2013年の読書日記

誌名・作者・出版社 感想・内容など ☆いくつ?
高原のフーダニット
 有栖川有栖作
 徳間書店
一月四日
 昨年末からずっと読んでいたこの本、実家帰省をはさんでようやく読み終わりました、でも一年の読書日記の初めにはなかなかにふさわしかったと思います。最近の火村先生の活躍を見ていると、今度はどこでどんなポカをやったりうっかりさらわれたりするのだろうとどきどきします、そして先生の白いジャケットが白いドレスに見えてしまったり(?)するのは私の腐った脳味噌が見せる幻なのでしょうか。最強の姫系准教授探偵、今回は別に何もやらかしませんでしたね。
筆談ホステス
 斉藤里恵著
 光文社
一月五日
 以前新聞広告で見た覚えのある本、図書館で見つけたので読んでみました。聴覚に障害のある女性がいかに銀座のホステスとして成功したか、夢をかなえるためにどんな努力をしているか、等々の内容です。
 写真を見るとかなりの美人、ホステスとして成功するにはやはり容姿は大切だと思いますが、何よりもお客様に対する気配りが必要なのだということが分かりました。
スワ氏文集
 諏訪哲史著
 講談社
一月十日
 以前時々朝日新聞朝刊に掲載されていた変な(失礼)コラムが一冊の本になってました。著者は芥川賞をとった作家さんなのだそうですが、小説は一冊も読んだことがありません、はいすいません。
 そういうわけで小説の方はどうだか知らないのですが、この本は時々真面目な話もあるものの大部分が名古屋御当地ネタのギャグです、名古屋弁炸裂なので読みにくいと思われる方もいるかもしれませんが、岐阜出身三重在住の私には何の困難もありませんでした。
 一番納得がいったのは岐阜の方言に関する考察で、語尾における「え」行の使用法の鋭い観察にはおそれいります。そう…岐阜弁は語尾に「げー」のつく希少な言葉なのです、主な使用法は「げーなんていっとらへんげー」など。あんまり美しくはありませんが。
わくわくほっこり和菓子図鑑
 君野倫子著
 二見書房
一月十一日
 大変においしそうで美しい和菓子の本、図鑑なので五十音順に載ってます。しかし、私の好きな「鬼まんじゅう」が載ってなかったのが残念、そういえばなごやんもかえるまんじゅうも納屋橋まんじゅうも載ってなかったな、まさか全国区ではないのか!?
 そのほか東京のうさぎ屋のどらやきは、よく叔父が東京土産に買ってきてくれたなと懐かしく思い出しました、また食べたいなーーー。
ひとりじゃない・ドキュメント震災遺児
 NHK取材班・編著
 NHK出版
一月十四日
 子供というのは、たとえ自分が産んでそれなりに一生懸命毎日世話をやいていても謎の存在です、子供は小さい大人ではなく子供という特別な存在だと考えられるというようなことを確か大学の教育の時間にならったような…とにかく子供の考えていること、見ている世界がどんなものであるかなんてことは親であってもさっぱり分かりません。
 普通の状態でさえそうなのに、これが震災後親を亡くした子供だとどうなるか、ましてや取材となると。子供がほんの少しでも心の内を記者に話すようになったならば、それは記者の努力の結果であってもいいのではないかと思います。この本の前半は、まあそんなかんじ。
 参考になったのはむしろ後半「震災遺児支援への取り組み」の方でした。そしてこういった取り組みが全然広がっていかないところに問題があると。
母という病
 岡田尊司著
 ポプラ社
一月十七日
 朝日新聞の下の方の本の広告に載っていたので図書館で借りて読んでみました。私にはあまりあてはまらないかなーーーと思いつつも読んで、最後の「母という病を克服する」の章が母という病だけでなく困難な物事を軽々と(?)こえていくための意識改革にも役に立つのではないかと思いました。
 そう、何かのトラブルに感情的に怒るのではなく、最善の解決策を探して最速に実行するということが精神の健康を保つのよ!いやーー、そのとおりだな。
おとぎ話の古書案内
 海野弘解説・監修
 パイ・インターナショナル
一月十九日
 古書案内といっても絵本の世界が確立してからなので、だいたい19世紀から20世紀の前半にかけてのヨーロッパが中心です。子供の本だけではなく、大人向けのエロティックな本も紹介しているのがおもしろいです。
女たちのお葬式
 NPO法人葬送を考える市民の会
 太田出版
一月二十日
 「あるあるある」とうなずきながら読んでしまいました、既成の葬儀社のお葬式にいろいろな疑問を持った女性達が、生協活動からNPO法人を作り上げて動き始めました、たのもしいです。
 自分の死んだ後なんて比較的どうでもいい、葬式は生きている人のためにあるとは思いますが、自分の思うとうりにお葬式が出せたらそれはそれでなんて楽しいことでしょうか、最後まで楽しく逝けたらそれはそれでとても素敵なことだと思います。それには元気なうちの意思表示が大切なのね。
14歳からわかる生活保護
 雨宮処凛著
 河出書房新社
一月二十一日
 「14歳の世渡り術」というシリーズの一冊、このシリーズは初めて読んだと思いますが、確かに中学生くらいが読んでも分かりやすく書いてあると思います。
 とりあえず今は普通に暮らしているけれど、転落し始めたら落ちるのが人生、今の内にちょっとだけ勉強しとこうと思って読みました。
黒髪と美女の日本史
 平松隆円著
 水曜社
一月二十五日
 表紙の黒髪美人がきれいだったので借りてみました、まずはギャルの巻き髪から始まって日本の女性の髪形を万葉集の時代からさかのぼります。で、最後に巻き髪で終わるのですが、髪型と世相には関連があるよーーという説明には説得力がありました。
のぼうの城
 和田竜作
 小学館文庫
一月二十八日
 ママ友お勧めの話題の本(ちょっと前ですが)を読んでみました、ちなみに映画の方は観ていません。
 みっちゃん(石田光成)の歴史的大失敗、どこまで史実なのかは分かりませんが、実際こんな人がいてこんなふうに負けたとしたらみっちゃんとっても気の毒です。
 前にやっていたNHKの「江」から光成はどうしてもみっちゃんなのです。
金色の髪のお姫さま・チェコの昔話集
 カレル・ヤロミール・エルベンス文・木村有子訳
 岩波書店
一月三十一日
 挿絵はアルトゥシ・シャイネルという人、十九世紀から二十世紀にかけてチェコで子供の絵本の挿絵を描いた人だそうです。
 この本は図書館の児童書の新着コーナーで見つけて、「金色の髪のお姫さま」だったら借りなきゃいけないなーーーと思って借りました。お姫様、しかも金髪、すばらしいです。
愛しのローカルごはん旅もう一杯
 たかぎなおこ著
 メディアファクトリー
二月二日
 確かずいぶん前に一を読んだような気がします、著者が日本全国(台湾も)いろんなところに行って観光したり御当地グルメを食べたりするお気楽なエッセイコミック、しかしたかぎさんは私と同じくらいの身長なのになんでこんなに食べられるんだ、一回の旅でどんだけ体重増えるんだとどうでもいいことで驚愕の一冊です。
 食べ物の趣味は合いませんが、とにかく楽しそう。
県民性マンガ・うちのトコでは
 もぐら著
 飛鳥新社
二月四日
 図書館で「何かいい本ないかな」とうろうろ、いつもあまり見ない棚のところで見つけた本です。なんと「都道府県」擬人化マンガ、かなり笑えましたがこれがまた読むのに時間がかかること、ものすごい情報の量でした。
 2も一緒に借りて読んだのですが、岐阜県出身者としては岐阜のあつかいが微妙すぎる…と思います。分裂なんてしてませんしエスカレーターは基本的に左によります。三重県在住としては、三重の扱いが、昼間は巫女さん夜は忍者とかっこよくてちょっとうれしいです、これが郷土愛なのね。
ゆめみるハワイ
 よしもとばなな著・写真・潮千穂
 世界文化社
 
二月十三日
 きれいな言葉と写真、ばななさんがハワイやフラダンスに対する思いを切々と語ってますがその言葉は残念ながら私には届きません、やっぱり文章を書いて生活する人っていうのは浮世離れしていてわがままで贅沢だなって思っちゃう、もちろんひがみもありますとも。
 ばななさんの本はたいてい楽しく読めるのですが、この本は今の私の現実にはあってないようです、ただそれだけ、読む人が読むのならば、きっと素晴らしい本なのでしょう。
