標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第137回]

●クロック回路の実装作業

前回は説明の入り口のところで終わってしまいました。

前回はCMOS・ICは入力端子をOPENにしてはならないというお話をしました。
試作2号基板はあまりにも大きな基板なので、部品を全部実装してしまってから、動作テストをする、などということにしますと、誤配線をみつけることがとても困難になることが予想されます。
そこで試作2号基板については、適当な機能ブロックごとに部品を実装して、その動作テストをしながら先に進む、という方針にしました。
すると、部分的に部品を実装した段階で、電源を入れて動作テストをすることになりますから、よほど慎重に検討してから電源を入れるようにしないと、未実装の回路があるために、結果的に入力端子になにもつながっていないICがある状態で電源を入れてしまうことになりかねません。
最悪の場合、ICが破損する危険が出てきます。

そこで、まず回路図をよく見て、どこまでの範囲を実装すれば、入力端子がオープンになるのを避けることができるかを検討します。

●水晶発振回路

まずは、クロック回路のおおもと、水晶発振回路です。


4MHzの水晶を74HCU04で発振させて、それを74HC74で1/2の周波数にします。こうして得られた2MHzのクロックがCPUクロックになります。
今回はこの水晶発振回路と、その後ろに続く、マシンクロック(T1、T2…)の発生回路を実装します。

2MHzのクロック発生回路は、上の回路図の部分だけでよいのですが、ここで使われている3個のICは全て、一部しか使用していません。
74HCU04は2/6、74HC74は1/2、74HC00は2/4しか使われていません。
残りの部分がどうなっているのかを調べる必要があります。

それと、74HC00は、この回路図にあるゲートについても、入力端子が切れてしまっています。
この前の方まで実装しないと、入力がオープンになってしまいます。

本来ならば、たったこれだけの回路だけを実装するだけで、とりあえずは済んでしまうはずのところなのですが、入力端子をオープンにしないためには、こんなことになってしまいます(下図)。


順に説明をしていきます。
問題は74HC00(4)のpin13、pin9の入力です。
図の各ICの()は基板上で使われているICを区別するための通し番号です。
74HC00(4)は4個目の74HC00であることを示しています。
この番号は、回路の設計を進めていくのにしたがってつけたもので、基板上の位置や、回路の順序を示しているものではありません。

74HC00(4)のpin9は、同じ74HC00(4)のpin6につながっていますから、これはこのままでよいことがわかります。
しかし、すると74HC00(4)のpin4とpin5の入力を押さえる必要が出てきます。
pin5は74HCU04のpin2につながっていますから、これはOKです。
pin4は別の74HC00(7)のpin6につながっていますから、新たに出てきた74HC00(7)も実装することを検討しなくてはいけません。

なお回路図では7400になっていますが、これは図の修正漏れです。
74HC00(7)は図の右上と左下でも使われていますが、これで3/4です。
実は残り1/4は未使用になっていました。未使用ゲートの入力端子は全てVccかGNDに接続してあります。

74HC00(7)のpin5は74HC123のpin4につながっています。
74HC123は、クロック回路の次に実装する回路ブロックで使う予定ですから、ついでにここで実装してしまいます。
すると、その前段の74HC04(19)も実装することになります。
74HC04(19)は4/6の使用です。
これは確認してみると、残り2/6は未使用で入力ゲートはGNDにつないであることがわかりました。
74HC04(19)は完了です。

74HCU04のpin1は74HC08(32)につながっています。74HC08(32)はもう1箇所、図の下の方でも使われています。しかしそれで2/4ですから、74HC08(32)の残りの2/4についても調べなくてはいけません。

74HCU04も3/6ですから、残りの3/6について調べる必要があります。
74HC74(5)も残りの1/2について確認する必要があります。

●マシンクロック発生回路です

水晶発振回路と一緒にマシンクロック発生回路も実装するつもりですから、そちらの回路も同時に調べてみることにします。

この回路図のICは今回全て実装します。
74HCU04が1ゲート出てきました。
これで4/6ゲートです。残り2/6は未使用で入力端子はGNDに接続しています。74HCU04も完了です。
74HC74(5)もここで使われていますから、これも完了です。
74HC00(4)の残り1/4もここで使われています。これもここで完了です。

あらたに74HC04(18)の5/6が現れました。残り1/6を捜さなくてはいけません(いやあ、ためいき、です)。

●74HC08(32)の残り2/4の捜索

こんなところで1ゲートみつかりました。

こんなことをながながと説明していると、時間がいくらあっても足りません。
実際に作業する上でもきりがありません。
適当なところで、けりをつけるために、どうしても入力端子オープンになってしまうところには、100KΩ程度の抵抗でプルアップ、またはプルダウンするようにしました。

●クロック回路に部品を実装したところです



この写真もスキャナを利用しました。
今回は画像を90度回転させて、いつもの見慣れた向きにしてあります。
基板の右下隅になります。

きれいですねぇ。感激です。こんないい方法を教えてくださった、I先生、本当に有難うございました。あらためて、感謝申し上げます。

ICや部品が点在している、といった感じです。

こんな離れたところに、集合抵抗です。


こちらは、基板の左上隅です。

●無事にクロック回路が動きました



上は4MHz、下は74HC74で分周したあとの2MHzです。
2009.1.7upload

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