トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第328回]
●出力LEDが点灯する?
前回「TR126はE=0のときは出力がハイインピーダンスになるため出力LEDは点灯しません」と書きました。
そのはずなのですが、実際にはE=0のときに出力LED(赤色LED)が薄く点灯します。
このことは前回を書く以前に気が付いていたのですが、前回でそのことを書くと説明が長くなりすぎてしまうため、ざっくりと「本来はそのようになるはず」といういわば「建前論」で書きました。
あるいは前回の写真をご覧になってそのことに気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。
下が前回お見せした入力を全てGNDにつないだ(A=0、E=0)ときの写真です。
ちょっと見にくいかもしれませんが赤色LEDが薄くオレンジ色に点灯しています。
どこかに漏れ電流があるようです。
出力回路にどのくらいの電流が流れているのか測ってみました。
赤色LEDがわずかに点灯することからするとその電流は上側の出力トランジスタ(2SA1015)から出ていると考えられます。
そこで回路の出力をGNDにショートさせてそのときに流れる電流を測りました。
0.07mAです。
本当にわずかな電流ですから無視しようとすればそうしても構わないとも思えます。
しかしこのままでは気持ちが悪いじゃありませんか。
前回お見せしたTR126の回路図です。
1つの基板に4回路あるうちの1回路の回路図です。
E=0VですからT3とT4はOFFのはずです。
A=0VなのでT5はONになりますが…?
仮になんらかの事情で出力回路(T1、T2)がONになったとしても、それならT5がONなのだからT2がONになる道理です。
どう考えてみてもT1がONになる状況ではありません。
一体何がおきているのでしょう?
T5のコレクタ電圧を測ってみました。
4.64Vです。
確かにT5はONになっています。
うーん。
まさかねえ、と思いながら、今度はT2のベース端子の電圧を測ってみました。
あれえ?
まさかの0.643Vです。
おいおい。
本来なら電流が流れないはずのT2のベース抵抗(R2、51KΩ)の両端に電圧差があります?
(4.64−0.643)/51=0.078mA
ということは?
この電流が(T1ではなくて)T2のコレクタから出力されていることになります。
はて?
ここまでは出力XをGNDにショートさせた状態で測定をしました。
念のため出力XをGNDにショートしないで、赤色LEDがわずかに点灯している状態でT2のコレクタの電圧を測ってみました。
2.347Vです。
念には念を入れて、ということで出力Xの電圧も測りました。
2.347Vです。
今度は赤色LED(RD1)のアノード電圧を測りました。
1.648Vです。
抵抗(R15、22KΩ)と赤色LED(RD1)を流れる電流値は
(2.347−1.648)/22=0.032mA
と計算されます。
それではこのときのT2のベース電流は?
このときのT2のベース電圧を測りました。
2.955Vです。
出力XをGNDにショートしたときは0.643Vでした。
明らかに出力の状態によってT2のベース電流が増減しています。
計算してみますと
(4.64−2.955)/51=0.033mA
赤色LEDに流れている電流値と一致しました。
もう間違いありません。
トランジスタT2(2SC1815)のベースからコレクタに電流が流れていたのでした。
なぜ2SC1815のベースからコレクタに逆向きに電流が流れてしまうのか?
あああ。
そうか!
そういうことだったのか!
聡明なる読者諸賢におかれましてはすでにその理由はおわかりのことと思います。
トランジスタでCPUをつくろう![第328回]
2021.3.21upload
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