小公女
 フランシス・ホジソン・バーネット作・脇明子訳
 岩波少年文庫
二月十四日
 ずいぶん前から「あったら読もう」と思っていた岩波少年文庫版の小公女です。私は小公女のお話が大好物で、ハウス劇場のアニメも二回くらいはほとんど通して観ているのではないでしょうか。
 アニメのように細かいエピソード(例えばメイポールダンスとかラヴィニーのお父様の訪問とか)はさすがに載ってはいなかったのですが、それでも充分に楽しく読むことが出来ました。名台詞「それは先生がご存知です」もそのまま、いいですね。
 しかし、小公女で一番私に近くて分かりやすいと思うのがラヴィニアとミンチン先生、ラヴィニアがそんなに意地悪に書かれていなかったのと、この娘の意地悪な中にもふと見える芯の強さが現れていなかったのがちょっと残念。ミンチン先生だってものすごく努力して学校を築いてきたのだから、いくら性格が悪くてもどケチでも、もう少し書きようがあるんじゃないでしょうか。まあ子供向けの本なので仕方がないか。
 ミンチン先生とは、なんだか結構仲良くなれそうです。
「面接力」をつける
 渋谷昌三著
 新講社
二月十五日
 とりあえず面接を受ける予定はないのですが、何かの役にたつかもと思って読んでみました。
日本幼児史・子どもへのまなざし
 柴田純著
 吉川弘文館
二月二十二日
 「七つ前は神のうち」という言葉があります、著者はこの言葉が色々な論文に引用されていることに気がついて、親の敵のようにその出所を探り、この言葉が柳田国男が提唱して最近広がった言葉であって、昔から言われていた言葉ではないと、そしてなぜに昔から言われていた言葉でないのかを本一冊にわたって説明しています。
 日本における子供の扱いが中世と近代とでは全然違い、そしてそれは人間社会の変化による必然であるということはよくわかったのですが、あまりおもしろくはなかったな…専門分野の人ならばおもしろいかもしれません。
広辞苑の中の掘り出し日本語
 永江朗著
 バジリコ株式会社
二月二十六日
 読み飛ばすとおもしろくないけれどじっくり読むと案外おもしろかった本です。体と心に関する広辞苑に載っていた言葉を捜して解説、案外間違えて使っている言葉も多いと判明しました。
そうだったのか!池上彰の学べるニュース6
 テレビ朝日系全国ネット放送
 海竜社
三月一日
 「日本の政治・領土問題」編ですが、他にも年金問題とか解散総選挙についてとか、最近ニュースになったことが分かりやすく丁寧に解説してありました。
 ちなみにこのテレビ放送は観たことがありません、分かりやすそうなんだけど、あんまりテレビ見ないから。
家庭で作れるアイルランド料理
 松井ゆみ子著
 河出書房新社
三月四日
 お料理の本ですがおもしろかったので書いておきます。イギリス系の料理の本を読む理由はほとんど「怖いもの見たさ」です。実際イギリスに(アイルランドではなく)行った時に出てきた食べ物でおいしいのは朝食とスコーンと紅茶しかなかったから。一体全体どんな恐ろしい料理がこの本に載っているのだろうかと思って読んだのですが、いい意味で期待は裏切られました。
 以前に読んだイギリス料理の本よりも、なんだかとってもおいしそうで、簡単なレシピが多かったです。それでもジャガイモとバターまみれですがそこはおいといて、スコーンとかソーダブレッドとかは本当においしそうで、今度一度作ってみようと思ってます。
戦国時代の余談のよだん。
 和田竜著
 KKベストセラーズ
三月六日
 この前読んだ「のぼうの城」の作者の、制作秘話と取材時の苦労話、そして戦国武将についてのエッセイなのですが、前半の制作秘話の方がおもしろかったです。
 小説「忍びの国」(未読)の取材話が特に、今私が住んでいるこの地方に作家先生がわざわざ取材を!と思うとありがたいですな…。そして「百地」とか、百と書いて「もも」と呼ぶ名字の人がこのご町内にもおいでになるし、このあたりには結構多いのですが、多分、先祖は忍者ではないでしょうか。とにかく知っている土地や住んでいるところが本に出てくるのはおもしろいですね。
お父ちゃんのゲゲゲな毎日
 水木悦子著
 新潮文庫
三月六日
 水木先生の娘さんが書いた日常的お父ちゃんエッセイ、お父さんが好きな気持が伝わってきてほのぼのする本です。で、解説を京極夏彦氏が書いているのがなんかスゴイ。
終末の名画
 平松洋著
 Gakken
三月八日
 この手の本は解説が退屈で分かりにくいことが多いのですが、この本は分かりやすくておもしろかったです。副題は「大洪水、黙示録、最後の審判…巨匠たちが幻視した終末のビジョン」です。特にノアの箱舟とソドムとゴモラの滅亡が、水による滅びと炎による滅びで対になっていたり、その後に必ず近親相姦モチーフがきてたりするあたりが興味深いです。
人は見た目が9割
 竹内一郎著
 新潮社
三月十日
 少し前にはやった本、図書館で見かけたので読んでみました。著者は漫画の原作を作ったり演劇の監督もしたりする人、人間は言葉よりも見た目や動きでコミュニケーションをとる場合が多いのだそうです。確かに第一印象は大事だよな。
ポケットに名言を
 寺山修司著
 角川文庫
三月十一日
 久しぶりに読んだ寺山修司のこの本、私は若い頃は本を読んで気にいった言葉をノートに書き留めておいたものでしたが、最近はとんとやらなくなったことに気がつきました。年をとると感動ってなくなるのでしょうか、それともそういう本を読んでないからかも。
 で、出てくる出てくる若い頃ノートに書き溜めた言葉が、そうか、この本が元だったのか。昔好きだった言葉は今でも結構好きなのが、かえってびっくりです。
チョコレートの歴史物語
 サラ・モス、アレクサンダー・バデノック著・堤理華訳
 原書房
三月十四日
 偶然にもホワイトデーの日に読み終わりました。文字どおりチョコレートの歴史の本、断じてここのチョコがおいしいとか、今年の新作はこれだとかお取り寄せ情報などではありません。
 前にも読んだ「お菓子の図書館」シリーズの一冊、でも前読んだ本よりもおもしろかったような気がします。
ゲゲゲの女房
 武良布枝著
 実業之日本社文庫
三月十八日
 何年か前にも朝の連続テレビ小説で放映された(観た事はありませんが)あまりにも有名なこの本を読みました。水木しげる大先生の奥様であらせられる布枝さんの自伝です。
 これも解説を荒俣宏氏が書かれているのがなんともすばらしい。
 それはおいといて、「あとがきにかえて」に書かれているこの人の結婚観というか、人生観には深く納得できました、人生の師匠と呼びたいような女性です。
男たちの怪談百物語
 東雅夫監修
 メディアファクトリー
三月十九日
 男だらけの百物語、この前に「女たちの怪談百物語」という本がでていて、そちらはまだ読んでないのですが是非読みたいと思ってます。
 それはおいといて、読みながらも「なんだかあまり怖くないなーー」と思っていたのですが、それは多分一つ一つのお話が上手すぎるからだと思われます。いかにも作家さんの百物語といったかんじ、おもしろいですが怖くは無い。それともう一つ、最後の九十九話目が怖いというよりは悲しくてきれいな話すぎて、百物語のラストの話としては大失敗していると思います、百物語が台無しです。
 この場合最後の怪異は、九十九話目に出てくる幽霊を待つお母さんたちに起こって欲しい、幽霊でもいいから一目だけでも会いたいという気持はよく分かります
移民の宴
 高野秀行著
 講談社
三月二十五日
 図書館で適当に借りたのですが、かなりおもしろい内容でした。副題は「日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」です。ここ忍者の里には実は外国籍の方が多く住んでいて、ポチの通っている公立の小学校はまるでインターナショナルスクールのよう、特に南米系の皆様が多いのですが確かに普段の食卓がどうなっているかちょっとだけ気になります。子供の頃は日本人とあまり変わらない体型なのに、高学年になるとなんだか体型が変わってくる子が結構いるし、皆様何を食べているのでしょう?
