2010年の読書日記

書名・作者・出版社 内容・感想など 星いくつ?
新・特捜司法官S-A 9
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
一月七日
 今年も一年の最初の読書がライトノベルでした…別にライトノベルも好きだから別にいいのですが、年の初めにふさわしい一冊かどうかというと、ちょっと疑問。
彩雲国物語・暗き黄昏の宮
 雪乃紗衣作
 角川ビーンズ文庫
一月十日
 絶対間に一冊抜けているような気がします。いつのまにかお父様が大出世!
 最終章突入ということで、文章の密度が高くてなかなかに魅力的です。
世界の民話館
 人魚の本
 魔女の本
 ルース・マニング=サンダース著 西本鶏介訳
 ブッキング
一月二十三日
 年末から図書館で借りて読みきれずに返してまた借りて読んだ本、児童書なので読み始めればそんなに時間はかからないはずなのだけれど、あんまりにも忙しくて読みきるまで結構かかりました。しかし短い話がたくさん入っているので細切れ読書には向いているかもしれません。
 ちなみにこの本は民話です、昔話でもなく小説でもなく伝説でもなく童話でもなく民話、昔からある地方に伝わっている話に作者の創作を加えたものが民話なのかなーーと思いますがいかがなものでしょうか。民話の立つ位置は微妙だと思います。
旧怪談・耳袋より
 京極夏彦作
 メディアファクトリー
一月二十六日
 図書館の児童書の怖い本のコーナーにありました、字は大きいしかなはふってあるのだけれど、果たして子供に読めるのかしら、読んで欲しいなーーと思います。
 そんじょそこらの子供向きの怪談とは一味違う、余り怖くはないけれどこわーーい話がたくさん入っております。京極氏の本のなかでも読みやすい部類に入るかも。
☆☆☆
少女が知ってはならないこと
 片木智年著
 PHP研究所
二月五日
 アダムとイブの昔から、女性の好奇心はろくでもない結果になるといわれております。確かに何も知らず何も考えず男(父とか夫とか)に従う女はどれほど扱いやすいことでしょうか。
 洗濯女やオンディーヌなど、扱われているテーマは大変魅力的、でももう少しそれぞれを掘り下げてもらいたかったなーーと思います。
世界の民話館
 魔法使いの本
二月八日 
 ルース・サンダースの民話の本、今度は魔法使いのお話です。
 「アラジンと魔法のランプ」なんかもはいっていましたが、幼児向けの童話とは一味違っておりました。でも人魚とか魔女ほど萌えがないな。
神々の午睡
 あさのあつこ作
 学研
二月十日
 あさのあつこさんの本は初めて読みました、大変に読みやすかったです。アニメディアに連載されていた話で挿絵がCLAMPさんなので、これから読書をはじめようとする中学生くらいにはもってこいかもしれません。ただいいかげんひねた大人には少々ものたりないかも、他の本も読んで見ないとな!
水の女 
 河出書房出版・トレヴィル
二月十二日
 六日に東京のBUNKAMURAミュージアムで「愛のヴィクトリアン・ジュエリー展」を観に行きました、そのミュージアムショップで運悪く見つけてしまった画集。水に関わる絵画を集めてあるのですが、私の好きなシャロットの女とかオフェーリアとかがてんこもりでありました、これは買わねばなりますまい…。
 しかもトレヴィルだし。しかしトレヴィル出版の本の装丁は、一時よりもずいぶん地味でチープになってしまったような気がします。もっとお値段があがってもいいから、すさまじくすばらしい装丁を望みます。
お弁当いただきます!
 平野恵理子著
 誠文堂新光社
二月十六日
 なにげなく借りた本だったけれど意外とおもしろく魅力的な本でした。著者のお弁当に関する想いがつづられたエッセイ、私は毎日子供のために幼稚園弁当を作っているのですが、誰かのためにお弁当を作るということは実はかなり幸せなことなのではないかと気付かせてくれました。まあ、面倒くさいことにはかわりないんだけど。
怪談
 小池壮彦作
 INFASパブリケーションズ
二月十九日
 今まで読んだ中でもかなり怖い部類に入る怪談集です。どのくらい怖いかというと、夜寝る前に口直し(?)に違う本を少しでも読んでおこうと思うくらい。続けて読んでいるとわけもなくぞーーーっとしてくるようなナイス(?)な本でありました。
 どちらかというと、完璧に物語として整っている話ではなく「怪談未満」の「実話」の方が、オチがついてないだけに怖いです。
☆☆
新・魔女図鑑
 角野栄子作・下田智美絵
 ブロンズ新社
二月二十三日
 角野さんだし挿絵もかわいいからちょっと読んでみようと思って児童書の棚から借りた本。魔女の歴史や役割が女の子向けに書いてあって、実際かわいい本でした。
 それよりも同じ棚においてあったおまじないや占いの本をぱらぱらっと見てみて、なんというか目が点になりました。
女という病
 中村うさぎ著
 新潮社
二月二十五日
 最近起こった女性がらみの事件を作者の視点で解釈する…という大変悪趣味ですがおもしろい本でした。半分は起こってしまった事実、半分は著者の推測なのですが、はっきりいってかなりえぐいです。
ももんがあ対見越入道
 アダム・カバット著
 講談社
二月二十六日
 タイトルにひかれて手に取った本、図版が一杯で分かり易くおもしろい本ですが、これを読んでいるとポチが寄ってきて妖怪の絵を見たがるのには驚きました。
 また図書館に行った時に子供向けの妖怪の本を借りてきたらかぶりつき、すごく好きみたいです。
ブスの壁
 高須克弥著。西原理恵子絵
 新潮社
二月二十七日
 何が書いてあるのかよくは分からなかったのですがものすごく勢いと説得力があって、この人に「かくかくしかじかで整形しなさい」とか言われたら思わず「はい」と言ってしまいそうです、西原さんのカットとあいまってすごい迫力でした。
キャットと魔法の卵
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作・田中薫子訳
 徳間書店
三月三日
