2015年の読書日記

書名・作者・出版社 内容・感想など 星いくつ?
英国一家、ますます日本を食べる
 マイケル・ブース著・寺西のぶ子訳
 亜紀書房
一月二日
 昨年度後半の読書日記は残念ながら不幸な事故により消えてしまいましたが、「ますます」のついていないこの本を去年の冬ころ読んでました。この本はその続編のようなもの、あいかわらず高級料理しか食べていないところがイマイチだと思います。高いお金を出して高級なお店に行けばおいしいのは当たり前、確かにそういうのも日本食の魅力だとは思いますが、B級グルメもおいしいし、何より楽しくってよマイケルさん。
禁忌習俗事典・タブーの民俗学手帳
 柳田国男著
 河出書房新社
一月四日
 年末から図書館で借りて読んでいた本をやっと読みきることが出来ました。「序」の日付は昭和十三年二月二日、遠い遠い昔(…ってほどでもないけれど)に著者が危機感をもって集めた全国のタブーがとりあえず載っている事典なのだけれど、この中でどれほどのタブーが今残っていることでしょうか。タブーイコール禁忌、忌み嫌われる言葉や行為、こんなものは少なければ少ないほど生き易いかもしれませんが、一つの禁忌の後ろに隠された先人の知恵や歴史、あるいは物語がタブーの消滅とともにどれだけなくなっていったか分かりません。それはとてももったいなく、取り返しのつかないことだと思います。
イラン人このフシギな人々
 遠藤健太郎著
 彩流社
一月五日
 ちょっと風邪気味のポチを連れて近くの医院に行ったら、正月明けの激混みの上に分娩まで始まって(そこは産科、婦人科も兼ねてます)持っていった本が一冊読めました。もう一冊持って行っても余裕で読めたことでしょう。
 イランの歴史を勉強するためにイランの下町に二年間暮らした著者によるイラン人の観察記録、これを読んで私は絶対イランには住みたくないと思いました。
 著者は多分、イランという国のことをとても好きだとは思うのだけれど、この国のシステムとかいろいろなことを憂いているのもまた事実、だいたい宗教が政治にからむと、ろくなことにならないと思うんだけどな。
星のアリスさま
 嶽本野ばら作
 国書刊行会
一月五日
 これは夕食の片付け後ポチがお風呂に入っているあいだに読めてしまった本、意外と短い時間で一冊読めました。
 とある星の王女様星野アリスが継母の王妃様に星を追い出されて、やむなく住もうとしたところがヤクザの所有物件で、そこに薔薇も住んでいてけれども犯罪の片棒をかつぐのは嫌だからヤクザに交渉しに出かけるというファンタジーなんだか童話なんだか寓話なんだかよくわからない話になってました、そして正直おもしろくなかったわ…。
 これが普通のよくある小説で、主人公も星野アリスという名の中学生でホームレスになってど根性で生活して、そして時々物語のパロが出てくるのがよかったな。
英国貴族の令嬢
 村上リコ著
 河出書房新社
一月九日
 おたく的資料として大変にすばらしい本でした、メイドや執事のことを書いた本は何冊か読んだことがあるけれど、「上流階級のお嬢様の日常」を詳細に描いた本を読んだのは多分初めてだと思います。子供時代よりも、17歳になってデビュタントしたばかりの事情が詳しく書かれているのがかなりおもしろいです。
 令嬢というと、働く必要もなく遊び暮らしているばかりのような印象があり、実際そうではあったのだけれども、それはよりよい結婚相手を見つけるための戦いであった!という真実(ある意味真実)はかなり現実的であり厳しかった様子。奥方様も遊んでいるようでかなり忙しそうだったのが意外でした。
おだまり、ローズ 子爵婦人付きメイドの回想
 ロジーナ・ハリソン著・新井潤美
監修・新井雅代訳
 白水社
一月十六日
 時は二十世紀、場所はイギリス、お仕えしたのはアメリカ出身のイギリス下院最初の女性議員にして子爵婦人、激しくおちゃめなご気性のレディ・アスター。レディ付きメイドだったローズの回想録です。彼女はレディ・アスターの前にも何人かの貴婦人に、同じくレディズメイドとして仕えているのですが、はっきり言ってアスター夫人は他のイギリスの高貴な女性たちとは全然違っていました…いろんな意味で。
 ローズもただ仕えるだけでなく、レディに対してあるときは辛辣に、あるときはやさしくユーモアをもって接し、使用人でありながら家族のような関係を作り出していたと思います、やっぱりいろんな意味で。
 前世紀のイギリスのメイドの、正しい姿を理解する助けになる…とは言い切れませんが、仕事に生き人生に満足した素敵な女性の一代記として読むことも出来ます。
12月25日の怪物・謎に満ちた「サンタクロース」の実像を追いかけて
 橋大輔著
 草思社
一月某日
 クリスマスのあたりに借りて読もうと思っていたら、読みきれなくてもう一度借りて読んでみました。
 サンタクロースの謎を追いかけて、予算のことを気にしつつ著者はあちこち旅に出ます。そして最後はナマハゲに出会っておしまい。
 著者の苦労の割には、いろんな文献を漁れば出てくるような話がほとんどで、今一努力が生かされていないような気がします。
ひとりたび一年生
 たかぎなおこ著
 メディアファクトリー
一月某日
 初めて(?)ひとりたびに出る著者がういういしくてかわいいです。私も最初はこうだったわ…東京しかほとんど行ってないけどな。
昭和の結婚
 小泉和子著
 河出書房新社
一月二十八日
 私が結婚したのは平成ですが、そのちょっと前まで「女の子の賞味期限はクリスマスケーキと同じ」とか言われていたような気がします。つまりは25歳以上になったらもう嫁き遅れだと平気で言われていました。母が頑固に昭和の結婚観を持っている人なので、私が大学を出て就職したらすぐにもう「女は結婚しなきゃダメ」とガンガン押してきました。そのおかげで無事に(?)結婚できて今は専業主婦してるわけですが、その昭和の結婚観にも戦前と戦後があり、戦争の前と後では法律の上でも大違い、母が戦後の結婚観を持っていたことは私にとっては幸いでした。
 今でもいるのでしょうか、家長制度に基づいた戦前の感覚の人って、案外いそうな気もするな。
 それはおいといて、名古屋の嫁入り事情とか懐かしく読ませていただきました。岐阜出身なので感覚はほとんど名古屋と同じなもので。紅白のたすきをかけた決してバックしない、割り込みを許さない家具つんだトラックとか、お嫁さんが支度して家から出てくるときの菓子まきとか、今でも名古屋とか岐阜ではあるのでしょうか。忍者の里ではとんと見ないな。
ダーリンは外国人・ベルリンにお引越し
 小栗左多里・トニー・ラズロ著
 メディアファクトリー
一月三十一日
 どこか外国に住もう!それだけで本当に、移住してしまうところがなんともすごいと思います。しかも子供はちょうど小学校入学時。もともとバイリンガルな家庭でさらにトライリンガルを目指すところもすごい。けれど先輩、普通の日本の教育も、いいところはいっぱいあると思います。あんまり疲れたり、何かが無理だと思ったら戻ってきてください。
 あと関係はないですが、こんなに有名なシリーズなのに時々岐阜弁が出てくるのが笑えます。
暗黒寓話集
 島田雅彦作
 文藝春秋
二月二日
 久しぶりに小説を読みました、同じ電車にたまたま乗り合わせた乗客八人が、こんなことを考えていたら面白いだろうな、という設定(?)で書かれた短編八篇、だいたい暗黒な話ですが中には希望の見えるものもあり、見えないものもあり。
 ただ作者の、妄想の存在しない右えなれえの国よりは、各個人が心の中に自分だけの世界を持っている世界の方がなんぼかマシ、という考えには全く同感です。妄想は世界を救う!かもしれない。
今日はぶどうパン
 平松洋子著
 プレジデント社
二月三日
 この人のエッセイは、最初は女性なのにおやじ臭くてちょっとなーーと思っていたのですがすっかり慣れてしまいました。オヤジ臭いのではなく、私はお酒が全く飲めないので酒飲みの心理が分からないだけなのではないかと最近思い直しました。
 食べ物についての短いエッセーが多いのですが、著者と私の嗜好はあまりあっていません、でも時々同じものが同じように好きで、時々妙に納得してしまう章もあります。
挿絵画家カイ・ニールセンの世界
 平松洋監修
 KADOKAWAビジュアル選書
二月七日
 二十世紀初頭のイギリスはロンドン、豪華な挿絵本が全盛期をちょっと過ぎた頃にカイ・ニールセンはデビューしました。この時期がいかにも悪かった、戦争へと突入する時代、豪華本どころではなくなってしまいました。
 私はこういう有名な挿絵画家の人は、ずっと仕事にも人間関係にも恵まれてすばらしい人生を送ったのだとなんとなく思っていましたが、そうではないということがよーーーく分かりました。それでもこの人の作品は残ったわけだから、最終的にはよかったのかな?でも本人が何が幸せだったかなんて全然わからないですよね。
大人の男の遊び方
 伊集院静著
 双葉社
二月十五日
 図書館の新刊コーナーで、ちょっと手にとってみて読みやすそうな文章だったから借りたけれど、内容的には全く興味のないジャンルだった、ということが時々あってこれがまさにそういう本でした。最初のお酒の飲み方あたりはなんとなく納得できたけれど(飲まないけどね)、ゴルフやギャンブルの話はさっぱり分かりませんでした。とにかく大人の平凡な女としては、ゴルフもギャンブルもやるような男はこっちからお断りしたいです。
怪奇文学大山脈・西洋近代名作選(諸雑誌氾濫篇)
 荒俣宏編
 東京創元社
二月十六日
 いつのまにか三巻まで出ていました、二巻を見落としちゃったな。二十世紀前半の西洋社会で出版されたエログロホラーな雑誌の中からよりすぐりの物語がたくさん載っている本です。つまり最初から最後まで、大変に悪趣味な物語の連続でした。心が弱っている時なんかには読んじゃダメです。ただ、いつもいつも思うのだけれど悪趣味なものってどうかするととてもおもしろいものでもあるのよね。大抵の文学作品には救いのようなものが最後に用意されているけれど、こういうお話にはそれはない。それがいいんだけどな。
古事記
 池澤夏樹訳
 河出書房新社
二月十九日
 今までに何冊か古事記の現代語訳の本を読んでいますが、大変読みやすく面白い本でした。何回読んでも読み飽きないイコール、何回読んでも覚えられないということなのだなとしみじみ思います。
 ポチがこの本を、おもしろいと言ってどんどん読んでいくのには驚きました。今までに知っていたいろいろなお話、たとえばイザナミとイザナギのことや、イナバの白うさぎなどなどが大人の本に出てくるのが楽しかったようです。そういえば私もポチくらいの年に、図書館の子供の本棚とはサヨナラしたことを思い出します。
ペコロスの玉手箱
 岡野雄一著
 朝日新聞出版
二月二十日
 以前読んだ「ペコロスの母に会いに行く」の続きです。お母さんがとうとう亡くなってしまいました、91歳で老衰だったそうです。亡くなってからも息子さんにこんなふうに優しく懐かしく思い出してもらえるのは、お母さんにとってとても幸せなことではないかと思います。
青春、手遅れ
 益田ミリ著
 角川学芸出版
二月二十日
 平成22年に出版された本で、著者は四十代になりたてなので私ととても年齢が近いです。けれども、このくらいの年齢で未婚女性と既婚女性の間には、暗くて深い谷間があるのもまた事実。私はあなたの言っていることはよく分かるし、エッセイとしてもすごく面白い、んだけど今更こんなこと言われてもなーーーの連続でした。青春、手遅れ。とてもいいタイトルだと思います。
 しかし、自分が四十代に突入しようとした時、著者のように何かにあせったのもまた事実。無駄だったけど。
まじっく快斗1412 ・12
 浜崎達也作
 小学館ジュニア文庫
三月一日
 ポチがいきなりマジック快斗にはまりました。もともと土曜六時からのコナンはかかさず見ていたのですが、前触れもなくある日いきなり「快斗の小説本が欲しい」と言い出しました。「快斗の同人誌が欲しい」じゃないところがまだまだおこちゃまです。もともと月に一冊は本を買ってあげる約束になっていて、その権利が数ヶ月分たまっていたのであっさり買ってさしあげました。
 内容はほぼこれ原作のノベライズじゃないのかな?白馬くんが群をぬいて変だと思いました。
ルパン三世VS名探偵コナンTHE MOVIE
 水稀しま作
 小学館ジュニア文庫
三月二日
 ついでに購入したルパン対コナンの本、前にテレビで放映されていたのをちょっとだけ見てました。けれどかなりおもしろいので、もっとちゃんと最後まで見てればよかったと思います。灰原さんと不二子ちゃん、次元とコナンの組み合わせがかわいすぎです。
団地で暮らそう!
