標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第276回]

●暗闇でLEDが突然ポワッと…

真夏ももう間近になりました。
怪談のシーズンです。
だからというわけでもありませんが…。

お話は少し前にさかのぼります。
その日も仕事を終えて、部屋の明かりを消して、家に帰ろうとしましたら、目の錯覚か、視野の外れに近い闇の中で、何かが一瞬赤く光ったような…。

うう。なんなんだ。一体…。
私はまるで金縛りにでもあったかのように、しばらくその場に立ち尽くしておりました(これは、コワーい場面ですよぉ)。

やっぱり、気のせいか…。

やっぱり、あれだ、作業のし過ぎなのですよ。神経がどうかしちゃったのかも。早く帰って寝てしまいましょう。
ふたたび帰ろうとした、そのとき、今度ははっきりと見てしまいましたよ。
「つくるCPU」試作基板のずらりと並んだLEDがパカッと一瞬赤く光るところを…!

わー!
こういうのは、止めて欲しいよぉ!

う。う。う。間違いなく、電源のスイッチはOFFになっています。
これは、あれだ、きっと、魔物のシワザに違いない!

いや、もしかすると、お迎えの前兆かぁ?
そ。それは、困る。まだ、死にたくは、ない。
あれも、やりたいし、これもやりたい…。
そうそう、この試作基板をこのままにしては、まだ死ぬわけにはいかぬ。
む。む。む。悪霊よ、去れぇー。

そんな、こんなで取り乱している間も、なんでしょうねぇ、パカァ、パカァと1〜2分置きにLEDが点灯します。
ちょっと、冷静になってきました。
ちゃんと心臓も動いているし、特別息苦しくも、ない。
してみると、どうやら、これは、魔物の仕業でも、お迎えの前兆でもなさそうだ…。

本当は、こういう怪しげな現象は、見ないほうがいい。見ないで無視していたら、ひょっとすると、おさまってしまうかも…。

いやぁ。そうはいきません。
このままにして、済ますわけにはいきませんでしょうよ。
ここはひとつ、徹底解明あるのみ。
恐る恐る近づいて、覚悟を決めて調べてみることにしました。

最初は当然、バッテリーバックアップの回路を疑いましたよ。
また何かミスをしていて、それでときどきバッテリーから本体回路に電流が漏れてしまっているのでは…。

上(CH1)はバッテリーバックアップ回路からRAMへの供給電圧で、下(CH2)は本体回路のVccです。
本体回路のVccは突然+5V近くにハネ上がっています。
バッテリーは+3Vですから、そちらから漏れている、と考えるのはムリがあります。

でも念のために、バッテリーの+極の電圧も確認してみました。


上(CH1)がバッテリーの+極の出力電圧です。+3Vで安定しています。
そりゃ、そうでしょうよ。+3Vのボタン電池が突然パカッと+4Vとか+5Vの電圧出力をするわけがない。
犯人はこいつではないとすると…。

本体回路のどこかになにかがあって、電源回路にはいっている電解コンデンサに蓄電されるとか…。
いや、それもありえない。そんなことは、やろうとしたって、できません。
すると、犯人は…。

目がAC−DCアダプタにいきました。



このサイズで+5V2Aですから、昔ではとても考えることもできません。
うーん。
バッテリーではないとすると、犯人はこいつか?
中がどうなっているかわからないけれど、ひょっとして大容量のコンデンサかなにかが入っていて、そこに電荷がたまるのか?
うう。そいつも、ちと考えられないなぁ。

まあ、ですけれど、念のため、ということで、今まで+5Vのプラグは試作基板につないだままにしてあったのを、ジャックから抜いて、どうなるか様子をみました。

10分経過しても、LEDのパカァは起こりませんでした。
犯人は、こいつか!

でも、さらに念のため。
今度は+5Vのプラグは試作基板に差したままにしておいて、ACの側をコンセントから抜いて、様子をみました。
LEDのパカァは発生しませんでした。

あれぇ。どうなっているんだろう。
ACアダプタをコンセントに差しました。
そうしたら。
コンセントのスイッチはOFFになっているのに、またLEDがパカァと点灯したではありませんか!

コンセントが漏電している!?
うーん。詳しいことはわかりません。推測なのですが、コンセントのスイッチがOFFでも、なんたってAC100Vの交流ですから、わずかな漏れ電流か、あるいはそのACノイズがACアダプタ内部のコイル(多分使ってあるはず)に作用して、起電力が発生して、それが蓄電されて、+5Vになると一瞬だけ出力されるのでは?

してみると、一番の犯人は、このパソコン用のスイッチ付きコンセントか。
家電量販店でめちゃ安で売っていたのを買ってきたんですけど、やっぱり安物はダメか。
見てみましたら、MADE IN CHINAと書いてありました。

しからば、というので、こんどはそれほど安物ではない、これはちょっと昔にホームセンターで購入した、やはりスイッチ付きのコンセントで試してみました。
そうしたら…。
やっぱり、おんなじなんですよぉ。
やっぱり、LEDが、パカァ…。

これをしかし、電源OFFの間中、1〜2分置きに、朝も昼も夜も、ずっと続けてやってくれるとなると…。
ちょっと、回路のICがどうなるか、心配です。
ACアダプタも劣化したりしないか、心配です。
で、使わないときは、ACアダプタをコンセントから外しておくことにしました。
なんだ、それじゃあ、スイッチ付きのコンセントの意味がないじゃあないのさ。まったく。
2009.7.12upload

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