2008年の読書日記

書名・作者・出版社 内容・感想など
妖精の系譜
 井村君江著
 新書館
一月十九日
 この本は絶対以前読んだことがあるような気がする、でもせっかくあおいちゃんが貸してくれたんだしーーーと思いつつ、去年から少しずつ読んで読んで読みきりました、結果、やっぱり読んだことがあるとよーーく分かりました。
 ティルナ・ノグとかバンシーとか、興味があるところが以前と全く変わっていないところが我ながら笑えますが、「真夏の夜の夢」とか「アーサー王伝説の湖の貴婦人」のところもおもしろかったわ…。
 とにかく今年は最初の一冊を、ジョブナイルとかライトノベルズにしないように、心がけたのよ。
魔術師ベルガラス
 1銀狼の花嫁 2魔術師の娘 3王座の血脈
 ディヴィッド&リー・エディングス作
 宇佐川晶子訳
 早川文庫FT
一月二十六日
 まだ読書日記を始める前のずいぶん若い頃、この物語の前史である「ベルガリアード物語」を全部読んだことがあります、すっかり忘れていたのに、「続編が出たから読んでみる?」という友人の甘言にはまって読んでしまいました。
 神の弟子であるジジイの一代記、自叙伝のようなつくりになっているのですが、この爺さんが…この爺さんがくわせもの、というかなんでもやる人なんです。目的のためならばほとんど手段は選んでません、大変立派です、さすが神の弟子。ファンタジーで神代の時代というと、どうしても「シルマリル」のような世界を想像してしまいますが、あんなに美しくも繊細でもありません、ひたすら俗っぽい、でもその俗の部分がかえっておもしろいのかしら。
 まだ続編があって、これから読む予定です。
 
女魔術師ポルガラ
 1運命の姉妹 2貴婦人の薔薇 3純白の梟
 同
二月五日
 私は常々、続き物やシリーズ物を読む時には順番どうりに読むことが大事だと思ってます、思ってるのに一巻を読んだ後三巻を読んでしまって、読み終わるまで全く気が付きませんでした、アホーーーーーっ。
 思うに、時間が数百年単位でぽんぽん飛ぶのと似たような人名が繰り返し出てくるのが敗因だと思うのですが、もちろんちょっとはおかしいなーーと思っていたのですが、途中で気がつけ!自分よ!
 魔術師ベルガラスの娘の女魔術師ポルガラからみた同じ事件、同じ時代の物語なのですが、女性の視点から見ている…という点で前作とちょっとだけイメージが違うかな?でもこの親子は結構似ているので、違うというほどでもありません。ベルガラスがとばした細かい物語をポルガラか語っている、そんなかんじです。
 神々の物語というよりは、むしろ人間の物語、やってることはすさまじい、けれどとても実際的で実務的なところがほほえましくは…ありませんな。
クラッシュ・ブレイズ
 パンドラの檻 オンタロスの剣 ソフィアの正餐会 大峡谷のパピヨン
 茅田砂胡作
 中央公論新社
二月九日から十日
 
 九日に久し振りに忍者市の図書館に行きました、久し振りに図書館に行ったならばもう読みたい本が入れ食いであっという間に八冊借りてまいりました、それで一番最初に読んだのがこのシリーズ、シリーズ途中まで読んで引っ越したので、ちょっと気になっていたというか、とにかくライトノベルは早く読めるから!二日で四冊読みました。ああおもしろかった…。
 
千夜一夜騎士・アラジンと魔法のお買物
 嶽本野ばら著
 メディアファクトリー
二月十一日
 他人が買った物に対する思い入れを読んで何かおもしろいのだろうか…と自分でも思いながら読んでいったのですが、これが常識から遠くとおーーーく離れていて、結構感心したり笑えたりしました。
 私は本とCDと画材と服以外はほとんど物を買いません、雑貨に興味が無いのですが、もしお買い物がその人を指し示すコンパスだとするとこれは大変おもしろい、というか、著者はある意味大変な人だなーーとしみじみ思います。まあ、そこまで買えるほど作家として成功してるんだから、好きなだけ買ってください。
乱鴉の島
 有栖川有栖作
 新潮社
二月十三日
 久し振りの火村助教授、久し振りのアリスです、ああ本当に久し振り、お会いしとうございました。
 私は残念ながらポーの詩については全く詳しくないというか全然しらないのですが、「Nevermore」訳して「ケシテモウナイ」というリフレインはとても印象的でした。ポーの詩集も、機会があったら読んでみなくちゃなりません。
 事件自体は俗っぽくてありがち…だったのかもしれませんが、老教授とそれをとりまく秘密がこの本を神秘的で印象深いものにしているというか、事件をややこしくしていました。
 人は美しいもの、けれど醜いものでもありますな。
少女雑誌ふろくコレクション
 弥生美術館・中村圭子・外舘惠子編
 河出書房新社
二月十五日
 少女雑誌といっても「りぼん」中心でした…私は「なかよし」派だったのでちょっとがっかり。でも「りぼん」はいとこが毎月買っていて「ときめきトゥナイト」だけまとめて読んだりしてましたな。
 私が子供の頃というと、それはもう昭和の時代の一昔、日本がまだ貧乏だった時代です。それでも子供向けの少女誌に掲載されていた漫画は今よりももっと志が高く夢があってよかったなーーー、なんというかリリカルな作品も多くてよかったなーーーと思ってしまいます。まあ、今現在のその手の雑誌は読んでいないので実は何もいえませんが…。
 しかし、私が一番好きなのは1980年代あたりの「ぶーけ」作品、名作が多いと思うのよ。
女性の品格 装いから生き方まで
 坂東眞理子著
 PHP文庫
二月二十一日
 今話題のこの本、実家にあったので滞在中に読んでみました。しかし…人には、といいますか女には、タテマエも品格もへったくれもなく戦わなければならない時も確かにあります、そういう時に品格は、邪魔以外の何者でもございません。
 作者の言いたいことも分かるけれど、言うは安しというかんじがしないでもありませんな。
モロッコ水晶の謎
 有栖川有栖作
 講談社ノベルス
二月二十五日
 「国名シリーズ」第八巻、全然順番道理に読めてませんがとりあえず見つけた順に読んでます火村助教授有栖シリーズ中、短編集です。図書館に通えなかった二年の間はほとんど読めなかったのですが、やはり本格ミステリーは好きなジャンルであり、その中でもこの二人の探偵と助手が特に好き、なようですな。
 ミタライさんと石岡くんもいいのですけれど(作者違いますが)、この二人の対等な関係、どっちがボケでどっちが突っ込みか分からないようなさわやかな会話がなんとも言えず好きだったりします…。
下妻物語 完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件
 嶽本野ばら作
 小学館
二月二十七日