 …と作者も思ったかどうかはおいといて、パーティー料理中心になっているのがちょっとだけ残念、普通の一週間のお献立とかが知りたかったな。
銀のらせんをたどれば
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作・市田泉訳
 徳間書店
三月二十八日
 ギリシャ神話がモチーフの児童文学、というかファンタジー、ほどほどのボリュームで見事に大団円で読みやすくおもしろいです。
 
アーヤと魔女
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作・田中薫子訳
 徳間書店
三月二十八日
 作者が亡くなる前にイギリスで出版された最後の本、なのだそうです。
 今まで読んだダイアナさんの作品の中では一番短かく、主人公があらかじめ最強だったような気がします。徳間書店から出ている日本語版では、佐竹美保さんの挿絵が今までに無くたくさん入っていて、それがもうイメージぴったりでとても素敵、できれば続きが読みたかった。
悪夢の連鎖・怪談実話集・ひとり百物語
 立原透耶著
 メディアファクトリー
四月二日
 かなり怖いシリーズのはずなのに、今回読んでいても全然怖くありませんでした。春休みは忙しすぎて、怪談を読んでいる時間が癒しの時間というか、「あー安らぐわーーー」といった感じになってしまっていたからです。
 怪談が怪談にならない日常ってどんなホラーよ?
 怖がる、ということも、もしかして心に余裕がないと出来ないことなのだろうかと思いました。まあ怪談の場合、怖がることを楽しむんだけど、怪談集も本当に怖いときは怖いのに、残念。
にっぽん全国百年食堂
 椎名誠著
 講談社
四月八日
 日本全国の百年くらい営業している大衆食堂を探して食べに行って話をきいてくるというシンプルである意味しょうもない企画本なのですが、百年の歴史のせいなのか、いっそ哲学的にすら思えてきます。
ミュシャの世界
 堺市立文化館アルフォンス・ミュシャ館協力
 新人物往来社
四月九日
 ミュシャの小さな画集、というか図版がたくさん載っていて解説がちょっとあるというよくあるパターンの本なのだけれど、「スラヴ叙事詩」をこんなにたくさんまとめて見たのは実は初めてでした。
 大昔岐阜県美術館でミュシャ展がやった時に観に行って、ものすごく異質に感じたのがスラヴ叙事詩の中の一部、他のポスターと比べてあまりにも違うので驚いたのだけれど、画家の本当に描きたかったものはこっちじゃないかとあの時思ったことを覚えています。
 やはりその時に実物を観て、あんまりきれいなのでびっくりしたのが「百合の中の聖母」、テンペラではなく油絵の方だったのかもしれませんが、今まで実物を観て美しかった絵画ベスト10には入っているのではないでしょうか。いやはやあの時観ておいてよかったよ。
図説・大奥の世界
 山本博文編著
 河出書房新社
四月十二日
 大奥のドラマはよくテレビで放映されていますが、観ている時間がありません。歴史検証物の番組も観たいと思いつつ時間がなくてスルー、大奥に対する興味はせいぜい人並みくらいだと思いますが、それでもなかなかに興味深く、そして恐ろしいところだったのだろうと思います。
 ちょっと女子高に似ているかも…でも共学しか行ったことがないので、女ばかりの雰囲気というのがどうにもこうにも、分からないです。
怪談実話系「妖」「魔」
 幽編集部編
 メディアファクトリー
 
四月十四日
 いいかげん怪談読むのが心の安らぎになる日々とはさよならしたいものです。
 このシリーズは文庫版で「書き下ろし怪談文芸競作集」となってます、つまりは実話系の創作怪談のアンソロジーという怖いのか怖くないのかよく分からないお話がたくさんつまった本です、二冊連続で読みました。
 で、これが残念なことにちっとも怖くないんだな。どんな話でも作家さんに書かれたとたんそれは文芸作品になってしまうのですが、ちゃんとした小説よりも断片のみの実話を書いた短い話の方がより怖いような気がします。それでも現実の人間の恐ろしさの前には怪談なんてぶっとびます、もう幽霊だって裸足で逃げ出しちゃうわよ。ああ人間って怖くてやだなーーーと昨日思ったことがありました。
日本の美女
 コロナ・ブックス
四月十四日
 主に明治、大正、昭和初期の日本画の名画の中から「美人画」のジャンルにあたるものをセレクトしてあります。この美人画というジャンル自体、成立しているのは多分日本だけなのだそうです。そういわれてみればそのとおりかも。セレクトはあくまで男性目線のような気がします、女性が選んだらまた違ってくるだろうなと思いました。

 ツヴァイク・魯迅・トルストイ
 ポプラ社・百年文庫
四月十七日
 一冊ごとにテーマを決めて、古今東西(?)の文豪の短編が三篇ほど載ってます。軽くて小さくて文字も大きめでとっても読みやすい本。でも内容は純文学、私はほとんど純文学を読まないのですが、このシリーズならばいけるかもしれません。
 しかし、まず選んだテーマが「罪」、私の人生のテーマって何よ?
封殺鬼・クダンノ如シ下
 霜島ケイ作
 小学館ルルル文庫
四月十九日
 クダンノ如シ、最終巻はとうとうアマゾンで購入してやっと読むことが出来ました。物語は思っていたよりもずっときれいに終りましたが、この巻で印象的だったのはそこではなく、あくまでラヴです、ラヴラヴファイヤー!封殺鬼を読み続けてもうずいぶんになりますが、長い長いこの物語の中で一番ラヴだったのはこの巻なのではないでしょうか、桐子様と志郎さんがとうとうおさまるべきところに納まったのが、何よりおめでたく喜ばしいです。おめでとう桐子様!プロポーズとってもかわいかったよ!

 コンラッド・大岡昇平・フロベール
 ポプラ社・百年文庫
四月二十日
 ポプラ社百年文庫、二冊目に私が選んだテーマは「闇」でした。
 しかし、純文学というのはエッセイや娯楽小説とは違って、あいているわずかな時間にちまちまと少しずつ読んでいてはいけないものだとよく分かりました、前の話というか、作中の出来事その他を次に読むまでに忘れてしまう!それが理由なのかなんなのかは分かりませんが、最初の二編の「闇」がなんだったのか実はよく分かりませんでした。…というかこのくらいの闇だったら日常生活にありふれてないかな?確かに状況が状況だけに悲惨な結果になっているけれど、このくらいの闇ならばもうお友達のようなものなんだけどな、と思いました。
 最後の話「聖ジュリアン伝」はいっそすごく分かりやすかったです、でもこれって闇の物語じゃないと思います。
心と響き合う読書案内
 小川洋子著
 PHP選書578
四月二十二日
 貧血検査の結果を聞きにいった近所の内科医院の待合室でほとんど読みきれました、つまりはすっごく混んでたということです。
 元々はラジオでやっていた読書案内、カーラジオで流れているのを一度だけ、しかも一部分だけ聴いたことがありました。ラジオは聴かないので、本でまとめて読むことができてラッキーです。
 さすが小川洋子さんだけあって、本についての文章もすばらしく、その本に対する思いも伝わります。
怪談実話系3 4
 幽編集部
 メディアファクトリー
五月一日
 読みすぎてだんだんおもしろくなくなってきました、怪談実話系。怪談というのは続けて読まないほうがいいということがなんとなく分かりました。
 実話系とはいっても、文章に書かれた時点でそれは作者の創作になってしまうので、あんまり読みすぎるとどんな怖い話でもただのお話になってしまうような気がします。それにもかかわらず読者を真に怖がらせることが出来るのが本当におもしろくて怖い怪談なのではないでしょうか。
赤毛のアンのプリンス・エドワード島紀行
 松本侑子著
 JTBバブリッシング
五月九日
 赤毛のアンの舞台となったプリンス・エドワード島の観光案内の本です。
 少女趣味かもしれませんが、やはりアンの世界は素敵です。

 太宰治・ラディゲ・久坂葉子
 ポプラ社・百年文庫
五月十日
 百年文庫の一冊目です、もうはじめから順番に読んでいこうと思ったのですが、もう挫折しそうです。
 テーマは「憧」ではありますが、若い者の恋愛話をえんえんと読まされるのがこれほど退屈とは知りませんでした。これが一冊目、これが純文学!?やはり純文学というのは敷居が高い、とにかくうっとおしくてつまらなかったわ。
レッドデータガール6・星降る夜に願うこと
 荻原規子作
 角川書店
五月十三日
 図書館の棚にこの本が並ぶ時をずっと待っておりました…RDGシリーズ最終巻、やっと読めたわ。
 で、今まで気付かずに最終巻の途中になって気がついた私のお気に入り登場人物は、なんといっても高柳くん、またの名をポチです。別にソフトバンクの白い犬が大好きだからというわけではないのですが、他の物語ならば当然主役をはれるほどの実力のある彼なのに、この物語にでているがためにポチにされてしまうこの悲哀、たまりません。負けるな、高柳、私がついているぞ、高柳、長いものには巻かれろ、高柳。いつのまにか彼だけを応援している自分に気がつきました。
 最後まで活躍して欲しかった…のんびりクリスマスパーティーにでてるんじゃなくてさ!