 クレストマンシーシリーズのキャットの物語です、もちろんクレストマンシーも出てくるのですが、登場のたびに本筋にはなんの関係もない御召し物の描写がいちいちなされているのが素敵です。
 お話自体も大変におもしろい!久しぶりにゆっくり本を楽しんだようなかんじがします。
☆☆☆
南極(人)
 京極夏彦作
 集英社
三月十一日
 久しぶりに読んだ京極作品がこれかと思うと思わずがっくりしてしまう、全編ギャグ小説です。いにしえの「どすこい(仮)」のようなかんじ…もっとすさまじいですが。
 実は平成版中禅寺秋彦氏がちょっとだけ登場し、物語のおいしいところをかっさらって去っていきます、素敵すぎます、それだけでもこのぶあつい本を読みきった甲斐があるってものです。
トロイアの黒い船団
 ローズマリ・サトクリフ作・山本史郎訳
 原書房
三月十七日
 最近一人でゆっくり図書館に行けるようになったので(幼稚園のお迎え前に自転車でダッシュ)普段見ない棚をぶらぶら見ていたら見つけた本、久しぶりのサトクリフです。一時凝ったことがあったのでもしかしたらこれも既読済みかもしれませんがおもしろく読めました。
 少し前にちょっとだけテニスンの詩集を読んでいて、そこに「オイノネ」というニンフ(パリスのもと妻)の詩が載っていて、行く末が気になっていたのですがまさにどんぴしゃり、書いてありました。
幽談
 京極夏彦作
 メディアファクトリー
三月十八日
 南極と比べるとなんとまともな本のことか、でもまともすぎてほんの少々、退屈に感じてしまいました。
 でもおもしろい本、特に「十万年」と「こわいもの」という話が好きです。
デモナータ9幕・暗黒のよび声
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
三月二十日
 本屋でずいぶん前に出ているのを見つけて、早く図書館にはいらないかなーーと待っていたこの一冊、あいかわらず急展開の落ちっぱなしの救いのないことについては比類のないほどすばらしい物語でありました。あと一冊でおしまいだそうです、どうやって終わるんだろう…ハッピーエンドは無理じゃないかと思うのですが、どんな悲惨な話でもこの作者ならば大団円にもっていきそうなところがすごいです。
翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった
 金原瑞人著
 牧野出版
三月二十四日
 図書館でなにげなく借りて読んだら案外おもしろかった本、この方の翻訳された本は何冊かは読んだことがあります、それも児童文学ばかり。確かに読んだはずなのにあまり覚えていなかったりするのはおいといて。
 翻訳という職業って、大変なんだなーーー、楽な仕事はないですね。
ヴィクトリア朝のアリスたち
 高橋康也著
 新書館
四月七日
 私にとっては大変に懐かしい本です、大昔岐阜の市立図書館の加納分館で同じ本を読んだことがありました。加納分館は今はなくて、そこに通っていたのは結婚する前までだったので十五年から二十年前くらいになるでしょうか。でもそんな昔の本には見えないんだけどなーーと思って奥付を見たら「新版」となっておりました、なるほど。
 ルイス・キャロルが知り合いの少女達を撮った写真集です、もうそれだけで飛びつく価値がありますが、少女服等々の資料としても使えます。この本欲しいです。
☆☆☆
シング・ソング童謡集
 クリスティーナ・ロセッティ作
 安藤幸江訳
 文芸社
四月七日
 実はこの本の復刻版原版をもっております、もってはいるのだけれど英語なので全然読めませんでした、でもこの本で日本語訳がわかって大変に助かりました。そうかーーこういう内容だったのかーー、長年の謎が氷解しました。
 いわゆるナースリーライムです、しかしなかなかにブラックで素晴らしい。
☆☆
レッドデータガール2・はじめてのお化粧
 荻原規子作
 角川書店
四月九日
 一巻の「はじめてのお使い」を読んだのはずいぶん前のこと、新聞の広告か書評で二巻が出たことを知ってから図書館で探しておりましたところ、今回無事見つけられました、よかったよかった。
 陰謀渦巻く青春小説、それでも主人公の泉水子がヘタレなりにだんだん成長していく様が応援したくなります。今回は自動券売機で切符を買って自動改札を通るのに成功、がんばれーーー。
異界からのサイン
 松谷みよ子著
 筑摩書房
四月十日
 松谷みよ子さんは、小学生の頃よく読んだ作家さんです。当時は民話も好きだったけれど、一番何回も繰り返して読んだのは「死の国からのバトン」でした。第二水俣病と一揆で死んだ少年とが主人公にかかわってくるちょっと不思議な話、今でも忘れられないくらい印象深いです。
 それでこっちは、最近よく読んでいる実話系の怖い話集なのですが、他の作家さんの本と比べると語り口が優しくて、かなり怖い話でもそんなに怖くなくなっています。
夜のピクニック
 恩田陸
 新潮社
四月十四日
 青春小説だとは聞いていましたがあまりにも青春小説なので読んでいて頭がくらくらしてきました。何も事件はおきません、高校の行事でまる一昼夜歩くだけ、こういう本を読んだのはすごく久しぶりのような気がします。ああ青春だねえ、見ちゃ(読んじゃ)いられないよ全くと思いつつ全部読みました。
しばわんこの今日は佳き日
 川浦良枝・絵と文
 白泉社
四月十八日
 ものすごく久しぶりに読んだしばわんこシリーズ、柴犬のしばわんこと三毛猫のみけにゃんこが日本の伝統文化等々を説明するシリーズの絵本なのですが、あいかわらずかわいかったです。
 柴犬は、背中側が茶色くて腹側が白いのがなんとも愛らしいと思います。足のつけねのふわふわした毛の描き方が好きだなーー。
まんまこと
 畠中恵
 文藝春秋
四月十九日
 しゃばけシリーズ以外の作者の本を初めて読みました。こっちもシリーズものらしく(うっかり途中から読んでしまったようです)、しかもしゃばけ同様時代は江戸なのですが、妖怪がわきゃわきゃ出てこなくて主人公がことあるごとに寝込んでないぶん話のすすみ方が若干スピーディのような気がします。
後ろはマのつく石の壁!