 忍者の里に戻ってまた図書館に通えるようになったら読もうと思っていた本ベスト10に入るこの本、とうとう読めました。人間には中庸ということが大事だと思っております、けしてこの物語の登場人物達のように極端ではなく、平平凡凡に生きることのなんとすばらしいことか!というささやかな思いを簡単にひっくり返してくれます。
 やはり作者の作品の中ではこのシリーズが一番好き、映画の方も暇が出来たらレンタルしてみてみたいものですが、暇がありません。
デモナータ2幕 悪魔の盗人
 ダレン・シャン作・橋本恵訳
 小学館
二月二十九日
 一巻を人に借りて読んだのは一体何年前のことだったか…今何巻まで出ているのか分かりませんがとにかく二巻がやっと読めました。ダレン氏の話らしくあいもかわらず不気味でぐちゃぐちゃで救いがないのですが、それでも一冊読み終わるとすかっとするのはなぜかしら。
 今回の主人公は現実の世界に背を向けて、デモナータに戦うために帰っていきました。でもいつか、またこの普通の「地獄のような」世界に帰ってくることがあるのかしら。
あのひととここだけのおしゃべり 
 よしながふみ対談集
 太田出版
三月二日
 よしながふみさんの漫画というと「西洋骨董洋菓子店」しか読んだことがありません、私はどちらかというと少女マンガの方が好みで、BLはあんまり読みません(好きな作家さんのだけ読むけど)、だからよしながさんが大変まじめにBL、ひいては漫画の可能性のことを考えているので少々驚いてしまいました。
 漫画を描く人が何を考えて漫画を描いているのかなんて全然考えたことがなかったし、自分は何かを考えているかというと何も考えていないのが正解、でもそうやって考えている人がいつか日本の漫画を変えていくのね。
この庭に 黒いミンクの話
 梨木香歩作
 理論社
三月三日
 最初はどうしてこの本が児童文学の棚にあったんだろう…と思いましたが、なるほど小さい女の子の話でした。ネタバレになりますが、その小さい女の子が自分のことを酔っ払いのオイルサーディン…うんぬんと想像するところがなんとも不思議。最期の数頁で謎はすべて解けるのですが、胸の底のざわついた感じは最期まで残ります。
魔女の宅急便 その5魔法のとまり木
 角野栄子作
 福音館
三月三日
 いつの間にか五巻がでてました、主人公のキキもすっかり成長して19才、もうすぐハタチの誕生日をむかえようとしています。で、キキの頭の中はトンボさんで一杯、魔法もなんだか上手くいきません…という物語なのですが、正直私にはこの感覚はよく分かりません。もう自分がいいかげん年をとっているからということもあるとは思いますが、恋ってしたことないのよね。恋する少女の気持ちってのは、これからもずっと、死ぬまで分からないのではないかと思っております。
 でも物語としては好きな話なので、世代交代しても(キキの娘の代になっても)続くといいな。
うさたまのオバ化注意報
 中村うさぎ・倉田真由美著
 小学館
三月五日
 女性セブンに連載されていたエッセイが一冊にまとまった本、下世話なことに関してはこの前読んだ「女性の品格」と全く持っていい勝負だと思います。そう…書いてあることは要約すると女性の品格とほぼ同じ、こっちのほうが自分を客観的で冷静に見ている点でより優れていると思うのですが、いかがなものでしょうか。
 いっそ書店で並べて売ればいいのに、他のくらたまや中村うさぎさんのエッセイと一緒にさ。そう…女性の品格読んでいて、どうも押し付けがましくってやだなーーと思ったのは、著者の自分に対する客観性の問題だったのね、「自分はどうよーー!」みたいな、反省がないわよ、あの本には。
パンドラの娘
 藤本ひとみ著
 講談社
三月六日
 この本も下世話なことには変わりない、ああ今回下世話な本ばかり借りちゃったよ…と思ったけれど、下世話ってなぜかおもしろいのです。中世ヨーロッパを舞台に色々な小説を書いている人のエッセイ、実はこの人の本を読むのはほとんどはじめてだったのですが、さすが知識量が違う、と思いました。特に拷問とか処刑方法とか、そういうことに関するうんちくが大変参考になりました。今度は小説も読んでみよう。
美人とは何か? 美意識過剰スパイラル
 中村うさぎ著
 文芸社
三月七日
 下世話な本パートスリー、でも今回はテーマがはっきり決まっているので前読んだ二冊ほど果てしなく下世話ではありませんでした。この本における美人の定義はあくまでも「男にもてるための美人」ってことなので、元々もて願望の少ない私にはあまり興味がない分野でした、全部読んじゃったけどな。
アーサー王宮廷物語 1キャメロットの鷹 2聖杯の王 3最後の戦い
 ひかわ玲子作
 筑摩書房
三月十七日
 ずっと前に新聞の書評に載っていて、是非読みたいと思っていたこの本、図書館にばっちりありました。アーサー王伝説に関しては、他にも色々読んだことがあったので物語の大筋は分かっているつもりだったし、この本も大筋においてはずれてもぶれてもいませんが、物語の語り部がギネヴィアの侍女でミソサザイに変身出来る女の子ってところが全く違ってます。
 …まあそれはおいといて、何が一番良かったかというと、二巻で「シャロットの娘」がメインになっているところです。レディ・シャロットですよ、レディ・シャロット!ミレイの絵でも有名なあのシャロットの乙女、他の本ではほんのちょっぴり触れられている場合が多いのですが、彼女が非常に大切な役回りになってました。シャロットの娘好きな方には大変おすすめな三冊です。
ミリー 天使にであった女の子のお話
 グリム童話
 モーリス・センダック絵
 ほるぷ出版
三月十八日
 グリム兄弟のどちらかが(…どっちだっけ)が女の子にあてた手紙が百何十年か後に発見(?)売却されて絵本になりました。私はどうしてもキリスト教的な考え方とはそりが合わないのですが、この物語もやっぱりそうです。…まあそれはおいといて、この絵本の見所はやはりセンダックの美しくも不気味な絵、女の子の表情なんか「老人の顔した子供」みたいでかわいくない、かわいくはありませんが、美しいです。
クラッシュ・ブレイズ
ミラージュの罠
 茅田砂胡作
 中央公論新社
三月二十二日
 こういうシリーズものは、一冊二冊ではなく五、六冊、出来れば十冊十巻分一気に読みたいです。「デルフィニア戦記」から連綿と続くこのシリーズ、これから読もうとする方がおいでになるのならば、くれぐれも順番を間違えないよう最初から読まれることをお勧めします、そうすればたっぷり読み応えがあるはずです。
 そうでないと人物関係がさっぱり分かりません、くれぐれも一冊単独で読もうなんて考えないように。
王妃マリー・アントワネット青春の光と影
 藤本ひとみ作
 角川書店
三月二十四日
