2009年の読書日記

書名・作者・出版社 内容・感想など
身代わり伯爵の冒険
 清家未森作
 角川ビーンズ文庫
一月九日
 冒険、結婚、挑戦、決闘、脱走、潜入とこれでシリーズ六冊目まで、昨年末からずっと友人に借りた本を読んでいました。一年の締めくくりと始まりがまたライトノベルだったか…と思うと少々残念ではありますが、図書館はしまっていたし忙しい時期にさくっと読める本というとどうしてもこうなってしまいます。
 元気で乳のない女の子と美少年と筋肉男達が乱舞し奔走するファンタジー時代小説ってところでしょうか、続きが楽しみです。
ホットドックの丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞社
一月十四日
 丸かじりシリーズ23、今年も読み始めてしまいました。
 毎回新たな発見があるこのシリーズですが、今回は「ああ、やっぱりこの本って心底おっさんくさーーー」としみじみ思いました。内容がおっさんならば文章もまたおっさん、けれどけしておっさんは嫌いではありません。なによりも食べ物に真摯に向かい合うその姿勢がすばらしい!
妃は船を沈める
 有栖川有栖作
 光文社
一月十五日
 まずタイトルが比類がないほど美しいと思いました。
 私の好きな火村助教授と小説家アリスのシリーズ、中編二本と幕間で一つの物語となっております。「猿の手」をモチーフにした連続しない殺人劇なのですが、作者の文章はなんとなーーく他の作家さんに比べても「静かで上品」というようなかんじがいたします。
コミケ襲撃
 川上亮作
 サンクチュアリ出版
一月十六日
 また、つまらない本を読んでしまった…と思いました。しかし、図書館の新着図書の棚に表紙を向けてこの本が置かれていて、思わず手にとらないオタクがいるでしょうか、そういうわけで思わず借りて読んでしまいました、ああ、とても時間の無駄だった…。
 しかし、あの暑くてむしむしして汗でぬるっとしたいやーーんな感じ、人が多すぎてでもそれが妙に幸せで高揚したあの空気、あのわけの分からなさ、例の雰囲気はよく書かれていると思います。
JOY!
 嶽本野ばら他
 講談社
一月十八日
 嶽本野ばら他四人の作家が「小説現代」で一月に一作ずつ書いたおそらくはリレー小説、もしかしたらリレーじゃないかもしれないけれど、JOYという一人のパンクロッカーに関わる女達の物語を書いています。あまり期待せずに読んだのに結構おもしろかったなーー。
 80年代の洋服にまつわるエピソードがあちこちに出てきて、Oliveという雑誌が出てくるのが懐かしい、当時ちょうど高校生で、時々買って読んでました。今となってはすごく素敵な雑誌だったなーと思います。
夜のスイッチ
 レイ・ブラッドベリ作
 北山克彦訳
 晶文社
一月二十一日
 ブラッドベリは若い頃から思い出したようにふらっと、まれーーに読む作家です、しかし、このわけの分からない感覚といいますかなんとも言えない読後感、作者がまるでどこか遠い星の住人のような感じがするのは昔から、のような気がします。
 これはマデリン・ゲキエアという人が絵をつけた絵本で、児童書のコーナーにありました。夜がこわい男の子とそれを克服させるべく奮闘していない女の子の物語です。
いやいやえん
 中川季枝子作・大村百合子絵
 福音館書店
一月二十三日
 「ぐりとぐら」の作者による子供のためのお話、とても有名な本なのですが今回初めて読みました。
 すぐれた物語と言うのは年齢をこえて心の扉をがんがんたたくものだとしみじみ思います。
追憶のカレン
 茅田砂胡作
 中央公論新社
一月二十五日
 クラッシュ・ブレイズシリーズの何冊目か、一冊飛ばしてますが図書館で見つかったらまた読みます。
 
パンの事典
 成美堂出版
二月某日
 現存する世界のいろいろなパンの種類や食べ方、材料や歴史などについて分かりやすく書かれた本、写真もたくさんあってほとんどお料理本のノリで楽しめました。しかし、ここは田舎なので「パン・ド・カンパーニュ」が食べたいとかドイツパンが食べてみたいと思ってもどこにも売ってません、ううむ、ある意味生殺しかも。こういう時都会が大変うらやましいです、少し探せば簡単に見つかりそうで。
改造版少年アリス
 長野まゆみ作
 河出書房新社
二月四日
 改造版ということで読んでみたのですが、どこが改造されているのか分からないくらいオリジナル版を読んだのが大昔だったので、正直どこが違っているのかなんてもちろん分からず、どんな話なのかも忘れかけておりました。
 理科室の標本の卵が少年で…というところだけ覚えていてやはりそのままでした。装丁はずいぶん変わったと思います、多分。
幸せな子
 トーマス・バーゲンソール著 池田礼子・渋谷節子訳
 朝日新聞出版
二月六日
 新聞の書評で見てなんとなく読みたいと思っていた本が図書館にあったので読んでみました。アウシュビッツを一人で生き延びたかつての少年で、今は国際法の専門家として働いている著者がその少年時代のことをふりかえって書いた本で、「自分がなぜ生き延びたか」というこたえが「幸運だったから」というのがやりきれないというか却ってハッピーなのか、私にはよく分かりません。ただ著者の「いつかは戦争や虐殺の無い世界を目指して活動する」というその姿勢には頭をたれます。
