KL5C80A12マイコンボードの製作
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KL5C80A12はZ80互換の高速高性能8ビットマイクロコントローラです。
残念なことに数年前に生産中止になってしまいました。
しかし当社ではKL5C80A12を使った組込みマイコンボードはまだ健在です。
そのKL5C80A12を使ったND80Z3.5上位互換マイコンボードの製作記事です。
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[第66回]
●新ZBK開発セットのリニューアル(1)USBIFをPICに!
しばらくぶりの更新になってしまいました。
毎度のことながら説明書などの作成作業はなかなかに骨の折れる作業です。
この10日間ほどは主としてCPLDロジアナの説明書の作成作業を中心にしてきましたが、それもやっと片付きました。
今はほっと一息ついています。
説明書の作成は最後の締めの作業です。
CPLDロジアナを作るというのはCPLDをさわることになった最初のころからの念願でした。
何事につけても思うことは易く実現することは難いものです。
CPLDロジアナについての最初の記事は「CPLD入門!」[第111回]で日付を確認しますと2019年10月17日になっています。
途中で長い中断をはさんだことでもあったのですが、連載開始から試作を経て製品となるまで2年半もかかってしまいました。
実は。
実現したいと思って取り掛かりながら長い間中断したままになっている作業はそのほかにもいくつか残っています。
そのうちの1つが今回のテーマです。
ZBK開発セットというのは当社の組込型マイコンボードZBKシリーズのための開発用システムです。
ZBKシリーズはND80KL/86(KL5C80A12)ボードなどと同じKL5C80A12CPUボードですが組立キットではなくて組込制御向けの完成品ボードです。
組立キットではありませんから今まで連載記事としては書いていませんでした。
CPUこそ同じですが当連載記事のもともとのテーマ「KL5C80A12マイコンボードの製作」の流れとはちょっと違っているということもあって書いてこなかったのですが、今回久方ぶりに本気で作業にかかっていくなかでND80KL/86マイコンボードにも関係が出てくる流れになってきましたので、ややタイトル違いになることは承知の上で「KL5C80A12マイコンボードの製作」という大きいテーマのもとで書いていくことにしました。
そういえば当テーマで最後に書いたのは2019年1月10日の[第65回]でしたから、こちらのほうは3年以上も間が空いてしまっています。
本当に久方ぶりの更新です。
それはそれとして、本題に入ります。
そもそもの話、ZBKシリーズとND80KL/86(KL5C80A12)とはどこが違うのか、ZBK開発セットとはなんぞや、というあたりから説明をしませんと今後の展開がうまく進みません。
はじめにZBK組込ボードのシステムがあってそのBASICを中心とした機能をマイコンボードに移植することで作った組立キットがND80KL/86(KL5C80A12)です。
はじめにはZBK組込ボードありき、です。
そのあたりのことについては最初の[第1回]からのあたりに書いています。
そこにも書いておりますがKL5C80A12を搭載したマイコンボードとしてはその昔にND80Kというボードがありました。
これは完成品のみでした。
それに対してND80KL/86(KL5C80A12)は開発の当初から組立キットとして考えていました。
ハードウェアとしてはZBK組込ボードと同じBASICシステムを搭載することも可能だったのですが、当初ND80KL/86(KL5C80A12)を考える段階では別の要素もありました。
MYCPU80(MYCPU80B)、ND80ZV(ND80Z3.5)、ND8080と続く流れの中でCP/M互換DOS、マイコン独立化セットの開発へと進んできましたので、KL5C80A12はもとは8080、Z80と同じ8ビットCPUですからそれらのマイコンボードの延長線上に位置するボードにしたいという基本的な考えがありました。
一方のZBK組込ボードはあくまで組込制御に特化したボードです。
そのソフトウェアはND80Z3.5などと同じBASICが中心ですが最終的にはユーザプログラムをROM化してPOWERオンで自走することが目的になります。
そのためにはROM WRITERが必須になります。
そのあたりのところがND80Z3.5などとは根本的に異なる点です。
ソフトウェアとしてはできるだけZBK組込ボードと同じ機能を維持しつつND80Z3.5などと同じトレーニングボードとしての機能を持つように考えたシステムプログラムとして移植することにしました。
もうひとつND80KL/86(KL5C80A12)とZBK組込ボードが大きく異なっている点があります。
それが今回のテーマに関係している点です。