 長野まゆみ作
 毎日新聞社
三月二日
 団地への愛に溢れた団地小説、団地のことだけでこれだけ語れるのは素晴らしい、どれだけ団地が好きなんだろうか作者は!
 それはおいておいて、私の通っていた小学校の近くには旧国鉄の団地が山ほど並んでいました。そこに住んでいた友達の家に遊びに行ったこともあるのですが、当時はそこがそんなに狭いとは感じなかったな。むしろ建て替える前の自分の家と比べると機能的で羨ましく思ったような気がします。
今ならどう思うだろうか・・・。
悼む詩
 谷川俊太郎・詩・正津勉・編
 東洋出版
三月三日
 谷川俊太郎さんが、亡き人のために書いたいろんな詩を集めてある本です。そして、最近はもう人生が忙しくて以前のようにゆっくりゆっくり詩を読むということは出来なくなってしまったと判明しました。詩を読む時間がとれるということは、とても贅沢なことだったんだなあと今更思いました。
 けれども若い頃に読んだたくさんの詩は、今でも私の中にあります。読んどいてよかったよ・・・。
ぼくらの七日間戦争
 宗田理作
 ポプラ社
三月三日
 前々から読んでみようとは思っていたのですが長いあいだ手に取ることのなかったこの本を、ポチが図書館で借りたついでに読んでみました。ちなみに映画も観てはいないのですが、あのテーマ曲だけはすぐに頭の中を流れます、そりゃもうエンドレスに。
 大人が読むのと子供が読むのとでは、出てくる感想がずいぶん違うのではないかと思いましたが、工場跡に立てこもっている男の子たちが意外とたくましく、賢いのに驚きました。中坊っていうともっとずっと自分勝手でわがままなイメージがあります。自分がやっぱりそうだったからさ。まあこれはお話だし、最後に警官隊に突入される前に撤退を果たして高みの見物をしているところがかっこいいです。
 時代背景がもう全く違うということもありますが、あまりリアリティーは感じられませんでした。中学生の戦いというとどうしても「バトルロワイヤル」の方を思い出すのですが、私が中坊の時もしもあれがあったならば、多分ぶち殺されない限りひとクラス殺せたんじゃないかと思います。ただ二人を除いて。バトロワの方がよりありえない設定ではありますが、あっちの方に親近感がわくのは我ながら嫌なかんじです。
時分の箸と出会うため・おはしのおはなし
 高橋隆太著
 WAVE出版
三月四日
 貧血検査の結果を聞きに行った医院の待合でほとんど読めました。お箸屋さんの店主によるおはしのおはなし。
 そういえば自分で選んで自分のお箸を購入したことは一度もなかったような気がします。この本を読んだ限りでは、塗りものではなくて削り出した木で出来た、あまり長くなく、先端の細すぎない普通のはしが使いたいと思いました。いつか出会えるかな、マイベスト箸。
絶対に行けない世界の非公開区域99・ガザの地下トンネルから女王の寝室まで
 ダニエル・スミス著・小野智子・片山美佳子訳
 日経ナショナル・ジオグラフィック社
三月九日
 新聞の広告か書評で見て、読んでみたいと思っていた本が図書館に入っていました。横組みだったので読みにくいかと思ったのですが、案外訳が上手で(この手の本って時々すごい訳あるよね?)さくさく読めました。内容はほぼタイトル通りだったのですが、タイトル通りで大いに結構、なかなかに面白い本でした。
 立ち入り禁止地区の多くは、軍事関連施設か宗教関係がほとんど、日本で唯一載っていたのは伊勢神宮の奥の方でした。意外な場所が立ち入り禁止だったのは、炭鉱事故であと250年燃え続ける予定の街とか、ノアの方舟が漂着したと言われているあたりでした。
アイスランド・絶景と幸福の国へ
 椎名誠著
 日経ナショナルジオグラフイック社
三月十二日
 椎名さんのアイスランド紀行記、比較的真面目な内容の方。
 ジオグラフィック社のカラー写真はきれいだし、椎名氏が自分で撮った写真もなかなかいいとは思います。文章も読みやすいし面白い、なんだけどなんだかなーーーー、アイスランドのいいところと、今の日本の悪いところを比較するためにわざわざ旅行に行ったんですか?日本の悪いところなんて、わざわざ言われなくても充分わかっているので、そんなことを文章の締めにおいて欲しくなかったなと思います。
怪しい店
 有栖川有栖作
 角川書店
三月十三日
 怪しいお店がテーマの短編集で火村先生と作家アリスのシリーズ、アリスのシリーズだとは知らずに借りたので、途中で先生とアリスが出てきた時には心ときめきました。
 一話目の「古物の魔」の話もよかったけれど、三話目の「ショーウィンドウを砕く」の先生が悪人っぽくてとても素敵でした。普段はあくまでセンセイとして、警察の側、常識ある一般市民の側にいる先生ですが、時々見せる「あんたこれいかんやろ!」な素顔が魅力的です。
 この人が犯罪者だったら、すごくタチが悪いだろうな。
 でもどこかで詰めが甘いかも。
丹生都比売(におつひめ)
 梨木香歩作品集
 新潮社
三月十七日
 昔のものから最近のものまで、傾向の似た作品を集めた短編集、言われてみれば確かにそうかもしれないと思いました。
 皆きれいで不思議な話ばかりだけれど、私が好きなのは「丹生都比売」かな。
ぼくらの大冒険
 宗田理作
 ポプラ社
三月十九日
 「ぼくらの七日間戦争」シリーズの三冊目、二冊目は図書館になかったので飛ばしたのですが、二冊目で重要な登場人物が登場していてレギュラーになり、さらにはレポーターの矢場さんとも親しくなった模様、何があったのか気になります、今度読んでみなくては。
 この話では木下くんという、ちょっとかわったエイリアンのような男の子が登場します。この子が宗教団体に洗脳されていて、それが解けてからはぼくらに協力してくれるのだけれど、最後の最後でこの子が裏切っていたらもっと話は面白くなったのに!と考えてしまう私の心は結構ただれていると思います。だけど大人だからこのくらいただれていてちょうどいいんです。
ぼくらと七人の盗賊たち
 同
三月十九日
 ケチな盗賊団「七福神」とぼくらとおじいさんおばあさんの戦い、「七福神」が最後に心を入れ替えなかったらきっともっと面白いのに!でもやっぱり児童文学だから、これでいいのです。オチがちょっとつまらないけれど。
マラソン2年生
 たかぎなおこ著
 メディアファクトリー
三月二十一日
 たかぎなおこさんのマラソンコミックエッセイ、二年生もやっと読めました。
 こういうかわいいコミックエッセイを描くには、本人もかわいくなくてはならないのかもしれない、とふと、悲しいことを思いました。
コワーいキャバクラの話
 宝島社
三月二十一日
 私はもちろんキャバクラに行ったことはありませんし、これから先も行くことはないんじゃないかなと思います。
 けれども、ちょっと前に浜松町のホテルに泊まったとき、駅からホテルまで十分くらい歩くのですが、夜だったので居酒屋やその他飲み屋の看板持ったお兄ちゃんが結構いました。それは別に珍しくない光景なのですが、その中に冬だというのに肩出しのドレスを着たキャバクラのお姉さんが看板持って立っていて、「・・・これはなんの罰ゲーム?」と思ったものでした。キャバクラ嬢が客引きに立つなんて、聞いたこともなかったもので。
 本の内容はほぼ想像どうりでしたが、コワイというよりは悲しい世界だと思いました。
女子の国はいつも内戦
 辛酸なめ子著
 河出書房新社
三月二十二日
 図書館の一角にいつの間にか「ヤングアダルト」コーナーができていて、あちこちの本棚からセレクトされていた本の面構えがなかなかに面白かったです。その中から借りてきた一冊、「14歳の世渡り術」というシリーズらしいです。
 この人の本は初めて読んだと思いますが、なるほどこういう人だったのね・・・。私が中学生の頃はケータイやスマホがなかった分、物事はシンプルだったと思います、ああいい時代だった。私のことはもうどうでもいいのですが、問題は再来年に中学生になるポチよ。グループわけ的には、多分完璧にオタクグループに入るよね・・・まあいいけど。
シャバはつらいよ
 大野更紗著
 ポプラ社
三月二十五日
 以前に読んだ「困ってるひと」の続きの本です。とても珍しい難病の著者が病院を抜け出して(退院して)一人暮らしを始めます。もうちょっとやそっとのことでは人生くじけちゃいけない、ちょっと忙しいくらいなんだーーーーと理屈抜きでものすごく思える本です。
最初の舞踏会・ホラー短編集3
 平岡敦編訳
 岩波少年文庫
四月一日
 岩波のホラー短編集三冊目、前二冊は金原瑞人さんの訳で英米編でしたが、この巻から訳者が変わってフランス編になりました。すべての話が趣味が悪くて素敵ですが、その中でも「沖の少女」という物語の恐ろしさときたらもう最悪かも、映像的にはとてもきれいな話なのだけれど、悪夢のようだと思いました。ありきたりのゴーストストーリーじゃないところがいいです。
ぼくらのデスマッチ
 宗田理作
 ポプラ社
四月二日
 このシリーズは、どちらかというと敵の姿がわかりやすいというか、もうそのまんま敵は敵だったのですが、この話ではそうでもない先生が出てきます。先生が途中で殺されずにそのまま担任を続けていたら、「ぼくら」と案外面白い関係になれたかもしれないと思うと残念です。
ぼくらの秘島探検隊
 同
四月三日
 今度の舞台は沖縄で、悪徳土建会社が敵となり、地元の中学生達と共闘します。
あまねく神竜住まう国
 荻原規子作
 徳間書店
四月五日
 荻原規子さんの新刊だ!と思って喜んで借りたものの、正直思ったよりは面白くなかったような気がします。主人公は若き源頼朝なのですが、その脇を固める男女二人の出てくる話をまだ読んでいないので、いまいち盛り上がりに欠けたというか、その話を読んでいないと盛り上がれないというのもどうかと思います。逆にちゃんと読んでれば良かったのだろうけれども。
ぼくらの天使ゲーム
 宗田理作
 ポプラ社
四月六日
 ぼくらシリーズ未読の二冊目がやっと読めました、さよさんが初登場、なるほどこういうふうにつながっていたのね。
 しかし、「老稚園」という発想は大変に時代を先取りしていたのではないでしょうか。この本が最初に出てから軽く二十年はたっていると思うのですが、当時はこういう施設はあまりなかっんじゃないかと思います。
ぼくらの危バイト作戦
 同