となりの姉妹
 長野まゆみ作
 講談社
二月十二日
 まだ読んでいない長野まゆみの本は図書館の棚に何冊かならんでいたけれど、一番装丁がきれいだと思ったのがこの本でした。何が他と違うかというと、本文用紙が違います、今までいろんな本を読んできたけれどこんな紙は初めて見ました。
 著者には珍しく主人公が女の人でタイトルのとなりの姉妹も女の人、多少エキセントリックな主人公の兄も出てくるけれど、女性の割合が多いのが新鮮です。話もほのぼの。
火村英生に捧げる犯罪
 有栖川有栖作
 文藝春秋
二月十四日
 未読の火村准教授シリーズ(助教授改め准教授になったそうです)が図書館にありました。ショートショートからなかなかに長い話まで、火村先生と推理小説家アリスとのラヴラヴファイヤー…ではなく、素敵などつき漫才…でもなく、会話が繰り広げられます、仲良きことは美しきかな、男同士の友情っていいな、いい年の殿方なのにかわいいなーーーと思いました…いいのか、この読み方で。
おろち
 嶽本野ばら作
 小学館
二月十七日
 楳図かずお先生の「おろち」を元に作られた小説なのですが、私は残念なことに楳図先生の作品をほとんど読んだことがありません(だって怖いもん)だから「赤いコートの少女」とかどんななのか想像するしかないのですが…想像するだけで呪われそうです。
 「あ、結構おもしろいじゃん」とさくさく読んでいて、あと数頁というところでポチのお休み時間になったため中断、翌日読み始めたらなんだか気が抜けてしまった…というもったいない読み方をしてしまいました。短い本なので、一気に読む事をお勧めします。
マルグリートの輪舞曲 
 茅田砂胡作
 中央公論新社
三月八日
 一冊とんでいたシリーズもの、無事図書館にありました。
 今回のテーマはドレスアップ!それも半端ではありません、カラーのイラストが必見です。
「裁く」ための練習帳
 森炎・岡部敬史著
 Gakken
三月十日
 きたるべき裁判員制度のために、実際にあった事件の(それも比較的最近で私でも覚えているようなものばかり)量刑がどういう基準で決められたかを分かりやすく説明した本。大変読みやすく書いてありましたが、もし実際に裁判員に選ばれた時に役にたつかどうかは不明、あくまで練習のための本です。
パンツの面目ふんどしの沽券
 米原万理著
 筑摩書房
三月某日
 私はパンツは人生の基本中の基本だと思ってました、そりゃあ中には褌派の人もいるでしょうし、着物の下はパンツなしってことも分かっております、しかし私は甘かった!パンツが全世界に広がったのは、実はそんなに昔のことではなかったのです。奥深きかなパンツの世界。
私のイザヤ書
 中出繁著
 アミ立舎
三月二十日
 合唱組曲「イザヤの預言」と「争いと平和」(…だったかな)、私はこの組曲は歌ったことがないのですが、CDは持っていて常々この預言がどういう時になされたのか疑問に思ってました、それで東京に行った時にふらっと入ったキリスト教関連書店でこの本を見つけて、ついつい買ってしまったのです。
 結果長年の謎がちょっとだけ分かったような気がします…しかしイスラエルの問題というのはあまりに根が深くて深くて、紀元前の昔からの遺恨を今でも争っているようなものなのだなーーとしみじみ思いました。
怪のはなし
 加門七海著
 集英社
三月二十一日
 こっちは怖い話ばかり書いている著者の日常エッセイ、でもそれがやっぱり怖かったり不思議だったりする話ばかりなのが笑えます。この人は日常的にこういう存在にいきあたることが多いのだなーと感心しました。私はというとさっぱりきっぱりそういう体験はありません、多分これからも無いのではないかと思われます。
特捜司法官S-A 1 2
 麻城ゆう作
 新書館
三月某日
 友人から借りたダンボール入りの本をそろそろ返そうかと思い整理していました、するとまだ読んでいない本が二冊もあったではありませんか…というわけで読んでみました。文庫版で出ている同シリーズのプロトタイプ版のようなものでしょうか。
英国流ビスケット図鑑 おともに紅茶を
 スチュアート・ペイン著
 小栗千津子他訳
 バベルプレス
三月二十六日
 左とじ横書きの本、でもそんなに読みにくくはありません。もともとホームページから始まって、本になったもののようです。物事の考え方がいかにもイギリス的、しかも世間一般で「イギリスっていったらこうだろう」と思う類のイギリス的であります。
 紅茶のお供に合う市販の代表的なビスケットについての批評を思いいれたっぷりに論じてあります、日本で手に入るものもありますが、手に入りにくいビスケットがいかにもおいしそう…。ショートブレッドのたぐいはあまり見かけないもんね。でもだまされてはいけません、紅茶とスコーン以外の食べ物は、日本の方がおいしいに決まってますから!
