2015.3.24
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第20回]


●BS250を使わないという案

前回も書きました通り、諸般の事情を勘案しまするに、当初考えておりましたトランジスタ版MYCPU80をCMOSFET回路で構成する、というのはどうやら無理ということになってしまいそうです。
そこでなんとかBS250を使わない方法をあれこれ模索いたしました。

BS250つまりPチャネルMOSFETを使わない方法といいますと、真っ先に思いつきますのが下の回路です。

これでいければ有難いのですけれど…。

部品点数が少なくてシンプルな回路であることが最大の利点なのですが、欠点はH出力時の出力インピーダンスが高いということです。
ま、この出力を受ける側は大体が同じ回路、つまりNチャンネルMOSFETである、ということを考えますと、出力インピーダンスが高くてもよいでありましょう。

それはよいとしましても、ドレイン側の抵抗が大きいとHの立ち上がりが遅くなってしまいます。
これはどうしようもない欠点です。
念のために確認してみました。

上のような回路を作って、ゲートに適当なパルスを入力して出力波形を見てみました。

実に見事なカーブです。
1/2Vddを越えるあたりまでに、なんと4μs近くもかかってしまっています。
いくらなんでも遅すぎます。
これじゃあ使えません。

立ち上がりを速くするにはドレイン抵抗を小さくすればよいのですけれど。
そこでドレイン抵抗を2.2KΩにしてみました。

おお。
一桁以上速くなりました。
うーん。
でも、200nsかぁ。

使えないことはない、かもしれませんが…。
だめだめだめ。
これはだめでありました。

ドレイン抵抗を2KΩになどしましたら、2N7000がONするたびに2.5mAも流れてしまいます。
ええ。
たった1個で。
もしもたとえば3000個のうち、500個が同時にONしたとしましたら(まあそんな極端なことはないと思いますが)、それだけで1A以上流れてしまう計算です。

それはそれとしまして。
ちょっと見苦しい波形をお見せしてしまいました。
これはもうかれこれ2ヶ月以上も前に行なったテストなのでした。
手っ取り早く、こんないいかげんなことをやってテストをしましたので、それで見苦しい波形になってしまいました。

なんでも試してみなければ、ということではじめてブレッドボードなるものを入手して使ってみたところです。
うーん。
確かにカットアンドトライをするには便利かもしれませんが。
やっぱりジャノ目基板にハンダ付けしたほうが性に合っておりますですねえ。

この記事を書くために、ノートを見直しておりましたら、こんな写真も撮っておりました。
こちらは上のテストからかなり後になってからドレイン抵抗=1KΩでテストしたときの写真です。

4MHzを入力してテストしています。
ちょっと4MHzでは苦しいですけれど、立ち上がりがかなり速くなりました。
が。
もちろん1KΩにすれば、さらに電流が増えてしまいます。

やっぱりドレイン抵抗案は面白くありません。
そもそも、これじゃあわざわざMOSFETを使う意味がほとんどありません。
そんなくらいなら、2SC1815を使ったってよいわけですから。

おお。
2SC1815…。
いっそのこと、それでいくか…。

そんな思いにかられながら、それにしても、やっぱり未練たっぷりで諦めきれずに、なんとかいい方法はないものだろうかと、CMOSFET回路をじっとながめていましたら。
ふと。
2SC1815じゃなくって。

●2SA1015は使えないだろうか?

BS250の代わりに2SA1015を使ってみたらどうだろうか?
という考えがひらめきました。
まあ、なんともむちゃくちゃでありますが。

BS250を2SA1015で置き換えるといいますと、いや、それはないでしょう、という気がしてしまいますが、ドレイン抵抗の代わりに2SA1015を使ってみる、と考えますと、ひょっとするといけるかもしれない、と思えるから不思議であります。
こんな回路です。

えっと。
この回路ももちろんテスト済みなのですが、どうやら写真は撮らなかったようです。
なにしろこのあとあれこれカットアンドトライに没頭してしまったものですから、写真を撮ることなど忘れてしまいました。

で。
あらためて撮ってみましたのが下の写真です。

上の回路に4MHzのクロックを入力しました。
おや。
この写真はどこかで見たような。
おお。
先程のドレイン抵抗=1KΩの写真。
それとそっくりじゃありませんか!
あちらは1KΩ。
こちらはなんと51KΩ。
それなら、よいのでは!

うーん。
よいのですけれど、ねえ。
2SA1015のベース抵抗が51KΩですから、入力がLのときに流れる電流は0.1mAです。
その点はよいのですけれど…。

やっぱりなんとなく面白くないのでありますね。
別に私は完全主義者ではありませんけれど…。

4MHzでこの波形は、やっぱり大いに不満でありました。
実は余りきれいな写真ではありませんので割愛しますけれど、ノートにはベース抵抗を10KΩにしてテストした写真も貼ってありました。
その写真では立ち上がりの遅れは50nsほど。
それならよいですけれど。
10KΩねえ。
もうすこしなんとかなりませんか、ねえ。

たとえば普段は51KΩだけれど、立ち上がりのときだけ0Ωになってくれるとか…。
そんな便利なものなどありませんでしょお…。

…ありましたぁ!
特製ゴマの油をちょとつけましたら。

これならどうです。
もう、ぶっちぎりでありましょう。

あの。
これは、デジタル回路だけをやっておりましたら、おそらくいくら考えても思いつかないことでありましょう。
でも、ディスクリートでアナログ回路をさわってみえるお方でしたら、なんだ、あれかあ、とすぐに思いつかれることだと思います。
そうです。
あれ、なのです。

私もアナログはほとんどシロート同然でありますから、これほど劇的に利くものだとは、思ってもいませんでした。
実は今でも、ホンマかいなあ、と半信半疑であります。

次回。
あれ、の正体が明らかになります。
それまで、皆様。
あれこれ、お考えになってくださいませ。

なんて、勿体ぶっていますけれど、実のところなんてことはない回路なのです。
おそらくどなたも、なんだこんなことか、とお思いになられることと思います。
もちろん大発見でも、大発明でもありません。
どなたもよくご存知の、あれ、です。
さて、なんでしょう。

トランジスタでCPUをつくろう![第20回]
2015.3.24upload

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