 蕎林知作
 角川ビーンズ文庫
四月二十二日
 マ王シリーズの続きです、やっと監獄から抜け出せました。
身代わり伯爵の誓約
 清家未森作
 角川ビーンズ文庫
四月二十四日
 身代わり伯爵シリーズの続きです、やっとプロポーズが成立しました、やれやれ。
 しかしまだまだ火種はありそうです。
イギリス祭事カレンダー・歴史の今を歩く
 宮北惠子・平林美都子著
 彩流社
四月二十五日
 可も不可もないごく普通の文章だけれど、今のイギリスにこんなお祭りがあってその起源はこんなふうなのか、へーーと思いながら読むのにはちょうどいい本。いろんなお祭りをまんべんなく紹介しています。
雨月物語
 岩井志麻子作
 光文社
四月二十七日
 上田秋成の雨月物語の志麻子ちゃん版、こぶしがきいておりますがそんなに怖くなくさくっと読めました。
水木しげると行く妖怪極楽探検隊
 荒俣宏著
 角川書店
四月二十七日
 また変な本を読んでしまった…荒俣氏が水木大先生と一緒に世界各地に妖怪探しの旅に出かけます、その報告の本です。絶対同行なんてしたくありません、いろんな意味で。
食べ物連載 くいいじ下巻
 安野モヨコ著
 文藝春秋
 
四月二十八日
 下巻しか見つからなかったのがしみじみ残念、また図書館で探します。
 漫画家の安野モヨコさんの食べ物に関するエッセイ、文章はどうかなーーと思ったけれどそんじょそこらのエッセイストに負けないくらい達者な文章でありました。漫画家さんなだけに挿絵がウマイ、食べ物をおいしそうに描ける人は尊敬に値すると思います。
すすれ!麺の甲子園
 椎名誠著
 新潮社
五月1日
 食べ物関連の本ばかり読んでいました、このほかにもお料理の本も一冊。実はこのところ胃の調子が今一で食前に胃薬なんか飲んでいるのですが、こういう時に限って食べ物本を読んでしまう自分はどこまで食い意地がはった人間なのか…人間って奥深いな。
 それはそうとしてこの本は全国各地のおいしい麺を店ごとにエントリーして麺の甲子園をおこなうという意味不明な戦いの記録です、しみじみと不毛だと思いました。しかし名古屋の名店の味噌煮込みが一食二千円オーバーは高すぎるのではないかという事に関しては同意できます。あと名古屋の喫茶店モーニングの番付本があるとかちょっと書いてありましたが、それは読んでみたいかも。
こいしり
 畠中恵作
 文藝春秋
五月四日
 「まんまこと」のそのまんま続編です、「しゃばけ」シリーズよりも色恋ざたが多いのが特徴でしょうか。色恋といってもかわいくてほのぼのした話ばかりです。
パンダの飼い方
 白輪剛史著
 PHP研究所
五月五日
 適当に借りた本ですが結構おもしろかったです。パンダやチーターなどののけものを自宅で飼えるかどうか真面目に考察して、無理なものは無理とはっきり言っています。
 著者は動物商なのだそうですが、きれいごとを連ねた環境保護の本より説得力があっていいです。
床下の小人たち
 メアリー・ノートン作 林容吉訳
 岩波少年文庫
五月八日
 今度ジブリで映画化される「借り暮らしのアリエッティ」の原作です、アニメ化が決まってから一度読んでみようと思ったのだけれど、よくこの時期に図書館にあったものです。
 おもしろいけれど、子供のときに読んでおくべきだった!