四月七日
 本当は危の字に丸がしてあって、ヤバイトと読みます。
 やばいバイトの話ですが、表紙イラストと本文が全然合ってないのが残念といえば残念。
世界のパン図鑑224
 監修・大和田聡子
 平凡社
四月十日
 パンの本はいろいろありますが、この本はパンの写真と説明ばかり載っていたにもかかわらず見ていてちっとも飽きませんでした。大変にシンプルな作りではありますが、読めば読むほど味があるというか、見ているだけでお腹がすいてくるというか、パン好きにはたまりません。
 まだまだ見たことも聞いたことも食べたこともないパンがたくさんあります。ああ全部食べてみたい。
新訳・説経節・小栗判官・しんとく丸・山椒大夫
 伊藤比呂美著
 平凡社
四月十一日
 詩人が書いた説経節、説経節というとどうしても大槻ケンジの「外道節」という曲を思い出します。大昔の曲なのだけれどこれがなかなかの名曲で、こんなふうに節をつけて歌っていたのだろうなと。
 しんとく丸と山椒大夫はどうしようもありませんが、小栗判官は自業自得ではないだろうかとしみじみ思いました。
幸田文台所帖
 幸田文著・青木玉・編
 平凡社
四月十五日
 幸田露伴の娘さんが書いた台所に関する文章を集めた本。文さんは十六、七才の頃から幸田家の台所を任されました、任されたのはいいけれどお父上がまあ食べることと飲むことに口やかましいのなんの、昔の女は偉かった!私だったら完璧にキレてますな。
 だいたい実際に料理して片付ける人間が一番エライに決まってます、ごちゃごちゃ口を出すのはやめていただきたい、文句があるなら別に食べてもらわなくても結構です、自分でやれば?とかなんとか言える時代でよかったよ・・・。
 この本の主題はそういうところにあるわけではないのだけれど、どうしてもそっちの方に関心がいっちゃうんだよね。
とこしえのお嬢さん・記憶のなかの人
 野見山暁治著
 平凡社
四月十七日
 特に意図したわけではないのに四冊平凡社の本が続きました。なんで?本当に偶然なんだけどな。
 著者は画家で、それまでに会った印象深かった人についてのエッセイなのですが、私的におもしろいと思ったのは本文よりも最後に載っていた「自作を語る・今日会える」のコーナーでした。
 私は小さい頃から本当は画家になりたくて、でも残念ながら才能というものが全然ないことに早く気がついたのですっぱりと諦めたのですが、画家に本当になった人が何を考えて絵を描いているかが正直に丁寧に書かれていてそこがおもしろかったのです。
 本文中、思い出のエッセイの中で一番印象深かったのは画家になった人ではなくて、本当に夢中で描いていたのに一枚の絵も残すことなく戦争で亡くなった画学生の話でした。
スーパーマーケットマニア・アメリカ編
 森井ユカ著
 講談社
四月十八日
 時々、これを読んで何になるんだろうと思うような本を夢中になって読んでしまうのですがこれがまさにそういう本でした。アメリカの都市、と言ってもニューヨークとワシントンD.C.とボストンの主なスーパーマーケットの傾向と特徴、著者が実際に購入した魅力的な商品の数々の紹介オンリーでしたが、これがまた面白かったんだな・・・。
 以前近くの皮膚科に行ったとき、待合室に「コストコ攻略法」みたいな雑誌が置いてあって、うちのあたりにはコストコのコの字もないのにかなり熱心に読んでしまいました。スーパーマーケット、しかも未知のそれには主婦の心を惹きつける魔力があるような気がします。
うちのもの暮らし
 太田垣晴子著
 メディアファクトリー
四月十九日
 こちらはうって変わって著者が愛着をもって集めたモノの数々に関するコミックエッセイ、意外と趣味が似ていることが判明しました。鳩サブレーの缶に萌えるところなんて、同好の氏がこんなところにいたのか!と思いました。
 私は本と服と画材以外のものはほとんど集めないのですが、時々どうしようもなく欲しくなるものもあって(金魚型の巾着とかニワトリの置物とか金魚型のがまぐちとか)あまり高価でなければ案外えいやっと買ってしまいます。
 本当はなるべくものは少ないほうがいいのだけれど、お気に入りのものを見るとやっぱりうれしくなります。
図説・朝食の歴史
 アンドリュー・ドルビー著
 大山晶訳
 原書房
四月二十三日
 私は朝食が好きです、いつもの家での朝食は大変にマンネリかつ軽い方だと思いますが、それでも朝食を愛しています。どこかに出かけた時の宿で食べる朝食も素敵です、ホテルや旅館の豪華な朝食はもちろんのこと、前日にコンビニで買っておいたパンと飲み物のごはんもけして悪くありません。この本では、やっぱりそういうことを古今東西の実例、または文学からの引用で熱く語っているのだと思いました。
 私が一番気に入った文章は、「今にして思えば、1930年から60年の数十年間がトースターの全盛期だった。黄金期の最上のトースターのいくつかは今も生き続け、外側はかりっと、内側はしっとりと完璧に焼き上げている。死んだら天国に行くだろう」の部分です。
I found it! 世界でみつけたこれ、なあに?
 神林千夏著
 スペースシャワーブックス
四月二十八日
 何冊か前に書いたスーパーマーケット・マニアと版形や趣旨がなんとなく似ている本。もともとJALの機内誌で連載していた「世界でみつけた素敵でへんてこりんなもの」エッセイの加筆版です。
 確かに見慣れないものが多いけれど、みんなどこか素敵で間が抜けていてユーモラスです。私が一番かわいいと思ったのは、手編みのゆでたまごカバーでした。ニワトリの形をしていて、ゆでたまごが冷めないようにかけておくためのもの、こんなゆとりある生活だったらいいのにな。
ぼくらのクリーン大作戦
 宗田理作
 ポプラ社
四月二十八日
 もう何冊目まで読んだんだ?の「ぼくらの」シリーズ、この前出てきた黒い手帳を例のヤクザが奪おうとしてまあ大変!な話。
 今見たらもう八冊目でした。
洋子さんの本棚
 小川洋子・平松洋子著
 集英社
四月二十九日
 私は、その人の本棚はその人を映す鏡だと思ってます、例え何かの理由で(家が狭いとか)三次元に本棚がないとしても、心の中に本棚はきっとあるはずだと思ってます。そして二人の洋子さんの本棚は、そりゃあもう面白いものでした。
 紹介されている本はけして多くはないのですが、その中で一番読みたいと思ったのは深沢七郎という人の小説「みちのくの人形たち」です。
地球の歩き方・コッツウォルズ・イングランドで一番美しい場所
 小林写函・写真・文
四月三十日
 この本を借りた時にはまだGWは始まってなかったので特にそうは思わなかったけれど、GW真っ只中の今、家で大掃除と大洗濯そして日常の家事ばかりやっているとものすごく思います、どこでもいいからどこかへ行きたいと。私はこの黄金週間というものが大嫌いなのです。
 それはおいておいて、この本は旅行ガイドとしてはともかく(あまり役に立たないのではないかな?)写真はとてもきれいです。息をのむほどきれいではなく平凡にきれいなので、資料としてはいいかもしれません。
 いつかいきたいよな・・・コッツウォルズ。出来れば一人で。
ぼくらの修学旅行
 宗田理作
 ポプラ社
五月一日
 シリーズ九冊目、前々から戦ったきたヤクザ四人組との決着が、思わぬ形でつきました、まさかこうくるとは。
遠野物語拾遺retold
 京極夏彦×柳田國男著
 角川学芸出版
五月五日
 退屈なGWがこれ一冊に薔薇色に変わったような気がします。以前に一冊目を読んだときはそうも思わなかったのですが、一つ一つのお話が面白すぎて心臓に悪いくらいでした。何が一番素晴らしいかというと、あったことだけが淡々と語られていて、なぜとかどうしてとかどうなったとかが一切ないことです。やはりお話というのはこうでなくては!
 出来ればひとつのおはなしごとに改頁するのはなしにして、すべてのおはなしが延々と続くようであってほしいと思いました。それと「平地人を戦慄せしめよ」というこのフレーズがやっぱり好きなんだなと思いました。
☆☆
スーパーマーケットマニア・北欧5カ国編
 森井ユカ著
 講談社
五月六日
 北欧五カ国のスーパーマーケットで見つけた素敵なもの、面白いものの紹介の本、以前アメリカ編を読んだのですがやはりスーパマーケットはアメリカにはかなわないのではないかと思いました。アメリカにはよくあるいかにも体に悪そうな食品の数々が北欧にはほとんどないのがなんとも残念。ジャンクなものってたまに食べるとおいしいですよね。
ゆんでめて
 畠中恵作
 新潮社
五月七日
 図書館でこの本を借りる時に、このシリーズはいったいどこまで読んでいただろうか、としばし悩んだくらい久しぶりに手にとったしゃばけシリーズ、右の道に行くか左の道に行くかで運命が変わる時ってあるよね・・・というテーマの一冊でした。共通のテーマがあったぶん、こっちのほうが面白かったような気がします。
やなりいなり
 同
五月八日
 前の本に比べると普通の短編集だったような気もしますが、考えてみればこの本の共通テーマは「お料理」でした。冒頭にレシピが載っていて、それがみんな作れそうなメニューなのがいいですな。
世界の美しい館
 執筆・加藤希・編集・斉藤香
 パイ インターナショナル
五月九日
 ヨーロッパ各地とイラン・インドにとにかく現存する美しい城館の豪華な部屋ばかりを集めた写真集、確かに素晴らしい部屋ばかりだけれど、すばらしすぎてここで一週間暮らせと言われたら気が狂いそうです。とにかく当時の王侯貴族というのはある意味狂人でないと生きていけなかったのかもしれないなあといたく感心しました。
 中には豪勢な中にも落ち着いた佇まいの部屋もあるけれど、私が最悪だと思ったのはずばりかの有名なドイツの白●城と呼ばれるあの城、この本の中では一番悪趣味だと思いました。
百鬼夜行 陽
 京極夏彦作
 文藝春秋
五月十三日
 以前にも借りて全部読み通すことが出来たのか出来なかったのか覚えていませんが、全体の五分の一くらい読んでから、前にもこの本を読んだことがあるということに気がつきました。やっぱり前は全部読めていなかったのかも、一番最後に榎木津の話が載っていることに多分気がついてなかったんじゃないかな。榎木津礼二郎、恐ろしくも流石な男!六百頁近い本の中で妖怪に負けていないのは貴方だけだよ!
