2014年の読書日記

書名・作者・出版社 内容・感想など 星いくつ?
季節のなめこ図鑑 雪・恋・花編
 監修Beeworks/SUCCESS
 KADOKAWA
一月四日あたり
 これだけは避けたかった記念すべき新年の一冊がなめこ。
 ポチに買ってあげたなめこ図鑑を新年最初に読んでしまいました。ちなみに私のお気に入りのなめこは迷彩なめこと黄金なめこなので、この本には一押しのなめこはいませんが、あえて押すなら三股なめこかな。
りなとなめこの探偵日記・夢どろぼう現る!の巻
 サクセス・ビーワークス原作・小倉帆真著
 集英社みらい文庫
一月五日
 続いてなめこ、こっちは一応児童文学の仕立てになっています。りなという探偵の女の子となめこ探偵のデビュー戦なのですが、なめこがほとんどなんの役にもたってなかったような気がします。なめこの特性をフルに活かして、もっと大活躍すればいいのに。でもなめこが大活躍する物語もイヤだな。
ベッキーのクリスマス
 ターシャ・テューダー絵・文
 ないとうりえこ訳
 メディアファクトリー
一月六日
 なめこがこれ以上続くのを阻止できました。本当は去年のクリスマスの前に読もうと思って図書館で借りておいた本なのだけれど、とてもそんな余裕がなかったわ。
 一昔前のアメリカではクリスマスがくるのを家族全員で大切にして、心をこめて手をかけて準備していた様子がよく分かります。日本のおおみそかとお正月にちょっと似てるかもしれません。
漂流遊女
 中山美里著
 ミリオン出版
一月七日
 年が明けてから初めて図書館に行って、借りてきて真っ先に読んだ本がこの本でした。副題は「路地裏の風俗に生きた11人の女たち」です、風俗業に従事(就職)している女性達へのインタビューをまとめた内容です。
 私の住んでいる世界は狭い、小学校周りとご町内のまわり、そして親族とおたく世界にしか縁がありません。こういう自分の居る世界とある程度違う世界について本ででも知ることはおもしろい、おもしろいんだけど、つっこみどころはたくさんでした。
 稼いだお金をなんでそんなに浪費するの?そんな男のどこがいいの?やっぱり人生には、貯蓄も必要よね…等々。人生計画ばっちりで期間限定で働いて幸せな結婚もして、という人もいることはいますが少数派、人生を甘く見てはイカンということですな。
あのころのデパート
 長野まゆみ著
 新潮社
一月十日
 著者はかつてデパートで働いていたことがあるそうです。そのせいかデパートに対する意見は常に厳しく、「長野さん、何怒ってるの?」という感じがしないこともありません。かつての職場に対する愛憎はなんとなく分かるのでそれはおいておいて、子どもの頃のデパート体験も人それぞれ、地域とご家庭によってずいぶん違うものだと思いました。
 著者は子どもの頃服を自分で選ばせてもらえなかったそうですが、あの当時の子どもというのは多かれ少なかれそうであったのではないでしょうか、私も自分の着たい服を自分で選ぶことは出来ませんでした。たいていおさがりか母の手作りでした。服を選べるようになったのは自転車でいける範囲にダイエーが出来てから、それでも着たい服は選べませんでした。  
 忘れもしない小学校の五年か六年の時、当時はやっていた襟の大きい白いブラウスやレースやワンポイントがついたハイソックス、「着たい」と言っても「そんなものは不良の着るもんや」と母に言われてどうしても買ってもらえなかったことが怨念として残っています。恐るべしレースとフリルの恨み、私がPHにすっ転んだままなのは、あのころのトラウマのせいだと思ってます。半分くらいは。
なぜ子どもの頃レースのついた服を着てはいけなかったのか、一度母に聞いてみたいですが、逆切れされそうなので聞けません、一生謎のままでしょうな。
りなとなめこの探偵日記・消えたまなみとオルゴールの巻
 サクセス・ビーワークス原作・小倉帆真著
 集英社みらい文庫
一月十日
 りなとなめこの探偵物語第二話、今度も残念ながらなめこの活躍はあまりというかほとんどありません。頑張ってはいるんだけどんふんふ言ってるだけのような気がします、まあなめこだから。
 行方不明になったまなみちゃんは無事に帰ってきたけれど、事件は何一つ解決していないような気がします。でも探偵の仕事はここまでで、後は警察のお仕事なのかな?
