標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第5回]

●今回の回路の基本的なコンセプト

最初はとにかく何がなんでもでっち上げてやるのだ!という勢いでひたすらノートにエンピツで殴り書きをしていたのですが。

ノートを書き進めていくうちに、だんだんと見えてきました。
なぜ、TTLなのか。

コンピュータ、CPUなどというと、なにかとてつもない技術のように感じられてしまいます。
いや、それは、すごい技術なのは、確かに、その通りなのです。そこには、何か常人の理解を超えたある特別の技術があって、それはとうてい普通の人では理解することも真似をすることもできないのではないか…と思えるほどの。

確かに、最初に8080を世に送り出した人は、並の頭脳の持ち主ではなかったと思います。
しかし、それを可能にした技術は、天才の直感によってのみ理解し得ることで、常人の理解を超えたところにある、というものでは決してありません。
彼が、あるいは彼らがすごかったのは、それまでにすでにあった技術を応用することで、CPUというまったく新しいモノを世に送り出したというところなのです。

そうなのです。CPUはなにか摩訶不思議な特別の何かではなくて、その理屈さえ理解できれば、ごく普通のTTLロジックのみで作り出すことができるのです。それがわかってこそ、はじめてブラックボックスのフタが開くことになるのです。
そう考えると、今回の設計では、ごくフツーのICを使うことが必須になります。なにか特別のものを使ってしまったのでは、なんにもなりません。

本当に?
本当です。
だから、今回の設計では、もちろん使ったのは全部TTLですが、さらに言うと、パーツ屋さんの店頭では入手できないような特殊なICは、ただの1個も使用していません。
なかにはちょいとなじみの薄いICも2〜3ありますが、それでも「トランジスタ技術」に掲載されているパーツ屋さんの広告で、1個100円以上もするようなICは使用していません(お店によって値段は違うので、もちろん安い店でのお話です)。
それでも、ちゃんと、全回路を設計することができるのです。

そのようにして、先人が開発した新しい技術を実際に体験し、理解し、踏襲していくことで、そこからまた新たな技術なり、モノなりが生まれていくことになると思います。
2008.7.12upload
2008.7.15加筆訂正

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