせた回路で上と同じテストをしたら、おそらく最大電流が流れて焼損してしまうのではないかと思います(そんなテストはこわくてできません)。

[第155回]の終わりに、
バイポーラトランジスタ回路が壊れにくいという点についてはCMOSFETに比べて非常に大きな利点であろうかと思います。
と書きましたが、確かに大きな利点だとあらためて思います。

トランジスタでCPUをつくろう![第157回]
2019.9.17upload

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