鳥と雲と薬草袋
 梨木香歩著
 新潮社
一月十二日
 何のエッセイか考えずに借りたならば、日本各地(どちらかというと西のほう)の地名に関するエッセイでした。著者の気になったいろいろな響きを持つ地名について、その名の由来を調べたり、思い出を語ったりしています。
 市町村合併によって昔ながらの趣ある地名が消えてしまうのは本当に残念。
若草物語・上下
 ルイザ・メイ・オルコット作
 海都洋子訳
 岩波少年文庫
一月十八日
 岩波から新版の若草物語が出たので借りて読んでみました、前にこの物語を読んだのはいったいいつごろだったのかさっぱり思い出せません。でも確か続編も読んで、「えっ」と思ったことを覚えています、ベスが死んじゃうんだよね。そこの部分の印象があまりに強くて、残りの話を全部忘れました。
 以前読んだ時には気がつかなかった、というか、日本の読者のためにあえて触れていなかったのかもしれませんが、意外とキリスト教色の濃い話だと思いました。でもそれを差し置いてもやっぱりおもしろい物語、永遠の少女小説なのではないでしょうか。
衣服で読み直す日本史
 武田佐知子著
 朝日選書
一月二十三日
 なぜこの本を借りたかというと、十二単の資料写真が欲しかったから。実は資料としてはあまり役にたたなかったのですが、なかなかに興味深い部分も何箇所かありました。
 もちろん普段から関心を持っている分野の本でもないので、興味のない専門分野は読み飛ばしたのですが、「異性装と男女の理想像」の所の平安BL事情はいとおかし、いえ、大変におもしろかったです。
 あの時代のいい男の条件というのは、「まんま女にしてもオッケーなくらい美しい」ことだったのだそうです。そして「ああ、このひとが女だったらよかったのに、もういっそ男でもいっかーー」てな感じで事におよんだと解説してありました。今のBLの基準からしたら、それはちょっとつまらないかな、好き好きの問題ですが。
眩談
 京極夏彦作
 メディアファクトリー
一月三十日
 一番最後の一話を除いて見事に嫌ーーーーーな話ばかり、読んでいて気がめいってきたとか途中で読むのが嫌になったとか言いたいところですが違うんだなこれが。
 現実の社会、世間はささやかに嫌なことばかり、楽しいことうれしいこと素晴らしいことももちろんあるけれど、嫌だと思えることはもっとあるような気がします。
 嫌な物語×嫌な現実=余計嫌になりそうなものですが、嫌と嫌を掛け合わせるとなにかがすっぽんとぬけてしまって、いっそ晴れ晴れしました。いやはや物語の力ってすごいな。
怪談実話系・書き下ろし怪談文芸競作集・愛
 メディアファクトリー
二月一日
 いつのまにか十冊目まで出ていました、だいぶとばして読んじゃったな。
 そしていつから私は怪談の全く怖くない人間になってしまったのか、怪談を楽しめないなんてつまらないことこの上なし。短編集としてはおもしろいし、怖い話ばかりのはずなのだけれど正直全然怖くない。もっと怖い怪談を読めばきっと大丈夫だとは思うのだけれど。
世界の日本人ジョーク集・続・世界の日本人ジョーク集
 早坂隆著
 中公新書ラクレ
二月五日
 二冊まとめてなんとなく借りてきました。おもしろいのかおもしろくないのかよく分からない本でしたが、県民性とか国民性が大好きなポチが飛びつくように読んでいたのにはびっくりしました。一部十歳には難しい(?)シモネタもあったけれど、まあいいか…これも勉強で。
聖・おにいさんイエスとブッダのパネェ秘密
 制作・総合この世連合
 EIWAMOOK
二月八日
 私のお気に入りの漫画「聖・おにいさん」の元ネタ満載の本、キリスト教と仏教についてのいろいろなことが、さりげなく覚えられます。
学校給食食べ歩記2
 吉原ひろこ著
 サテマガ・ビー・アイ