 あと、「なんで?」と思うのがビスケットを紅茶に浸して食べる「ダンク」という食べ方。やっぱりイギリスは謎と神秘の国だと思います。さわらぬ神にたたりなし。
ダヤンのスケッチ紀行
 ドイツの古城とライン川を行こう
 北欧へ行こう
 池田あきこ著
 株式会社MPC
三月三十日 三十一日
 二冊の本ですがまとめて読んだのでまとめてしまいます。ダヤンシリーズの作者によるヨーロッパスケッチ紀行、かわいくて素敵な本になってます。ああ私も海外旅行に行きたい…でも行ったら行ったできっと大変だしものすごく疲れるだろうなーと思います。それでもちょっとは行きたいと思うけれど、行きたくて行きたくてどうしようもないってほどでもありません。うーん、我ながら平凡。
子どもに本を買ってあげる前に読む本
 赤木かん子著
 ポプラ社
四月一日
 副題は「現代子どもの本事情」、学校図書館の話が中心です。今の子どもは昔ながらのベストセラー本を読まなくなった、その理由は…当等なかなか納得させられました。確かにあまり古色蒼然とした本は、手に取りにくいよな。
ただ、リアル系と空想系に本を分けるというのは、いいのか悪いのかまあまあなのかよく分かりません。
亡国の預言者
 中出繁著
 アミ立舎
四月十一日
 以前読んだ「私のイザヤ書」の続きで、旧約聖書の時代の預言者たちの言動が年代順に書いてあります。以前何かのおりにヤハウェは怒れる神でありキリストは許す者であるとかなんとかそういうことを聞いた覚えがありますが、確かにそんなかんじがいたします。
 読み物として読むならば大変おもしろい本なのですが、今現在のイスラエル国家の頑なさを考えると、宗教の弊害すらかんじます。
明治のお嬢さま
 黒岩比佐子著
 角川選書
四月十七日
 図書館の新刊コーナーにあった本をなんとなーーく借りて読んでみたのですが、これがおもしろかったです。明治時代の深窓の令嬢、華族のお嬢様の女学生時代から結婚までの風俗、生活などを当時の写真や資料入りで分かりやすく説明してあります。
 いつの世も若い女の子の興味はファッション、しかも今よりもずっと「美人であること」にこだわっているのがなんとなくものすごいです、いやはやすさまじい。
小説「聖書」旧約篇
 ウォルター・ワンゲリン著
 仲村明子訳
 徳間書店
四月二十三日
 聖書というと、キリスト教徒でない私のようなものには大変とっつきにくいものですが、この本は旧約聖書を小説仕立てにしてあるので結構読みやすかったです。最近読んだ「イザヤ」「預言者」との連携もばっちり、謎だった預言者以前のユダヤの様子がなんとなく分かりました。
 ユダヤの神の名はヤハウェ、しかしこの神のなんと厳しくそして人間くさいことか!(日本人のように)あちこちの宗教をつまみ食いするなんてもってのほか、契約を破ったならば街ひとつ滅ぼします、約束を守らなかったらもちろんその人も滅ぼします。…イスラエル国家が頑固なわけです…。
愛と残酷の世界史
 桐生操著
 ダイヤモンド社
四月二十五日
 副題は「欲望と背徳と秘密に魅せられた人々」です。欲望と背徳うんぬんに魅せられた歴史上の人物の行動が羅列してあります…さくっと読めておもしろくないことはないのだけれど、一つの事項が「こんなこともありましたよ」と書いてあるだけで深みが全くありません。この著者の本はだいたいこんなかんじだけど。もう少し掘り下げて書いてあったらいいなと思います、でもまあ、こうやってさくっと読む本と割り切ればこれはこれでいいのかも。
150cmライフ3
 たかぎなおこ著
 メディアファクトリー
四月二十六日
 何かいい本ないかなーーと、久しぶりに図書館をゆっくり一人でぶらついていたら見つけた本、特にいい本というわけでもないけれど、1 2と前に読んでいたので三巻も読んでみました。
 私の身長は153センチなので、充分ちっちゃいものクラブに入れると思います。身長が小さいと困ることも多いのですが…そのネタで三冊でているのはある意味スゴイ。
心臓に毛が生えている理由
 米原万理著
 角川学芸出版
四月二十八日
 この人の本はタイトルが毎回毎回秀逸だと思います。著者亡き後、あちこちに書いていた短いエッセイを集めたような本なので内容的にちょっとばらばらなのですが、それでも著者の人となりの一部が分かるような気がします。人は他人のことなんてほとんど分からないと思うのですが、それでも書かれた文章や残された絵を見ると、その人のことが少し分かるように思えるのはやっぱり錯覚かしら。
グリーン・ノウの子どもたち
グリーン・ノウの煙突
 ルーシー・M・ボストン作
 亀井俊介訳
 評論社
四月三十日
 グリーン・ノウシリーズの一巻と二巻です、本当はずっと前に一巻を読み終えていたのですが、ここに書いておくのを忘れたので二巻とまとめて書いておきます。
 イギリスの古いマナーハウスに住む祖母を、学校の休暇に少年が訪ねてきます。古いマナーハウス、それだけでご飯が一膳くらい食べられそうですが、なんとそこには幽霊がわんさと住んでいます。古い古い家族の肖像画から出てくる子ども達の幽霊、お好きな人にはたまりません。
 二巻ではまた別の少年少女(の幽霊)が出てきます、とりあえず続きを読んでみよう。
レネット 金色の林檎
 名木田恵子作
 金の星社
五月八日
 作者は大昔、かの名作少女漫画「キャンディ・キャンディ」の原作をされていた方です。だから、というわけでもないのでしょうが、前に読んだ「海時間のマリン」もこの物語も、少女漫画にしたらものすごく映えそうです。
「綺麗な人」と言われるようになったのは、四十歳を
過ぎてからでした
 林真理子著
 光文社
五月十二日
 時々林真理子さんのエッセイを読みますが、そのたびにこの人とはきっと気があわないだろうなあと思います。高級バックを持っているのがなんぼのもんじゃい、貧乏で田舎モンで悪かったな!不倫にも恋愛にも興味なんてないし殿方にもてなくって心底どうでもいいわっ!と思うのですが、それはそれ、この人の文章に引かれる微妙な女心が自分にもあるのかなーーー。
旅のコーフン
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 角川書店
五月十二日