 しかし、京極堂シリーズを最後に読んでからずいぶん時間がたっているので、各話の登場人物が一体どの話に出ているのか思い出せない部分もありました。かといってたやすく読み返せる量じゃないし、ああ、最初の姑獲鳥から全部読み返したい。
ぼくらの最終戦争
 宗田理作
 ポプラ社
五月十六日
 シリーズ十一作目、十作目が見当たらなくて一冊とんでいます。
 ぼくらもとうとう高校受験と卒業式、無事に合格できるのか心配だったのですが、みんな志望校に受かってよかったよかった。そして卒業式の日、やっぱりやるんだな・・・。
ぼくらのミステリー列車
 同
五月十九日
 ぼくらは高校二年生になっていて、いつの間にかカップルが三組も出来ていました、青春だな・・・。
海の見える杜美術館蔵・舞の本をよむ・武将が愛した舞の世界の物語
 石川透・星瑞穂編
 三弥井書店
五月二十日
 室町から江戸時代にかけて武将に流行した舞が、絵物語として残っていて美術館に収蔵され、展覧会が開かれて図録になりました。
 内容的にはちょっと前の源平合戦とかが多いです、そりゃ江戸時代のことを舞うわけにはいかなかったでしょうな。
キュンとしちゃだめですか?
 益田ミリ著
 文藝春秋
五月二十八日
 世の男性のキュンとする仕草に関するエッセイ、正直あまり、ほとんど興味はありませんが、著者の文章とか漫画とかがけっこう好きなもので。
ひなこまち
 畠中恵作
 新潮社
六月三日
 しゃばけシリーズの続きです、順調に読みすすめているのでもう少しで最新刊に追いつきそうです。町中から小町娘を選んで、その娘に似せた雛人形を作って、ついでにあわよくばお大名の側室に・・・という人形屋と版元の商売根性から物語は始まりますが、ほのぼのきれいに片付くところは流石です。
たぶんねこ
 同
六月四日
 しゃばけシリーズの続き、2013年発行の本なので、まだ先があるはず。
言えないコトバ
 益田ミリ著
 集英社
六月六日
 著者がいろんな理由で言えない言葉についてのエッセイ、例えば「おひや」とか「チャリ」とか。
 おひやは言わないけれど、チャリは普通に使ってます。でもチャリという言葉を使うようになったのは、忍者の里に越してきてからのような気がします。実家の方では同じものを「ケッタマシーン」と呼ぶのが正しかったので。
アナザー・エピソードS
 綾辻行人作
 角川書店
六月七日
 何年か前に読んで、映画化(このあたりでもロケ)もされていたアナザーの続編、というか番外編がいつの間にか出ていました。本編とはまた全く別の話ではあるのだけれど、三年三組の現象が事件の原因になってます。
 ちょうど幽霊が自分の隠された死体を見つけたところで夕食になったのですが、その描写が結構リアルでうっかり食欲が落ちるかと思いました。カサカサとかカサカサとか、すんごい匂いとか、そんなに細かく書いてくれなくてもいいのに。
ぼくらのマル秘学園祭
 宗田理作
 ポプラ社
六月七日
 ぼくらシリーズ十冊目、これでとりあえずヌケはありません。
 学園祭の話ならば学園祭と、もう一つのテーマ登校拒否の女の子だけに絞ったほうが良かったのではないかと思いました。名画の贋作騒ぎとイタリア少年は何のために出てきたのかよくわからなかったです。
 肝心の学園祭の劇も、何がなんだかこういまいち、だったと思います。
ぼくらの奇跡の七日間
 同
六月八日
 ボクらシリーズの新シリーズ、携帯電話のある世界。登場人物かすべて変わっていて、舞台は全寮制名門私立中学になってました。どうやら旧シリーズの子供世代の話のようですが、どこがどうつながっているのかはこの一冊ではよく分かりません。ただ親の一人が「自分たちも中学時代に反乱を起こした」とかなんとか言っているので、多分そうなのではないかと思われます。
 旧シリーズと全く違うのがもう一つ、こちらは魔法のある世界なのです。表立って魔法が使われるファンタジー設定ではありませんが、物語の鍵を握る魔女のおばあさんが出てきます。ご老人がどうあっても絡んでくるのは、新旧あわせてこのシリーズの特徴ですね。
ぼくらのモンスターハント
 同
六月十一日
 新シリーズ二冊目、魔女は一人だけではありませんでした。
 もう最初から魔法的展開なので、ある意味なんでもありですが、魔法が出てこない方が私としては好みです。
ぼくらの「第九」殺人事件
 同
六月十二日
 こちらは旧シリーズの十三冊目、ぼくらは高校二年生になりました。だんだん親との関係が良くなってきている子が増えてきたのは喜ばしいです。やはり高校生にもなって反抗しているのはみっともないですから。反抗期は中学生までで十分です。高校時代というのは、順番に自分のやりたいことを探して、できないことは諦めて妥協していく時期だと思ってます。いたずらもほどほどに。
華麗なる探偵・アリス&ペンギン
 南房秀久作
 小学館ジュニア文庫
六月十二日
 今小学生女子(略してJS)に人気があるらしいライトノベル、大人が読んでもものすごく脱力出来てそれなりに面白かったです。探偵がペンギンでそのペンギンなのを主人公のアリス以外誰も不思議に思わないところが素晴らしい、そしてペンギンが入れたてカフェオレをイワシのような細い形の生魚でくるくるかき回して飲むところがなかなかにいかしていると思います。
ダーリンの頭ン中・英語と語学・2
 小栗左多里・トニー・ラズロ著
 メディアファクトリー
六月十三日
 「ダーリンは外国人」の著者が、そのダーリンの謎の頭の中をダーリンと語らいつつ、一緒に悩んで綴ったコミックエッセイ。そもそも殿方の頭の中なんて女から見たらすべて謎に包まれていると私は常常考えております。それは自分の旦那であっても例外ではありません、全く何考えてやがる!
 ・・・こんな内容の本ではありませんが
今日も嫌がらせ弁当
 ttkk(Kaori)著
 三才ブックス
六月十三日
 新聞広告で見て、読んでみたいと思っていた本が図書館にあったので借りてみました。反抗期の高校生の娘のために三年間嫌がらせキャラ弁を作り続けたお母さんのブログが本になりました。もちろんそのキャラ弁の写真が山盛りで、母の海よりも深い愛情をひしひしと感じます。
 そういえばポチも、この前の遠足の時作ったお弁当がキャラ弁じゃなかったのでちょっとだけがっかりしていました。ポチよ・・・キャラ弁がいいのならば三日前にリクエストしてくれたまえ、というか、普通に弁当作ってもらえるだけでもありがたく思え!
 と思っていたら、この前の授業参観の時に廊下に「遠足キャラ弁コーナー」が出来ていてキャラ弁の写真が何枚か載っていました、作る親は作るんだ!と感心しました。しかし、うちのお弁当だって負けず劣らずきれいに出来ていたと思うんだけどな、幼稚園の二年間で練習したしな。
 今度キャラ弁を要求されたら、「貞子弁」を心を込めて作ってあげようと思ってます、本気出すわよ!
いつだって猫展
 編集・名古屋市博物館
 野崎印刷紙業
六月十三日
 実家からの救援物資ダンボール箱に入っていた名古屋市博物館の図録、実家の家族が観に行って、図録だけお土産に買って送ってくれました、ありがたく読ませていただきました。十三日に読み終えた本が何冊もあるのは、ピアノの調律師さんが来ていたから、調律中手持ち無沙汰だったので何冊か読みかけの本が一気に読めました。
 この猫展はものすごく混んでいたそうです。猫の出てくる浮世絵や、もう少し時代があとの猫に関するなんやかやが展示の中心だったもよう、今も昔も猫好きの人は多いですな。
すえずえ
 畠中恵作
 新潮社
六月十四日
 去年の七月に発行されていたしゃばけシリーズ、ほとんど最新刊に追いついてきたのではないでしょうか。
 すえずえ、とは将来のこと。若だんなの許婚者が決定しました。確かに普通の人間の女性ならば、嫁にもらうのは大変だと思われます、しかしこの手があったとは!末永くお幸せに。
 それはそうとして、最近貧乏神の金次さんの活躍が目覚しいと思います、うっかりファンになりそうです。
二年間の休暇・上・下
 ジュール・ヴェルヌ作
 私市保彦訳
 岩波少年文庫
六月十七日
 ポチお勧めの十五少年漂流記を初めて読んでみました。今まで読んだことがなかったけれど、正直とても面白かったです。漂流=ロビンソンものというと、どうしても昔アニメでやっていた「不思議の島のフローネ」を思い出します。あれは家族漂流記で、こっちは寄宿舎漂流記、どっちも途中で新たに漂流してきた人が脱出の鍵となりますが、フローネの船長さんがとってもいい人だったのに比べてこっちはほとんどが悪党で、戦って倒さなければならないというとんでもないオプション付きなところがさらに大変だったと思われます。
 殺人に関するトラウマはないのか?とかそういうことは考えない大らかさがとても十九世紀的で健康的でした。
止まった時計・麻原彰晃の三女アーチャリーの手記
 松本麗華著
 講談社
六月二十日
 著者がアーチャリーと呼ばれるようになって、教団の役職についたのはおおよそ11才の頃だったそうです。・・・というわけで、著者には教団に関する責任を負う必要はあまりないんじゃないかと私は思います。だいたいが子供を担ぎ出す方がおかしいに決まってます。著者が受け入れ先に苦労しながらも、通信制高校を卒業し、大学も無事卒業できたのは本当によかった、これから先は自分の人生は自分で切り開いて下さい、汗水たらして働くことが人間として一番まっとうなことだと思います。
 けれどもそういう思いとは別に、もう少しなんとかならなかったのかとも思います。あなたがお父さんを尊敬し、何か神秘的な力があったと信じていたのは仕方がないかもしれません、けれどそんな人間がいるはずないということに早く気がつくべきでした。というか、奥さんに隠れて外に三人も子供作った時点でこいつはダメおやじだと気がつけよ・・・。お父さんが大好きだったらなおさら、その時点で方向修正したほうが良かったんじゃないかな?子供のいうことならばきっときいたと思うのだけれど、それでもダメだったかな?
 あなたは自分でこれからの人生を切り開く権利があります、けれどもあの宗教に殺されたり傷つけられたりした多くの人たちと、あなたと同じような苦しみを味わったその家族のことをけして忘れてはいけません。
ぼくらの最後の聖戦
 宗田理作
 ポプラ社
六月二十一日
 携帯電話のある世界のボクらシリーズの最終巻のようです。今回は敵である新理事長やその秘書の具体的な描写に乏しく、つまり悪役としての魅力があまり感じられませんでした、キャラがたってなかったわ・・・。なんでもかんでも物事を魔法や魔女のせいにするのは、物語をつまらなくする元なのでは思いました。あと、登場人物かみんなケータイに頼りっぱなしだよね。
 現実の世界でも確かに誰でも彼でもケータイとかスマホとか便利なものに頼りっぱなしですが、ケータイがない方のぼくらシリーズは電話連絡一本するのでもそれなりに緊張感とドキドキ感があってそこがおもしろいと思います。物語の中なのだから、もう少しアナログな設定の方が楽しめるのではないでしょうか。特に魔法がある世界なのだから、なんでもありということで。
ぼくらの「最強」イレブン
 同
六月二十二日
 携帯電話のない、魔法の存在しない方のボクらシリーズ、主人公たちは高校三年生になっています。すっかり部員の減ってしまったサッカー部を立て直すべく奔走する主人公たち、中学の頃と変わって、学校や先生は戦う対象にはなってません。まあ高校には選択の余地があるし、中学よりはフリーダムなものだから。そのかわりといってはなんですが、またヤクザが出てきます。このシリーズはヤクザとは切っても切れない関係がありますが、ヤクザよりは戦うべき敵があるのではないかと思います。当面の敵を排除することも大切だけれども。
大英博物館展・100のモノが語る世界の歴史
 筑摩書房
六月二十五日
 展覧会の図録が図書館にありました、これ観にいきたかったんだよね。普通図録というと、格式ばっていて読む人のことなんか全然考えていないつまらない文章が多いのですが、これは違いました。こんなに読んでて面白い図録は初めてでした。
 大英博物館には人生で二度行ったことがありますが、(うち一度はがらすきでした)、あまりに物が多すぎて一つ一つの細かいものまで見て、その後ろにある歴史とか物語とか考えるのはもうほとんど不可能になってしまうのですが、こうやって解説付きの写真で見るとかえってわかりやすいところが逆説的だと思います。
世界の美しい本屋さん
 清水玲奈著
 株式会社エクスナレッジ
六月某日
 副題は「いつか行きたい世界中の名店ガイド」、世界中に実在するとびきり美しい本屋の写真集ですが、残念ながら日本の本屋は一件も紹介されていません。私は本屋が大好きでいろんな本屋に行っている方だと思いますが、一部の古本屋を除くとどの店も似たりよったりだと思います。もうそこにいるだけで夢の中のような素敵な本屋さんがこのあたりにもあればいいのに!