二月十一日
 一巻が図書館になかったので二巻から借りてみました。もともと朝日新聞の連載コラムだったので以前少々読んでました。
 著者が全国各地の小中学校、幼稚園保育園に行って給食を食べてきます。自校式ありセンター方式あり、ものすごく頑張っている学校もちょっと残念な学校もありますが、おおむねおいしそうでした。ここ忍者の里では小学校は自校式で中学からセンター方式になりますが、小学校の方が給食はずっとおいしいのだそうです。
デカルコマニア
 長野まゆみ作
 新潮社
二月十四日
 数頁読んで以前にも借りて読みかけたことがあるということに気がつきましたが、そのまま読み進めました。以前借りた時には全部読めなかったんじゃないかな、複雑に入り組んだ時間旅行スキップありの家系図を編みなおしていくような物語。
 実はきちんと理解できたわけじゃなくて、物語の雰囲気を楽しんだだけで終ってしまいました、それもありだとは思うけれど。きちんと理解しようと思ったら、三回くらいは読み直さないと無理そうです。
チェロの木
 いせひでこ作
 偕成社
二月十五日
 途中まで読んであまりにも美しくて清らかなので読むのがつらくなってしまいました。自分の中にはここまで美しいものは多分無いのが残念。
からすのおかしやさん
 かこさとしおはなしのほん
 偕成社
二月十五日
 ポチがもう少しだけ小さかったころ、寝る前によく読んだ「からすのパンやさん」の続編が最近出ました、そのうちの一冊目です。パンやさんの一番目の子どものチョコくんが大きくなって、お菓子作りをはじめてお店をもってお嫁さんをもらう物語、あまりにもなにもかもがなつかしく、変わらない世界がうれしいです。ポチはもう大きくなって寝る前の絵本もなくなったけれど、あの頃のポチは本当にかわいかったな…。(今もかわいいけど)
学校給食食べ歩記3
 吉原ひろこ著
 サテマガ・ビー・アイ
二月十七日
 今回の特集は「食べ残し」です。私は子どもの頃好き嫌いがものすごく多くて、しょっちゅう残していたなと今になって申し訳なく思います。
 ところで著者の方は、この本の執筆時には忍者の里にお住まいだったようです。どうりで地元の学校がよく取り上げられてると思ったよ。
戦国武将の死亡診断書
 酒井シヅ監修
 エクスナレッジ
二月十七日
 以前幕末志士編を読んで、戦国武将編も見つけたら借りようと思ってました。
 いやもうけっこう笑えます。
ラファエル前派の世界
 平松洋
 KADOKAWA
二月二十日
 ラファエル前派の本はいろいろありますが、この本は裏の事情まで細かく書いてあってなかなかに斬新な切り口でした。ただ賛美するだけでないってところがなかなかいいです。
 崇高な(?)目的のために結成されたラファエル前派ですが、女性関係と地位と名誉(?)のために解体していくところがいかにもそれらしい。美人の取り合いが多すぎです。
人妻魂
 嵐山光三郎著
 マガジンハウス
二月二十二日
 図書館でなんとなく適当に借りた本なのですが、おもしろそうな臭いがしました。「ダカーポ」という雑誌に連載されていた人妻エッセイの内、歴史に名を残している人妻部分のみ抜粋されていて、現代の「投稿・悪妻コーナー」とか「投稿・人妻エロエロコーナー」とかの分がカットされているのがなんとも残念でした。
 歴史的人妻と言っても、夫を支えつつお尻にしいた賢妻有りの、やりたい放題やったあげく野たれ死んだ悪妻ありの、大変バラエティーにとんでいました。
 私としては、旦那をたてつつお尻にしくのが理想的夫婦関係だと思ってます。
学校給食食べ歩記4
 吉原ひろこ著
 サテマガ・ビー・アイ
二月二十四日
 中学校の給食現場とアレルギー対応と東日本大震災時の給食についての特集でした。そして驚愕の事実が判明!