 …というわけで、藤本ひとみさんの小説をはじめて読んでみました…他の本はどうか分からないけれど、この本はまるでノン・フィクションかドキュメンタリーのようなかんじがして、あまり小説らしくなかったような気がします。歴史的に有名な人物だし、近代のことなので資料も豊富、取材をもとにして小説をかくとこんなふうになるのかしら。他の本も読んでみないと分からないな。
さすらいの女王
 中村うさぎ著
 文藝春秋
三月二十五日
 今までずっと読んできた「ショッピングの女王」シリーズがリニューアルして内容がぐっと重くなりました。それというのも著者にいろいろな不幸が重なったから、加齢とともに加わるさまざまな・・・(さすがに税金の滞納と市役所による差し押さえはありませんが)人事とはけして言えません。言えませんが…あいかわらずすさまじい人生だなーーと深く感心しました。
全日本食えば食える図鑑
 椎名誠著
 新潮社
三月二十七日
 著者が日本全国に赴きその土地の珍しいものを食べるエッセイ、貴食あり珍食ありは分かりますが、どうして名古屋食に一章を費やしているのか謎です。名古屋の食べ物はゴカイやエゾジカと同列なのでしょうか!否、と言いたい是非言いたい。
 確かに納豆サンドや抹茶スパなど一般的でないものもあります、しかし、冷やし中華にマヨネーズ、喫茶店にモーニングサービスなどは当然なのではないでしょうか、むしろモーニングサービスのない喫茶店、マヨの添えていない冷やし中華なんてものの方が異常です、おかしいです、日本全国そんなものがあるなんて、嘘だーーーーーーっ。朝のコーヒーにトーストと卵がつかないなんて、絶対変!コーヒー頼んだら茶碗蒸しがついている、それがあたりまえなんです。
 それとも名古屋圏以外の喫茶店には、トーストと卵はつかないのでしょうか?マジ?そんな店G阜なら三日で潰れるのではないかと思われます。
べっぴんぢごく
 岩井志麻子作
 新潮社
三月二十八日
 私は幽霊とか怪しい気配とかそういうものが全く分かりません、分からないからあまり怖くもない、この小説には怪しいモノとか気配が出てきますがそれよりもずっと怖いのはやはり人の行いですな…。自分の行いが招いた結果を因果だとか何とかいうのは簡単ですが、それよりもやっぱり、「そうやったからそうなったんでしょーーーーーーっ」と私は言いたい。小説に文句言っても仕方がありませんが、これはこういう話なんだし。
百まいのドレス
 エレナー・エスティス作 石井桃子訳 ルイス・スロボドキン絵
 岩波書店
三月二十九日
 戦後間もなく岩波から子供向けに出された本の改訂版、図書館で手に取った時はタイトルから「百枚のドレスを持ったわがまま姫のお話かな」と思ったのですがきっぱり違っていました。
 「百枚のドレスを家の棚に持っている」と言い張る女の子の話、どうしてそんなことを言うんだろう、そんなこと言わなきゃいいのに、と思いますが、それは大人の理屈なんでしょうな。子供には子供の意地があって、その意地のためなら嘘をつきとおすってこともあるよね。
「天使」と「悪魔」がよくわかる本
 吉永進一監修 造事務所編著
 PHP研究所
四月二日
 何かのネタになるかもしれないと思ってずいぶん前に買っておいた本がやっと読めました。世界の各地域、宗教の天使と悪魔が紹介してあるのだけれど、読んでも多分何の役にもたちません、あえて役にたつとしたら、オリキャラの名前くらいかな、と思います。
 でも子供の頃から、こういう役にたたない本を読むのは結構好きでそれこそ「妖怪図鑑」とか喜んで読んでました。
アルテミス・ファウル 永遠の暗号
 オーエン・コルファー作 大久保寛訳
 角川書店
四月四日
 アルテミス・ファウルシリーズの三作目、一作目と比べると主人公のアルテミスは、まるで別人のようにいいやつになってきました…そりゃあ主人公の成長ものとしてはこれでいいのだろうけれど、当初の信じられないほど高慢ちきで守銭奴のアルテミスが懐かしくもあります。
 しかし相変わらずの策士ぶり、ダレン少年にこの頭脳があったら、ダレン・シャンシリーズはあっという間に終わったことでしょう…。
CLAMPもこなのオキモノ・キモノ
 河出書房新社
四月五日
 説明する必要がないくらい有名な某漫画家さんの着物の本、ご本人の持っている着物や小物が中心でイラストや漫画はあまり載ってはいないけれど、充分楽しめるかわいい一冊です。着物が好きな人ならばもっと楽しめるかもしれません。
封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ3
 霜島ケイ作
 小学館ルルル文庫
四月五日
 …物語が長くなるのはそれはそれでいいのですが、また終わりませんでした…。桐子さんの黒いセーラー服姿も定着してまいりましたし、後に旦那様になる志郎氏との仲もいい感じにほのぼのとしてまいりました。ただ聖がまな板の上の鯉状態で、続く!になっているところだけが少々心配ですな。聖のことだから、絶対何とかなるとは思うけれど。
芸のためなら亭主も泣かす
 中村うさぎ著
 文藝春秋
四月七日
 今回は本当にご亭主も泣かれたと思います。毎回いろいろなことに挑戦されている方なのですが、今回はすごかった…。是非そちらの本も読んでみたいと思います。
海時間のマリン
 名木田恵子作・早川司寿乃絵
 ブッキング
四月九日
 復刊ドットコムから復刊された本、実はこの物語が「MOE」という月刊誌に連載されていた頃、私はMOEの読者で、リアルタイムで読んでました。その本が図書館にあったので懐かしいなーーと思って読んでみたわけです。
 谷山さんの最近の曲に「人魚は歩けない」というのがあるのですが、なんというかイメージがかぶります、どっちもとても少女漫画的でリリカル、リリカルなのだけれど破滅系といえば破滅系ですな。
泣き虫ハァちゃん
 河合隼雄作
 新潮社
四月十一日
 河合氏の本は今までにも読んだことはあったような気がしますが、ちゃんと理解していたかと言われると自信が全くありません、学問的な本は苦手だし、内容が難しいとやはりさっぱり分からない。けれどこの本はすとんと胸にきました。ハァちゃんに託して著者が言いたかったことが少しだけ分かるような気がします。
 優しい楽しいハァちゃんの日常生活、もう少しハァちゃんが大きくなるまでお付き合いしたかった、もう二度とハァちゃんに会えないのがとても残念です。
 河合先生のご冥福をお祈りいたします。
クラッシュ・ブレイズ 夜の展覧会
 茅田砂胡作
 中央公論新社
四月十二日
 久し振りに一人で図書館に行って、ゆっくり本を選ぶことが出来ました。いつもは旦那と子供がいるので、のんびり背表紙を眺めている時間もありませんから。
 しかし、ゆっくり選ぶと結構本の趣味が悪くなるなーーとも思いました。「犬と私との●の約束」もあって、大変かわいらしく素敵な装丁でもあったのですが「ためだ!こんなかわいいまともな本は借りられない」と思って諦めました…なぜだろう。
