2015.4.11
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第35回]


●オープンドレインNAND回路(2)

前回からの続きです。
前回書きましたように、入力回路にコンデンサを使うことで2SA1015を1個で済ますようにしたところ、出力信号にいくつかちょいと気になる点はあったのですが、当初はそれでも、まあいいか、ということで済ましてしまうつもりでおりました。
でもやっぱり面白くないのですよねえ。
理由がはっきりわからないままで済ませておくことが。
で。
じっくり腰を落ち着けて考えてみることにしました。

下は前回もお見せした回路図です。

この回路図を見ながらじっくりと考えてみることにしました。

出力(下側、CH2)に負荷抵抗としてRL=1KΩをつけてみたときの波形です。


タイミングを確認するために、NAND回路の2つの入力端子に入力したパルス信号の波形を見てみます。

上(CH1)が1MHzで下(CH2)が2MHzです。
この入力信号と、最初にお見せしました回路図を合わせて見ながらさきほどの出力波形について考えてみます。
入力信号は4つの区間から成っています。
オシロの画像には2回の繰り返し波形が見えています。
左端から第1区間、第2区間、第3区間、第4区間と呼ぶことにします。

第1区間では2つの入力信号がHHから同時にLLに変化します。
このとき2SA1015のベースに接続された2つのコンデンサを充電する方向にベース電流が流れ、コレクタはH電圧になります。

次の第2区間では片方の入力だけがLからHに変化します。
このときその片方のコンデンサが放電しますが、そのときには2つのコンデンサは充電されていて2SA1015のコレクタ出力はハイインピーダンスになっているため、片方のコンデンサの放電によって2SA1015の出力が重ねてOFFになっても影響はありません。
ここは先に問題となったオープンドレインではないNAND回路([第31回])とは異なっているところです。

次の第3区間が今回気になっているところです。
ここでは一方の入力がHからLに変化すると同時にもう一方の入力がLからHに変化します。
このとき2SA1015のベース電位はどのように変化し、またそれがどのように出力に影響するのでしょうか?
うーん。
かなり複雑な感じですねえ。

実は私はここでとんでもない思い違いをしておりました。
そのためにあれこれ見当違いの試行錯誤を重ねてしまいました。
その思い違いとは、第1の区間でおよそ200nsの間、出力がHになっている、その理由についてでした。
私はその時間はコンデンサが2SA1015のエミッタベース電流によって充電されるのにかかる時間だと思っていました。

おかしいとは思ったのですよねえ。
たかだか22pFのコンデンサを充電するのにそんなに時間がかかるなんて。
そこのところで思い違いをしてしまったものですから、第3区間の波形の意味が全く理解できずに悩んでしまったのでした。
もっと早く気が付くべきでした。

下の画像は2SA1015のベース部分の波形です(下側、CH2)。

この写真ではベース電位の変動が激しすぎて少し分かりづらいところがあります。

こちらのほうが分かりやすいと思います。

こちらはベースエミッタ間に入れた抵抗が10KΩのときのものです。
この写真を見ていても当初は全く気が付かなかったのですから、さてさて、思い込みとは困ったものです。
よく見ますと第1区間の始まりの部分と第3区間の始まりの部分に小さな切れ込みがあります。
これって瞬間的に22pFコンデンサが充電されてしまったことを示しているんですよね。
余りに短い時間なものですから、オシロでもこんな波形にしか見えない、ということだと思います。

そこまで考えてきて、やっと気が付きました。
そういうことだったのか!

そして。
第3区間も第1区間と同じように22pFコンデンサは瞬間的に充電されてしまったと考えられるのに、こちらはH出力がほんの短期間で終わってしまっているのはなぜなのでしょうか。
それも今はわかっているつもりです。

この写真も試行錯誤の過程で撮影したものです。

ベースエミッタ間の抵抗を10KΩにしたときの出力波形(下側、CH2)です。
上の写真と時間軸が変わっています。
2μs/divです。
おかしいと思いましたよ。

だって。
コンデンサの値は22pFで変わっていないので、コンデンサの充電時間は変わらないはずなのに、A1015のプルアップ抵抗を1KΩから10KΩに変えたら出力のH期間が約1μsになってしまったなんて。
わかってしまえば当たり前の現象も、気が付かない頭で考えるともう混乱のきわみであります(わあ。怪奇現象だあ)。
ほんと。
おばかでありました。

こちらの写真もベースエミッタ間の抵抗を10KΩにしたときの、ベース端子部分の波形(下側、CH2)です。


さて。
バイポーラトランジスタについてある程度の知識と経験がおありでしたら、もう一目瞭然でありましょう。

本日は時間がなくなってしまいました。
次回に続きます。

トランジスタでCPUをつくろう![第35回]
2015.4.11upload

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