 忍者の里はポチが生まれる何年か前に近隣の市町村と平成の大合併をしたのですが、その時に給食センターが作られて、中学校で給食が行われるようになったのだそうです。つまりその前はお弁当持参だったんですな…ありがとう平成の大合併、本当に助かるよ…。
 でもこれで各小学校が自校式で、中学がセンター方式な理由が分かりました。
イラストで読む印象派の画家たち
 杉全美帆子著
 河出書房新社
二月二十六日
 ものすごく分かりやすくておもしろい印象派の本、特に印象派の画家同士の人間関係はこれを読めばもうバッチリなかんじがいたします。美術史とか習っている時にこれ読んでいればよかったのに。
マリーアントワネット38年の生涯・断頭台に散った悲運の王妃
 別冊歴史読本91
 新人物往来社
二月二十八日
 特にマリーアントワネットが好きなわけではありませんが、なんとなく借りて読んで見ました。アントワネットをめぐる人々や、他の本に載っていそうでなかなか載ってない子ども達のその後も詳しく書いてあって、なかなかに読みやすかったです。
 ただアントワネットに関しては同情は出来ません、絶対王政時代の王妃なのだから国民を省みないのは仕方がないにしても、まあ自業自得ではなかったかなと思ってます。ただこの人は捕らわれの身になってから自分の資質が開花したので、そこは惜しかったかなと。
迷惑メール、返事をしたらこうなった
 多田文明著
 イースト・プレス
 三月分の読書日記は、旧パソからのサルベージならぬ打ち直しです。よってライトノベルは三月は結構読んだのだけれどカットして、おもしろかった本のみ載せておきます。
三月三日
 副題は「詐欺・悪徳商法「実体験」ルポ」、山ほど来る迷惑メールに、わざわざ返事をして相手の反応、出方、手口等々を紹介するという実験的な内容の本です。
 いろいろな詐欺の方法があるけれど、怪しいと思ったらけして開かずにそのまま削除するという基本が一番大切だと分かりました。
 …ライトノベル以外で読んだ本、三月はこれ一冊だったんですね、ちょっと驚き。
フェアリー愛蔵版
 絵・文ブライアン・フラウド アラン・リー
 訳・井辻朱美
 グラフイック社
四月某日
 本屋でこの本を見つけたら、買わないでいる自信がありません。むしろ飛びついて買っちゃいそうです。もう素敵すぎる妖精の本、イラストも素晴らしければ内容も完璧ってほどではないけれどいいです、とっても。
 今年読んだ本の中では今のところナンバーワン、私の本棚に是非カモーーーン。
☆☆☆
殺したい蕎麦屋
 椎名誠著
 グラフイック社
四月八日
 あちこちで椎名さんが書き散らしたエッセイをまとめた本、比較的まじめ。
 タイトルになっている「殺したい蕎麦屋」の話にはしみじみと共感できます。高いお金とってきどりまくった挙句に「金返せ!」な飲食店、たまにあるよね。
「最悪」の法律の歴史
 ネイサン・ベロンスキー著・廣田明子訳
 原書房
四月十三日
 ビルダーをXPから引っ越した影響で、三月と四月分の読書日記が消えてしまいました。面白かった本だけでも、後でちょっと打ち直しておこう。そしてせっかく更新した新刊や在庫のコーナーも前のままだよ…。ネット上では更新後になっているのに全くパソコンというやつは!なんて面倒くさいのであろうか。
 それはおいといて、この本は全編ギャグでした。古今東西の実在した法律ばかり載っているにもかかわらず全部ギャグ。私的に一番すごいと思ったのはイギリスの法律で「国会議事堂内で死亡するのは違法」というのと「ヨーク市では、旧市街地で弓矢をもって歩いているスコットランド人を殺すのは合法」というもの。いきなりポックリ逝ってもいけなければ、おちおち弓矢持って歩いていてもいけません。
 すばらしきかな法律の世界よ、奥が深すぎます。
 
超ローカルヒーロー大図鑑
 ローカルヒーロー研究会著
 水曜社
四月十九日
 2006年に「ローカルヒーロー大図鑑」という本が出ていて、その後に登場したローカルヒーロー中心に掲載されています。だから情報がかなり新しく、「伊賀牛集団・部位3」まで出ているのは感激ものです。同じ頁には「119団アンシンダー」まで出ているところがすばらしい。ローカルヒーローは郷土の誇り(?)です。
 各ヒーローのなりたちの説明がちょっとだけされていて、「既製のヒーローを呼ぶ予算がなかったから」とか「保育園のおゆうぎ会の余興にお父さんたちが」とか「ヒーロー好きがあいまって」とかそういうのが案外多くてこれまた感動的、ローカル限定でもテレビドラマになったりしているものもあり、地域の人々の愛を感じます。
 願わくば名古屋のヒーロー「グランスピアー」も載っていればもっとよかったのに、条件が合わなかったのでしょうか、もしかしてメジャー過ぎ?