 で、シリーズの続きです。今回は三百年前に登場人物の某さんが描かれた有名な絵をめぐって騒動が起こります…くれぐれも順番どうり読んでください。
死体洗いのアルバイト 病院の怪しい噂と伝説
 坂木俊公著
 イースト・プレス
四月十三日
 この本によると「大学病院の地下には巨大なプールがあって、そこにはホルマリンに漬かった死体がぷかぷか浮いている」という大変有名な噂はただの都市伝説であって、そんなことは決してないのだそうです。…なんだないのか。そういう病院にまつわる怖い話を集めて、事実に基づいてぶったぎってあります、ぶったぎってあるのですが、例えば「入浴中で追い炊きをしている時に、ぽっくり死んでしまった方のちり鍋状態の話」などは真実そうなるのだそうで、事実は都市伝説よりも恐ろしい部分もある、ということがなんとなーーく分かります。
 けれども一番印象的だったのは、旧石井部隊で後に大学教授として成功したという人の講義の話でした。
愚者の道
 中村うさぎ著
 角川書店
四月十五日
 今まで読んできた著者の軽めのエッセイとはうってかわって、真面目でせっぱつまった感じの人生読本ですが内容的にはこれまでと同じでした。ただ、作者がどれだけこんこんせつせつと自分探しの道を説いても、読者は本を読むという行為をただの娯楽だと思っている場合、作者の思いはどこへ行くのでしょうか。そう思うと一寸申し訳ないような気持ちにもなるのですが…なるんだけどねーーー。
図説キリスト教聖人文化事典
 マルコム・デイ著 神保のぞみ訳
 原書房
四月十八日 
 キリスト教と西洋絵画にはそりゃあ切っても切れない関係があります、常日頃(?)からそういう絵をみるたび、描かれているのはどんな人でどんな場面なのか興味がありましたが、何分にも知識がないものでちっとも分かりませんでした…この本では列聖された人の名前と、その人が描かれた有名な絵と何をしたかということが大変分かりやすく説明されてます。説明はされているのだけれど、あんまり多くて覚えられません。
 でも読みやすい本なので、興味がある方にはお勧めできます。
女王国の城
 有栖川有栖作
 東京創元社
四月二十日
 最近薄めの本しか読んでいないので、活字びっしり二段組のこんな分厚い本が読みきれるかなーーと思ってましたが、推理小説のせいかさくさくっと読めてしまいました。
 江神先輩と学生アリスのシリーズ最新作です、以前読んだのがいつだったか、登場人物かどういう設定だったのか忘れかけるほど久し振りに新刊が出た模様、私の好きな火村先生と作家アリスシリーズではないのですが、おもしろかったです。新興宗教団体の街に監禁されるアリス達、次々に起こる殺人事件、迷宮入りが近い過去の密室殺人、きれいに一つにつながってさわやかに終わるところが、メルカトル●とは大違い…後味はいいです。
JAL機の懲りない人たち
 伊集院憲弘著
 講談社
四月二十四日
 副題は「高度一万メートルのレッドカード」某航空会社のフライトアテンダントだった人が書いた飛行機内でのトラブルの数々…あまりにも困った人が多くてあまり笑えませんでした。機内で乗務員に暴力をふるう人が増えているようですが、どうなのかなーー、サービスをしてくれるパーサーに対して自分がエライとでも錯覚してしまうのかしら。えらい人ほど威張らないと思うんだけどな。
 とにかく本当にレッドカードが出るとは知りませんでした…その後の対応も結構厳しいので飛行機に乗ったときにはお行儀よくするに限ると思いました。
芸者論 
 岩下尚史著
 雄山閣
四月三十日
 副題は「神々に扮することを忘れた日本人」、また実生活に何の関係も無い本を読んでしまった…。病院や飛行機ならばともかく芸者ですよ芸者(それも東京限定)こんな本読んで何の人生の足しになるというのだろう…。
 それはおいといて、実は風俗業界のことについては一寸だけ興味があります。だから時々そういう本も読んだりするのですが、この本はものすごく物事の見方が偏ってます、それはもういっそ見事なくらい。
 宴席とはかつての祭りの名残であり芸者は巫女の成れの果てという説明は一応は分かるような気もしますが、それだけじゃあないでしょう!物事をきれいな面からだけ見たって仕方がないのに、きれいなところしか見ていないのが残念。
写真でみる世界の舞踏
 アンドレ・グロー著 日本語版監修宮尾慈良
 あすなろ書房
五月一日
 「知」のビジュアル百科」シリーズの中の一冊、絵の参考になるかなと思って見て見ましたが、今のところ踊りの場面の必要な漫画やイラストなんて描いてません、入用なところだけコピーとっとけばいいんだけど。
 このシリーズは大人向けの図鑑、入門書のようなもので分かりやすい写真と説明がたくさん載ってます、物事のとっかかりにはいいかもしれません。
グリフィンの年 上下
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作 浅羽莢子訳
 東京創元社
五月四日
 GWに実家で読もうと思って図書館の本を持って帰りました。「ダークホルムの闇の君」の続編なのですが、このダークホルムという話がどんなだったかいまいち思い出せませんでした…ううむ。それにもかかわらず、充分おもしろかったです。
 魔法大学(貧乏)の青春群像劇、寄付金の無心の手紙が刺客と招かざる客を山のように呼び寄せます。
デモナータ3幕 スローター
デモナータ4幕 ベック
 ダレン・シャン作 橋本恵訳
 小学館
五月十日
 まとめて読んだのでまとめて感想です、と言っても三巻と四巻は全く違う内容なのですが。
 まず三巻は、一巻の主人公の話に戻ります、時代は現代、四巻は大昔のアイルランドが舞台で主人公はプリーステスの少女、しかし出てくる悪魔は同じロードロスです。
 物語は行って帰ってくるものであり、児童文学ではなんらかのハッピーエンドが当たり前、となんとなーーく信じているのですが、四巻では見事にそれが裏切られました。「おーい、オチは?」と言いたくなるくらいです。普通もう少し可愛げのある終わり方をするものだと思いますが、こんなに容赦の無い終わり方の児童文学ははじめて読みました。ゲームならば間違いなくバッドエンディング、それも一番酷いやつですな。
パイナップルの丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞社
五月十四日
 麦茶を沸かして、弱火にして煮出している数分の間、または子供が一人遊びしていて自分の時間が一寸取れるけれども原稿をやるにはあまりにも時間が無さすぎる時、ちょっと取り出して読むのに最適な食べ物エッセイです。読んでいてけして気分が暗くなることも、考え込むこともありません。
 こういう隙間の時間に本を読むってことも、読書の楽しみの一つだと思うのですが、どうかなあ?