神、人を喰う・人身御供の民俗学
 六車由美著
 新曜社
五月十一日
 ずっと前に一度読んでみようと思って挫折したのか読みきったのかは忘れましたが、とにかく今回は読みきりました。ショッキングで興味深いタイトルとはえらはらに、真面目で慎重な民俗学(?)の本です。まずは人身御供なんてなかったんじゃないかなーーという方向で話をすすめてます。
セックス放浪記
 中村うさぎ著
 新潮社
五月十二日
 正直、ここまでして自分探しをしなくてもいいんじゃないかなーーと思いました。自分が何者であっても何者でもなくてもどうってことないと思うけどな。
地獄の英雄たち
 ダレン・シャン作 橋本恵訳
 小学館
五月十三日
 デモナータシリーズの十巻目、悲惨の上に悲惨、裏切りの上に裏切りを重ねたこのシリーズもようやく終わりました。ネタバレになるので細かいところは書きませんが、ダレンシリーズと違って萌キャラがいなかったので、いくら話が血まみれでも淡々と読めたような気がします。結局のところ悪魔との戦いには敗れ人類は滅びてしまうのですが、まさか本当に人間側の登場人物総てが皆殺しになるとは!いっそ気持ちいいくらいの殺しっぷりでした。
 しかし、それでも力技でハッピーエンドに持っていくところは作者ならでは。
 ロード・ロスのための物語でしたね。
乙女の花束
 折原みと作
 ポプラ社
五月十四日
 装丁はなかなかにかわいらしい本です、名門女学校を舞台にした姉妹ものといういにしえの少女小説のような物語にはなっているのですが残念ながら格調が足りない!少女向けならばこのくらいでもいいのだろうけれど、大人が読むとすれば話の深みも文体も今一歩、だと思います。
彩雲国物語・蒼き迷宮の巫女
 雪乃紗衣作
 角川ビーンズ文庫
五月十五日
 彩雲国物語シリーズの続きです、ライトノベルの中ではかなりレベルが高いシリーズではないかと思います。
少年陰陽師
 千尋の渦を押し流せ・まだらの印を削ぎ落とせ
 結城光流作
 角川ビーンズ文庫
五月十六日
 二冊まとめて読みました、これで天狗の話はおしまい。
野に出た小人たち・川をくだる小人たち
 メアリー・ノートン作・林容吉訳
 岩波少年文庫
五月二十一日
 このシリーズはまだ続いてます、一気に読みたかったけれど、図書館にはそろってませんでした。それはおいといて、このシリーズのどこがおもしろいかというと、小人が何の不思議な力(魔法とか)も持ってなくて、人間から借りたものを中心に人間のような暮らしをしているところではないかと思います。
ターシャ・テューダー最後のことば
 ターシャ・テューダー
 白泉社
五月二十七日
 2008年に亡くなったターシャのインタビュー集。
BとIとRとD
 酒井駒子作
 白泉社
五月二十七日
 小さな女の子の物語、小さな女の子ってすぐにいなくなってしまって、いなくなるともうどこにもいないものなのね、といつも思います、うちの娘を見ていると。
監察医が明かす女だけの死体ファイル
 上野正彦著
 青春出版社
六月一日
 図書館の普段見ない棚を見ていると、時々おもしろい本が見つかります。おもしろいけれどやはりちょっと悪趣味かも。
 女だらけの事件ファイル、昔よりも女性の凶悪犯が増えているそうです。というか、犯罪自体が変容しているようです。
図説・ヨーロッパ服飾史
 徳井淑子著
 河出書房新社
六月三日
 同じシリーズに「英国貴族の暮らし」とか「ヴィクトリア朝百科事典」とかあって、是非読みたいです。
特捜司法官S-A
10 10
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
六月六日
 シリーズ全巻、人に借りて読み通しました。
 いやはやきれいに終わりました、続きが出るといいな。
空をとぶ小人たち・小人たちの新しい家
 メアリー・ノートン作・林容吉・猪熊葉子訳
 岩波少年文庫
六月十一日
 小人たちシリーズはこれで全巻、「空をとぶ」から「新しい家」が書かれるまでには二十一年の月日が流れています、だから訳者も違うのでしょう。
 「空をとぶ」の方は、気球に関する説明が多すぎてあまりおもしろいとは思わなかったけれど、「新しい家」の方はばっちりおもしろかったです。イギリスの古い屋敷には幽霊がつきものですが、本筋とはあまり関係のないところで三人ものゴーストが出ていて、そこがよかったな。
ベトナムぐるぐる
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 JTB
六月十三日
 実録ベトナム旅行記ですが、本の内容の八割くらいがベトナムとベトナム人に対する怒りで満ちているような気がします、いわく人々は旅行者に対していじわるでずるくて汚くて、国も暑くて不潔でろくなもんじゃないと、残りの二割くらいはいいところもあると書いてありますが、もうマイナスイメージの方が強いこと強いこと。よっぽど腹に据えかねたのではないでしょうか、旅行記としてはいっそ正直でおもしろいですが、珍しいですな。
世界悪女大全
 桐生操著
 文藝春秋
六月十四日
 副題は「淫乱で残虐で強欲な美人たち」です。歴史上のいろんな悪女についての説明で、読んでいるとワイドショーを見ているかのようなしょうもない気分になってきます、でも読んじゃう自分がちょっと嫌。
 この人のこういう本は確かにおもしろいし、豆知識としては役にもたつかもしれませんが、文章に深みも品位もないなと思います。
ロンドン塔と英国王室の九百年
 出口保夫著
 柏書房
六月十七日