うちのトコでは3
 もぐら著
 飛鳥新社
五月十四日
 県民性漫画の三巻が出ているのは新聞広告で見て知っていたけれど、なかなか借りることが出来なかったのでとうとうポチは図書館で予約しました。意外と人気があるみたいです、やっぱりおもしろいしね。
 今回はいつものような県民性小ネタの他に、島根さんの石見銀山世界遺産登録苦労したけれどやったぜ漫画が載ってます。
怪談実話系5
 幽編集部
 メディアファクトリー
五月十五日
 もうあきた、今一つまらないと言いつつも見つけたら借りてしまう怪談実話系の本、結局は怖い話が好きなんだなと自分でも思います。
 今回一番納得したのは、女流作家の百物語で一話語るごとに一つチョコレートを食べていくという規則があったのですが、百物語が終る頃にはそれぞれがだいたい板チョコ一枚分くらいのチョコを食べた計算になって、最後はもうそれがとってもつらかったというところです。甘いものは少しだけの方がおいしいものね。
 カロリーを考えるとこれが一番怖いかも。
ぼおるぺん古事記123
 こうの史代著
 平凡社
五月十六日
 これも新聞広告で見て、機会があったらぜひ読んで見たいと思っていた本が図書館に入っていました、ラッキー。なんというかぼおるぺんでよくぞここまで描いたなーーーと素直に感心します。でもなんでぼおるぺん?絵を描くのならばつけペンの方がだんぜん描きやすいとおもうんだけどな。
 しかし、ぼおるぺんならではの線がとてもやわらかくて素敵です。今度一回真似してみよう…時間があったら。
破産
 嶽本野ばら作
 小学館
五月十八日
 作者の自伝的小説…だったとしたらかなり笑えます、それなりに人気もあって読者もついてそうな作家さんなのに破産、いったいどんだけお金の管理が出来ないんですか!でもこれは小説だからフィクションだと信じたい、信じたいけれど細部にやどるリアリティがフィクションっぽくありません、全く。
 お話としては、最後の最後でしょうもない殺人事件が起こって巫女さん姿の高利貸しが魔術を行使しなかったらとても良かったのではないかと思います。この部分が余計な気がするんだけどな。
みをつくし料理帖・八朔の雪・花散らしの雨・想い雲
 田郁作
 角川春樹事務所
五月二十五日頃
 友人に借りた本をまとめて三冊読みました。この前の舞踏会の時、とあるサークルさんで「お澪の青い空」という本を買いました。原作を読む前に同人誌を買っておいたわけですが、はずれのないサークルさんなのでいいのです。
 もうこのタイトル最高、座布団十枚持ってけ!
 肝腎のその本はその友人に貸していてまだ未読なのですが、さぞかし笑わせてくださることでしょう。
 以上は比較的どうでもいい話、江戸時代の庶民の食卓は案外おいしそうなものでいっぱい、簡単に手に入るありふれた食材でも手間隙かけてきちんと料理すれば、おいしくなるものだなと感心して読んでました。でもこのシリーズの肝は別にここにあるわけではありません。
ヨーロッパの民族衣装・衣装ビジュアル資料
 芳賀日向著
 グラフィック社
五月三十日
 ヨーロッパの民族衣装の写真集なのですが、表紙のイラストがなんと池田理代子先生、中身にイラストは他に一点もないのですが、この表紙だけでこの本の仕様意図がまるわかりです。実際かゆいところに手が届きそうな見事な資料写真っぷりが頼もしいです。
 同じシリーズでヨーロッパの町とか貴族の館とかの本が出ているのですが、いっそもう買っちゃおうかな。一冊2300円ですが、決して損はしなさそう。
怪談実話系2
 幽編集部
 メディアファクトリー
六月三日
 もうただの怖い物好きでいいです。
 見つけると借りてしまう怪談の本、まだ1を読んでないしね。
嘘つきは姫君のはじまり
 松田志乃ぶ作
 集英社コバルト文庫
六月七日
 一巻の「ひみつの乳姉妹」と三巻の「恋する後宮」を読みました。友人の貸してくれた本のダンボールの中に入っていて、コバルト文庫なのでそんなに期待はしてなかったのですが、どっこいおもしろかったです。
 挿絵は四位広猫さん、イメージにぴったりです。
世界の変なトイレ
 モーナ・E・グレゴリー シアン・ジェームズ著
 エクスナレッジ
六月八日
 今のところ今年読んだ本の中ではピカイチにナンバーワンの素晴らしさです。カナダ人の女性二人が世界中のトイレを写真に撮ってコメントを付けているのですが、トイレはまさにその国の文化を映す鏡なのだということが分かります、奥が深いですトイレ。
 アジア部門に日本のトイレの写真も何枚か載っているのですが、「ああ、なるほどねーー」と思ったのが、トイレに入る時にスリッパを履きかえるいつもの行いが、外国の方には面妖に映るということ。「まあ、そうだろうね」と思ったのは流水音やビデシャワレット乾燥機能までついているトイレに対する賞賛の数々、「このトイレに絶対入りたくない」と思ったのは新宿にあるレストランのトイレ…世界中のどのトイレよりもゴージャスですごく嫌でした。結局日本のトイレの写真が一番笑えました。
あの道この道今の道
 大橋歩著
 文化出版社
六月八日
 図書館の新刊コーナーの棚の隣に「今月の特集」の棚が作られていて六月は三重県に関連した作家さんの本が集められていました、で、新刊を見るついでにさくっと借りたのがこの本。以前少しだけ四日市にお住まいになっていたそうです。
 住まいに関するエッセイ集で軽い読み口なのですが、私もすっかり中年になったせいかなんとなく共感できる部分があります。今まで使っていた電化製品や大型家具がある日突然嫌になるあたり、よーーく分かります。かといって良く考えて手放したはずなのに、修理すればまだ使えたんじゃなかろうかと思い悩むあたり。
 大橋さんだけにイラストがかわいいです。
ネコと歩けば
 岩合光昭著・写真
 辰巳出版
六月八日
 別に八日が暇だったわけではなく(充分忙しい一日でした)同時進行で読んでいた本が順番に読み終わっただけです。
 いわずと知れた写真家さんの猫の本、私は犬派ですが、それでも脳天突き抜けるくらいこの本の猫たちはかわいいです。
 怪談実話系とトイレの本とこの本を同時に借りたのですが、その時に借りるかどうか迷ったのが京都大学の標本の本、この四冊を同時に借りると合わせ技で司書のお姉さんに「…変態?」と思われるかもしれないので一冊やめときました。今度あったら借りよう。
雪と珊瑚と
 梨木香歩作
 角川書店
六月十一日
 神経質で繊細な女性達の大雑把な起業の話、現代の御伽噺のようです。ただ何もせずに自分の境遇を嘆くよりは主人公の珊瑚のようにありとあらゆるツテと幸運をつかむ方がいいに決まっているし、珊瑚がおもわず応援したくなるような女性というのも分かります、が、私がこの物語の中で一番共感できるのは、最後に手紙をくれたパン屋のもと同僚の女性、こんな親切な人も滅多にいないと思うけどな。
 今度この人が主人公の前に現れたら、案外いい友達になれるのではないかと思います。いじわるなのは人の常、いじわるでない人はいません。周り中の人から好意を持たれている人に自分はあなたが嫌いだとまっすぐに意思表示し続けるど根性、見習いたいものです。
忍びの国
 和田竜作
 新潮社
六月十二日
 この本が出版されたのが2008年、その頃にはもうここに住んでましたが、あまりこの本の広告やポスターを見なかったような気がします、立派なご当地小説なのに、ご当地ネガティブキャンペーン小説。
 時代は、信長の息子の信雄が伊勢の国にいた頃、もう伊賀忍者の皆様の性格が悪いこと悪いこと見事としか言いようがありません。伊賀の人ってこんなに性格が悪かったのでしょうか、そんなに賢い殿様ではなかったはずの信雄が、なんだかすごく素敵に見えてくるほどです。今でも伊賀の人間がこんな性格だと世間の皆様に思われたら困ります、困るけれどそれはそれで個性的でおもしろそう。平成の世では、忍者の末裔の皆様ももう少し丸くなっていることでしょう、そう思いたい。
 総ては歴史上の事実を踏まえた上での作者の創作や想像ですが、取材をした上で小説を書かれる人なので
道のりとか土地の様子とか、大変リアルで臨場感にあふれてました。車で通ったことのある道とか「ああ、あそこね」と分かる場所も多くて、ご当地小説ならではの楽しみもたくさんありました。
すぐそこのたからもの
 よしもとばなな著
 文化出版社
六月十四日
 この前読んだハワイの本は全然合わなかったけどこれは子育てエッセイだし今度はどうだ、と思って読んだらやっぱりどこかがしっくりきませんでした。子育てで共感できるところももちろんあるし、いいことも言ってるんだけど、なんかこう、例えて言えば子どもが同じ幼稚園の同じクラスにいても、あえて話しかけたくないかんじとでも言うのでしょうか、ママ友にはなれそうもありません。
 それでもこの人の本を手にとってしまうのは、それに勝るあらがえない魅力があるから、だと思うんだよね。
みをつくし料理帖・小夜しぐれ・心星ひとつ・夏天の虹
 田郁作
 角川春樹事務所
六月十八日頃
 また三冊続けて読みましたこのシリーズ、一難さってまた一難、よくぞここまで悲惨な状況が次から次へと起こるものです。
 一つの幸せをゲットするためにはもう一つの幸せを諦めないといけないってところはよく分かります、どっちもってのは無理よね…としみじみするのはいいのだけれど、「夏天」のラスト、あれはないでしょあれは!