幻想小品集
 嶽本野ばら作
 角川書店
五月十五日
 この前に読んだ本とのギャップが我ながら酷すぎると思います。
 あいかわらず「お前らはうっとおしいんじゃーーーー」とハリセンでどつきたくなるような人しか出てこない不健康な短編集、全く好みではないのにまた読んでしまったわ…。
 私は大変一般的健康的で小市民な生活をおくっていますが、そんな私のどこかに嶽本野ばら氏的なものを求める何かがあるのでしょうか、きっとあるんだろうな。
彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく
 雪乃紗衣作
 角川ビーンズ文庫
五月十六日
 何冊目かの彩雲国物語、私が他に友人に借りて読んでいるライトノベルの中では、使われている漢字が一番多いと思われます。でも会話で話がすすみ、また分かりやすくておもしろいところがやっぱりライトノベルだわ。
 ライトノベルっていっぱいあるし、まず何から読んだらいいのか分からないーーと言う人にはおすすめのシリーズ、物語がすごくまっとうだからです。
乙女は龍を駆る!
 榎木洋子作
 集英社コバルト文庫
五月十七日
 こちらはまさにライトノベル的なライトノベル、お話がなんとなく軽いです。状況としては大変なのですが、出てくる人が基本的にやさしいかんじ。人生お疲れの時にさくっと読めるタイプかな。
少年陰陽師 数多のおそれをぬぐい去れ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
五月十八日
 新展開になってきました、前は出雲今回は伊勢です。
 私は陰陽道とか神々とはほとんど興味なし、なのですが、そういうものが好きな人がこのシリーズを読んだら、また別の楽しみがあるかもしれません。あまりオタク的に「萌えーーーー」なキャラもいないんだよね。
びっくり館の殺人
 綾辻行人作
 講談社
五月十九日
 久しぶりに読んだ「館」シリーズ、子供向けに書かれてはいますが、やはり館は館でした。
龍と魔法使い
 榎木洋子作
 集英社コバルト文庫
六月十一日
 本編十巻、龍の娘編三巻、外伝二巻、公式ガイドブックをまとめて読みました、いくらコバルト文庫といっても時間が結構かかったわ。最近読んでいる「乙女は龍を…」シリーズと時代は違っていても世界はつながっているみたいです。
 全作品中一番好きな人物はゼルダ姫、あまり美しくはないけれど賢く冷静なお姫様、物語の途中で倒されますが是非是非残って最後まで策謀をめぐらせて欲しかったです。後は…ほぼヒロインのシェイラが最後の最後でぶちきれて、ロープレで言うのならばラスボスになるあたりが意外でした。
 次のシリーズも同じ世界、今日から読み始める予定です。
リダーロイス物語
 同
六月二十日くらい
 本編と外伝等々、総て読ませていただきました、がメモしておく前にあおいちゃんに本を返してしまったため記録としては大変適当です。
 これが作者の文庫本デビュー作だったので、最初の頃は文章がいまいちだったり誤植が時々あったりしましたが、それでも一気に読めました。このシリーズも「乙女は龍を…」シリーズと同じ世界で時代違い、作者にとって愛着のある世界設定なんだなーと思います。
 ところで私は本を読んでるとき時々誤植を見つけてしまうのですが、これははっきり言って編集担当者の実力不足が原因です、ちゃんとゲラに目を通していただきたいものだとしみじみつくづく思います。
ハリーポッターと死の秘宝
 JKローリング作 松岡佑子訳
 静山社
八月六日
 とうとう読めました、ハリポタ最新刊にして最終巻!思えばこの作品とも長い長いお付き合いでした。
 感想を書くとネタバレになってしまうので、とりあえずはふせときますが、これだけは言いたい。この物語はスネイプ先生のスネイプ先生によるスネイプ先生のための物語であったと!後はダンブルドア先生のタヌキっぷりが見事だったかなーーー、最後はホグワーツ大乱闘で終わりました、ああ言ってしまった…。
 やっぱりおもしろかったので、続けて読んでいる人には最終巻も読むことをお勧めします、たまに最終巻だけ読まない人っているものね。
うなぎの丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞社
八月某日
 また、こんなオヤジが読むような本を読んでしまいました…の食べ物エッセイ、毎度毎度よくこんなにおいしそうに書いてあるなと思うのですが、オヤジな本だけに「家で作る地味な普通のご飯」についての言及があまりないことに気がつきました。たいていデパ地下かコンビニかそこいらへんで購入して食するものか、お店に入って注文して食べるものが多いのね。
 自分で作った料理についてのエッセイではありません、オヤジだからね。
コンスタンティノープルの渡し守
 塩野七生文・司修絵
 ポプラ社
八月某日
 その薄さと挿絵の美しさにひかれて手にとった本、本当にあっという間に読めました。
 この人の長い話はあまり読んだことがないような気がしますが、「ローマ人の物語」も読んでみたいです。
知られざる難破船の世界
 リチャード・プラット著・日本語版監修川成洋
 あすなろ書房
八月某日
 「知のビジュアル百科」シリーズの47冊目、この前バーゲンで武器とお城の本を買ったんだけど、洋書で読めません。絵の資料にするつもりだったから別に読めなくてもいいんだけど、やはり読めたほうがよかったかも。
大人も楽しめる図鑑です。
王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて
 藤本ひとみ作
 角川書店
八月十日
 もし、アントワネットと知り合いでカフェでお茶でも飲む機会があったら(あるもんかい!)大説教大会になりそうです。この人の不幸というか悲劇はすべてこの人本人がまねいたんだなーーーとしみじみ思いました。
 王権神授説という考え方があるよーーということを学生時代社会科で習って、「ふーーん」と思っていたのですが、なんとなく意味がわかりました。
 
アルテミス・ファウル オパールの策略
 オーエン・コルファー作 大久保寛訳
 角川書店
八月十一日
 アルテミス・ファウルシリーズの四作目です、前の巻の最後で記憶を封じられたアルテミスとバトラーですが、今回もそんなことはあんまり障害にならなかったみたいです。
 友情は大切だし良心はなくてはならないもの、でもその二つが彼にも宿るとは、誰が想像したことでしょうか。彼の場合そんなものは無い方が、彼らしいと思うんだけどなーー。
女はかくもままならぬ
 中村うさぎ著
 角川書店
八月十四日
 また読んでしまいました、この人のエッセイ。
 内容的にはかなりイタイところもあるんだけれど、共感できるところがあるのもまた事実。
故郷へマのつく舵をとれ!