ふたりのロッテ
 エーリヒ・ケストナー作・
池田香代子訳
 岩波少年文庫
六月某日
 小学生の頃に読んですごくおもしろいと思った本をもう一度読んでみましたが、やっぱりすごく面白かったです。しかし解説を読んで、この物語が第二次大戦中に書かれていて、ナチスのせいで戦争が終わるまで出版することが出来なかったと初めて知りました。こんなかわいらしい素敵な子供のための物語が出版できないなんていうのは、時の政権が馬鹿オロカだということの証明だと思います。
レモンタルト
 長野まゆみ作
 講談社
七月三日
 なかなか治らない風邪のために行った近くの医院の待ち時間で一冊読めました。しかし、自分で選んで借りて読んでおいてなんですが、全く好みの話じゃなかったわ・・・。
 純文学のリーマンジュネ、ホモの会社員が誰とくっつこうが何しようが別にどうでもいいとしみじみ思いながら読んでました。別に二次元や小説中のホモ嫌いではないのですが、主人公があんまりにも趣味じゃなくてさ・・・。
怪談四代記・八雲のいたずら
 小泉凡著
 講談社
七月三日
 こっちの本は、借りてから少しずつ読んできて今日読み終えました。地味な装丁だし、正直あまり期待せずにハーン関係だからと思って借りたのですが意外と大当たりな本でした。まず著者が小泉八雲の正真正銘のひ孫にあたります、それだけでも素晴らしいですが、祖先の功績を顕彰するだけでなく、それを今につなげていこうという姿勢が良いのです。
もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら
 工藤美代子著
 メディアファクトリー
七月五日
 今年は涼しいけれどそろそろ夏なので怪談でも読みたいと思って借りてみました。作家さんや投稿による怪談実話系の本は結構読んだと思いますが、ノンフィクション作家による怪談実話は初めてだと思います、結果読んでいて調子が狂いました。
 ノンフィクションの方なのでとにかく自分の体験した事実しか書いていないそうです、つまり自分が怖いと思ったこと以外は怖くない、怖いと思ったことが少ないので文章自体も怖くない、ただ起こった事象がたんたんと述べられていくだけです。つまりこの本も全然怖くはないのですが、はっきり言ってそれがかえって怖いのです。読んでいても全然怖くないのによく考えると怖いという妙な本でした。
危険な世界史
 中野京子著
 角川書店
七月六日
 某大手新聞社のブログに連載されていた歴史エッセイ二年分(2006-2008)だそうです。著者が「怖い絵」シリーズの人だったのでこの本も面白いだろうと思って借りたらやはり面白かったわ・・・。歴史上の暗黒で下世話な話がてんこもりですが、やはり絵画と組み合わせて語るのが素晴らしい!
 たいした功績のないいただけ君主でも、お抱えの画家が素晴らしければ後世に残る素晴らしい肖像画があり、逆にものすごく有名だったり偉大だったとしても肖像画家の腕が凡庸ならば、つまらない肖像画しか残らないというくだりにものすごく納得しました。
サメたちの海へ
 鍵井靖章写真
 誠文堂新光社
七月八日
 久しぶりに名古屋に出かけてちょっと帰りのバスまでに時間が余ったから本屋をもう一周してみるか、と思い実行したところで引っかかった本、本当は廃墟の写真集とどちらを購入するか迷ったのですが、重さの関係でこちらにしました。
 私はとってもサメが好きなのです。
女ひとり旅読本
 ひとり旅活性化委員会編
 双葉社
七月十日
 女性の一人旅といっても、バックパッカーで行き当たりばったりの旅の話が中心でした。私は絶対にそういう旅をしたくないタイプ、そんな旅に出るくらいならば家で読書でもしていたほうがマシだと思いますが、まあ怖いもの見たさで読んでみました。
 やっぱり旅は優雅に行きたいです。
POCKET PHOTEルイス・キャロル
 創元社
七月十日
 ポケットサイズのルイス・キャロルが撮影した写真の写真集、人物というか少女が中心です。最初の解説が案外面白く、キャロルの写真に対するこだわりがよくわかります。
 写真は他の本でも見たことがあるものがほとんどでしたが、何度も写っているエクシー・キッチンという少女の写真が好きです。
島さんぽ
 上大岡トメ+ふくもの隊著
 角川書店
七月十一日
 雑誌に連載されていた旅のコミックエッセイ、さくさくっと読んでしまいました。
ぼくらの大脱走
 宗田理作
 ポプラ社
七月十二日
 時はちょっとさかのぼって主人公たちが高校一年の時の話になります。離島の矯正施設に入れられた少女を助けるために奮闘し、無事ヤクザ達を倒して収容されていた子供たちを開放するのだけれど、そこで物語が終わっているために後味がとても悪い話だと思いました。そのあとの方が大変なのではないだろうか。
うわさの人物・神霊と生きる人々
 加門七海著
 集英社
七月十三日
 結構珍しい部類の本に入るのではないかと思われる、霊能力者と著者との対談集、私は特に神霊の世界に興味があるわけではなく、夏向けの気分が涼しくなる本を求めていたのですが、選び間違いでした。
 ただ対談内容はやはりそういう職業の人々だけあってなかなかに斬新でした。何事もスペシャリストの言葉ってのは、重みがあると思います。最初は小さかったシーサーが育ってきて、もふもふの茶色い毛並みの動物みたい、というくだりがあったのですが、そこだけすごくうらやましかったです。シーサーがもしもふれたら!
華麗なる探偵アリス&ペンギン・ミラー・ラビリンス
 南房秀久作
 小学館ジュニア文庫
七月十六日
 シリーズ二冊目をとばして三冊目、なんだか読んでいくにつれて脳ミソのしわが一本一本伸びていくような感じがします。
兄と弟、あるいは書物と燃える石
 長野まゆみ作
 大和書房
七月十七日
 前に読んだレモンタルトよりは好きな系統の物語でした、わけがわからないけれどなぜか前向きな世界。
新耳袋・第二夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
七月二十一日
 そういえばまだ二巻は読んでなかったような気がする・・・と思って久しぶりに新耳袋を借りて読んでみました。二巻だけじゃなくて真ん中のあたりはほとんど読んでなかったような・・・これから読む楽しみがたくさんあっていいですね。
 そして久しぶりに読むとそりゃもう怖かった・・・夏の夜にぴったりの素敵な恐怖。
中野京子が語る橋をめぐる物語
 中野京子著
 河出書房新社
七月二十二日
 最近マイブームな著者の本をまた見つけたので借りてみました、世界中の橋に関わる不吉なよもやま話が読んでいて心地よいです。不吉な話ばかりでもないれど、童謡「アヴィニョンの橋」の橋がフランスに実在して、それが川の途中で終わっている行き止まりの橋だと初めて知りました。
皇室へのソボクなギモン
 竹田恒泰・辛酸なめ子著
 扶桑社
七月二十四日
 竹田さんは旧皇族の生まれで明治天皇の玄孫にあたるそうです、その方と辛酸なめ子さんとの対談集で、なめ子さんの質問に竹田さんが答える型をとっています。皇室というと謎のベールに包まれているという印象がありますが、実際そうみたいです。
ぼくらの恐怖ゾーン
 宗田理作
 ポプラ社
七月二十七日
 私は時々ミステリーとか推理モノを読んだりもしますが、その基準に照らしてみると「金返せ、もしくは読んだ時間返せ」な内容でした・・・。
 とりあえず一番の容疑者と思われたおばさんの遺体発見まではいいのですが、話として面白いのはそこからの謎解きと後日談なのではないでしょうか、次の巻にでも書いてあればいいけれど。
男たちの怪談百物語
 東雅夫監修
 メディアファクトリー
八月二日
 夏だから怪談読んでみようシリーズの続きです、以前に「女たちの・・・」を読んだことがあったと思うのですが、その男性版です。
 九十九話目が、どこかで読んだ怪談と全く同じ話でした、すなわち「怪奇ではなく奇跡と呼びたい」例の話。わざとそうしてあるのかな?
お祓い日和・その作法と実践
 加門七海著
 メディアファクトリー
八月五日
 ありそうでなかった実践・お祓いの本。難しい作法とかではなく、普段から簡単に出来るお祓いの方法がいろいろ書いてあります。意外に思ったのは普段の掃除の重要性、これならけっこう頑張ってるよ!それから人に何かおごるのもお払いになるのだそうです。おごってもらった人もうれしくて、おごった方もすっきりするのはなかなかいいですね、たいしたものはおごれないけれど。
 反省すべきは年中行事とお墓参り、ほとんどやってないわ・・・。
アーデン城の宝物
 E・ネズビット作
 井辻朱美・永島憲江訳
 東京創元社
八月七日
 ネズビットはウィリアム・モリスの時代の女流児童文学作家です、けして無名ではない人なのにこのお話は今まで未訳だったそうで、今この時代に読めることに感謝!したい気持ちでいっぱいです、ありがとう翻訳者様!
 エルフリダとエドレッド姉弟のタイムスリップ宝探しファンタジー、あらかじめその時代の服装に着替えることで、過去への扉が開きます。本来のお宝ではなく、意外な宝物を得ることでとりあえず物語は終わるのですが、謎はまだまだ残っていて続編に続きます。
赤毛のアン
 L.M.モンゴメリ作
 村岡花子訳
 講談社青い鳥文庫
八月九日
 まさかこの年になって青い鳥文庫で赤毛のアンを再読するとは・・・人生は驚きの連続ですな。図書館でポチに勧めて、ついでに自分ももう一度読んでみました。子供の頃に読んでいたのとはちょっと違って、マリラの気持ちがなんかもうすごくよくわかるようになってました。女の子ってかわいいんだよね。
ひつじがすき
 佐々倉実・写真・佐々倉祐美・文
 山と渓谷社
八月十日
 図書館で通りすがりに見つけて何気なく借りた本ですが、とてつもなくかわいらしく暖かく多幸感と羊臭にあふれていました。羊好きの著者による羊の入門書のような本です。私は羊には角が二本あるものと思い込んでいましたが、日本で飼われている羊の中で角があるのはメリノのオスとジャコブやマンクスという種類なのだそうです、しかも二本から六本!それから羊の耳はたいていかわいくたれているので、お絵かきするときには気をつけねば。
海底二万里 上・下
 ジュール・ヴェルヌ作
 私市保彦訳
 岩波少年文庫
八月十二日
 今までこの本は未読でした、最近読んだ「二年間の休暇」が面白かったのでこっちも読んでみようと思ったのですが、正直あまり好みの話ではなかったかな、好き好きの問題ですが。登場人物が少年ではなくおじさんばかりだったのが、敗因かもしれません。
新耳袋・第三夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
八月十三日
 今日図書館に行って借りてきて、一気読みではありませんが一冊読み切ってしまいました、さあどうしよう。
 幸い昼間だったし、一人でいたわけでもないので怪異は起こりませんでした。
 真夜中に一冊読みきることだけはしないように心がけねば。
ぼくらのメリークリスマス
 宗田理作
 ポプラ社
八月十三日
 結局前巻の「恐怖ゾーン」のオチはあのままで、全く別の話が始まってました。一冊ずつ完結だから仕方がないのかもしれませんが、ちょっとあれはないでしょう!