心がほどける小さな旅
 益田ミリ著
 飛鳥新社
六月二十日
 著者が日帰り、一泊二日、二泊三日くらいまでで、一人、または編集さんと二人で小旅行に出かけました、そのレポートというかエッセイです。
 この人の考え方やのんびりゆったりしているところは結構すきなのだけれど、四十代になってこういう旅行が出来るのはある程度お金を持っている独身貴族限定よ。ああうらやましい、うらやましすぎるぞ。
英国貴族の暮らし
 田中亮三著
 河出書房新社
六月二十二日
 英国貴族の歴史から現存する貴族の館の紹介まで幅広く扱った本、でも一番参考になったのはやっぱり貴族の館の部屋の壁の様子です。
 たいてい肖像画や本棚でみっしり、どっちも描きやすくてスペースが埋まるので助かります。
ニートの歩き方
 pha著
 技術評論社
六月二十二日
 著者は京都大学卒、会社勤めが合わなかったので今は文章を書いたりシェアハウスの運営をしたりコンピュータープログラミングをしたりして毎日ぶらぶらと暮らしているそうです…って、それはもうニートとは言えないのではないでしょうか、そういうのはフリーランスのライターと言うのでは?
 今ニートやっている友人がいて、もうちょっとなんとかならないかなーーと思って読んでみたのですが、あまり参考にはなりませんでした。とにかくこの人のニート力はすごすぎるので、多分彼女にもたいていの人にも著者の真似は無理だと思われます。
 就職がどうしても出来なかったら、女性の場合婚活にきりかえるっていう究極の手もあることはあるのだけれど、それも難しいだろうな。
図説ヨーロッパの王妃
 石井美樹子著
 河出書房新社
六月二十四日
 私が世界史を習ったのは中学校まで(ちなみに日本史も地理も中学どまりです)なので、ヨーロッパの歴史にはちっとも詳しくないのですが、詳しい歴史は分からなくても個々の王妃のエピソードだけでも充分おもしろい本でした。特に英国の血塗られた王妃の歴史は大変興味深く、今度もう少し別の本を調べてみようと思います。
 …時間があったら。
ホテル・メランコリア
 篠田真由美作
 PHP研究所
六月二十六日
 「子どもの頃に幸せな時間をすごしたホテルを探してください」老女のそんな依頼を受けたライターがホテルの関係者から話を聞いてまわるうちにどんどん変なことになっていく物語。ミステリーよりはファンタジーに近い終わり方をしていますが、ミステリー仕立てのファンタジーよりはファンタジーの顔をしたミステリーの方が好みなので、ラストにもう一ひねり現実的なオチが欲しかった…。
みをつくし料理帖・今朝の春
 田郁作
 角川春樹事務所
六月二十七日
 一冊とばして読んでいたことに気がつきました。ああこの巻ではまだ又次がぴちぴちしているんだなあ、と思うと感慨深いです。
 うっかり昨日から読み始めたばっかりに、今日予定していた原稿が予定のところまで出来ませんでした。おもしろい本って本当に困ります。
百年文庫2・絆
 海音寺潮五郎・コナン・ドイル・山本周五郎
 ポプラ社
六月二十七日
 このシリーズは何冊か読んできましたが、これが一番読みやすく、かつテーマに合っていて分かりやすいと思いました。
 でもテーマごとに作者を三人にしぼって、なおかつ物語も短編のみ三本にしぼるっていうのは、一体全体どんな作業なのでしょうか、気が遠くなりそうです。一体誰がこの本編集しているの?やはりポプラ社の編集者の方だと思うのですが、そこのところの苦労とうんちくで一冊本が出来そうです、むしろそっちを読みたいかも。
 
月下秘抄・地の抄
 麻城ゆう作
 角川ビーンズ文庫
六月三十日
 一巻目はなく、二巻目から読みました。一巻がどういう物語だったのかはよく分かりませんが、このボリュームの話を文庫本一冊で終らせるのは無理があるのではないかと思います。
 話がものすごくご都合主義的なのはそういう理由で仕方がないとしても、ちょっとこれはないんじゃないかなーーーと思いました。そもそも最初に人柱になった純粋無垢な少女に破壊の夢を見せ続けたのが精霊たちならば、滅ぼされるべきはその精霊じゃないかい?なのになんの反省も無くちゃんちゃんで終るのは解せません。
 ハッピーエンドで終るにもかかわらず後味の悪い物語でした。
闇からのささやき・私の中に何かがいる
テレパシー少女「蘭」事件ノート
 あさのあつこ作
 講談社・青い鳥文庫
七月六日
 また二巻から読みました。一巻はポチが小学校の図書室で借りたらしいのですが、持って帰ってくれませんでした。それから市立図書館で二巻と三巻をまとめて借りたので、私もついでに読んだ次第なのです。
 とうとうポチも「青い鳥文庫」を読むようになったかと思うと感無量、いやあ大きくなったよね。
 さすがは青い鳥文庫、そしてあさのあつこさんだけあって、子供向けといえどもはずしてません。女の子どうしの友情、淡いながらもラヴラヴの初恋、大人が読んでも充分おもしろかったです。
少年十字軍
 皆川博子作
 ポプラ社
七月八日
 少年十字軍といえば、結末は悲惨に決まっている…と思って読み始めたのですが、なんと、全然悲惨ではありませんでした。むしろ希望のある終わり方になっているところがすごいです。
 元々、子どもの演劇のための脚本として書かれたもののリメイクなのだそうです、納得。
風の祭り・月下秘抄
 麻城ゆう作
 角川ビーンズ文庫
七月十一日
 この前読んだ本の番外編、登場人物の一人の過去の話ですが、こっちの方が本編よりまとまっていたような気がします。しかしあいかわらずハッピーにも関わらず後味の悪い終り方でした。このシリーズの持ち味ってもしかしてこれなの?
鬼談百景
 小野不由美作
 メディアファクトリー
七月十四日
 私の好きな短い怪談がたくさん入っている本で、しかも小野不由美さんです。もうしっぽ振りながら読んでしまいました。しかし、これを読んだ日も朝から忙しくて、怪談読んでいる間だけが心の安らぎでした。こうなると当然怖くない、せっかくの内容なのになんてもったいないことか!
