●十日目 〜殺せし者の運命〜

 結婚初日の夜はなんだか微妙なテキストが出てきて青くなったものですが、結果としてスタミナが40増えたのならばまあマシ、としましょうか。あんなだと逆に疲れがたまりそうですけども。とりあえず、私には望んだとしても一生理解できない感覚ですから知りません。知る必要もねえことだし

 くだらない話はよします。さ、今日もひと働きしてきますか。例によって朝食代わりの倉襲撃、いやあ一日の始まりはここからだね。


 今日は、もう少し勝利への道をたどりますかね。あとは行き当たりばったりでも別に問題ないでしょう。ということで、ゴルド海にあるトプ村を訪れました。

 ここは火薬を主に扱う村。優秀な火薬調合師を輩出していまして、ためにゴルド連邦に抑えられてしまっています。でもまあいろいろあったもので、ゴルドの連中が一番欲しがっていたものはそれを作り出す技術を持った者ごと姿をくらまし、追撃隊の面々も行方知れずなんだとか。

 その辺の事情はおいおい解決していくとして、まずはこの村をなんとかしないとですね。ちょっとした仕掛けがありますが、まあよく村人に当たって情報を収集していけばこんな程度の仕掛けならば誰だって分かります。はい、村奪還。ええ、しっかりお伝えしますから、火薬を安く売ってもらえません?


 その後、クリフトンまで買い物に行くのですが、どうも出現する敵の巡視艦隊がうっとうしくなりまして。レベル的にもいけるはずなので、第四巡視基地を潰すことに決めました。ここもちょっと面倒な仕掛けがあるんですけれども、その辺は前回の旅路ですでに知っている事実ですからなんなく抜けて。教えてあげませんよ? 自分で情報を集めるから楽しいんですから。

 ここの司令官は、いつだかどこだかで潰した巡視基地司令官の息子なんだとか。父の復讐に燃える彼は、それはもう周到すぎるくらいに厚いマジョーン撃破の陣を敷いて挑んできました。そんな彼の誤算は、こちらの力をあまりにも過小評価していたところでしょうか。15部隊、すべてほぼ無傷で撃破してしまいました。


 そう、彼は司令官ではなく、父を殺された息子としてこちらに挑んできました。その気持ちは分かるつもりではいます。ですが、だからといって彼が正義というわけでは決してありません

 いつぞにカラベルで我々を「人殺し」となじった子供がいました。マジョーンには何も言えませんでしたが、私には言えます。お前の大好きな父親も、人を殺しているのだと。そんなくせして、お前は父親の罪を見ることなしに我々をなじると言うのか?

 人を殺してきた者は、自分が同じ運命を辿るであろうことも承知していなくてはなりません。自分がそうなったときに、相手を呪ってはいけないことも。そして、そういう人間は自分の幸せなど追い求めるべきではないのだと。そうでしょう? 他者の幸せを奪っておいて、自分だけ幸せになろうなど、ムシが良すぎる考えというものです。人が許しても、天が許しません

 その辺をよく知っていて、それでもなお自分たちの幸せを追おうとした。だからこそ、「影牢」の兄妹は悲しいのです。それを認識することなしに、自分の都合だけ振りかざしていかにも正義面して歩いている連中、私はそういう存在が大嫌いです。


 だから私は、マジョーンが辿ってきた道、私自身がマジョーンに代行させた意志。それが正しいなどとは欠片も思っていません。ただ、今まで敵として殺してきた連中、彼らが正しかったなどとも思っていません。所詮五十歩百歩、悪と悪の戦いですよ、こんなのはね。正しい人殺しなんていうのは、ごく極めて限られたものです。

 ただし、ゴルド連邦という悪が生き残ってしまうと世界全部が滅びます。我々が生き残れば、それは避けられます。だから、たとえ自分が大罪人と罵られ、なじられても、結果として世界が残れば構わない。自分の幸せなんて二の次だと、そう言い切ることのできる者こそが真に勇者と呼ばれる者なのだろうと思います。


 ほんとね、世間の「ロールプレイング」は人間じゃないものが敵でしょ? だから絶対悪にできるし、それを大量に虐殺していく主人公が世間一般に正義として認めてもらえる。でもこのゲームは、同じ人間が敵です。相手にも真っ当な主張があって、そして自分たちと対立します。

 そんな彼らとの戦いは、彼らの言葉は、正義を気取っているつもりの自分たちに「もしかして、俺たちって極悪人なのかな」と思わせてくれます。むしろこれは戦争の悲しさにも近いのかな、と思います。……少なくとも、私はそれを強く感じさせてくれたゲームというものを知りません。

 それでも、我々は進みます。自分たちの目的のためだけに。正義なんか関係ありません。自分たちがどうだったのか、そんなのは後の世が決めてくれます。今は、極悪の限りを尽くして戦うだけ。


 ともかく、これでゴルド海の外縁部は沈黙しました。さて、先日から仕込みを続けていたことを済ませますか。ということで新たに人材を求めて軍人の村、グラームへ。お、いるいる。さあお嬢さん、我が合衆国のために力を貸してもらおう!

 もはやレベル的には相手にならない程度でしたから、さっさと片付けて交渉に持ち込みます。おお、ソランさんが口を利いてくれた。先にソランさんを連れているとちょっとしたテキストが入るのね。最初は渋るような様子を見せていた彼女ですが、さすがに大切な妹の口添えもあれば気持ちも揺れるようです。

 こうして最強のエキスデン人、リドミラさん。我が合衆国に手を貸してくれることになりました。少々時間はかかりますが、これほどの人がただの100万で手を貸してくれるというのはすさまじいことです。直後に彼女の故郷へ行き、さらに能力を強化。ソランさんには、ゲームを開始した直後辺りからずっと世話になりっぱなしでした。お疲れさん。でもせっかく姉妹が揃ったので、ソランさんにはこの際ずっと予備役でいてもらいましょう。知事にするのもどうか、と思えますので。


 リドミラさんを得てさらに強力加減を増した我が合衆国軍は、それからいくつかの国を襲撃しました。ランク4のシドン海、メロブ帝国を捻り潰して合衆国領にした我々、そろそろいけるかとファルガナ海にあるランク2のジャルモ帝国を襲撃です。ここはショートカットがない分戦闘も少なめで、多少治療砲弾を消費したものの十分に戦えました。

 こうなると、欲が出てきます。西ドルゲスト海にあるランク2のハラハシブ兄弟連合国、同じくランク2のミルボ帝国まで、余勢をかって踏み潰してしまいました。ハラハシブ兄弟連合では、世界征服を誓った兄弟が相手です。なにを馬鹿なことを、こうしてよその属国になっているような連中に何ができるか


 ついでにここでは「秘密のガニム2つ、貴様に見つけられるか? 貴様のようなトンチキでは無理だろうなあ、トンチキは死ね!!」と気になる言葉を聞いています。いえ、トンチキ云々ではなくて

 で、トンチキ呼ばわりされたままでは悔しいですから、意地になって見つけてみました。なーんだ、大したもの入ってねえや。仕掛けも大したものでもなかったし、これなら誰でも見つけられらあ。これで隠しおおせると思うほうがトンチキだぜ、ケッ!

 ちょっとヒント。ハラハシブ、ミルボともに構成が少々面倒で戦闘も多いのですが、実はショートカットが複数存在します。これを見つけられればかなり楽になること請け合い。