パソコンをつくろう!(パソコン自作のすすめ)
組み立てキットを使って自作に挑戦!
当記事は2010年9月から「TTLでCPUをつくろう!」というタイトルの もとにほとんど毎日連載をしてきたものを再編集したものです。 |
2011.6.22 前へ 次へ 目次へ戻る ホームページトップへ戻る |
☆システムのバックアップ(1)Windows7の「システムの復元」 全く想定外だったWindows7 SP1のための説明を追加しなければならなくなったことなどから、パソコン組立キットの発売開始がさらに大幅に遅れることになってしまいました。 やっとのことでWindows7 SP1の説明にもメドがたったのですけれど、まだもうひとつ、どうしても説明しておきたい最重要のテーマが残っています。 それがシステムのバックアップです。 世の中に数多(あまた)パソコン組立キットがあるなかで、あえて中日電工発パソコン組立キットを企画することとなったそもそものきっかけこそが「システムのバックアップ」だったわけですから、ここはどうしても避けて通るわけにはいきません。 「システムのバックアップ」はWindows7にその機能が含まれています。そこでその機能を検証してみることにしたのですが…。 |
[第105回]
●システムのバックアップ
やっと、このテーマにたどりつくことができました。
これを片付けてしまわないことには、パソコン組立キットのソフトウェア説明書が完成しない、
と、そのように、かなり前から考えておりました。
しかし、今までずっと書いてきましたように、予期せぬ問題が実にまあ次々と出て来てしまいましたために、こんなにも遅くなってしまいました。
パソコンを使い続けておりますと、いろんなファイルがハードディスクに蓄積されていきます。
一時的なファイルで捨ててしまっても構わないものも沢山あるでしょうけれど、中には消失してしまったら大変、という大切なファイルも、どんどん蓄積されていくことになります。
おそらく、そのようなファイルは、以前ならばフロッピーディスクかMOに保存することが一般的でした。
今どきはCDROMまたはDVDに焼いて保存することが多くなってきているのではないでしょうか。
しかし、パソコンの場合には、ファイルを保存することのほかにもうひとつ、システムの保存ということを考えておく必要があります。
ファイルの保存も確かに重要ですが、システムの保存もそれに劣らず重要です。
なれないうちはそのこと(システムの保存)を余り重要に考えない(といいますか、全く思ってもみない)ことが多いようでありまして、いざトラブル発生ということになって、はじめてことの重大さを思い知ることになります。
ハードディスクは常にクラッシュの危険にさらされています。
不注意により、Windowsを手順通りに終了しないで、ついうっかりいきなり電源を切ってしまった、などということはだれでも一度や二度は経験していることと思います。
夏場などエアコンをフルに使っていて、消費電力がぎりぎりになっていることに気が付かないで、なにかのスイッチを入れたらブレーカーが落ちてしまった、などということもよくあります。
そのようなときに、ハードディスクがクラッシュしてしまう危険性が高くなります。
そうではなくても、常に高速回転をし続けているメカでありながら、同時に、常に超高精度を維持しなければならないという、極めて困難な特性のために、使用年数が長くなればなるほど思わぬトラブルの危険性は増大してきます。
そのようなハード的な要因のほかに、ソフト的な要因によるトラブルの可能性もかなり多いことが考えられます。
新しいアプリケーションをインストールしたところ、Windowsが不安定になってしまったので、そのソフトウェアを削除したのだけれど、Windowsが元の状態には戻らなくなってしまった、
などということはごく一般的によく聞く話です。
そんなときに、もっとも確実な対処法は、もう一度Windowsを再インストールすることです。
しかしこれは最後の手段です。
Windowsを再インストールすると、ハードディスクの(少なくともCドライブの)ファイルは全部消えてしまいます。
ファイルについては、別の記録媒体に、こまめにバックアップコピーをしておれば、最悪の状態は免れます。
しかし、それまでにインストールして使っていたアプリケーションソフトウェアは全て最初からまたインストールしなければなりません。
経験した方ならばおわかりと思いますが、これはなかなかに困難な作業です。
中にはインストールディスクやドライバディスクがどこかにいってしまってみつからないということもあるでしょうし、パスワードやプロダクトキーがわからないということもあると思います。
そうでなくても、細かい設定をどうしていたのか思い出せなくて、結局以前の状態に完全に戻すことはできなかった、ということになるのが落ち、でありましょう。
そのような突然のトラブルに遭遇する前に、システムの状態をそのままバックアップしておけば、そのバックアップコピーから、もとの状態を復元することが可能になります。
転ばぬ先の杖、でありますから、そういうツールがありますならば、これはやっぱりやっておくべきでありましょう。
システムの状態をバックアップする機能はWindowsにもありますし、アプリケーションソフトもいろいろなものがあります。
最も単純明快で確実な方法はハードディスクをまるごとそのままバックアップしてしまうことです。
ということで、そのシステムのバックアップについて、実際に体験しながら、説明をしていくことにいたします。
●クローンディスク
システムディスクの丸ごとバックアップという場合に真っ先に頭に浮かぶのが、クローンディスクという言葉です。
あるいはディスククローン、または単にクローンと言ったりもします。
オリジナルのハードディスクに記録されている内容を、なにからなにまでそっくりそのまま別のハードディスクにコピーしますから、コピーして出来あがったハードディスクのことをクローンと言います。
日本語で表現すれば、複製です。