 お気軽なコミックエッセイ、貧乏旅行編です。どこにも行けない退屈な日常、せめて旅行の体験本でも読むか、と思ってこういうたぐいの本を手に取るのですが、「こんな旅行ならば家にいてのんびりするほうがましかも」と思わせてくれるありがたい本でした。いえ、おもしろいんですが、絶対真似したくないです、いろいろと。
バナタイム
 よしもとばなな著
 マガジンハウス
五月十四日
 ものすごく久しぶりによしもとばななさんの本を読みました、図書館のエッセイの棚の米原万理さんのとなりにあったからです。林真理子さんのエッセイを借りて、米原さんのエッセイも借りるとするとそれはちょっとくどいのではないだろうか、もう少し毒もアクもなくってさらっと読めてきれいなものとかなんとか思って借りました。
 本を借りる理由ってのは、案外わけが分からないものなのですが、その時の自分にとってはなんらかの必然が…あるのだろうなと思います。
グリーン・ノウの川
グリーン・ノウのお客さま
 ルーシー・M・ボストン作
 亀井俊介訳
 評論社
五月二十一日
 グリーン・ノウシリーズの三巻と四巻、続けて読んだわけではないのですがまとめて書いておきます。三巻はまた全く違った(生きている)少年たちがグリーン・ノウにやってきて夏の休暇をすごします。ゴシックな幽霊は出てきませんが、他のいろいろな謎なものが出てきます。
 四巻はぐっとかわって、三巻に出てきた一人の少年と動物園から抜け出したゴリラとの交流の物語になってます。この巻では謎なことは一切起こりません。
ジョニー・ディクスン 魔術師の復讐
 ジョン・べレアーズ作
 林啓恵訳
 集英社
五月某日
 グリーン・ノウ三巻と四巻の間に読んだ本、ずいぶん前にこのシリーズも二巻まで読んでいたのですが、図書館で三巻を見つけたので読んでみました。そしたら見事に前回までの話を忘れていて、楽しめないことこの上ありませんでした、やっぱり続けて読まなきゃ駄目だな。
 児童文学だから仕方がないのかもしれませんが、一つ一つのエピソードが短すぎて、萌えの入る余地がありませんでした。せっかくジジイが頑張る話なのに。
グリーン・ノウの魔女
グリーン・ノウの石
 ルーシー・M・ボストン作
 亀井俊介訳
 評論社
六月某日
 グリーン・ノウシリーズもこれで全部読めました、私としては最後の二冊が一番好みです。
 ところでこの訳者の方ですが、経歴を見ると岐阜の某大学の教授なのだそうです。実は私、はるか昔この大学をすべりどめで受けてまして、本命に全部落ちていたら通うところでした。
 時代があっているのかどうかは調べていないので分からないのですが、この教授の講義を受けることが出来たかもしれないと思うと、人の縁というのはどこでつながらずに途切れているか分からないものだなーーと思います。
UFO大通り
 島田荘司作
 講談社
六月四日
 御手洗さんシリーズの中編が二本入っています。最初の一本は御手洗さんと石岡くんがまだ同居を始めたばかりの頃で、事件より何よりこの二人のピチピチした若さと新婚さんっぷりに頭がクラクラいたします。
 二本目は、御手洗さんが石岡くんのもとを離れる少し前の事件となっております。事件より何より、倦怠期の夫婦ってこんなかんじかしらーーというアンニュイで行き詰った雰囲気がただよっていて、一冊で二度楽しめるお得な本となっております。もちろん謎解きもおもしろいのですが、それよりもなによりも二人の関係がたまりません。
徳川慶喜家の子ども部屋
 榊原喜佐子著
 草思社
六月十日
 適当に借りたにもかかわらずおもしろかった本、徳川最後の将軍慶喜の孫である著者の子供時代を中心に現在までの生活ぶりの変換を日記をもとに書いてあります。
 「第六天」と言われる壮大なお屋敷のお嬢様時代の話が、一番浮世ばなれしていて珍しく読み応えがあります、が、子育てとしてはちょっと間違っていたのではないかと…思うんだけどな。
戦国武将の死生観
 篠田達明著
 新潮選書
六月十二日
 適当に借りたにもかかわらずおもしろかった本その二、現代医学の見地から戦国武将の皆様の臨終時の健康状態、病気の種類等々を推測し、その時の心のありようまで推し量って書いてあります。
 それがものすごく判官びいきで著者の好き嫌いがはっきりしていて、普通あまり主観が入るとおもしろくないものだけれど、それが案外ほほえましくておもしろくなってます。
江戸東京怪談文学散歩
 東雅夫著
 角川選書
六月十七日
 正直もう少しケレン味たっぷりの怖い本かと思って借りたのですが、そうではありませんでした。あまり怖くはありませんが、東京の現在の地図と照らし合わせつつ、江戸の昔からの怪談の舞台となった場所を訪れるという真面目な本でありました。
 あまり怪談に興味はなかったのですが、大変おもしろそうな世界です、でも怖いかもなーーー。
変身
 嶽本野ばら作
 小学館
六月十九日
 「ある日、目が覚めたらとんでもない美男子になっていた」元ブ男の物語、いろんな意味でかーなーりーイタイ話ではありますが、どんなに濃くてもうざくても常識外でも純愛をつらぬく主人公はいっそすがすがしくかっこよくさえあります!いろいろあってとんでもなく不細工なゲロ子(名前もひどすぎ)にすら見向きもされなくなりましたが、負けずにいつかプロポーズしてください、人生捨てたものではないなーーと思わせる後味の爽やかな小説、の部類に入ると思います、この作者の中では。
子どもはぜんぜん悪くない
 佐藤弘道著
 講談社
六月二十日
 NHK「おかあさんといっしょ」の元体操のおにいさん、ひろみちおにいさんの子育てエッセイです。ちょっと前に幼児雑誌で広告を見て、読みたいなと思っていたのですが、やっと図書館で見つけました。
狼島 デモナータ8幕
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
六月二十三日
 絶対全く趣味じゃない話なのに、続巻が図書館に入るのを待ち構えているのはやはりおもしろいからなのだと思います。でも主人公が世界を滅ぼす存在になることを本人があらかじめ知ってしまうのは、ダレンと同じだなーーと思いました。
身代わり伯爵の求婚
 清家未森作
 角川ビーンズ文庫
六月二十三日
 前の巻までの話があまり思い出せなくて、一冊全部読んでしまった後でも謎が残ったままになってます。図書館からでも友人からでも借りた本ってのはたいてい一度しか読まないのですが、その一度の密度が本によって違うのかも。
 ちなみにデモナータの前の巻の話は、ほとんど覚えております。
前はマのつく鉄格子!