ND80KL/86(KL5C80A12)はND80Z3.5などと同じように独立して機能するために5×5キーボードと7セグメントLEDを搭載しています。
WindowsパソコンとUSB接続しなくても単独で使うことが可能です。
もっともその使い方はマシン語プログラムの作成、実行のみが対象でBASICを使うことはできません。
これに対してZBK組込ボードも最終的にはWindowsパソコンとUSB接続するのではなくて単独で機能することが目的ですがその場合には単独動作時にはユーザープログラムを実行することのみが求められるので、そこでたとえマシン語のみにしてもプログラムを単独で作成したりデバッグしたりする機能は必要ではありません。
さらにはそのユーザプログラムはBASICが中心となりますからZBK組込ボードの場合にはユーザプログラムの作成、デバッグのときに限ってWindowsパソコンとUSB接続することが必要となります。
そのための回路をZBK組込ボードに持たせることもできますがそうするとその分だけコスト高になってしまいます。
ND80KL/86(KL5C80A12)の場合には普通の使い方のほかにマイコン独立化セットと組み合わせて使うというような考えで複数台をお求めいただいているユーザーもみえますが、そういった場合でも基本的な機能としては単独でも使用できると同時にWindowsパソコンとUSB接続できることが個々のマイコンボードの全てに求められます。
一方のZBK組込ボードの場合にも組込みの目的に合わせて複数台が必要になる場合がありますが、その場合ユーザープログラムの開発のためにWindowsパソコンとUSB接続したり、プログラムをROM化したりするためのハードウェアは1セットあれば済むことになります。
なぜならそれを実際に独立したボードとして実行させる段階ではWindowsパソコンとUSB接続したり、プログラムをROM化したりするためのハードウェアはZBK組込ボード自体にあったとしても使うことはありません。
つまりは個々のボードにUSBインターフェース回路を載せることは無駄、ということになります。
そのような理由でND80KL/86(KL5C80A12)にはUSBインターフェースがついているのにZBK組込ボード自体にはそれはありません。
別途ROM WRITERも必須ですからUSBインターフェース回路とROM WRITERの回路を合わせて別ボードとし、さらにそれに開発に必要なソフトウェアを合わせてZBK開発システムとしているのです。
そこまで説明したところで今回のテーマになります。
ND80KL/86(KL5C80A12)にZBK組込ボードのBASICシステムを移植する段階でもUSBインターフェースが問題となりました。
そのことについては[第24回]に書いています。
ZBK組込ボードのためのZBK開発システムではUSBインターフェースとしてFTDI社のFT245BLを使っています。
一方のND80Z3.5などのマイコンボードでは独自に開発したソフトウェアを書き込んだPIC18F14K50によるUSBインターフェースを使っています。
ND80Z3.5をはじめとするマイコンボードは全てPIC18F14K50を使ったUSBインターフェースを搭載していることでもありますし[第24回]に書いているような理由もあってND80KL/86(KL5C80A12)でもそこのところはFT245BLをPIC18F14K50に乗せ換えてしまいたいというのは何が何でも実現したい必須の機能でした。
しかしこれは相当に手間な作業でした。
ともにUSBインターフェースというところは同じなのですがその中身、通信の方式が異なっています。
FT245BLの通信の実体はRS232Cです。
それをCPUと接続する部分でパラレル入出力に換えています。
PIC18F14K50でも同じようにRS232C通信とすることも可能なようですがプログラムを開発する上での事情やその他の理由によって当社でのPIC18F14K50のUSBインターフェースはHIDという通信方式を使っています。
Windowsパソコンとの間の通信をRS232Cで行なっているところをHID通信に置き換えるというのがなかなかに手間な作業でした。
結構ハードな作業だったのですが、苦労の甲斐あってND80KL/86(KL5C80A12)はND80Z3.5などのマイコンボードと同じPIC18F14K50回路のUSBインターフェースを使いながらソフトウェアとしては基本的にZBK組込ボードと同じBASICシステムとして移植することができました。
で。
そういうことになりますと。
ZBK組込ボードのためのZBK開発システムのほうもFT245BLからPIC18F14K50に置き換えてしまいたいと思うのが人情というものであります。
これはしかし。
ND80KL/86(KL5C80A12)の場合に比べてさらにハードな作業が必要だったのでした。
ちょっと説明が長くなりましたので、本日はここまでといたします。
この続きは次回にいたします。
KL5C80A12マイコンボードの製作[第66回]
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