カワイク着こなすアジアの民族衣装
 森明美著
 河出書房新社
四月二十日
 以前に一度借りたことがある、ということに気がついたのは、チマ・チョゴリの写真を見たあとでしたがまあいいやと思ってもう一度読みました。アジア各地(日本は除く)のステキ民族衣装を日本でゲットしてかわいく着こなすための本。少し前の情報になりますが、お店のサイトアドレスなんかも載ってます。
 韓国のチマ・チョゴリ、中国のチャイナドレス、ベトナムのアオザイなどみんな可愛くて素敵な衣装ばかり、着てみたいのはチマ・チョゴリとランガー・ドレスあたりかな。
ホメーロスのオデュッセイア物語上・下
 バーバラ・レオニ・ピカード作 高杉一郎訳
 岩波少年文庫
四月某日
 この前イーリアスを読んだので今度はオデュッセイアを読んでみました。断片ではいろいろ読んだこともあったけれどこんなにまとめて読んだのは初めてのような気がします、そして思っていたよりずっとずっとおもしろかった!
 智将オデュッセイア、女神アテネに愛された男、性格はかなりひどいです。
 
マザーグースベスト第3集
 谷川俊太郎訳
 草思社
四月二十四日
 新刊「本棚の本3」のために借りたのですが、じっくり読んでしまいました。気に入った唄をノートに書き留めてみたら、そのラインナップが中学時代とほとんど変わっていなかったというその事実。いやあもう人って変わらないものなのね。
コスチューム・中世衣装カタログ
 田中天・F.E.A.R著
 新紀元社
四月二十五日
 これも資料用に借りてばっちり役にたちました。
野川
 長野まゆみ作
 河出書房新社
四月二十八日
 新聞広告で「課題図書にもなった名作文庫化」の文字を見て、思わず個人誌のネタにしてしまった本がとうとう読めました。図書館でハードカバーの方がありました、ラッキー!
 長野まゆみさんの本で課題図書?それはいったいどういう内容なのだろうか、純真な若者に読ませても大丈夫なのか?等々もんもんと考えていたのですが、考えすぎでした。まるで著者の本ではないかのようなさわやかっぷり、著者が著者の皮をかぶって書いたかのよう。それでもやっぱり長野まゆみ節は健在でした…。本当に読んでいて驚いてしまいましたが、確かにこの内容ならば課題図書になるわ!