 喬林知作
 角川ビーンズ文庫
八月十五日
 もう何冊目だったかもよく分からなくなったこのシリーズ、やっと砂漠の話が一段落しました。前の巻まではやたらと暗く重い印象だったのが今回やっと少し明るくなったような気がします。
眞マ国より愛をこめて
 同
八月十九日
 読みかけて夏コミに出かけ帰ってきてから続きを読みました。ライトノベルは続けて読まないとテンションが下がりますな…。
デモナータ 5幕 血の呪い
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
八月二十三日
 今回はどこで惨劇が起こってどこで悪魔がでてくるのかなーと思いつつ読み進めたならば、なかなか出てきません。今回は悪魔の皆さんはお休みかしら(主役なのに)と思ったら、最後にどんっと出てきました。いや、悲惨でした…。あのお姉さんはいつごろ悪魔に魂売っていたのか…いつから?最初から?
螺鈿の小箱
 篠田真由美作
 東京創元社
八月二十五日
 あちこちに書いた異国趣味的な短編を集めた一冊、どちらかというと悲惨だったり陰惨(?)だったりする話が多いのですが、最後の一話だけ比較的ほのぼのしてました。
 この作者…というと、どうしても耽美的なイメージがつきまとうのですが、いまいち耽美になりきらないようなところがあって、そこがいいといえばいいのですがちょっともどかしかったりします。
乙女は龍を喚ぶ!
 榎木洋子作
 集英社コバルト文庫
八月二十六日
 龍が出てくる異世界のシリーズはずいぶん読んだと思ったのですが、どうやら「緑のアルダ」というシリーズがまだのようです、作品世界が全部つながっているので、時々他のシリーズの登場人物が出てきて、それが知らない人だったりするとちょっと悔しい、逆に知ってる人だとうれしいですな。
おでんの丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞社
八月二十七日
 丸かじりシリーズ24冊目、少しの間読まないでいると禁断症状が出て無性に読みたくなる魔性の本です。読んでどうなる、というわけでもないのに読み始めると止まらなくなる困った本。
 ところで静岡のおでんってそんなに変わっているのでしょうか、食べてみたいなーー。
愁いの波に揺れ惑え 刹那の静寂に横たわれ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
八月二十九日
 先日「乙女は…」シリーズでも同じことを書きましたが、この少年陰陽師シリーズにも作者の別シリーズの登場人物、冥府の官吏が出てきます、気になるーーー、読みたいーーー、でもプロパーで揃えてまで読みたいわけじゃないし。図書館で探すか、古本屋で探すか、誰かもってないかなーーー。
新・特捜司法官S-A
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
九月三日
 これも友人から借りているライトノベル、四巻までまわってきたのでそこまで読みました。大昔ウィングスという雑誌がはやっていた頃時々読んだ「JOKER」シリーズと同じ世界の話です。
クラッシュブレイズ・サイモンの災難
 茅田砂胡作
 中央公論新社
九月六日
 今回はほとんどヴァンツァーが主役、他の皆様、特にシェラの出番はほとんどありませんでした。ヴァンツァーというよりはジンジャーが主役かしら、とにかく彼女の恐ろしさが際立ちました。
 
猫にかまけて
 町田康著
 講談社
九月八日
 大変有名な作家さんですが、この人の本は実ははじめて読みました。最初はちょっと、このおっさんくさい語り方が気になりましたが、一度中断した後どうしても続きが読みたくなって一気に読んでしまいました。内容は自分の家にいる猫の猫自慢猫馬鹿エッセイです。
 しかし、実録漫画系でもそうですが、動物はなんせ大概人間より寿命が短いので、死ぬところを書かなくてはならなくなるのが読んでいても大変つらいです。
壁抜け男の謎
 有栖川有栖作
 角川書店
九月十日
 シリーズものではない短編集、いろんな傾向の推理小説が載っています。おもしろいことはおもしろいけれど、やはり火村先生と作家アリスのシリーズの方が萌えがあります。
デモナータ6幕 悪魔の黙示録
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
九月十一日
 あのお姉さんは実は以前にも出てきたことのある別人で実は最初からロード・ロスの方についてました…全然気がつかなかったよ!ここまできてやっと各巻の登場人物たちがつながってきました、非人間的な戦いに身をおく皆様と比べると、悪魔であるロード・ロスの方が人間味のあるお茶目な性格に見えてくるから不思議です。やってることはまさに悪魔だけれどな、目的が終始一貫していて一番分かりやすい方のような気がします。これでビジュアルがもっと渋ければいいのに…。
きかんぼのちいちゃいいもうと・その1ぐらぐらの歯 その2おとまり その3いたずらハリー
 ドロシー・エドワーズ作
 渡辺茂男訳
 酒井駒子絵
 福音社
九月十四日ごろ
 作者が子供だった時、作者にはきかんぼの小さな妹がいました…という思い出話でつづられた三冊、とってもかわいい困ったちゃんのお話がみっしりつまっております。酒井駒子さんの挿絵もばっちり合っていて、かわいい本になってます。
 小さい子供の幸せというのは、周りの大人によって作られるところが大きいんだなーーと、人事のように思いました。(なぜ人事のようにかというと、ただ今子育て真っ最中で本当はとても人事ではないからです)この中で唯一子供に優しくも親切でもない大人が、実のお父さんというところに、なんというか時代性かつ時代をこえたリアリティを見つけました。立派な人ほど分からないことってありますよね。
RDGレッドデータガール・はじめてのお使い
 荻原規子作
 角川書店
九月十六日
 これも表紙イラストは酒井駒子さんです、中にイラストはないけれど。
 絶滅危惧少女…主人公の泉水子(いずみこ)は、山の上の神社に住んでいて学校に通う以外はほとんど外にでたことがありません、その少女が実は!という物語。是非続きが読みたいけれど、出るのかしら?