 喬林知作
 角川ビーンズ文庫
六月二十五日
 図書館で借りた本を全部読んでしまったこのすきに、友人から借りているライトノベルを読んでしまおうと思ってます。でも明日は図書館に行かないと、返却期限になってしまう。
乙女は龍を光に導く!
 榎木洋子作
 集英社コバルト文庫
六月二十九日
 シリーズ最終巻、おなじ作者の「龍」関連のほかのシリーズと比べると、あっさりと終わった印象があります。
イギリス料理のおいしいテクニック
 長谷川恭子著
 柴田書店
六月二十九日
 普通お料理のレシピ本はカウントしないのですが、是非感想を書きたくなりました。
 そもそも図書館でこの本を見つけたときから「イギリス料理でおいしいってなんだろう」と疑問に思ったのですが、レシピを見ても、やっぱりこれっておいしいのだろうかという疑惑がついてまわりました。この材料でこう作って本当に納得できるほどおいしいのか、ある意味哲学的ですらあります。
 料理の本をこんなに疑ったことなどないのですが、ほんとーーーーにおいしいの?何と比較しておいしいの?
贅沢なお産
 桜沢エリカ著
 飛鳥新社
七月一日
 本当に贅沢なお産でした、漫画家さんもこのくらいの人になると、本当に儲かるんだなーーとしみじみ思いました。お産について考えている人には金銭面その他からいって、あまり(全く)参考にならないと思います、というか、腹がたつから読まないほうがいいかもしれません。
ぐうーの音
 太田垣晴子著
 文藝春秋
七月一日
 一日のうちに比較的つまらない本を二冊も読んでしまった…かなりめずらしいです。
 よくあるグルメコミックエッセイですが、なんだか心底おもしろくありませんでした。自分のテンションとか本との相性とかあるけれど、それを差し引いても著者が何を言いたいのかよく分からなかったわ…。
メロンの丸かじり
 東海林さだお著
 朝日新聞出版
七月四日
 丸かじりシリーズ29巻、トレビアーーーン!
 メガマックなど、つい最近のネタありで「ああ、そうそうこんなかんじ」と納得しながら楽しめます、やはり素晴らしい食べ物エッセイだと思います。ずいぶん何冊か読んだのに、あきがこないところがスゴイ。
赤い月、廃駅の上に
 有栖川有栖作
 メディアファクトリー
七月八日
 私は感動の薄い性質で、怖い本を読んで怖くて眠れないなんてことはほとんどないのですが、この本の一部分が眠ろうとすると頭の中に浮かんできてちょっと睡眠を妨害されました、怖いってわけではないけど、頭に残る話が多かったなーと思います。
 ジャンルとしては鉄道ホラーになるのかしら、有栖川さんは著作が比較的多いので、次々新作が楽しめていいですな。
リカちゃん生まれます
 小島康宏著
 集英社
七月十日
 お人形のリカちゃんの生みの親によるリカちゃん誕生時の思い出や苦労話、けして嫌味ではなく、大変いい話でした。私も子供のときは遊んだものだし、ポチも遊ぶのが大好きです。女の子にとってリカちゃんってなんなのかしら?自分の分身とか、憧れとか、そういうものなんだなーと思います。
無差別殺人の精神分析
 片田珠美著
 新潮選書
七月十二日
 実際に起こった無差別殺人の犯人達の精神分析を通して、どうしたら無差別殺人を起こさない人間に育てられるかを検証した本、それにはやっぱり子供時代の親の接し方が一番大切だということです。
…そんなこと言われてもね…。ただ精神科の医療には限界があるときっぱり書いてあったのはいいなと思いました。
残るは食欲
 阿川佐和子著
 マガジンハウス
七月十六日
 最近食に関するエッセイを読むのが好きです、それで、外食ばかりのエッセイはつまらなく、家で作るご飯のエッセイはおもしろいものが多いのではないかと思いました。そもそも料理をしない人なんて、私は嫌いだな。
彩雲国物語・黄梁の夢
 雪乃紗衣作
 角川ビーンズ文庫
八月三日
 彩雲国シリーズの中編集、登場人物の過去の話でずいぶん謎が解けました。
彼方のときを見はるかせ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
八月四日
 少年陰陽師シリーズも久しぶりに読みました、前の話、というかどこで前回終わっていたのかすっかり忘れてました。
鳥籠の王女と教育係
 響野夏菜作
 集英社コバルト文庫
八月七日
 この作者の本を読むのは多分初めてですが、最初でもとっつきやすくおもしろく続きが楽しみな物語です。男に触れると触れられた男がカエルに変わってしまう呪いをかけられたお姫様、そしてカエルにされて「カエルがカエルになることはない」と喜んでぺたぺた触る王子様、ただの馬鹿なのかとてつもなく腹黒いのかそれとも器が大きいのか、教育係より王子様の方が気になります。
身代わり伯爵と伝説の勇者
身代わり伯爵の失恋
 清家未森著
 角川ビーンズ文庫
八月十一日
 夏休み中は忙しい…子供が幼稚園に行っている時のように自分の時間がとれない…いえ、幼稚園に行っている時でもそんなに時間なんてとれないのですがもっともっと時間がありません。そういう時にわずかな隙間をぬってさくっと読めるのがライトノベルのいいところなのですが…ライトノベルってだいたい読んで楽しければそれで終わりということが多いので、心にうるおいがないなーーー。食べ物に例えれば甘くて軽いお菓子ってかんじでしょうか。もっとおなかにたまるものが読みたいです。でも時間がとれないのでもう少し我慢かな。