 私が感想文を書くとしたらどうするかな、「世界は美しいもので満ちている、けれど世界には美しいものなどひとつもないのかもしれない」で始めようかな。
図説・英国インテリアの歴史・魅惑のヴィクトリアン・ハウス
 小野まり著
 河出書房新社
五月五日
 もう資料写真として最高クラス、版形の都合上ちょっぴり写真が小さめなのが難といえば難なのですが、こういうものは見て描くのとそうではないのとではもう雲泥の差が出るものですから。是非ともこの本はゲットせねば。
 お屋敷やお城の内部写真集は多々ありますが、庶民、ミドルクラスのご家庭の内部の写真があるのが素晴らしい。
お姫さまお菓子物語
 今田美奈子著・牧野鈴子絵
 朝日学生新聞社
五月五日
 図書館の児童書・お菓子のコーナーで見つけた本、牧野鈴子さん挿絵の本を見るのは久しぶりでした。大昔のMOEとか詩とメルヘンとかで活躍されていた方で、「もう月には行かない」という詩につけられた挿絵がすごく好きでした。
 お姫様にちなんだお菓子の紹介とレシピの本ですが、左頁が挿絵になっていて各お姫様の肖像があるのですが、これがきれいなんだけどマンネリでちょっとつまらなかった…。もっと斬新な絵が描ける人なのに著者の意向だったのでしょうか、残念。
クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会・星を売る店
 クラアト・エヴィング商會
 平凡社
五月七日
 クラフト・エヴィング商會というデザイン事務所(?)のお仕事紹介展覧会のカタログだそうですが、なんと上製本でした。
 載っているのはないものが中心ですが、あるものもあって例えば本を作るときに作る仮の本、これは本の形を決めるための本なので中身は全部真っ白です。実はこれは印刷屋に勤務していた頃しょっちゅうお目にかかるものだったので大変になつかしいのですが、確かに世間一般にはありえませんがな。
 前半のこういうものを紹介している時分にはおもしろかったのですが、後半の「今までに装丁した本」の顔写真が並びだした頃からつまらなくなってきました。ないもののほうがあるものよりもおもしろいですな。
小さいおうち
 中島京子作
 文藝春秋
五月十日
 以前新聞の書評欄か何かで見て、読みたいと思っていた本を図書館で見つけました。映画化もされている作品だったと思いますが、さすがにおもしろかったです。
 私はタキさんも、板倉さんのことが好きだったのではないかと思って読んでいたのですが、最後の最後でそれは違うということがよーーーく分かりました。
パンダ銭湯
 tupera tuperaさく
 絵本館
五月某日
 もう滅多に絵本を読まなくなった(本はたくさん読みます)ポチが、友人に勧められたといって何ヶ月も図書館で借りられる時が来るのを待っていた絵本、パンダ先頭でもなくパンダ戦闘でもなくパンダ銭湯です。
 パンダ専門お風呂屋さんの驚愕の物語、サングラスを外すと意外にパンダの目がするどかったりして。
「最悪」の医療の歴史
 ネイサン・ベロフスキー著・伊藤はるみ訳
 原書房
五月十四日
 以前「最悪」の法律の歴史という本を読んで大爆笑したものでしたが、こちらは全然笑えませんでした。怖すぎて。
マザー・グースをたずねて
 鷲津名都江著
 筑摩書房
五月十五日
 以前にも一度読んだことがありましたが、最近マザーグースづいているのでもう一度借りて読んでみました。谷川訳のマザーグースベストにも載っていない唄があり、その由来も載っているのがすばらしい。特に「ベッシーとメリー」という唄が、かわいいのに背景が暗黒で素敵です。
マザー・グース・ベスト第1集・第2集
 谷川俊太郎訳
 草思社
五月十五日
 第3集に続いて久しぶりに読んでみました。忘れている唄も多いし一部分だけ覚えている唄も多い、子供の頃から何度も読んでいる本ですがやっぱりとってもおもしろいです。
 でも自分の気に入っている唄は第3集に集中していることが判明しました。
みをつくし料理帖 残月
 田郁作
 角川春樹事務所
五月二十日
 久しぶりに読んだこのシリーズ、でも又次さんはもういないのね…。
注文の多い注文書
 小川洋子・クラフト・エヴィング商會作
 筑摩書房
五月二十八日