標本の本・京都大学総合博物館の収蔵室から
 青幻舎
 
七月十四日
 世の中には、標本好きな人とそうでない人がいると思いますが、標本好きな人にはたまらない本です。装丁からレイアウトからなんてさりげなくてチャーミングな本なのでしょうか!もうしっぽを振り回しながら読んでしまいました、枕元において眠りたいくらいでした。
 今年読んだ本の中で暫定一位のすばらしさ!標本につけられたラベルの一枚一枚がみな美しいです。
☆☆
ねらわれた街・テレパシー少女「蘭」事件ノート
 あさのあつこ作
 講談社・青い鳥文庫
七月十五日
 シリーズ一巻目を丁寧にもポチが図書館で借りておいてくれました、ありがとう、ポチよ。
 二巻ではすっかり仲良しだった主人公の友人、翠が一巻ではこんなに嫌なやつだったとは、よく仲良くなれたな主人公、さすがだな主人公。いえ、もちろんいいところもたくさんある少女なのですが、あんまり友達になりたくないタイプかも。一度仲良くなったら最強かもしれないけれど。
時を超えるSOS・人面瘡は夜笑う・ゴースト館の謎
 同
七月二十一日頃
 シリーズ四巻と六巻と七巻を読みました、これもポチが小学校といつもの図書館で借りてきた本です。
 そしてポチは「ゴースト館の謎」で読書感想文を書くのだそうです。もう少し名作(岩波少年文庫とか)で書いたほうがいいんじゃないかと思いますが、親が言ったってききやしないのでまかせます、というかほっときます。
 ライトノベルで感想文、人生初めてのちゃんとした読書感想文書けるかな?
辛酸なめ子の現代社会学
 辛酸なめ子著
 幻冬舎
七月二十二日
 ポチを連れて行った眼科の待合室で一冊読みきりました、久しぶりに落ち着いて本読めたよ…。コラムも漫画も両方描いていて、もう少しおもしろいかと思ったのですが正直おもしろくなかったな…。サブカルチャー、例えばメイド萌えとかボーイズラヴについて描かれていても、全然目新しいことがなくって平凡すぎます、事実はコラムよりも濃くってよ。
髑髏は知っていた・テレパシー少女「蘭」事件ノート
 あさのあつこ作
 講談社・青い鳥文庫
七月二十六日
 とばして読んでいた五巻も借りてきました。
 なんだかどんどん現実離れした話になっていくような気がします。
さらわれた花嫁・宇宙からの訪問者
 同
七月二十九日
 八巻と九巻をまとめて読みました。
残穢
 小野不由美作
 新潮社
七月二十七日
 日付が前後しているのは前の本がシリーズなので、「同」を使いたかったからです。
 さて残穢ですが、新聞広告で読んでからずっと読みたいと思って図書館に入るのを待ってました、ようやく読めたわ!あまりにもおもしろいので一気読みするのがおしかったくらいなのですが、やはり誘惑には勝てず一晩で読んでしまいました。
 謎は総て解けたけれど、解けたからといって何が変わるものではないところはすごい。でも怪異の理由が分かったのと、分からないままなのとではずいぶん違うのだろうな、とは思います。
 そして最近よく読んでいる「怪談実話系」とのリンクが臨場感があってまたいいかんじなのです。「欄間の間から地獄が見える話」というのはこのシリーズのどこかで読んだ覚えがあるのですが、なるほどこういう話だったのね。
戦場の軍法会議・日本兵はなぜ処刑されたか
 NHK取材班・北博昭著
 NHK出版
七月三十日
 戦勝国による戦後の軍事裁判ではなく、戦争末期に外地で行われた日本軍による日本兵への裁判、処刑についてのルポです。
 関係者の多くは鬼籍に入っているし、遺族の多くは今更語りたがらない状況でもここまで調べた取材班の努力と根性はすごいと思います。しかしそうやってどれだけ調べても、法的に彼らの名誉回復は出来ない、でもこの番組が(NHKだから)放映されたことで救われた気持になった人も多いのではないでしょうか。
 難しい専門用語も多くて分かりにくいところはすっとばして読んだ本ですが、一つ分かったことは、戦争末期のごたごたの中、そのような状態の中では正義感に燃えていたはずの法務官の正義なんてたやすくふっとんでしまうということ、そして戦後高い地位についた元法務官の皆様のほとんどが、自分の罪に蓋をしてなかったことにしたことです。
すてきなおばあさんのスタイルブック
 田中セツコ著
 WAVE出版
七月三十日
 前の本と差がありすぎやろ!と自分でも思いましたが、同じ日に読み終わりました。
 子どもの頃からどこかで見かけたことのある、かわいくってオシャレな絵柄のイラストは、こんなかわいいおばあさんが描いていました。当時はおばあさんではなかったはずだけれど、素敵な女性だったことには変わりは無いはず。
鳩居堂の日本のしきたり豆知識
 監修・鳩居堂
 マガジンハウス
八月一日
 鳩居堂というのは、京都と東京に支店のある老舗の文房具(和もの)とお線香のお店なのだそうです、そこでお買い物をするとこういう豆知識のしおりがもらえて、それの集大成のような本なのだそうです。
 日本に伝わるさまざまなしきたり、お作法道理にきちんと行えたらどんなにか素敵だろうとは思いますが、やっぱりなかなか実行は難しい、せめて本でも読んでお勉強しておこう…。
モンタヌスが描いた驚異の王国・おかしなジパング大図鑑
 宮田珠己著
 パイインターナショナル
八月四日
 17世紀のオランダの画家モンタヌスが描いた日本の風俗や人物、風景の数々、それは当時のヨーロッパの人々に驚きをもって迎えられたことでしょう、そして21世紀の日本であらためてその描かれたジパングを見るともうおどろきの連続です、どうしてこうなったのさ!おおいなる間違いと勘違いの連続でした。
 やはりこの画家が日本を実際に見たことがなかったのが敗因なのでしょうか、でもそんなことは仕方がないし。しかしおかげでおもしろいものが後世に残りました、ありがとうモンタヌス、グッジョブ!