 今回は比較的まともに終わっていたと思います。
図説・ヴィクトリア朝の暮らし・ビートン夫人に学ぶ英国流ライフスタイル
 Cha Tea紅茶教室
 河出書房新社
八月十九日
 「ビートンの家政本」というのは、ヴィクトリア朝時代の有名な家政本、つまり主婦のための家事指南のための本です。だからこの本は、ライフスタイルというよりも当時の主婦の心得というか、家庭を切り盛りするツボの説明でいっぱいで、こういう視点から見たヴィクトリアンな本は案外読んだことがなかったので大変に興味深く、面白かったです。
 当時の中流以上の家庭の主婦は、面倒な仕事をすべてメイドさんに丸投げして一日中遊んでいたような印象がありますが、そのメイドさんに的確に指示を出し、家計を管理することは意外と大変だったようです。
 そして現代の常識から見ると人付き合いが面倒くさいことこの上ありません、さすが英国人。
山怪・山人が語る不思議な話
 田中康弘著
 山と渓谷社
八月二十日
 図書館の夏の怪談コーナーに置いてあったのでなんとなく借りてみましたが、案外(失礼)おもしろい本でした。フリーのカメラマンの作者が、現代の山に生きる人々から山の話を収集するのですが、それが案外上手くいかない。それでも現代版プチ遠野物語のような感じにはなっていると思います。
そう書いてあった
 益田ミリ著
 ミシマ社
八月二十三日
 朝日新聞連載のエッセイと書き下ろし少々をまとめた本、エッセイの方は毎週読んでいるはずなのに全く覚えている章がなかったのは我ながらすごいと思いました。ごくごく最近のもあるのに記憶力が悪すぎる!
 しかしよく外でお茶したり外食したりする人だと感心しました。
アンの青春
 L.M.モンゴメリ作
 村岡花子訳
 講談社青い鳥文庫
八月二十六日
 赤毛のアンの続きです、大昔にひととおり読んだはずなのだけれど、どんな話だったかすっかり忘れていました。
夜市
 恒川光太郎作
 角川書店
八月二十六日
 かなり前に書評か何かで読んでちょっとだけ気になっていた本が、図書館の「夏のホラー特集」の棚にあったので借りて読んでみました。そうしたらば、これがすごくおもしろい話でした。いくらでもグロく不気味にもなりそうな物語なのに、なぜだか美しく清いかんじがしました。
新耳袋・第四夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
八月二十九日
 ほぼ一気に読んだのにまた怪異は起こりませんでした、やはり99話までしかないからか!?晩御飯の鮭の塩焼きを焦がすか!と思っていたのに焦がしもせず、ほどよい焼き上がりに仕上がりました。
 怪異が起こったら起こったでそれはそれでとても怖いことだと思いますが、人生で一度もそう言う意味で怖い経験がないのもなんだかなと思います。そういえば私は「お化けも逃げる人物」だとよく言われていました。
ぼくらの秘密結社
 宗田理作
 ポプラ社
八月二十九日
 このシリーズはいったいいつになったら終わるのだろう・・・と思っていたら、図書館の新刊のコーナーに新刊を見つけました。そうか・・・続いていたのか・・・どうりで終わらないと思ったよ。
 そして今回気がついたことが一つ、このシリーズはあくまで男の子目線で書かれているということ。
 二十冊近く読んできてやっと気がついたのか・・・自分よ、阿呆。
中野京子と読み解く名画の謎・陰謀の歴史篇
 中野京子著
 文藝春秋
八月三十一日
 最近お気に入りの中野京子さんの本ですが、このシリーズは未読でこの本の前に「ギリシャ神話篇」と「旧約・新約聖書篇」がありました。全部読んでみたいですが、図書館にあるだろうか・・・。一番印象的だったのは最初に載っていたドラローシュの「ロンドン塔の王子たち」です。三代目リチャードに関わる話はとても面白いですな。
イギリスの菓子物語・英国伝統菓子のレシピとストーリー
 砂古玉緒著
 株式会社マイナビ
九月一日
 お菓子のレシピ集ですが、読み物としてもそうとう面白かったです。まず英国と一口に言ってもいろんな地域があるわけで、各地域の気候や歴史、農産物の説明を軽くしてからお菓子レシピに入っていくのが分かりやすくていい塩梅でした。それからイギリスならではの加工食品の説明も興味深い、クロテッドクリームが普通に売られているのはとてもうらやましいですな。
 イギリスのお菓子の特徴としては、「粉たっぷりの粉もん」が多くて、これは案外私の好みにあってます。いろいろ食べてみたいな。
 しかし、実際イギリスには二度行ったことがあってお菓子もいくつか食べたのですが、正直大きすぎの甘すぎでした。唯一おいしかったのはスコーンだけというこの事実。やはり自分で本見て作るのが一番おいしいかもしれません。
贈りもの歳時記
 平松洋子著
 主婦の友社
九月二日
 基本的に、一般庶民が贈り物にするには品物が高価すぎるのではないかと思われます。けれどもそれだけに、なかなかにセンスがよくて使いやすそうな品々で、まあ見る分には楽しい本でした。
国立科学博物館のひみつ
 成毛眞・折原守著
 ブックマン社
九月三日
 上野にある国立科学博物館・通称科博のガイドブックですが、適当に借りたにもかかわらずこれがもう夢中になって読んでしまうほど面白かったです。私はまだここに行ったことがないのですが、もうものすごく行ってみたくなりました。
 筑波の方に自然史標本棟という建物があって、こちらに大多数の標本がしまわれているのですが、ここがまたすごい。科博はけして標本を捨てませんというポリシーも素敵すぎます。
三毛猫ホームズの探偵日記
 赤川次郎作
 角川つばさ文庫
九月六日
 久しぶりに三毛猫ホームズを読みました。しかし子供用に分かりやすく書かれているためか、話が短すぎてかえってわかりにくい、というか、小説としての余韻がなくなっているような気がします。
 いくら子供だって、もう少し読解力あるよ!
冥途あり
 長野まゆみ作
  講談社
九月十二日
 長野まゆみさんの新刊が図書館にあったのを借りておいて、やっと読めました。
 今回は昭和の一代記、ただしどこまでが本当でどこからが嘘なのかは全くわかりません。全然ウエットじゃないところが読みやすいです。
新耳袋・第六夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
九月十三日
 残念ながら第五夜がなかったので、六夜を借りてきました、そしてまた借りた日に一気読みしてしまいました。
 この本を一気読みしてしまうのは、やはり面白くて読みやすいからなんだろうなーーーと思います。
ポルトガル朝、昼、晩。
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 メディアファクトリー
九月十五日
 今回はポルトガルの田舎町のホテルに十日間ほど滞在して、そこで生活ごっこをしてみようという試みです。
 なんというかこの二人は、私ならばけしてやりたくないことを決行する人たちだといつも感心しておりますが、今回はちょっとだけステキかも、と思いました。しかし、キッチンのついていないホテルで自炊はちょっと辛いな・・・。そこが一番のネックかもしれません。
 二度目に泊まったホテルのベランダから見える風景が本当に素晴らしく、ここは泊まってみたいと思いました、朝食もおいしそうだったわ。
怪奇事件はなぜ起こるのか
・「生き人形」から「天皇晴れ」まで
 小池壮彦著
 洋泉社
九月十六日
 ホラーの棚にあったので借りてみたのですが、残念ながら全然ホラーではありませんでした。むしろ週刊誌的なゴシップばかり、つまらないつまらないと思いつつも読んでみました。別に週刊誌的な記事が嫌いなわけでなし、けれどもほかの上質なホラーにはちゃんとある、関係者(この場合は人でも幽霊でも)に対する敬意のようなものが感じられなくて、そこが読んでいて一番嫌でした。
ぼくらの悪校長退治
 宗田理作
 ポプラ社
九月十七日
 悪は丸の中に悪と書いて「ワル」と読みます、主人公たちは高校三年生になっていました。
 今回はぼくらの友人のお姉さんの助太刀をするために、青森まで行きます。そしてあいかわらずの暴れようなのですが、今回は悪役がみな和解して、いい人になって終わりです。まあ敵がヤクザじゃなかったし。
日本の珍しい結婚風習
 国書刊行会編
 国書刊行会
九月十九日
 明治の終わりに発刊された本のダイジェスト版のようなかんじの本です。当時でさえ絶滅しかけの各地の珍しい婚姻の風習が、今はもうどれほど残っていることでしょうか、ほとんど無理じゃないかな。
 しかしその名残は現代(私が娘のころだったからそれでも三十年近く前か)にもあって、例えば名古屋や岐阜の嫁入りトラックはけしてバックをしないとか、嫁入りの荷物をはこぶトラックのあいだに他の車を割り込ませないとか、お菓子巻きの風習とか、形をかえて残ってました。
 あと思い出すのは、私が十二、三歳頃、岐阜の農村地帯の親戚の嫁入りに連れて行かれたことがあって、その時やはり花嫁さんは裏口から入っていたし、未婚の若い娘で両親が健在のもの(つまり私)がお客さんに料理を運ぶ手伝いをしたり、嫁入りの家具や道具、着物が広い部屋に飾られて、ご近所上の人が見られるようになってました。この本のまんまではないか!と今になって感心しました。
アンの愛情
 L.M.モンゴメリ作・村岡花子訳
 講談社青い鳥文庫
九月二十二日
 赤毛のアンの続編三巻目、アンの大学時代の物語ですが、はっきりいってアンは周りの男性にモテモテです、もてすぎです。グリン・ゲイブルズにやってきた痩せっぽっちの空想力のありすぎる女の子がまさかの大逆転、人生は諦めちゃダメですな。(なんのこっちゃ)
 とにかくやっとこの巻で、ギルバートはアンにプロポーズします。一度目は失敗してその間二度の他人のプロポーズがあり、二度目のプロポーズでやっと成功、やっぱり諦めちゃダメってことですな。あとは、こういう恋愛ごとにタイミングって大事よね。
 あとおもしろかったのは、デイビー少年の未来の奥さんについての作文、あんたねえ・・・。
FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方
ジョー・ナヴァロ トニ・シアラ・ポインター著
 西田美緒子訳
 河出書房新社
九月二十五日
 精神科の先生の使うような用語を使わず、危ない人を「ナルシシスト」「情緒不安定」「パラノイア」「プレデター」に分かりやすく分類して、任意の知人がどれにあたるか、またはどの複合タイプかを判断し、そういう人から被害を受けないための方法を説明した大変に実戦的でわかりやすい本でした。最近の有名な殺人鬼や大量殺戮をした政治家や宗教者の名前が結構出てきてます。
 そういうタイプの人が身近にいたら、関係を改善することはたいていは不可能なのだそうです、まずは境界をひいて距離をとり、すばやく逃げることが大切だと書いてありました。
 確かに治らないよね、性格の悪い人って。
新耳袋・第五夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
九月二十六日
 この本を読み切って寝たら、たぶん人生で初めてくらいにお化けの出てくるっぽい夢を見ました。やったわ!