猫のあしあと
 町田康著
 講談社
九月二十二日
 「猫好きな人は幸いである」「幸いなるかな猫スキー」とかなんとか言いたくなるほど猫スキーな猫エッセイです。著者のすごいところは、自分があらかじめ飼っている猫だけではなくボランティアの人が保護した野良猫の面倒もちゃんと見ていること、これはちょっとやちょっとの覚悟では絶対出来ないことだと思います。
世なおしトークあれこれ
 三輪明宏著
 PARCO出版
九月二十三日
 たまには三輪先生にいろいろ人生について叱ってもらおうと思って読みました。この手の叱責本にはどうしても「じゃあお前はどうなんだ!」とか「あんたにだけは言われたくないわ!」という逆ギレがついてまわるものなのですが、この人の場合あんまりそう思わずに「へへーーっ、すいませんでしたーー」と頭をさげて謝りたくなるのがおもしろいです。
「文学少女」と死にたがりの道化
 野村美月作
 ファミ通文庫
九月二十四日
 初めての作者、初めてのシリーズです、ベスが「絶対好みだから!まず最初の一冊」とかなんとか言って貸してくれましたがやっぱりおもしろかったです。うーーむ、友人達に好みを掌握されてるなーー。
 文学少女がなんで妖怪?「僕」がなんで昔女の子だったの?と謎かけしたまま一巻が終わりました、続きをちゃっちゃと読みたいです。
デモナータ7幕 死の影
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
九月二十五日
 「死亡フラッグ」がたたなくても登場人物はばんばん死にます、今回もレギュラーが何人かお亡くなりになりました、とっても悲惨です、心躍るような冒険や心温まるようなほのぼの、心洗われるような美しい場面なんかはほとんど全然全くありません、でも読んじゃうんだよねえ…。
ヨーロッパのレース手帖
 ピエ・ブックス発行
九月二十六日
 きれいな写真と装丁に引かれて手に取った図書館の本、ヨーロッパのいろんなレースの歴史や日本での入手方法などレース情報満載の本です、好きな人にはたまらないかもしれないけれど、実は私、レース自体にはほとんど興味がありません、書籍としてきれいだったから読んでみました。
 写真や装丁はいいんだけれど、実は文章はイマイチ、分かりやすくて読みやすいんだけど、平坦で平凡すぎるのが少々残念といえば残念、こういう本にそこまで求める必要もないのだけれと。
深泥丘奇談
 綾辻行人作
 メディアファクトリー
九月二十七日
 新聞の書評で読んで「これは読まねば!」と狙っていたこの本、図書館にきっちりはいってました、ああうれしい。綾辻氏といえばやはりミステリーが有名ですが、こういう不思議な話も大変いけてると思います。わけがわからない力によって何かが起こるってところが、昔読んだ「殺人鬼」という物語にちょっと似ている…と思いました。
オフェーリアの物語
 山田正紀作
 理論社
十月三日
 私は「オフェーリア」には大変弱いのです、ましてやビスクドールにその名前がついていて年端もいかない少女が人形使いで異世界と現実の接点があいまいになってミステリー、という大変おいしい設定が山積みなのですが、いかんせんおもしろい物語ではありませんでした。
 最初の一話はともかく、次からはマンネリ化してきて読んでいて飽きてしまいました。何よりも残念なのは、話の途中で本が終わってしまうこと、続き物なのかもしれませんが、終わり方が唐突すぎて美しくありません。続きものならそれなりの終わり方ってのがあるでしょうが。
おにぎりの丸かじり
 東海林さだお
 朝日新聞社
十月五日
 丸かじりシリーズ28冊目、けして順番どうりに全部読んでるわけじゃありませんが、図書館に行って本を何冊か借りてきて真っ先に読んでしまうのがたいていこれなので、なんだかなーーと思います、それだけ魔性の魅力がこの本にはあるのでしょうか、あるんだよな、きっと。
東京飄然
 町田康著
 中央公論新社
十月十日
 謎の本でした、著者が飄然と東京近郊をお散歩したり展覧会やライブに行ったりするプチ旅行記と言いますかエッセイなのですが、そもそも飄然ということが何なのか、何をすると飄然としているのかさっぱり分かりません、分からないなりに著者が右往左往するさまがおもしろいです。
 今度こそこの人の小説を読んでみようと思っていたのですが、何から読もうか迷ってしまいました。「夜のピクニック」はなかったしなーー。
ダヤンとハロウィーンの戦い
 池田あきこ作
 ほるぷ出版
十月十三日
 ずいぶん久しぶりに読んだダヤンシリーズ、久しぶりだったので、このシリーズが案外陰惨で人も動物もばんばん死ぬってことをすっかり忘れていました。ダヤンはグッズにしか興味がないという方の方が多いとは思いますが、わちふぃーるどは一筋縄ではいかなくってよ。
チョコレート工場の秘密
 ロアルド・ダール作
 田村隆一訳
 評論社
十月十五日
 昔から何度も読もうとしてそのたびに挫折していたこの本をとうとう読めました、中の挿絵が怖かったのが原因ではないかと思うのですが、確かに不気味で不思議な絵ではあります。ちょっと前に実写版で映画化されましたがそちらの方は観ていません、しかし、映像化したらおもしろそうだなーーと確かに思いました。
ももいろのきりん
 中川李枝子作
 中川宗弥絵
 福音館
十月十六日
 私の好きな同人作家さんが本の後書きで「子供の時に一番好きだった本」と書いていたのでどんななのか読んでみました、大変かわいらしいお話でした。登場人物がみんな少しわがままででも友達思い、紙のキリンがそんなに長持ちするはずはないのにそこのところは考えない、子供の時に読んでおきたかったです。
新・特捜司法官S-A
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
十月三十一日
 五巻と六巻を読みました、前の話の続きで、まだ続いております。
緑のアルダ
 榎木洋子作
 集英社コバルト文庫
十一月十六日
 前に「読みたい」と書いたこのシリーズも全巻読むことが出来ました、貸してくれた友人には感謝感謝です。
「リダーロイス」シリーズでは敵となった国が舞台で、「龍と魔法使い」シリーズから千年くらい後の物語です、やっぱり世界観がきちっと分かっていると、より楽しめますな。