怪のはなし
 加門七海作
 集英社
八月某日
 夏コミ前に読んで読書日記に付けておく暇が無かった本、図書館に「怪談のコーナー」が出来ていて、そこに置いてあったから借りたのだけれど、もしかしたら前に一度読んだことがあったのかなかったのか、多分なかったんじゃないかな。
 あいかわらず怪談実話系を読むことが心のオアシスになってました。忙しかったな、お盆前。
続・世界のなめこ図鑑
 エンターブレイン
八月十六日
 ポチに買ってあげた本、「続」でないほうはすでに読んだからいいのだそうです。
 子どもはどうしてこんなになめこが好きなのか常々不思議に思ってました、この本を読んだらその謎が解明できるか?とも思ったのだけれど無理です。しかし、確かに思ったよりはおもしろく、そして奥が深い世界でした。なめことエリンギ、背格好も属性もよく似ているのになぜエリンギはエリンギのまま発展することがないのか。考えても仕方がないですな。私としては焼きなめこと迷彩なめこがお気に入りです。
十二国記・ひ緒の鳥
 小野不由美作
 新潮文庫
八月十六日
 ひ緒のひの字が出てきません、すいません。
 十二年ぶりの十二国の新刊、やっと書店に行って手に入れることが出来ました。内容的には「十二国版プロジェクトX」、傾いたり傾きかけた国でそれぞれの役職のおっさんがどれだけ頑張るかという短編集です。
 これはこれでものすごくおもしろいのだけれど、やはりおなじみの人物達がミジンコくらいにしか出てきてくれないのが物足りない。最初の一話に慶王がちょっとだけ出てきてくれただけでもう大変にうれしゅうございました。
 次は本筋の続きを切望します。
新耳袋・現代百物語・第七夜
 木原浩勝・中山市朗著
 メディアファクトリー
八月某日
 今年の夏は暑いです、夏は毎年暑いものですが、それにしても今年はちょっと暑すぎるような気がします。だからほんの少しでも涼を取ろうかと思って、怪談をたくさん読んでいるのかもしれません。
 でも全然涼しくならないのが残念。
怪談徒然草
 加門七海著
 メディアワークス
八月二十一日
 あまりにもかわいらしい表紙の金魚にひかれて借りたら、一度読んだ事のある本でした。こんなかわいい金魚を忘れていたなんて、やきが回ったな、自分よ。
 内容的には怖くておもしろいのだけれど、やっぱり涼しくはなりません。物理的に37度を越えているところで読んでも無駄ってことなのでしょうか。
怪談実話系・書き下ろし怪談文芸競作集
 幽編集部編
八月三十一日
 やった、一冊目を発見!と思って借りて読んだ後たっぷり一日以上たってから、もしかしたら前に読んだことがあったかも、と思いました。けれどもうそんなことはどうでもいいです、ええどうでも。
 一作目の京極夏彦氏の話が一番おもしろかった、というか凝ってました。
サラダ好きのライオン・村上ラジオ3
 村上春樹文・大橋歩画
 マガジンハウス
九月一日
 アンアンに掲載されていたエッセイがまとまって一冊の本になった三冊目、確か二冊目は読んでいて一冊目は読んでなかったと思います。
 著者が自分の好きなことや興味のあることについて書いた軽いエッセイなのですが、作家のおっさん(失礼)が書いたとは思えないほど軽やかなところが読みやすくていいです。
 あいかわらずこの人の小説は読んでいないけれど。
マナーとエチケットの文化史・世界のあいさつと作法
 ベサニー・パトリック著・上原裕美子訳
 原書房
九月七日
 図書館の新刊コーナーで見つけてぱらぱらと本をめくってみて、もっと堅苦しい内容だったならば絶対借りなかった本です。古今東西のマナーとエチケットに言及しつつもけしてユーモアを忘れていません。
 最近書かれた本なので情報も新しいのですが、この手の外国の人が書いたにしては珍しく、例えば日本と中国とか、アジア諸国がごっちゃになって混ざっていたりしていません。
 マナーもエチケットも本を読んだだけでは身につかないけれど、読んでて充分におもしろい本でした。
海自レシピ・お艦の味
 協力・海上自衛隊
 小学館
九月七日
 海上自衛隊では、毎週金曜日は本当にカレーの日なのだそうです。都市伝説ではなかったんですな。
 それはおいといて、各基地、艦、潜水艦ごとに専門の料理人(もちろん自衛隊員)がいて、平時の時も有事の時も変わらずご飯を作り続けているのだそうです、考えてみれば当たり前のことなのですが、なぜかロマンを感じます。
 又そのメニューが、並みの料理本よりも本格的で大変おいしそうです。もちろん簡単なメニューも載ってますが、なかなかに独創的でステキ。ただこれを本場で食べようと思ったら、海自の催し物に行くか自分が自衛官になるかしかありません。が、このレシピ本を見れば大丈夫、ご家庭でもばっちり海自の味が楽しめるはずです。でも、海自の偉い人じゃない人用の金属のトレーに盛り付けないと、何を作ってもただのお惣菜になってしまうのではないかとも思います。あああこがれの海軍メシよ。
白い人びと ほか短篇とエッセー
 フランシス・バーネット作
 中村妙子訳
 みすず書房
九月九日
 フランシス・バーネットといえば「小公女」や「秘密の花園」の作者、図書館で見つけたならば読まないはずがありません。表題の「白い人びと」という物語は、期待を全く裏切りませんでした。
 大人向けに書かれた幻想小説なのですが、主人公のおかれた状況、ハイランドの荒地の古城、その女城主にして孤独な少女、ものすごい書庫と蔵書など、大好物の設定がてんこ盛りです。特に「褐色のエルスペス」という少女の設定がツボにはいりまくりでした。後に彼女が誰だったのかという種明かしも出てくるのですが、そんなものが必要じゃないくらいのすばらしきロマンと幻視。
 イギリスが舞台のゴーストストーリーは、日本の幽霊とちょっと似通ったところもあって親しみやすいと思います。でも日本の幽霊話は、もっとずっと陰惨な話が多いですが。
 他のエッセーは、ガーデニング好きの人の気持をわしづかみにするのではないかと思われます。
京都夢いろ彩時記
 永田萌著
 淡交社
九月十二日
 友達から借りた本のうちの一冊、イラストレーターで絵本作家の永田萌さんの京都とそこにまつわる色を題材にしたエッセイです。
忍者図鑑
 黒井宏光著
 ブロンズ新社
九月十三日
 ポチが図書館で借りていた本を、「おもしろい」というので読んでみました。著者はここ忍者の里の現役忍者「黒党(くろんど)」の人、私も黒党については、新聞やミニコミ誌で読んだことがあります。
 …いかにも忍者がいるのがごくごく普通のように書いてますが、ここ忍者の里ですから。
 子供向けに分かりやすく忍者や忍術について説明してあります、いっそ誰か翻訳して海外に出した方がいいのではないでしょうか、この本。
馳星周の喰人魂
 馳星周著
 中央公論新社
九月二十日
 この人のハードボイルドな小説はちっとも読んだことがありませんが、この本は図書館でチラ見してあまりにもおいしそうだったので借りてみました。すばらしい料理人が腕によりをかけたおいしい料理を食べたというエッセイも多いのですが、全然すばらしくないむしろ超がっかりご飯を食べざるをえなかったというがっかり話が案外多くて、この本の素敵なアクセントになっています。
 著者が家では食事のお当番だというのがまたいいのです、奥さんに頭が上がらないところも男の中の男と言えるでしょう。とにかく著者がかわいくてチャーミングなところにくらっとします、本人はちっともそう思ってないと思いますが。
肉筆幽霊画の世界
 安村敏信著
 新人物往来社
九月二十一日
 図書館で比較的適当に借りた本で、あまり幽霊画というジャンルに興味はなかったのですが(日本画ばかりだし)、たくさんの図版を説明付でどんどん見るのはかなりおもしろかったです。
 こんな小さな写真なので、そんなに怖くありませんが、お盆の時期に虫干しがてらお寺で公開される幽霊画はさぞかし恐ろしくて素敵なのではないでしょうか。
江神二朗の洞察
 有栖川有栖作
 東京創元社
九月二十六日
 久しぶりに読んだ江神先輩と学生アリスの話、学生生活長すぎです、先輩。
 永遠のモラトリアムを生きる先輩よりも、動機はどうあればりばり(?)働く准教授と作家の方が好きだな、私は。
天使たちの課外授業123
 茅田砂胡作
 中央公論新社
九月三十日
 図書館で久しぶりに茅田さんの新刊を見つけました、しかも三冊いっぺんに。当然三冊まとめて借りて一気に読んだのですが、その一気読みがなかなか出来なくてつらかった…。
 これをまとめて読んでしまわないと、とにかく原稿も何も出来ない、だけどなかなか読んでいる時間もとれない、でも読みきったわ!
ちょっとネコぼけ
 岩合光昭著
 小学館
十月一日
 図書館の小特集が「動物の本」らしく、その棚にあったので借りてきました。
 私はどちらかというと犬派なのですが、それでもこの人の猫の写真にはたまらないものがあります。
幕末志士の死亡診断書
 酒井シヅ著
 株式会社エクスナレッジ
十月十四日
 これも図書館で新刊コーナーに置いてあったのを、ぱらぱらと見て適当に借りた本なのですが、どっこいおもしろかったです。幕末に活躍した各立場の皆様の死因を分析してあるのですが、さすがに写真がちゃんと残っている時代だけあって、比較的事実に近いのではないでしょうか。
 意外な人が意外な病気だったり、「え、この人が?」と思うような人が長生きして老衰で死んでいたり、事実は小説よりもよっぽどびっくりです。
 この本の前に「戦国武将の死亡診断書」という本がでているそうなので、そっちも是非読んでみたいです。
美女入門金言集
 林真理子著
 マガジンハウス
十月十五日
 この人とはどうにも気が合いそうにないなと思いつつも、美女という言葉に反応してしまうのは悲しい女のサガ、今までの美女入門からのよりぬきだけあって、すぱらしい美への指針がいっぱいでした。
 で、自分はというとなんかもう全然駄目、女以外のもう別の何かになりつつありますが、体重の管理という点においてだけは少なくとも勝ってるわ!