この世でいちばん大事な「カネ」の話
 西原理恵子著
 理論社
九月二十七日
 正直西原先生ほど、お金に困った経験というのは今までしたことがありません、私の人生はそれなりにいろいろあったことはあったけれどまだまだ平凡で平和なのだなあと思いました。けれど、西原さんの言うことは骨身にしみてよく分かるのよ!
砂漠のわが家
 美奈子アルケトビ
 幻冬舎
九月二十八日
 アラブ首長国連邦でダンナ様と動物たちと暮らす女性の撮った動物写真集、砂漠で二匹のわんことお散歩、ガゼルと猫、うさぎと猫等々、ちょっとかわった組み合わせの写真がかわいいです。でもかわいいなんて言葉じゃ物足りない、砂漠の砂の茶色と動物たちの毛なみの色がとても美しくマッチしていて、大変美しい写真集です。
廃墟ノスタルジア
 三五繭夢写真・文
 栗原享監修
 二見書房
九月二十九日
 最近廃墟写真がブームではありますが、この本が出たのは2003年、・・・案外最近でありました。
 懐かしい悪夢のような美しい廃墟の写真がいっぱい、しかし写真だからこそ美しく感じるのであって、実際見たならばひどいものだろうな、とも思います。・・・というか、ちょっとは片付けようよ、責任者出てこい!
別冊太陽・こわい絵本おとなと子どものファンタジー
 平凡社
十月二日
 古今東西のこわい絵本の紹介ムックのような本ですが、かなり読み応えがありました。まずはそのセレクトが素晴らしい、上手いこと見つけたら読んでみたくなるような本ばかりでした。そして案外、ポチが小さい頃に読んであげたり、自分が小さい時に読んだ本がのっていたのもうれしいです。
ぼくらのコブラ記念日
 宗田理作
 ポプラ社
十月三日
 ぼくらシリーズの続き、とうとう瀬川さんが亡くなってしまいました。途中まではかなりおもしろかったのだけれど、まさかの改心オチ、いやまあたまにはいいけれど、どちらかというと最後まで戦い抜いて欲しかったかも。
なごやのたからもの
 甲斐みのり著
 リベラル社
十月四日
 名古屋に古くからあって、市民の皆様に親しまれているお店の紹介本、喫茶コンパルが載っているのがうれしいです。本店は大須のまんだらげに行く道にあって、一度入りたいと思っているのだけれど分煙じゃないのがネックとなって一度も入ったことがありません。名駅地下街にも支店があって、外に面したカウンターでお持ち帰りのサンドイッチを作ってもらう事ができます。えびふりゃーサンドを購入して、新幹線の中で食べたことがありますがとてもおいしゅうございました。しかし、作ってもらうのに意外と時間がかかるので急いでいる時には無理かもしれません。
 急いでいる時にはすぐ近くにあるカスカードというパン屋さんでパンを買っていくのがおすすめです、どれもおいしいよ!
 とまあこんなかんじに、お店への愛をだだもれに語っている本でした。
こんな私が大嫌い!
 中村うさぎ著
 理論社
十月某日
 この前読んだサイバラさんの本と同じ、「よりみちパンセ」という子供向けの新書シリーズの一冊、中村うさぎさんの本を久しぶりに読んでみました。もう大人なので、実はあんまり参考になるところもないかなと思いますが、自分がちょっと嫌いになりがちな十代の女の子が読むと、ちょうどいいと思います。
新耳袋・第七夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
十月十一日
 このあたりからもしかして再読かもしれませんが、何回読んでもおもしろいものはおもしろいのです。
たまに載っている日本昔話のようなほのぼのとした話がいい味だしてます、特に子狐とおにぎりの話は可愛かったな。
どすこいダイアリー
 はすまる著
 角川書店
十月十一日
 完璧にコミックエッセイですが、「大相撲」という珍しいジャンルの本なので書いておこう。
 相撲好きな著者による相撲に関する体験談とうんちくにあふれた本、分かりやすくて読みやすいです。
お弁当が知ってる家族のおはなし
 清原亜希著
 集英社
十月十二日
 活躍中のフードコーディネイター(?)によるお弁当の写真とそれにまつわるエッセイの本、お弁当の写真も大変においしそうですが、文章も上手です。このお弁当は、著者の子供の男の子二人のために作られたもの、おかずが何種類も入った豪華なお弁当がある一方で、タッパーにどーーんとつめた焼きうどんやカレーライスのお弁当が、これまたすごくおいしそうでした。いつかポチにつくってやろう・・・。
貧乏の神様・芥川賞作家困窮生活記
 柳美里著
 双葉社
十月十三日
 この人はお金の使い方が下手すぎると思いました、少なくとも一般家庭の主婦から見たら、かなりダメダメなかんじがいたします。まず、お金が無い時に旅行に出かけてはいけません。それがどんなに自分のポリシーに基づくものでも、その分のお金を貯金したほうがいいと思います。次に上手いこと印税とか著作権料ががばっと入った時には、それをまとめて五年くらいの定期預金に突っ込むことをお勧めします。
 人の貧乏自慢は読んでいて面白いものですが、あまりの無計画さに頭が痛くなりそうでした。あと、息子さんはどう考えても太りすぎです、食生活も改善したほうがいいと思いますよ、かなり余計なお世話ですが。
華麗なる探偵・アリス&ペンギン
 南房秀久作
 小学館ジュニア文庫
十月十四日
 アリス・ペンギンシリーズの四冊目、女子小学生に人気の軽くてゆるい少女小説ですが、侮ることなかれ立派におもしろかったです。むしろこのページ数でこれだけの登場人物と出来事を入れ込んだなと感心しました。
私のイザヤ書
 中出繁著
 アミ立舎
十月十六日
 最近原稿のBGMに合唱組曲「イザヤ」を聴いていたのでそのつながりで久しぶりに読んでみた自分の本です。CDには他にも「争いと平和」「ヨハネによる福音」が入っていて、ヨハネ以外は旧約聖書の内容なのですが、この曲を聴いていたおかげで今までになく本の内容がつるつると頭に入ってきたような気がします。
 さらに、今度のポチのエレクトーン団体戦の曲が、旧約に関わる内容なので、時代背景とかそういうものの参考にならないかなと思っていたのですが、ちょっと時代が違うみたいで、そのエピソードは載っていませんでした。ただ私は常常、旧約の神は許さない神で新約の神(イエス)は許す神だよなーーーという認識を持っていたのですが、やっぱりこの考え方は案外正しいのかも、と思いました。
モンタギューおじさんの怖い話
 クリス・プリーストリー作
 三辺律子訳
 理論社
十月十七日
 ポチのクラスの第一回ビブリオバトル優勝の本、先生が学級文庫に購入してくれたので、ポチは順番待ちして借りてきました。そして月曜日には返さなくてはならないので急いで読んでました、ついでに母も読んでしまったよ。
 モンタギューおじさんが親戚の子供のエドガーに語る怖い物語、おじさんの部屋にあるモノにまつわる話ばかりなので、まさにものが語るお話ですな。一つ一つのお話はそんなに怖くはないかもしれないけれど、集まるとそれなりに強烈です・・・。最後のおじさんの正体に関わる話と、近所の子供達だとばかり思っていたものたちの本当の姿が一番怖くて素敵でした。
角野栄子さんと子どもの本の話をしよう
 角野栄子・他
 講談社
十月十八日
 児童文学作家の角野栄子さんと子供の本に関わる作家さんとの鼎談集、読んでいておもしろかったけれど、読んだあと特に印象に残ったこともありませんでした。
アンの幸福
 L.M.モンゴメリ作
 村岡花子訳
 講談社青い鳥文庫
十月二十一日
 大学を出てからアンは三年間、高校の校長先生をやります。赴任先のサマーサイドという街の柳風荘という下宿先からギルバートにあてた手紙のかたちで、だいたいの物語はすすみます。
 アンはまだ若くて魅力的な婚約中の娘なのですが、中身はもうすっかりおせっかいなおばさんと化しているように見受けられます。早いよ!おばさん化するのが。しかしそのおせっかい焼きの行動力はすばらしい、結局周り中の人をみんな幸せにして、帰っていきます。
ヨーロッパの祝祭りと年中行事
 マドレーヌ・P・コズマン著
 加藤恭子・山田敏子訳
 原書房
十月二十二日
 この本は三十年ほど前に出た「ヨーロッパの祝祭典」という本の新装版なのだそうです。内容はタイトルのままイギリスを中心とした、キリスト教に関する年中行事の行われ方などです。そして時代は中世なので、三十年前の本だろうがあまり関係はありません。
 ただ、これらの年中行事を現代に再現してみよう、というコーナーが最後についていて、それはそれで大変におもしろいとは思いますが、やっぱり無理があるんじゃないかな。
昭和史の10大事件
 半藤一利・宮部みゆき著
 東京書籍
十月二十四日
 二人の作家による昭和の10大事件に関する対談集、最初にそれぞれが選んだ大事件が一覧表で載っていますが、同じものもあれば違うものもあり、対談の遡上にのらなかった事件にもかなり興味深いものがありました。
 宮部さんが三つ目に選んでいたのが「大政翼賛会発足」で、これが一体なんであって、後の戦争にどういう影響をあたえてきたのかがとても分かりやすく書いてありました。なるほど、今の状況とちょっと似ているわけだ。
亡国の預言者
 中出繁
 アミ出版
十月二十六日
 この前読んだ「私のイザヤ書」の続きです。以前何かで読んで気になっていて、もう一度読みたいと思っていた場面があるのですが、なんと!この本には載ってませんでした。じゃあ多分他の旧約聖書関連の図書館で借りた本だったのかな。
 ゴグとマゴグという名前に聞き覚えがあって、多分赤毛のアンシリーズに出ていた下宿に置いてあった犬の置物のことだと思ったのだけれど、出典は亡国の預言者エゼキエルの預言に出てきた名前でした。しかも幻の預言なのよ・・・。
真夜中の図書館
 谷山浩子著
 株式会社ヤマハミュージックメディア
十月二十七日
 23日に名古屋であったソロライブコンサートで購入した本、谷山さんの読んだ本とか歌とかそのほかいろいろなものに関するエッセイで、イラストや絵本の通信教育の雑誌に書かれていたものです。
 若きクリエイターに向けて書かれたせいか、本人があとがきでも書いているように、ものすごく真面目に書かれています。今まで読んだ谷山さんの文章の中では真剣味はダントツ、じゃあ今まではなんだったの?と思うくらいですが、軽いエッセイも谷山さんらしくて私はそれはそれでとても好きだったりします。
島田秀平の怖い話・真夜中の恐怖ひとり語り
 島田秀平著
 河出書房新社
十一月五日
 しばらく本を読めなかったのは、旦那の入院騒ぎでどたばたしていたせいですが、やっと読みかけのを一冊読めました。
 怪談ライブとかをやっている人の怪談なので、語ることをメインにしています、だから新耳袋のように、読む怪談とは一味違った味わいがあると思います。
華麗なる探偵アリス&ペンギン・ワンダーチェンジ
 南房秀久作
 小学館ジュニア文庫
十一月七日
 アリスペンギンシリーズの二冊目、心も体も疲れた時にぴったりのJS御用達少女小説ですが、テンポが良くてギャグが案外心地よいです。
トンネルに消えた女の怖い話
 クリス・プリーストリー作
 三辺律子訳
 理論社
十一月十一日
