ヒプノの世界 4






●潜在意識に主語はない


心の世界では、現実世界ほどに、主語や目的語が大きな意味を持ちません。たとえば過去世退行で殺された人生を思い出した人が、「殺しているのも私だった」と気づくことがあります。それはおかしな話ではないのです。


ある日ある人が「誰かに追いかけられている夢」を見たとします。逃げている自分も、追いかけてくる相手も、どちらも夢の登場人物です。心が自分のものならば、夢の登場人物はみんな自分に属するものです。つまり逃げているのも自分ですが、追いかけているのも自分なのです。自分の中の副人格(サブパーソナリティ)です。


心の世界では「
誰がやったのか」よりも「何が起きているのか」を問う方が本質的です。私があなたを許すのも、私があなたに許されるのも、私が私を許すのも、「私という世界で許しが起きている」ということなのです。この捉え方はとても重要です。


そしてその起きていることが、自分の現実世界や心の世界のさまざまな領域で同時多発的に起きているように思えるのです。たとえば親に痛めつけられてきた人が、自分の体をお酒などで痛めつけ、夢の中では怪物に痛めつけられ、自分に危害を加える人とつきあい、子どもやペットに八つ当たりする、という感じです。同じストーリーが色々なサイズで起きているのです。自分は、する側にも、される側にもなります。

よいストーリーも連鎖します。思い方が変わってスッキリしたときに、疎遠になっていた友だちから電話がかかってきたり、家族の態度が変わったり、あたらしいことが始まったりします。おなじようなことが半年とか短い時間の間にパタパタパタとオセロをひっくり返すように連鎖して変わることがあります。何が起きているのか、ということはヒプノではわかりやすいイメージででてきます。連鎖していることは、同時に変化するので、変えていくポイントも、動かしやすいところから始めればよいと思います。