この場合コピー先のハードディスクがコピー元のハードディスクよりも記憶容量が同じか大きい場合には問題はありませんが、コピーソフトによっては、コピー先のハードディスクの容量がコピー元のハードディスクの容量よりも小さいとコピーできないものもあります。
しかしなにしろそっくりそのまま同じものが出来あがるわけですから、これほど確実なバックアップはありません。
万一オリジナルのハードディスクにトラブルがあった場合などは、そのままクローンディスクと交換するだけで、ただちにシステムを復旧させることができます。
この方法の最大の欠点は、少なくとも元のハードディスクで現在使用されている記憶容量と同じ容量以上のハードディスクを別に用意する必要があるということです。
まあでも考え方は極めて単純明快ですから、それほど頻繁にバックアップをとる必要がなくて、万一の場合にそなえてただひとつだけのバックアップをとっておきたい、という場合には、このクローンディスクを作成するという方法も有り、だと思います。
Windowsのファイルやフォルダのコピーでは、クローンディスクは作成できません。
「Cドライブを丸ごと選択してそれを別のハードディスクにコピーすればいいのではないだろうか」とお考えのかたもみえるかと思いますが、残念ながらそれでは駄目なのです。
「起動用ディスク」という言葉がありますが、ハードディスクは、その「起動用のシカケ」が必要なのです。
Windowsの「ファイルやフォルダのコピー」ではデータファイルはコピーできるのですが、その「起動用のシカケ」まではコピーしてくれません。
したがって、クローンディスクを作成するためには、通常のコピー機能以外の、なんらかのツールが必要になります。
インターネットを検索しますとフリーのツールがいろいろみつかります。
ただ基本的には「Windowsの機能を停止させておいて、あるいはWindowsを起動させないで」そのツールを実行させる、という仕様であることが一般的でありますから、まことに失礼ながら「Windowsの操作ならばなんとかわかるのだけれど」というレベルの方ですとちょいとむつかしいのでは、というソフトがほとんど、ではなかろうかと思います。
有償のソフトウェアでありますとか、あるいはいずれご紹介する予定のフリーソフトの中には、クローンディスクを作成する機能が含まれているものもありますから、ここではクローンディスクのみを作成するツールについては、検討しないことにいたします。
実は、クローンディスクのみを作成するツールについては検討をしない、というだけではなくて、もともとここでは、システムのバックアップを作成する方法としては、クローンディスクについては、とりあえず考えないというつもりでおります。
今回のWindows7パソコン組立キットにつきましては、初心者向けにできるだけ簡単にわかりやすく、ということのほかにも、なるべくローコストでいきましょうよ、というコンセプトでもあるのです。
なるべくローコストで、というコンセプトからしますと、まるごとコピーするためのハードディスクが別に1台必要で、コピーしたあとは、まさかのときが来るまでそのまま寝てしまうというのは、いかにももったいないからです。
●では、バックアップコピーをどこに置くのでしょう?
ハードディスクをまるごとバックアップするといったとき、そのハードディスクのそのままのデータ配列をそのままどこかに保存することになるのですが、そのままのデータ配列のことをイメージという言葉で表現します。
まるごと1対1のクローンディスクを作成する以外のディスクイメージのバックアップでは、通常はもとのディスクイメージを圧縮して、より小さいサイズのファイルとして保存することが一般的です。
その圧縮したディスクイメージの保存先としては、できれば別の外部のハードディスクにするのが最もよい選択になります。
最近はUSBで簡単に接続できる大容量の外付けハードディスクが安価に入手できますから、そのようなものに保存しておくのが一番いいと思います。
しかし、しかし。
そうすると、「その外付けハードディスクを購入しないとバックアップはできない」ということですと、それもコストがかかる、ということになります。
できれば、そういうコストもとりあえずは無しで済ませたい、というように考えてみたいと思います。
幸い、中日電工から供給する予定のWindows7パソコン組立キットのハードディスクは500MBもあります。
MSDOS時代からずっとやってきました私などは、そんな巨大なものをどう使うのじゃ、と思ってしまうのでありますが。
それどころか、いまやTB(テラバイト)のハードディスクも安価に入手できるとあっては、ほんと、ずっこけてしまいます。
それはともかく、通常は500MBもの容量は必要ありませんから、そのほとんどはガラ空きのままになります。
それを使わないというテはありません。
なので、ハードディスクのバックアップイメージを同じハードディスクの空きスペースに保存する、という考え方で進みたいと思います。
これは追加コスト0でできますから、経済的ですし、外付けしたりする必要もありませんから、手軽に行なえますけれど、ちょいと危険な方法ではあります。
なにしろ同じハードディスク上にバックアップイメージを保存しますから、万一ハードディスクがクラッシュしてオシャカになってしまいますと、それで一巻の終わりになってしまいます。
まあ、通常は新規に購入して、半年や1年でハードディスクが完全に壊れてしまうということは稀だと思いますから、新規購入していただいたパソコンに使い慣れていただくまでの間の当座のバックアップ対策、というようにお考えいただければ、と思います。
バックアップイメージを保存した上で、そのイメージファイルをLANで接続した別のパソコンのハードディスクにLAN経由でコピーしておく、というようにしていただきますと、なお良いかと思います。
本日は時間がなくなってしまいました。この続きはまた次回にすることにいたします。
CPUをつくろう!第761回(2011.3.26upload)を再編集
パソコンをつくろう![第105回]
2011.6.22upload
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