あやしい探検隊・済州島乱入
 椎名誠著
 角川書店
十月二十二日
 いい大人がとっかえひっかえ韓国の済州島を移動しながら訪れ、ひたすら自炊したりおいしいものを食べたりカジノに行ったりたまには観光したりしてすごしていく、通訳のドンス君でなくても「なにこれ?」かもしれないけれど、いい大人が必死こいて自分の仕事の都合をつけて数日でも力いっぱい遊んで帰っていくのは、いっそすがすがしいほどでした。若い頃はこういう日常を送ることも出来るけれど、普通年食ったら無理よ!でも無理やりやっていて、それが仕事になってかつライフワークっていうのはすごいかもしれません。
ドイツ王国1000年史
 関田淳子著
 中経出版
十月二十三日
 ビジュアル選書です。特にドイツ史に興味があるわけでなく、世界史も中学校までしか習っていないのでちんぷんかんぷん、だけどいろんな国や王家が起こっては滅びていくその様子は、おたくとして大変に参考になりました。
 よい王様だと国が栄えて、馬鹿な王様だと国が滅びる、シンプルですな。
ユニコーン・ジョルジュ・サンドの遺言
 原田マハ作
 NHK出版
十月二十五日
 今大阪の美術館で展示中の有名な貴婦人とユニコーンのタペストリが題材になっている小説です。女流作家サンドの短編が元になっているのですが、正直分かりにくかった…。読みやすい文章だし小説の内容もよく分かるのですが、それでも何かが分かりにくい。題材が題材だけに作者にも分からなかったのではないでしょうか。
封殺鬼・数え唄うたうもの
 霜島ケイ作
 小学館ルルル文庫
十一月二日
 封殺鬼の新刊を、今回はのがさずゲットいたしました。新シリーズに入ってから多分初めての平成版、三吾が主人公です。読み始めたらもうなんだか脳内大同窓会状態、同じ頁を繰り返して何度も何度も読みながら久しぶりの対面を喜んでおりました。
 事件は一冊できれいに解決し、ちょっと物足りないくらいでしたが、次回作がより楽しみになるってものです。そしてオチの聖のアレルギーがなんともマヌケでよかったわ…。
昭和の皇室をゆるがせた女性たち
 河原敏明著
 講談社
十一月十八日
 長い長い図書整理のための休館があけて、十六日に久しぶりに本が借りられました。この日はとっても図書館が混んでました。
 適当に借りた本で、皇室ジャーナリストという肩書きのあるライターさんですが、内容はほとんど女性週刊誌的ゴシップ、でも美容院や病院の待合で週刊誌を手に取るとたいてい皇室記事はかかさず読んでしまうので、ゴシップオッケー。芸能人のゴシップなんてほとんど興味が無いのに皇室関連だと興味しんしんなのか自分でも謎です、でもそんなものかもしれません。
 ガチホモの某宮様の章があまりにも印象深く、他がすべて吹き飛びました。いやはやすごかったよ…。
殿様の通信簿
 磯田道史著
 朝日出版社
十一月二十一日
 昔々とあるところに隠密に作られた各地の殿様の通信簿がありましたとさ、あんまり秘密な通信簿だったので今では東京大学に一部しか残っていません、その古文書から気になる殿様のところをピックアップして分かりやすい解説付きで説明してあるのがこの本、相当におもしろかったです。どのくらいおもしろかったというと、今読んでいる本とコンボでどうしてもその時にかけなければいけない大事な用事の電話をすっぱり忘れるくらいでした。
 おもしろい本って本当に危険、やらなければならないことが頭から抜け落ちて、優先順位がわやくちゃになってしまうから。
はじめてのルーヴル
 中野京子著
 集英社
十一月二十四日
 殿様の通信簿を読み終えた直後にこの本を読み始めたために用事がひとつすっぽ抜けてしまいました。これも適当といえば適当に借りた本なのですが、前に読んだ「怖い絵」の人でした。
 「怖い絵」シリーズよりもなんだか読みやすく、怖い絵をセレクトしてあるわけでもないのに結局怖い話におちついているのが流石です
。ルーヴルには二回行ったことがあるのだけれど、どちらも下調べ不足とあまりの広さにまけて、ろくに観る事も出来ずに尻尾巻いて逃げてきたような気がします。まだオルセーの方が観やすかったな…。いつかリベンジしたいです、でもいつ、当分は無理だな。
メディアボーイMOOK・廃墟シリーズ おもひで校舎(小中学校・保育園・通学路編)
 撮影・D.HIRO
 協力・芝公園公太郎
十一月二十九日
 読書日記をつけるために今一寸見かえしたらそうでもなかったような気がするのだけれど、昨日読んだ時には、「文章が残念」と思いました。写真はもうすごく素晴らしい、廃校になった学校がまるで聖なる場所のように美しく撮られています。不気味さは全く無いのですが、本当はかなり不気味なはず。不気味なはずのものをここまで美しく清らかに撮ってしまうのか!と思うほどすばらしい。
 写真を撮った人の廃墟に対する愛情があふれにあふれています、それだけに添えられたほんの少しの説明文も、こういかにもマニアなところは省いてほしかった…。
おとな小学生
 益田ミリ著
 ポプラ社
十二月五日
 子どもの頃に読んだ思い出の絵本についてエッセイ(漫画入り)です。出てくるのは有名なロングセラー絵本がほとんどなのですが、実は私はこういった絵本のほとんどを子ども時代に読んだことがありません。母が絵本についてあまり詳しくなかったのか、絵本をあまり買ってもらえるような環境でもなかったし、図書館も親に連れて行ってもらったことは皆無。(でも「おにたのぼうし」と「かさじぞう」はあったな)有名な絵本のほとんどは、ポチが生まれてから買ったり借りたりして読みました。
 ポチがいてよかったことの一つに、絵本を含めて子どもの本読み放題ってのがあります。
 でも、「これを子どもの頃に読んでおきたかったかもしれない」と思う本もやっぱりあるのでした。
アラブからこんにちは
 ハムダなおこ著
 図書刊行会
十二月六日
 新刊コーナーにあった本をなにげなく借りてみました。アラブ首長国連盟の男性と恋愛結婚して向こうに住む日本人女性のエッセイです。異文化を一寸でも理解する助けになるかなと思ったのですが、そこは想像をはるかに超えた日本人の常識の通用しない世界でした、異文化理解なんて甘いものじゃなかったです。しかしすべてを受け入れ、乗り越えていく著者恐るべし。
聖書を読む
 中村うさぎ・佐藤優著
 文藝春秋
十二月九日
 中村うさぎさんがどうやって、どういう聖書の解釈をするのか興味を持って読んでみました。うさぎさんの読み方はとっても納得できて、ある意味とても普通だったのですが、期待をうらぎらずおもしろい本でした。
 特に使徒言行録のステファノのあたりと、ヨハネの黙示録のあたりが、わかりにくいところを分かりやすく説明してありました、あくまで私の好みですが。
春夏秋冬お菓子の旅
 甲斐みのり著
 主婦の友社
十二月十四日
 副題は「松江・京都・松本・金沢日本各地の甘いおやつ352点」です、意外と名古屋のよく知っているお菓子も載ってました。そういえば、この本に載っているような素敵な喫茶店には滅多に行かなくなったなあと思います。昔は結構好きだったんだよね、素敵な喫茶店に友達と行って、ゆっくりお茶とケーキ食べるのが。
さらば新宿赤マント
 椎名誠著
 文藝春秋
十二月二十二日
 週刊文春に長い間連載されていたエッセイが終了し、その最後の部分をまとめた本。この人がいい年して仲間達とキャンプしたり魚釣ったりおいしかったり全然おいしくないものを食べに遠くまで行ったりするのがなんだかんだでうらやましいんだろうな、と思います。自分では全然辿れない人生というか生き様を想像するのがエッセイなのかなと思いました。
ホメーロスのイーリアス物語
 バーバラ・レオニ・ピカード作・高杉一郎訳
 岩波少年文庫
十二月二十五日
 どうやら私はギリシア神話系の物語の中では、このトロイア戦争に関わる話、いわゆるイーリアスな話が大好物らしいということに気がつきました。コミケカタログのチェックもしていないというのになんとか帰省前に読み終わろうとして読んでしまいました。
 何がそんなにおもしろいのか自分でもよく分からないのですがこれがおもしろくてたまらない。なぜ?
 そして多分、今年の読書日記も今日でおしまいだと思います。来年もおもしろい本がたくさん読めますように。


TOP