 前に読んだ「モンタギューおじさんの怖い話」と同じシリーズの三冊目、二冊目を飛ばして読んでしまいました。
 今回の主人公は継母の元を離れて汽車で寄宿学校に戻る少年、物語を語るのは謎の白いドレスの美しい女、視覚的にとてもいい組み合わせですね。語られる物語も素敵でした。
ぼくらの魔女戦記・T黒ミサ城
 宗田理作
 ポプラ社
十一月十二日
 ぼくらシリーズ二十一巻、思えばたくさん読んだものだ・・・。今回はコック修行中の日比野くんがイタリアのフィレンツェで行方不明になり、英治と相原が探しに行くところから始まります。高校三年生の夏休みにそんなことしていて大丈夫なのだろうか。一巻完結ではなく続きそうなので楽しみです。
三毛猫ホームズの事件日記
 赤川次郎作
 角川つばさ文庫
十一月十三日
 子供向け三毛猫ホームズシリーズの三冊目(二冊目は読みそこねた模様)、一冊目よりはずいぶんと、一つの話が長くなって読みやすくなりました。でももう少し物語に余韻が欲しい・・・。
私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな
 ジェーン・スー著
 ポプラ社
十一月十八日
 著者の名前はジェーンさんですが、れっきとした日本人でコラムニストとかラジオパーソナリティーとかをされている人です。さて四十代になって、自分や周りの未婚の女友達がプロポーズされない理由を考えてみました・・・という趣旨なのですが、結婚だけでなく友達や家族間にも言える法則がぞくぞくでした。親しい人とのよりよい対人関係を作るためにはとても参考になる本だと思います。
 というか、ある意味「こんな事も出来ないようではプロポーズされなくて当たり前」だと思うところも実は多かったです。結婚するにあたって一番大切なのは、自分の大事だと思うことをいくつか諦めることだと思います。これができないとまず無理だわね。
お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿・時計塔の亡霊事件
 藤野恵美作
 講談社青い鳥文庫
十一月十八日
 またもやポチの借りた青い鳥文庫を、しかもシリーズ二作目から読んでしまいました。この物語の舞台は小学校、お嬢様も執事もまだ小学生です。普通こういう物語は中学校が舞台のことが多いと思うので、意外と言えば意外でした。小学生らしいかわいい謎解きに小学生らしい友情をからめたほのぼのした本。大人が読むとちょっとぬるいです。
スパルタ婚活塾
 水野敬也著
 文響社
十一月十九日
 二冊前に読んだ「プロポーズされない理由」の本とあわせて、自分は一体なんのためになんの本を読んでいるのだろうか・・・と思いましたがいいじゃないか面白いんだから。今回は男性のマニュアル本書き(本人談)の人が、女性のために婚活スパルタ塾を開いた、という設定で始まります。若干乙女向きではない描写はあるものの、「これをやられたら男はひく」というポイントがものすごくわかりやすく懇切丁寧に繰り返し書かれています。
 婚活している人とか、これからやろうと思う人は読むといいんじゃないかな。婚活のためには多少自分を変えたり捨てたりしなければならないのは当たり前だと思います、結婚したらこっちのものよ、順番にね。
お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿
 藤野恵美作
 講談社青い鳥文庫
十一月二十二日
 シリーズ一作目を読んでみました。ポチはこの本を学校のビブリオバトルに出したそうですが、今回は選ばれませんでした。その時の本のラインナップが五冊中三冊怖い本だったという・・・。
寺山修司からの手紙
 山田太一編
 岩波書店
十一月二十五日
 寺山さんと山田さんは、大学生の時に出会いました。それから寺山さんがネフローゼのために長い入院生活を送ることになって、その時に交わした手紙や葉書の数々やそれに関する文章などがこの本になりました。
 寺山さんは三十代半ばで亡くなり、山田さんは八十代をこえてご存命です。
 自分が二十代の頃に友達と交わした手紙が今頃本になる、それはいったいどんな気持ちがするものでしょうか、はかりしれません。
メアリー・スチュアート
 アレクサンドル・デュマ作
 田房直子訳
 作品社
十一月二十六日
 ほかの本を探して図書館の西洋文学の棚の前を通りかかった時に偶然見つけて借りてみました。メアリーという女性に特に興味があるというわけではなかったのですが、たしかふんだりけったりな目にあった女王様ということは覚えていたので。
 そして確かにふんだりけったりな人生だったと思います。まずは、イギリス女王エリザベスを敵に回したのがまずかったんじゃないかなーーー、いえ、まずいなんてものではありませんが。そしてメアリーがやたらと恋多き女性だったのも禍でしたね、ろくな男に惚れてないし。男を見る目もなかったのね・・・。
 作者はメアリー贔屓らしく、最後はスコットランド女王としての威厳を持って死に臨んだ等々書いてはありますが、その立派な終わり方をもってしても、がっかりな人生が払拭されることはなかったような気がします、変な日本語だけど。
ハワイで大の字
 小栗左多里&トニー・ラズロ著
 ソニー・マガジンズ
十一月三十日
 2005年に出た本を今頃読みました、取材とはいえハワイでいろんな体験をして、美味しいものを食べて、いいなあーーーと思いましたが多分いろんな苦労もあったろうなとも思います。頑張れ先輩。
嘘つきは姫君のはじまり・姫盗賊と黄金の七人・前編・後編
 松田志乃ぶ作
十二月一日
 連続見立て殺人と盗賊の宝探しのミステリー仕立て変質者風味、今までのこのシリーズの中で一番面白かったと思います。犯人もその動機も以外で美しいものでした。
嘘つきは姫君のはじまり・ふたりの東宮姫
 同
十二月二日
 どちらかというとこっちが本筋ですが、やっぱり少し謎解きが入るところが作者らしくていいかんじです。
嘘つきは姫君のはじまり・東宮の求婚
 同
十二月五日
 コバルトは一体何を目指しているのだろうか・・・ちょっぴりBL要素が入りました。
嘘つきは姫君のはじまり・寵愛の終焉
 同
十二月十一日
 BLはオッケーでも正しい男女の大人の交際はNGか・・・コバルトの基準はよくわかりません。
子どもがひきこもりになりかけたら
 上大岡トメ著・ニート・ひきこもりの子をもつ親の会「結」相談員・監修・協力
 KADOKAWA
十二月十二日
 新刊のコミックエッセイが図書館の新刊コーナーにあったので読んでみました。著者の子どもは二人、もう大学生で一人は就活もまじかです。けれども「就活したくない、大学院に行く」と言い出し「これはもしかしてひきこもりの入口?」と思った著者が「結」の皆様の話をきいて・・・という設定で書かれています。
 私的に「二十歳すぎてひきこもるなんて人生もったいない」と思ってます。(だって楽しいこともたくさんあるでしょ?お金があればですが)けれども実際何万人ものいいオトナがひきこもっている、うちのポチだってと将来はどうなるかわかったものではありません。じゃあ子どもをひきこもらせないようにするには親がどうすればいいのか、が問題になってくるのですが、こればかりはなってみないとわからないというか、今から考えてもどうしようもないんじゃないかな。
嘘つきは姫君のはじまり・少年たちの恋戦
 同
十二月十二日
 普通ヒロインは最初に出会った方とくっつくものですが・・・なんだか違いそうです。幼馴染でおなじ身分の彼を捨てて、ものすごく身分違いの彼とくっつく、かもしれないという珍しいパターンなのかも?でもそれって平安ロマンスでありかしら?
ママ友がこわい・子どもが同学年という小さな絶望
 野原広子著
 KADOKAWA
十二月十二日
 一冊前の本と並んでいたコミックエッセイ、こちらも借りて読んでみました。
 「女子中学生か・・・?いい年こいて馬鹿馬鹿しい」と思いました。私も幼稚園の頃はそれなりにママ友とのお付き合いもありましたが、最初からある程度の距離感を持って付き合うことにしていました。だから著者の言いたいこともよくわかるけれど、そんなガラスのハートではこの先やっていけるわけがありません。修行が足りてないわ!
ゴーストを訪ねるロンドンの旅
 平井杏子著
 大修館書店
十二月十四日
 本の趣旨的には大いに結構、ロンドン各地に現れるゴーストの出自や歴史も説明されていて、とても楽しく読むことが出来ました。しかし惜しいのは、あまりにも明るくキレイな普通の写真が使われていて、かつ文章がとても普通でおどろおどろしさがミジンコもなかったことです。見ているだけで呪われそうな不吉な雰囲気の素敵な写真や、読んでいるだけで背筋の凍りそうな文で同じことが書かれていたらどれほど良かったことでしょう。
 惜しい!惜しすぎます。
ソウルで新婚生活・新妻ヨーコちゃんの韓国暮らし
 絵・文・訳たがみようこ
 大和書房
十二月某日
 著者であるヨーコさんはこの本をまず韓国語で書いて韓国で出版し、その後自分で訳して日本でも出版しました、ちなみに漫画やイラスト描いたのも自分。なんというマルチな!確かに絵も漫画もものすごく上手ではないし、文章だってプロ級というほどでもないかもしれないけれど(でも十分プロだよ)かなり面白く読めました。
 数ある外国の中でも韓国はとってもご近所、でもとっても違うということがよく分かりました。
ソウルで結婚生活七年目
十二月二十日
 あれから七年たったけれどカルチャーショックは変わらず、けれど随分韓国に馴染んできたヨーコさんがいます。
 出産後のケアが充実しているのが羨ましい限り。
お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿・秘密の動物園
 藤野恵美作
 講談社青い鳥文庫
十二月二十二日
 シリーズ何作目か、ありすのお父様が出てきましたがこれが変な人でさあ・・・。
中野京子と読み解く名画の謎・ギリシャ神話篇
 中野京子著
 文藝春秋
十二月二十三日
 小児科の待合で読み切りました、以前から読みたい本だったので面白かったです。
 ギリシャの女神は三人組、復讐の女神も三人組とは知らなかった。
親孝行できるかな?
 たかぎなおこ著
 MFコミックエッセイ
十二月二十四日
 久しぶりに読んだたかぎなおこさんのコミックエッセイ、たかぎさんは東京で一人暮らしをしているイラストレーター、たまには実家の両親に親孝行を・・・といろいろ試みたコミックエッセイです。そういえば私は全然親孝行してないわ・・・旅行も「孫旅」なんて言いつつおごってもらってばかりだし。
 ちゃんと一人で生計をたてつつ親孝行のことを考えるたかぎさんがまぶしいです。
沢村さん家はもう犬を飼わない
 益田ミリ著
 文藝春秋
十二月二十六日
 益田ミリさんのコミックエッセイ・・・ではなく普通の四コマ連載漫画ですが、まるでコミックエッセイのような趣があります。
 四十歳すぎて会社員をしつつ自宅で両親と暮らす、そうやって生活している人も実際のところものすごく多いと思いますが、そういう人生ではないので隣の芝生なのです。


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