嵐の剣を吹き降ろせ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
八月十二日
 少年陰陽師シリーズ、新しい章にはいりました。今度は天狗が出てくる話。
あだし野に眠るもの
 同
八月某日
 少年陰陽師シリーズの作者のデビュー作、「たかむら」という文字が変換できませんが、冥府の官吏小野タカムラ少年の物語です。この人は「少年…」シリーズにも少し出ていて、ものすごく身長が高くて怖い人というイメージがあるのですが、少年時代の話なので、まだまだかわいいです。
鵺子ドリ鳴イタ5
 霜島ケイ作
 小学館ルルル文庫
八月三十日
 この本が発売されたのは確か八月一日、発売当初買いにいけなくて、帰省先の岐阜の本屋やコミケで泊まった浜松町の本屋で探したもののみつからず、結局伊賀のいつもの本屋に一冊だけ残っていて無事にゲット出来ました。これほど田舎でよかった…と思ったことはありません。しかもまだ平積みだったよ。
 鵺編はこれでおわり、ラヴです。
朝ごはんの献立
 飯島奈美著
 池田書店
九月一日
 ものすごくおいしそうな朝ごはんの表紙写真に心奪われて図書館で借りた本、目玉焼きとご飯と味噌汁のシンプル普通っぽいメニューなのですが、それだけによけい味の想像が出来ておいしそうです。
 副題は「12のシーンとおいしいごはん」、十二種類の朝食メニューのレシピ集ですが、どれもこれもおいしそう、でも毎日こんなに朝から食べていたら、確実に太りそうです。
ちはやぶる神のめざめの
 結城光流著
 角川ビーンズ文庫
九月一日
 タカムラさんのシリーズ二冊目、ファンの方には怒られそうですが、挿絵がやたらとキラキラしすぎていて、あまり中身にあっていないような気がします。そのうち見慣れれば大丈夫だろうけど。
南の島ぐるぐる
 なかがわみどり・ムラマツエリコ著
 メディアファクトリー
九月一日
 「この人たちの旅行は絶対何か間違っている」と思いつつも今回も新刊を借りてしまいました。今回はバリ島やロンボク島など南の島編です。
 でも高級リゾートはほんのちょっとで、ほとんどは宿に泊まりつつもサバイバルに近いかんじ、そういうのが好きならば仕方がないのですが、本当にほんとうにーーーー、それでいいの?
宿命よりもなお深く
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
九月某日
 シリーズ三作目、タカムラさんは長身という設定なのですが、少年陰陽師の主人公のチビという印象が強くてなんとなくそちらに引きずられます、でも長身で武芸に秀でているのよね。
湖のほとりの小さな町
 シーリア・ウィルキンズ作 土屋京子訳
 福音館
九月八日
 うっかりシリーズの途中から読み始めてしまった児童文学、「大草原の小さな家」のかあさんのモデルの女性の物語で、この本は娘時代、大学に入るために町にやってきたところから始まります。
 しかし、私は実はこの「大草原の…」シリーズがちょっと苦手で、途中まで読んでリタイアしてしまいました。
 でもこの本はさくさく読めたわ。
海賊とウェディング・ベル
 茅田砂胡作
 中央公論新社
九月十二日
 クラッシュ・ブレイズシリーズの続き、しかし今回は海賊と女王の話で金銀コンビは出て来ません。
 毎回思うけれど、このシリーズは口絵漫画がナイス!よくぞここを…という名場面がカラーの漫画で一頁だけ見られます。
うまうまノート
 室井滋著
 講談社
九月十四日
 著者は(私はあまりテレビを見ないのでよく知らないのですが)女優さんと文筆業の二足のわらじをはかれている方です、その人の写真イラスト入りうまいものエッセイなのですが、女優さんならではのネタがあって、それが「ロケ弁」、お仕事時のお弁当なのですがこれがまたすごく豪華でおいしそうだった!
 いつもこんなに豪勢というわけではないようですが、こんなすばらしいお弁当ならば仕事も頑張ろうという気になるのではないでしょうか、やっぱ食は大事だよな。
いっちばん
 畠中恵作
 新潮社
九月十六日
 久しぶりに読んだしゃばけシリーズ、いつもは文庫になってから買っているのですが、図書館にあったのでついつい借りてしまいました。久方ぶりに読むとやっぱりおもしろかったです。
魔法の館にやとわれて
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作
田中薫子訳
 徳間書店
九月十九日
 これもまた久しぶりのクレストマンシーシリーズ、これはクリストファーがまだ少年と青年の真ん中くらいの生意気盛りの時代の出来事で、なんとクリストファーとミリーがかけおち…ではなく家出してしまいます。主人公は彼ではなくコンラッドという少年なのですが、この二人のインパクトが強すぎ、しかも二人とも大魔法使いなのにものすごく苦労しているところがなかなかういういしいです。かといってコンラッドがないがしろにされているわけでもなく、彼は彼で自分の運命を切り開いていきます。おもしろいのですが、やっぱりシリーズの最初から読むのがおすすめです。
トーマの心臓
 森博嗣作
 メディアファクトリー
九月二十一日
 萩尾望都先生の「トーマの心臓」の小説版と一言ではとても言い尽くせないものがあります。普通の漫画のノベライズとは全く違う!
