2015.4.7
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第31回]


●A1015NAND回路(3)

前回はBS250の代わりに2SA1015を使ったNAND回路にさらに工夫を加えて、2SA1015を1個だけにした回路を考えて、それをジャノ目基板に組んで実際に信号を入力して試してみました。
一見うまく動作しているように思えたのですが、出力に1KΩの負荷抵抗をつないでみたところ、H出力の期間に切れ込みが入ってしまいました。
下にその写真を再掲します。

さて、この切れ込みは何が原因なのでしょうか。

下の写真は試作したNAND回路の2つの入力端子に入力したパルス信号です。

出力のH期間に出ている切れ込みは、上の入力波形の写真で、下側(CH2)の左から数えて1番目と3番目の立ち上がりエッジのときにでていると考えられます。
このときにもう一方の入力(上側の波形、CH1)はLですから、NANDの出力はHのまま変わらないはずなのですが…。
そこでもう一度回路図を見てください。

問題はスピードアップコンデンサにありました。

●スピードアップコンデンサは諸刃の剣でした

そういうことなのでした。
入力信号がHからLに変わったときA1015の出力の立ち上がりを急峻にするためにベース抵抗に小さなコンデンサを並列にいれました。
これは劇的な効果を発揮してくれました([第20回][第21回]参照)。
入力信号がHからLに変わる瞬間に、A1015のエミッタベース間に22pFのコンデンサを充電する電流が流れて、エミッタコレクタ間が瞬間的にONになります。
それはその目的に合った動作ですのでよかったのですが、このコンデンサはその反対の場合にも利いていたのでした。

入力がLからHに変わった瞬間に、今度はLの期間に+5Vに充電されていたコンデンサが51KΩを通して放電します。
このときA1015のベース電位は瞬間的に+5V以上になります。
するとA1015の出力は瞬間的にOFFになってしまいます。
それが出力波形の切れ込みの正体でした。

最初に考えたA1015が2個の回路ならば、そのようにして片方のA1015の出力が瞬間的にOFFになっても、もう片方のA1015の出力はONのままなので、出力に切れ込みが発生することはありません。
ということは、やっぱり最初に考えたように、ここはBS250を2個使う代わりにA1015を2個使うしかないというのが結論のようです([第29回]でお見せした下の回路です)。

うーん。
残念!

観念してA1015を1個追加いたしました。


そのようにA1015を追加したあとで、先回と同じように信号を入力して出力波形を確認しました。

下側(CH2)が出力波形です。
負荷抵抗は1KΩです。
とてもきれいな波形で、切れ込みは発生しなくなりました。
やれやれ、です。
つかの間の、ぬか喜びでありました。

トランジスタでCPUをつくろう![第31回]
2015.4.7upload

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