ヒプノの世界 9






●無意識とは


無意識というと「意識がない」と書くので、「気絶している状態」かのよう勘違いしてしまいます。でも無意識は「とくに意識しているわけではない状態」のことです。

駅から家までの道順は無意識に歩きます。自転車や車の運転も、初心者でなければ意識しません。そういう意味で無意識の部分は多いのです。

フロイトが『精神分析入門』で無意識について説明するとき、言い間違いが2つの意図の葛藤によっておきる例をたくさん紹介しています。

受動的に思える自分の言動の中に、無意識があらわれやすいものです。置き忘れ、うっかりした言動、意味のない仕草、ちょっとした言いまわしの中に、隠された気持ちがあらわれることがあります。

対人関係でも、相手のちょっとした言動が、表むきの意志と違うひとつの方向をくりかえし示唆する場合があります。そのようなとき、それを前兆としてとらえると、何かがおきてから驚くこともありません。何かが起きる前に、気持ちを話せる機会をもったり、相手に無理をさせない配慮をすることもできます。

隠された気持ちの方が本心で、表にだしている気持ちがウソというわけではありません。どちらの気持ちも捨てがたく存在しているだけです。自分でも認めず、抑圧してしまった気持ちが偶発的な言動としてあらわれるので、責めるのは解決になりません。それは自分でも他人でもおなじことです。

無意識を理解するのは、頑張らずに知恵をつかうことです。まずいことを排除してコントロールを保つのではなく、受け入れて理解し、それを考えに含めた新しいあり方を探すことです。