≪特集≫ 藤内遺跡の土器 (2013年に町で取得したものを紹介いたします)

解説“裏”バージョン



景風掘発
(器土形筒文画区)

 こんなページまでご覧いただき、ありがとう!
あれれ、期間限定のはずだったんだけど、一部で“表”よりも
好評であったため、ここに残されることになったぞ!
ばんざーい!!(^o^)/~  ・・・なのか? いいのか?

まあいいや。ここでは学芸員Kによる、ちょっと違ったお話を
ざっくばらんにつづります。

内容についてはあまり深く詮索しないようにお願いしますよ。
くれぐれも長居は禁物、クセにならないようご注意を!




双眼五重深鉢
(町指定有形文化財)
藤内T式  高さ57.6cm
重厚な存在感は、ほかの土器を圧倒する
よね。でも、そもそもこのくびれは何?
見逃せないのはその文様。一つ一つが
独立していて、同じ文様でも段によって
表現方法が違っていたり。“文字”とは
いかないまでも“記号”として成立して
いるといっていいかも。
縄文人がこの土器をみると「ふんふん、
あ、そう、な〜るほどね」って具合に
なるのではないかな。


縦帯区画文筒形土器
(町指定有形文化財)
藤内T式  高さ48.0cm
  とにかく全面にわたってスキがないよね。
  ニクイばかりの文様構成。
  縦方向に区画された文様構成になってい
  るから「縦帯区画文」というんだけど、
  実はこの文様のルーツは北陸地方だと考
  えられているよ。
  このタイプの土器はあちこちにあるけど、
  コイツが文句なしのナンバーワンだ。
  隣の双眼五重深鉢と同じ14号住居から
  出土している。これは相当な家だよ。

双眼深鉢

藤内T式  復元高24.0cm
  小ぶりで膚も荒れているけど、形のよい
  土器だね。
  双眼というのは土器の口縁に付けられた
  二つの大きな○が、双つの眼を表すから。
  注目してほしいのはその眼。輪っかにな
  ってるから、眼球はないよ。だけどよく
  見ると、向かって右は後ろが透けて明る
  くて、左は閉じていて暗い。つまりこの
  神の像は、右眼が黒で左眼が白。右が陰
  で左が陽になっているんだ。これが約束。
  なぜかって?それは考古館で。

双耳状口縁深鉢

藤内T式  高さ13.5cm
 手のひらにちょこんとおさまる小さな土
 器。小さいけれどすごく丁寧にできてる。
 底から口まで、形よく成形して、文様も
 細かく付けているよ。
 Jの字に垂下する隆線は蛇だという人も
 いるけど、頭の表現がないからどうかな。
 なによりも壊れることなく「ころん」と
 出てきた、それが嬉しいよね。
 この土器を作った人の“愛”が感じられ
 るかな。





半隆起線文深鉢

藤内T式  復元高27.7cm
 この土器の形、ほかにあまり似たもの
 が無いんだ。ちょっと珍しい。それか
 ら文様も太めの竹の管を半分に割った
 ものでグイグイ付けている。
 けどね、上のくびれたあたり、その竹
 管文様をわざわざ指先でこすって消し
 ているところがある。そこにこの土器
 の本当の意味が隠されているらしい。
 それから今はひとつしか残ってないけ
 ど、口縁には3つの小さな輪が並んで
 つけられていたようだね。 




有孔鍔付壺

藤内T式  復元高12.0cm

小形の有孔鍔付土器できれいに仕上げら
れている。ところどころに黒と赤の塗料
が残っているから、きっとこの土器はき
れいに塗りあげられた物だっただろうね。
正面には粘土ひもで何かが形づくられて
いる。蛇か腕のようだけど、はっきりし
ない。
有孔鍔付土器は酒造りの器だと考えられ
ている。そしてこの土器には蛙や蛇、半
分人で半分蛙の半人半蛙の像がよく見ら
るから、それに関係したものかな。
そうそう、この土器を太鼓だという人が
いるけど、この大きさ、見てよ。そんな
はずないじゃん。
双眼深鉢

藤内U式  復元高36.7cm
 あちこちに双眼がついている土器。それに、
 なんだかヒレのような風になっている。
 口縁に上を向いた双眼があるね。その右眼
 は円ではなくて、しずく形につりあがって
 いる。じつはこれ、重要文化財に指定され
 ている藤内32号住居址の神像筒形土器の眼
 と、全く同じ表現なんだ。
 少し膚がガサついてるけど、バランスの良
 い、格好いい土器だ。
俺は好きだ。



人面系大深鉢

曽利T式  復元高61.0cm
 大きな土器。口縁に大きな渦巻きとW字形 
 の文様がある。これは月に関係する図像だ
 と考えられている。
 この土器は曽利T式という時期のものなん
 だが、この前の時期、藤内・井戸尻式の頃
 には土器の口縁に顔がつく、人面深鉢とい
 う、女神の像をかたどった土器がある。そ
 の流れをうけた土器だ。
 そこに女神の顔はないけれど、同じような
 祭りの場面で使われたのかもしれない。と
 ても重要な土器だな。


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