 正直言って「トーマの心臓」は、私にとってよく分からない漫画でした。昔コミックスも持っていたのですが、どこがどうおもしろいのかよく分からない。でもこの小説は分かりやすかった…分かりやすいけれども簡単というわけでもありません、ただ読みやすかったな。
贅沢の条件
 山田登世子著
 岩波新書
九月二十八日
 図書館に行って、後何冊か借りられるのだけれど特にこれというものはない、だけど何かないかなーーと思っていた時目に付いた新刊、贅沢の条件とは何ぞや?と思って読みました。
 著者の言いたいことはよく分かりますが、別にそんなことが聞きたいわけではない。贅沢は心の中にあるものというのはごもっとも、そんなタテマエよりも、より深い本音をえぐるような文章がよみたかった。それに比べると、中村うさぎさんはすごいよ!
風信子の家・桜の園
 篠田真由美作
 東京創元社
十月二日
 建築探偵シリーズに登場する神代教授の事件簿、建築探偵シリーズ自体大変久しぶりなのですが、本編よりもずっとほのぼのとしているような気がするのは教授の人徳のせいかと思われます。
 シリーズでは散々書かれている桜井くんの隠された美貌のことも全く触れてなくていっそ気持ちがいいくらい。教授ではなく友達の小児科医にして民生委員の先生が探偵役をすることがありますが、この方もなかなかに素敵なおじ様です、しょんべんくさい若造と比べてなんてかっこいいことか!
イギリス海賊史 上下
 チャールズ・ジョンソン著
 朝比奈一郎訳
 リブロポート
十月八日
 あまり興味があるとはいえない事項について書かれた本を延々読み続け読破する、これも読書の楽しみのひとつだと思います。イギリスの海賊についてなんてほとんど興味がありません、でも読んでしまいました、けして暇ではなく毎日忙しい方だと思いますが、ちょっとずつあいた隙間の時間を埋めるのにこういう読書って最適じゃあないかしら。
女神のリビドー
 岩井志麻子・中村うさぎ・乙葉
 メディアファクトリー
十月十一日
 2004年に放映された深夜番組「女神の欲望」のトークを本にまとめたもの、この三人がパーソナリティーで毎回ゲスト様がおいでになります、がそのゲスト様が波乱の人生を送っている女性ばかり、もちろんフツーのお堅い人はでてきません。
 一番「スゴイ!」と思ったのは某センセイの愛人を十年やってた女の人。議員先生の愛人というとすごくゴージャスなイメージがありますがセンセイのなんとケチでその人の生活のなんとつつましいことか!それを十年、しかも手切れ金がたったの500万円ぽっち。しかしその人は、捨てられた後きっちり暴露本を世に送り出しております、お見事!これでセンセイの人生も真っ暗ね。
怪談実話 黒い百物語 叫び
 福澤徹三著
 メディアファクトリー
十月十二日
 一つ一つの話は短くてそれほど怖くもないなーー怪談ってこんな感じでしょと思ってさくさく読み始め、読み終わったのが家族が皆寝静まり一人でお風呂に入る前でした…時間配分失敗。ちょうど風呂場の怪談や鏡にうつる怖いものの話を読んだあとだったので、久しぶりに背後や鏡が怖かったです、こういうのってとても新鮮。怖いことは怖いんだけど、今までの人生怪談関連の出来事が一度もないので、きっと怪異は私を避けてあらわれるのでしょう。
パリと南仏ねこ歩き
 池田あきこ著
 MPC株式会社
十月十二日
 先に読んでしまった本が怖かったので、ゲン直しに読んだお気楽ダヤンのスケッチ紀行、もう怪談本のことなんて忘れてぐっすり眠れました。一冊読むとリセットされてしまうようです。
 私は本に興味があって、ダヤングッズには興味がほとんどないのですが、友人の内の何人かはダヤンのグッズが大好きだけど本なんて読んだこともないと以前言っておりました。いいのか?それで。物語を知ってたほうが、ものにも愛着がわくと思うんだけどな。
マリコの食卓
 林真理子著
 ぺんぎん書房
十月十四日
 図書館に一度行くたびに、お料理の本か食べ物に関するエッセイを一冊は借りることにしています、特にものすごく食いしん坊というわけでもないと思うのですが、やっぱり食いしん坊には違いありません、それは認めましょう、認めますとも。
 しかし、著者ほどではないと思うのよ…こんな食べ方していたら太っても仕方ありません。いつも思うけれど、この人とは本当に趣味も考え方も合いません、多分実際会っても友達にはなれないだろうな。でもエッセイはおもしろいです。
身代わり伯爵の告白
 清家未森作
 角川ビーンズ文庫
十月十八日
 身代わり伯爵シリーズの続きです、このシリーズの中で比較的ヘタレの大貴族でお坊ちゃまの主人公ズのパパが、やっと敵地にたどりつきました、ほうほうのていで。次の巻あたりで大活躍してくれないかなーーと期待しております。
祈りの糸をより結べ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
十月二十日
 少年陰陽師シリーズ天狗の話の続きです、まだ続きます。
決定版!名字のヒミツ
 森岡浩著
 朝日新聞出版
十月二十一日
 姓氏研究家の方の渾身の一冊とお見受けしました。世の中にはいろんなことを研究されている方がおいでになるものだなーとものすごく感心しました…。
プリンセス・アカデミー
 シャノン・ヘイル作代田亜香子訳
 小学館
十月二十二日
 プリンセスときてアカデミーときたならば読まなくてはならないでしょう、と思って図書館で借りました。石切り場しかない小さな村の少女達がお妃候補に選ばれて寄宿舎に入り、プリンセスを目指す物語なのですが、予想とは違ってあまり華やかではありません。
 でも女の子どうしの友情とか初恋とか冒険とか危機一髪とかもりだくさんな内容なので、少女向け児童文学が好きならばおもしろいかもしれません。
魔法!魔法!魔法!