 適当に借りてなんとなーーく読み始めたにもかかわらず、結構一気に読んでしまいました。ロンドン塔に関わる歴史と人々について900年分だーーーーーっと書いてあります。一つ一つの出来事についての記述は長くはないですがそれなりに魅力的で分かりやすいです。
母親は兵士になった
 高倉基也著
 NHK出版
六月十八日
 副題は「アメリカ社会の闇」でした、イラク戦争に行った女性兵士のその後のレポートです。やはりPTSDの嵐でしたが、女性兵士と言ってもいわば職業銀人と州兵(災害救助等で働く非常勤兵士)とではあらかじめ考え方も能力も違いがあるので、州兵のイラク派遣にそもそもの問題があったような気がします。
迷宮レストラン
 河合真理著
 NHK出版
六月十八日
 副題は「クレオパトラから樋口一葉まで」です。料理研究家の著者が歴史上の偉人達の時代の食材と料理法で、その人の好物(推定)のフルコースを作ります、一部のレシピと写真つき。
 主旨は大変おもしろいと思うのですが、実はあまりおもしろくありませんでした…。
西のはての年代記1 ギフト
 ル・グウィン作
 谷垣暁美訳
 河出書房出版社
六月二十二日
 ル・グウィンの新作です、さすがに物語の格が違う!ちょっとやそっとの物語作家さんでは太刀打ち出来ないなーーと思いました。
 ゲド同様一人の少年の成長物語ではありますが、続きが大変楽しみです。
☆☆☆
オディールの騎士
 茅田砂胡作
 中央公論新社
六月二十六日
 クラッシュ・ブレイズシリーズの最新刊にして、最終巻でした。話はあいかわらず元気も景気もよくてどたばたと楽しかったのですが、いかにも物語の途中で終わってしまう様なのがとても残念です。
トレイシー・日本兵捕虜秘密尋問所
 中田整一著
 講談社
六月二十八日
 確か新聞の書評で見て図書館で本を見つけて、おもしろそうだとは思ったけれど忙しいこの時期に読みきれるだろうかと思いながら読み始めたら、おもしろくて一気に読んでしまった本です。
 おもしろいと言ったら不謹慎な内容です、第二次大戦中世界各地でアメリカ軍の捕虜になった日本兵たちの中から重要な情報を持っている者を集めて、アメリカのとある場所に捕虜尋問所が作られました。そこはジュネーブ条約遵守の人道的な場所でしたが、いたるところに捕虜の会話を収録する盗聴器がしかけられ、尋問や日本語の専門家達が戦略上有効な情報をひきだし分析しておりました。
 そういう真面目な内容なのですが、いかに戦前の軍人や政治家、そして今の厚生省があほんだらのすっとこどっこいなのかもあますところなく書いてあります。
ボクは坊さん
 白川密成著
 ミシマ社
六月三十日
 これもたしか新聞の書評でちらっと見たような気がします。若い坊さんが祖父のお寺をついで一人前のお坊さんになっていく成長実録エッセイなのですが、それだけではなくお釈迦様やお経の教えをいかに人生に取り入れることが出来るかを出来る範囲で真面目に考えているスーパーポジティブな本でもあります。
ロコ!思うままに
 大槻ケンジ作
 光文社
七月四日
 変な短編ばかりぽこぽこと入っておりますが、実は私は筋肉少女帯の曲は、結構好きなのでございます。原稿が行き詰った時なんかBGMを筋少に変えると、あら不思議やる気が出てくるではありませんか。
 あの曲はこんなモチーフから出来ているのね、とかこんなことを考えていたんだーーとか思いながら読んでましたが、やっぱり変、そして少々悪趣味です。
西のはての年代記2 ヴォイス
 ル・グウィン作
 谷垣暁美訳
 河出書房新社
 
七月七日
 図書館で続きを借りてきました…やっぱりおもしろかったです。
 「ギフト」から二十数年の時が流れ、かつての少年は吟遊詩人になり今度の主人公の少女の住む町にやってきます。その町は少女の生まれる前に外国の軍隊に占領されていて…というのが物語の始まりです。
☆☆
西のはての年代記3 パワー
 同
七月十三日
 さらに続きを借りてきました、これでおしまいだそうです。
 今度はまた別の街の奴隷の少年の物語、ギフトとヴォイスに出てきた主人公達も最後に全員そろってハッピーエンドです。大変おもしろかったのですが、一冊目が一番インパクトがあったような気がします。
アフターマン
 ドゥーガル・ディクソン著・今泉吉典監訳
 ダイヤモンド社
七月十九日
 副題は「人類滅亡後の地球を支配する動物世界」です。ちょっとおもしろそうかなーーと思って図書館で借りたのですが、正直いまいちでした。大昔読んだ「絶滅しなかった(もしもの)恐竜図鑑」みたいな本の方がおもしろかったな、主旨は全然違いますが…。
 人類が滅んだ後、動物がどういう進化をとげたとしても、それを見ることも出来ないのでは人間にとっては意味がない、というかおもしろくないです。
神待ちの少女
 黒羽幸宏著
 双葉社
七月二十四日
 あまり時間もなくて適当に図書館で借りた本ですが、興味深い(?)内容でした。「神待ち」というのは、家出したりなんらかの事情で家にいられない少女が、携帯電話を頼りに無償でご飯を食べさせてくれて寝る場所を提供してくれる男性(神)を待っている状態を言うそうです。
 もちろんそんなキトクな男がいるわけなくて、それなりの行為を要求される場合がほとんどだそうですが、言葉自体はじめて聞きました。
 著者は週間プレイボーイのライター、仕事がらアンダーな世界のことは知り尽くしているようですが、それでも真摯に取材しているところが好印象です。
☆☆
ひとくちの甘能
 酒井順子著
 角川書店
七月二十七日
 写真がとにかくおいしそうで借りた甘味エッセイ、さくさくっと読めました。