 ただ最終話がちょっと急ぎ過ぎたようなかんじ、もう少し登場人物のその後を追ってもよかったのではないか…と思います。
わたしの紅茶生活 おいしい楽しい12カ月のティータイムズ
 山田詩子著
 大和書房
十一月二十六日
 カレルチャペックという紅茶屋さんでイラストレーターの人が書いた紅茶にかかわるエッセイ、かわいく読みやすくおいしそうな本です。しかし…何店舗もある紅茶店を経営しながら子育てしつつ絵本やエッセイを書く、すごく忙しそうだけど文章読む限りではすごく楽しそうで、バイタリティーあふれる人なんだなーーと妙なところで感心してしまいました。名古屋にもお店があるので、今度行ってみたいです。
鵺子ドリ鳴イタ4
 霜島ケイ作
 小学館ルルル文庫
十一月三十日
 封殺鬼の桐子様が主人公のこのシリーズも四巻目となりました、そしてまだ続いております。今度の時代は昭和初期なのですが、これがまた桐子様のイメージにぴったりなのです。で、これからどこがどうなって将来の旦那様とのラヴロマンスになっていくのか、そこが楽しみですな。
死体が語る歴史・古病理学が明かす世界
 フィリップ・シャルリエ著
 吉田春美訳
 河出書房新社
十二月三日
 大変おもしろく興味深い本でした、なによりもおもしろいのは、あくまで訳本であり著者が直接書いた文ではないにもかかわらず、古病理学という仕事に対する誇りと愛情がひしひしと感じられたことでした。なんて楽しそうに、イキイキハツラツプリプリと仕事をされていることか!こっちまで楽しくなってしまいます。
 古病理学というのは、発掘されたりした古い死体を解剖し、各種の検査をして、その人がどんな病気にかかっていたのか、何を食べていたのか、どうやって埋葬されたのか当等を調べ、ひいては当時の生活を知ろうというような学問なのだそうです。おたくてぃぶに興味深い事例もたくさん紹介されていて、大変おすすめの一冊です。
パンの耳の丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞社
十二月四日
 丸かじりシリーズ22冊目、呪われた本だと思いつつもまた読んでしまいました。
 毎回同じようなことを書きながら読者をううむとうならせ、かつ納得させてしまうすごい本だと思いました。
ものと人間の文化史143 人魚
 田辺悟著
 法政大学出版社
十二月八日
 古今東西の人魚伝説や人魚をかたどった物品、人魚のミイラ等々の写真や図版など盛りだくさんではあるけれど、萌えという観点から見ると今一でした。類似の話が集まってもいいから各地、各国に伝わる人魚伝説をもう少し集めて、現代語訳で載せてほしかったなーーと思います、趣味の問題だけど。
真実真正日記
 町田康作
 講談社
十二月十日
 作家と言うのは嘘ついてなんぼだなーーと思いました、ほとんど全部うそつき日記です。ただ大嘘のところどころにはやはり真実らしきものがあって、嘘の中でそこだけが真実として迫ってくるような迫力がありました。
ダヤンと銀の道
 池田あきこ作
 白泉社
十二月十日
 ダヤンがまだ子猫でお母さんや兄弟と暮らしていた頃の話、絵本です。子猫の毛皮のやわらかそうなところや、その他子猫のかわいいところがばっちりで、大変かわいらしいです。
ヒットラーのむすめ
 ジャッキー・フレンチ作
 さくまゆみこ訳
 すずき出版
十二月十二日
 今までに読んだ児童文学の中でもかなり異彩を放つ一冊でした、現代のオーストラリアで学校に向かうバスを待っている間の子供達のお話し遊びのなかで、「もし自分がヒットラーの娘だったとしたら」という仮定の物語が始まって…という内容で、特に何が起こるわけでもないのですが大変おもしろかったです。
ランドセルママ
 高野優著
 主婦の友社
十二月十五日
 コミックアンドエッセイですが、図書館に置いてないタイプの子育て漫画の方がやっぱり笑えるネタが多いかも、と思いました。
東海林さだおの満腹大食堂
 東海林さだお著
 朝日新聞社
十二月十七日
 丸かじりシリーズに足りないもの、それは写真であった…というわけで、エッセイのテーマとなった店と料理の写真がばっちり載っているワイド版の本です、こんなものまで借りてしまうのはもう末期のような気がするのですが、誘惑には勝てませんでした、大変おいしそうでした。
図書館猫デューイ・町を幸せにしたトラねこの物語
 ヴィッキー・マイロン著
 羽田詩津子訳
 早川書房
十二月十九日
 ある大変寒い朝、図書館の返却ボックスの中に入れられていた一匹の猫がいかに著者の心の支えとなり町おこしに貢献していくかという涙と感動のストーリーなのですが、はっきりいって著者の傲慢さ、といいますか謙遜の美徳のちっともない書きっぷりがせっかくのいい話を台無しにしているような気がしました。ああくどい!くどすぎるぞアメリカ人!そんなに自分を正当化したいのかーーーと、本筋となんの関係もないところでくだを巻いてしまう本でした。
新・特捜司法官S-A 7
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
十二月二十二日
 続きです、主人公達がなんの活躍もしないまま周りだけが動いております、いくら続きと言ってもちょっとつまらないなーーー。
有栖川有栖の鉄道ミステリー旅
 有栖川有栖著
 山と渓谷社
十二月二十四日
 私の一番好きなミステリー作家の鉄道エッセイです、この人は時々鉄道ミステリーなんかを書いていて、ああ、鉄道が好きなんだろうなーと思っていたら見事な乗りテツでした。
 全然ミステリーではありませんが(なんせエッセイだから)作者の文章の持つ雰囲気とか、そういうものが好きな人にはお勧めできます。
ぼくは猟師になった
 千松信也著
 リトルモア
十二月二十五日
 新聞の書評で見て読んでみたいなーと思っていた本が図書館にありました。京都でワナ猟の猟師になった青年の実録猟師本、今の時代にこの職業!と驚きもしますが、本人はいたって真面目で本気なところが好感が持てます。エコロジストと称する人や動物愛護関係の皆様にぜひ読んで頂きたいと思いました。


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