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作 野口絵美訳
 徳間書店
十月二十八日
 短編集で全部魔法がらみの話です。読んでいる最中に「作者が訪問者関連で余程ひどい目にあったことがあるんだろーな」とか思っていたのですが、どうやらそのとおりのようです。
六道の辻に鬼の哭く・めぐる時、夢幻の如く
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
十月二十九日
 冥官タカムラさんシリーズの四巻と五巻、続けて読みました。このシリーズがここで終わるのか続くのかどうかは知りませんが、タカムラさんがどんな人生を送り、どんな死に方をするのか気になります。最後がわかっているだけに途中が気になるのよね。
志麻子のしびれフグ日記
 岩井志麻子著
 光文社
十一月十七日
 しばらく冬コミあわせの原稿が忙しくなるので図書館は封印していたのですが、あっさり解禁してしまいました。やはり本がないと隙間の時間が退屈なのよ。そういうわけでこの三冊、ほぼ同時進行で読んでおりました。
 ホラー作家としての著者の本は時々読んでますが、これはお下劣エッセイ、初めて読んだエッセイがシモネタほぼオンリー、文章にすれば書き放題ですが言葉にしてしゃべったらピーピー音の連続だと思われます。お下劣だけど下品ではありません、女性作家のエッセイはきれいごとを書き並べてあるよりもこういうセキララなものの方がおもしろいと思います。あんまりきれいごとばかりだとおもしろくありません。
巴里の空の下オムレツのにおいは流れるレシピ版
 石井好子著
 扶桑社
十一月十七日
 かの有名な同名のエッセイは読んだことがないと思いますが、このレシピ集はいかにもおいしそうです。しかもあまり特別な材料が使ってなくて、普通に料理している人にならば十分作れそう。特にポトフは作ってみたいな、とても簡単な作り方が載ってます。でも実際問題二三時間もなべかけっぱなしでついてなきゃいけないってのは、困るな。
ひとり百物語・怪談実話集
 立原透耶著
十一月十七日
 この本を一冊まるまる集中して読むのが怖かったので、三冊同時進行で読んでいたと白状してしまいましょう。でもあまりにも個人的な怪談、ほとんどこの人とその周りに起こったことばかりだったので、かえってあまり怖くありませんでした。でも百話目を読むときは真夜中にならないよう、お昼の真ん中に読むように気をつけました。
魔女の宅急便 その6それぞれの旅立ち
 角野栄子作
 福音館
十一月二十一日
 魔女の宅急便シリーズもとうとう最終巻、感無量であります。
 主人公のキキもとうとうお母さんになっていて、その子供たち(すでにかわいい時期をすぎていてなんと思春期!)の物語が中心になっています。ざっと読み流すのではなく、かみしめてかみしめて読みたい本です。
Another
 綾辻行人作
 角川書店
十一月二十三日
 この原稿の忙しい時に原稿ではなく読書で夜なべしてしまいました、ああおもしろかった…。
 ホラーとミステリの融合したような物語ですが、それよりも青春小説の印象が強いです。中学生の少年と少女
ボーイミーツアガール、あわい初恋、いいですなあ…はこの際横においておくとして、球体関節人形がモチーフの一つになっています。これがまた私の愛するKATANDOLLがモデルなんじゃないかと思うほど描写が似ているのですがそれも横においておいて、その年の「現象」をとめることは出来ても結局根本的なところは解決できず、ミステリーではなくホラーだったんだなーーと思いました。ミステリー的な解決を望む人にはちょっと物足りないかもしれません。
学校の七不思議ともからめて謎解きとかあるともっとおもしろかったのに。
 
逆転のクレヴァス
 茅田砂胡作
 中央公論新社
十一月三十日
 クラッシュ・ブレイズシリーズの何冊目か、今回は誘拐騒動だった。
欲に咲く女、欲に枯れる女
 岩井志麻子著
 イースト・プレス
十二月一日
 多分またすさまじくお下劣で下世話な話ばかりだろうから借りるのやめとけよ自分、とか思いながらも借りて読んでしまいました…でも人間はお上品で優しく心身ともに美しい人々ばかりでないのもまた真実、むしろ下品で下世話な物事の中にこそ人の生き様というものがあらわれるのではないか…とも思います。
お菓子手帖
 長野まゆみ著
 河出書房新社
十二月某日
 著者が生まれてから(その前の時代も少々)作家としてデビューするまでのお菓子にまつわる思い出をつらつらと書いたエッセイ(?)、自分と時代がだいたい重なるので、ああこういうのもあったなと楽しめます。
 でもどうせならば、現在まで連綿と続くお菓子道を語って欲しかったな、そこがちょっと物足りないような気がします。
「女装と男装」の文化史
 佐伯順子著
 講談社選書メチエ
十二月二十五日
 この十二月は忙しかった…オフセット本の入稿前よりも忙しかった…三月の企画本とコンサートレポートの実録漫画を描いてから冬コミあわせのコピー本の原稿にとりかかってました。おかげで十一月よりも余程本を読む時間がとれず、明日から帰省するので今年一年の本はこれで終わりだと思います。
 で、異性装とジェンダーにかかわるいろいろなことが書いてあったこの本、古今東西のいろんな例が分かりやすくおもしろかったのですが、決着のつくような問いかけでもないですな。


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