りこうすぎた王子
 アンドリュー・ラング作・福本友美子訳
 岩波少年文庫
七月二十七日
 岩波少年文庫の新刊、大昔出ていた本の訳しなおしですが、かなりおもしろいお話でした。
 王子様とお姫様の出てくる御伽噺にはセオリーとかお約束とかがありますが、そういうものすべてを逆手にとった痛快な物語。王子様が全然こりていないところがすばらしい。
ヴェルサイユ宮殿に暮らす
 ウィリアム・リッチー・ニュートン著・北浦春香訳
 白水社
八月二十五日
 ほぼ一月の間、全く読書の余裕などありませんでした。夏休み恐るべし。
 それはおいといて、この本の副題は「優雅で悲惨な宮廷生活」です、なんとなく図書館で借りてみたのですが意外とおもしろい内容でした。ヴェルサイユ宮殿には実はトイレがなかったとか、当時のフランス人は風呂になど入らない!とかいろんな予備知識はありましたが、ヴェルサイユで暮らすということは本当に大変だったとよーーーく分かりました。
 ヴェルサイユには観光で一回だけ行ったことがあるのですが、鏡の廊下とか主だった場所をちょっと回った程度でゆっくり見てなどいられませんでした。人の住んでいる宮殿ではないので今は洗濯場に困るとかそういうことはないでしょうが、よく暮らしていられたな当時の皆様。
戦艦大和の台所
 高森直史著
 光人社
八月二十六日
 副題は「海軍食グルメ・アラカルト」、これもなんとなーーく借りた本でした。大日本帝国海軍華やかなりし頃、昭和十三年くらいまでは海軍の船の上で出されるご飯は意外とおいしそうでした。オムライスとかカレーライスとかのいわゆる海軍グルメなどで、今となっては町おこしに使われていたりもいたします。
 海軍は英国を規範にしていたのに、食事だけはフランスを手本にしていたとか、四方山話がたくさん入っています。
小説こちら葛飾区亀有公園前派出所
 原作秋本治・監修日本推理作家協会
八月二十七日
 そうそうたるメンバーによるこち亀アンソロジー、推理小説版です。まずはなによりも、こんなにたくさんの作家に愛されるこち亀という作品に乾杯!
 企画自体がお遊びなので、気楽に楽しんで読めますが、京極氏の作品が再録だったのは残念。
ふたりのプリンセス
 シャノン・ヘイル作・代田亜香子訳
 小学館
 
八月三十日
 父王に逆らった姫君が侍女とともに七年間石の塔に閉じ込められる、というモチーフはグリム童話にもありますが、この物語の主人公は侍女の方です。七年間も塔にいられるわけもなく自力脱出、廃墟となった国を抜け出して婚約者の王子の国へ、そこで台所の下働きとして雇われて…と書き出すと昔話のパターンどうりですが、そういうわけではありません。前作のプリンセス・アカデミーもそうでしたが、お姫様を扱っている物語なのにぜんぜんそうじゃないところが魅力です。
皇太子婚約解消事件
 浅見雅男著
 角川書店
九月八日
 大正天皇のお妃選びのてんまつが丁寧に説明されてます。もう少し写真資料が入っているともっとよかったかも。 
披露宴司会者は見た!
 石川楽子著
 講談社
九月九日
 文章の上手さとかそんなものよりも、迫力で読ませる本でした…。
 自分の結婚式の時、嘘八百を並べ立てられて結婚式の間中いろいろと不愉快だったことが思い出されます、あれは誰の差し金だったのかしら?
ちんぷんかん
 畠中恵作
 新潮社
九月十日
 しゃばけシリーズでまだ読んでなかった本、とうとう兄さんが結婚してしまいます、若旦那の嘆きと悲しみはいかばかりか!はかりしれませんが、そこんとこは純文学ほのぼのお江戸妖怪ミステリーだから、変な方向にいかなくて安心安全です。
空想科学読本9
 柳田理科雄著
 メディアファクトリー
九月十五日
 9は旧につながるのだそうです、発行されて間もない本なのですが、ネタがマイナーかつ古すぎて三分の二くらいまでしかわかりません。
 あまりにもくだらなくありえない漫画やアニメの内容を科学的に解き明かしてみたら、もっとくだらないということが分かる本、くだらなすぎていっそおもしろいです。
アコギなのかリッパなのか
 畠中恵作
 実業之日本社
九月十七日
 主人公は扶養家族をかかえた勤労学生、職種は事務員、場所はもと大物国会議員の個人的オフィス、起こる事件は人情ご町内もの等舞台装置は珍しいしけしておもしろくないわけではありませんが、やっぱりしゃばけシリーズの方がよりおもしろいと思います。
くいいじ 上巻
 安野モヨコ著
 文藝春秋
九月二十日
 前に下巻を読んで上巻も読みたいと図書館に行くたびに探していた本がやっと見つかりました、あいかわらずおいしそうです。料理も上手そうだし、あるものでぱぱっと作ってしまうところが素晴らしい、私もやるけど。
アヒル飼いになる
 アヒル好き編集部編
 誠文堂新光社
九月二十三日
 特にアヒル好きなわけではないし飼うつもりも毛頭ありませんが、あまりにもかわいい、かわいくて鼻血がでそうな本でした…。
レッドテータガール3 夏休みの過ごしかた
 荻原規子作
 角川書店
九月二十四日
 RDGも三冊目になりました、主人公の泉水子もちょっとは世間というものに慣れてきたようです。
 今度は学園祭ネタ、青春小説でありながら霊能力バトルなんてまるでライトノベルのような設定ではありますが、薄っぺらにならないところが流石。
婚活現象の社会学
 山田昌弘編著
 東洋経済新報社
九月二十八日
 最近友人のサークルのお見合い本に参加したので、「今時の婚活と私の認識にどのくらいずれがあるものだろうか」と思って読んで見ました。結論、認識はほとんどずれてません、むしろ私が実際にお見合いしていた十数年前より、今の方が考え方が近い!と思いました。
 現在婚活中の女性でなかなか結婚に結びつかないのは、女性の高望みが原因だそうです。専業主婦志向も多いそうですが、のんびり主婦が出来るような年収のある男性はほとんどいないのが実情、共働きで支えあう夫婦関係を築くことを目標にせねば!という主旨でしたが、未婚率が高いのは、それ以前の意識の問題だと思うな。
遠野物語と怪談の時代
 東雅夫著
 角川選書
十月七日
 遠野物語は民俗学の本と言われることが多いけれど、立派な怪談なんだよーーと著者は言っています、けれどそんなことは私にとっては比較的どうでもよくて、この本のおもしろいところはずばりBLの一ジャンルでもある「文士萌え」のススメになってしまっているところだと思います。
 著者はもちろんそんなことを考えてもいないだろうと思いますが、この腐った目で見るともう駄目。
 ところどころに挿入されている怪談実話も趣があっておもしろく美しい、腐ったご婦人向けの一冊です。
八月の暑さのなかで・ホラー短編集
 金原瑞人編訳
 岩波少年文庫
十月十日
 金原氏自らが選んで訳しなおしたホラーアンソロジー、十八世紀から現代の英米ホラー作家の短編のうち、どちらかというとあまり有名でない作品が選ばれていますがおもしろい本です。
 中学生以上が対象となってますが、そのくらいの年齢の皆様にどこが怖いのかよーく考えていただきたいものです。
イギリスのリバティ手帖
 ピエ・ブックス
十月十一日
 リバティプリントはイギリスのリバティ社の綿プリントです、細かい植物の模様が中心ですがそのほかにもいろいろあります。プリントも美しいですがこの本の作りもなかなかかわいくて、リバティプリントの布地を売っている店に行きたくなってしまいます。でもこの布結構高いんだよね…。へっぽこ手芸にはもったいないので、いつかお裁縫がもっと上手になったら、手に入れて何か作りたいものです。でもいつのことよ…
御巣鷹山と生きる
 美谷島邦子著
 新潮社
十月十四日
 副題は「日航機墜落事故遺族の25年」、当時九歳の男の子を亡くされた連絡会事務局長の方の手記です。あまりにも悲しくて読むのがつらかったので途中でやめようと思いましたが、それではいけないと思って読みました。
怪談之怪之怪談
 怪談之怪編
 メディアファクトリー
十月十九日
 京極夏彦他怪談大好き作家が四人ホストになって、怪談を描いたり演じたりしている人を呼んで座談会をしている本。結構怖い話も多々出てくるのだけれど、おっさん四人の楽しそうなうきうきした様子のおかげで結構台無しになってます。
 私の人生に怪異なんてほとんど全くないのだけれど、小学生の時ひとつだけ不可解なことがあって、あれがなんであったのか今でも全くわかりません、それが私の唯一の怪談実話かな。
イタリア・トスカーナの優雅な食卓
 宮本美智子著
 草思社
十月二十二日
 食べ物エッセイも旅行記も好きで、この本はその両方が合体していてオシャレなスケッチの挿絵がついているにもかかわらずなんとなーーく気にいりませんでした。著者の足が地についていないというか、ほとんど自分と周りの人や物美しい自然の自慢話ばかり、なんとも底の浅い印象でした。
 著者に言いたいことは唯一つ「太ってしまえ」です。
欲望の仕掛け人
 中村うさぎ著
 日経BP出版センター
十月二十四日
 発行が2004年、当時の勝ち組企業のトップと著者との対談集です。これもいまいちおもしろくなかったわ…。欲望探しは自分探しというさぎさんの主張はよく分かるけれど、そこから先が見えない。せっかく経済の本なのだから、もっとおもしろいこと書いて欲しいです。
アテルイ
 中島かずき作
 論創社
十月二十八日
 劇団・新感線の舞台は実は生で観たことは一度もありません、ずっと前にBSで演劇の特集があってその時にいくつかテレビでは観ました、でもお芝居の醍醐味はやっぱりナマで観ることだと思うのよ。
 脚本は大変おもしろかったです、やっぱり録画でいいから観たいわーー。
ファロットの休日
 茅田砂胡作
 中央公論新社
十月三十日
 クラッシュ・ブレイズシリーズの最後の番外編にて最終巻、前の話で出てこなかったファロットの二人の話でした。
死体の教科書
 上野正彦著
 朝日新聞出版
十一月二日
 副題は「8何の原則」が謎を解くです、8何とは「いつ、どこで、誰が、誰と、何ゆえに、誰に対して、いかにして、いかにした」という例のアレですが、これが変死体にもあてはまるわけで、監察医はこれを死体からいかに読み取るかが重要だということです。
 それはおいといて実例に出されている事件が最近の、ニュースをあまり見ない(新聞は読むけど)私でも知ってるような有名かつ悲惨なものばかりで読んでいて気が少々めいりました。監察医の制度は住んでいる地域によってずいぶんな差があって、これはなんとかした方がいいと思います。
春は昔・徳川宗家に生まれて
 松平豊子著
 文藝春秋
十一月某日
 大正二年生まれの徳川家のお嬢様の手記、第二次世界大戦が始まるまでは、優雅でのどかなお姫様暮らしだったのに、戦時中の記録が食べ物が足りないことばかりなのがせつないです。それでも一般家庭よりはかなりめぐまれていたと思うけれど。
アルテミス・ファウル・失われた島
 オーエン・コルファー作・大久保寛訳
 角川書店
十一月十一日
 アルテミス・ファウルシリーズ五冊目、アルテミスはすっかりいい人になってしまいました。人類と妖精のためにはそのほうが絶対いいにきまっているのですが、いまだに善良なアルテミスには違和感があります。いつか自分が望むもののためにとんでもなく悪いことをしてにっこりと微笑んで欲しいです。
 今回から好敵手となりそうな女の子が出てきました、アルテミスの彼女にふさわしいほど賢くしかも美少女で名前はミネルバ、これからが楽しみです。
ひとり百物語・夢の中の少女
 立原透耶作
 メディアファクトリー
十一月六日
 怪談実話集、また怖くて夜中にトイレに行けなくなるかなと思いましたが、今回は大丈夫でした。怖くないわけではなかったのですが、最近こういう怪談をよく読んでいるから、ちょっとは慣れたのかしら。
おかあさんと旅をしよー
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 メディアファクトリー
十一月六日
 二人組イラストレーターがお母さんを二週間のイタリア旅行に連れて行く、なぜならお母さんに喜んでもらいたいから!というコミックエッセイ。…考えただけで大変そうだし、それがはたして親孝行になるのかどうかも謎ですが、ネタとしてはおもしろかったです。
偉いぞ!立ち食いそば
 東海林さだお著
 文藝春秋
十一月二十四日
 どこからどこを読んでもおじさんの読み物なのに読んでしまうのは自分の心がもはやおじさんになりかかっているからではないだろうかと思いました。
怨霊になった天皇
 竹田恒泰著
 小学館
十一月二十四日
 義兄弟もの、弟攻中心というとまるで別ジャンルのようですが、怨霊天皇史を簡単にまとめるとこういうことになるんだと分かりました。
七つめの絵の具
 いせひでこ著
 平凡社
十一月二十六日
 この人の絵本は結構好きです、しかしご本人は相当難しい人だと思いました。神経質なのか大雑把なのかさっぱり分かりませんし、ナルシスト過ぎると思います。でも作品は好きです。
コワーいキャバクラの話
 別冊宝島編集部編
 宝島社
十一月二十七日
 新聞広告でこのシリーズを見て、機会があったら是非読んで見たいと思っていた本のうちの一冊が図書館にありました、ラッキー!くだらないネタ本といえばそれまでですが、キャバクラは多分私では一生行くことの出来ない世界、興味があるではありませんか。
 以前浜松町のホテルにイヴェントで泊まった時の事、夜に道を歩いていたら真冬にもかかわらず薄いドレスのお姉さんがキャバクラらしき看板を持ってたっていました。浜松町の表通り、普通のカフェや飲食店がいっぱい、そこにドレスのお姉さんはあまりにも異様で印象に残ってます。「楽な仕事ではないんだな」とその時しみじみ思いました。
150センチライフ3
 たかぎなおこ著
 メディアファクトリー
十一月二十八日
 ずっと前に1と2を読みました、今度は平均身長の高い国オランダへ行ってみたよ編なのですが、かわいくてほのぼのしていておもしろかったです。
 ただ、私は身長が153なのですが、150センチと153センチの間の壁は案外高いかも、と思いました。
育児ばかりでスミマセン。
 望月昭著
 幻冬舎
十一月二十八日
 コミックエッセイ「ツレがウツになりまして」の作者さんの、そのツレの方(旦那さま)が書いたエッセイ、私は代表作「ツレがウツに…」はまだ未読なのですが、奥さまが書かれた子育て実録漫画はたまに読んでます。この旦那さまは専業主夫で子育ての大部分も担当されているのですが、エライ!エライぞ旦那!と無条件に褒めたくなるのはまだまだ家事育児は女の仕事と世間も私も考えているからでしょう。
 でも夫よりも稼ぎのいい妻は世の中には絶対多数いるはず、けれどもそういう方の旦那様が家事育児に協力的かというと、必ずしもそうではないような気がします。
シズコさん
 佐野洋子著
 新潮社
十一月三十日
 エッセイなのか小説なのか自伝なのかよく分からなかったけれど、ここまで正直に家族と自分のことについて書いてあるのはすごい、でもここまで書くかなーーと思いました。この本に出てくる人物の中で一番インパクトがあったのは、弟さんの嫁のテルコさんです。いるよねこういうお嫁さん、あるよねこういうだまされちまった婚、そういう人に限ってぽろぽろ子供を生んだりするので男も逃げられなくなるんだよねーーという実例をいくつか知ってます。
ぼくが葬儀屋さんになった理由
 冨安徳久著
 ホメオシス
十二月一日
 大学生になる前にちょっとだけのつもりでやったバイトがきっかけでせっかく合格していた大学も行かずに葬儀屋さんに就職し、そのうちに自分で葬儀屋を作ってしまった著者の葬式に対する熱い思いでいっぱいの本。確かに葬儀屋さんにお世話になりたくはないけれど、いつかはきっとお世話になることでしょう、ちょっと参考になりました。
身代わり伯爵の花嫁修業
 清家未森作
 角川ビーンズ文庫
十二月三日
 身代わり伯爵シリーズ続き、ヒロインはまだ結婚してません。結婚したら終わりかな?
ゴーストハント1・旧校舎怪談
 小野不由美作
 メディアファクトリー
十二月二十八日
 大昔友人に借りて読んだ「悪霊シリーズ」、全編リライトで刊行開始です。新聞広告で偶然見つけて、これは買わねばと思っておりました。
 ピンク色の文庫の時よりも若干大人向けに書かれているようなかんじがいたしますが、ゴーストハント漫画版をずっと追いかけていたので違和感なさすぎでした。
 これで2010年の読書日記は終わり、来年もたくさん本が読めるといいな。


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