 ちょっと前に読んだクラフト・エヴィング商會のカタログに紹介されていた本、タイムリーに見つけたので読んでみました。注文書、納品書、受領書の三パートに別れた短編がいくつかあって、どれも無いものを捜す話でおもしろかったのですが、一番好きなのは「貧乏な叔母さん」の話でした。
エストニア紀行
 梨木香歩著
 新潮社
五月三十日
 副題は「森の苔・庭の木漏れ日・海の葦」です。著者のエストニア旅行記なのですが、旅する人によって見えるものは全然違う、ということがよくわかる本でした。サブタイトルにあるように、作者の目に映るものはこういうもの、どこにでもあるようでいてある特別な条件の特別な場所にしかないものが美しい文章で書かれています。
 かといってもそればかりではなく、幽霊ホテルに泊まってしまった時の幽霊との折り合いの付け方とか、エロじじいとの困った会話とか、普通の(?)旅行エッセイっぽい内容もあって、普通旅行記だとどうしても「こんなところに行ってきました」自慢なところがあって素直に楽しめないのですが、文章に目が吸い付けられるくらい楽しめました。
 最後に載っているエストニアの歌「我が祖国は我が愛」の著者訳がまた美しい。
 そういえば何年か前に合唱組曲「さまよえるエストニア人」をOBステージで歌う機会があったのですが、練習に参加できないのであきらめてました。無理にでもでとけばよかったかも。
へなちょこ手作り生活
 たかぎなおこ著
 白泉社
五月三十一日
 著者がいろいろなものの手作りに励むコミックエッセイ、その道のプロに教わる本格的なものもあれば、自分で適当に作ってしまうものもあり、食品から棚までバラエティにとんでいます。
 私的には、梅干の手作りが一番大変そうで、かつすごく充実感がありそうだと思いました。他の物と比べるとかける時間が違います。
かんたん!勝負ごはん
 小栗左多里著・料理小栗一江・トニー・ラズロ
 ヴィレッジブックス
五月三十一日
 軽めのコミックエッセイ二連発。著者のお母様と旦那様とご本人でお料理エッセイです。肝心のお料理はちょっと私の好みから外れていてあまり作ってみようとは思わないけれど、著者は高校の時の先輩で、同じように制服着て同じようにデッサンに泣かされ(?)てきたはずなのにこの成功っぷりはとてもうらやましいです、素敵です、先輩。
 ちなみにあちらは私のことなどかけらも覚えていないと思います。普通覚えてないって。私も初期に出た本のプロフィール見るまで知りませんでした。
「ケルト神話」がわかる事典
 森瀬繚著
 SBクリエイティブ株式会社
六月十二日
 ダーナ神族の物語からアーサー王伝説まで駆け足で解説してある本です。
 索引代わりにはなりますが、かなり物足りないかも。
深海ザメを追え
 田中彰著
 宝島社
六月十五日
 昨年に放映されたNHKスペシャル「シリーズ深海の巨大生物 謎の海底サメ王国」に出演していたサメの研究者が書いた深海ザメの入門書。私はあまりテレビを見ないほうですが、この番組だけはしっかりと見て、珍しい深海ザメの姿を目に焼き付けておきました。ここ数年でいちばんおもしろい番組だったと思ってます、ダイオウイカもよかったけど。
 入門書と銘打ってあるだけあって、ひとつの単元に掘り下げ掘り下げはしてないけれど、それだけにサメに関するいろいろなことに言及してあって、シロウトでも大変読みやすくなっています。はっきりいってとてもチャーミングな本です。
 古代ザメの一種のラブカが、漢字だと羅鱶になるなんてとても素敵、なんでこんな名前なんだろうと思っていたのだけれど、ちゃんと漢字がついててよかったよかった(?)。
女子漂流
 中村うさぎ・三浦しをん著
 毎日新聞社
六月十五日
 副題は「うさぎとしをんのないしょのはなし」全然内緒じゃないですが。うさぎさんは50代、しをんさんは30代、ともに作家さんです。あまり共通点はなさそうな気がしますが、中高生時代横浜のお嬢様学校に通っていたのが同じ(学校は違います)なのでそこからお話が始まります。ちなみに対談です。
 私とも全く共通するところはないのですが、あえて言うならばしをんさんがおたくで異性にあんまり興味がないところでしょうか。別に異性に興味なんかなくても、全然もてなくても努力次第で結婚はできますが。
 この対談集で一番納得できたのは「女子は捨てた選択肢に常に復讐される」という部分です。専業主婦はキャリアウーマンが羨ましいし、キャリアウーマンは専業主婦が羨ましい、「もし、あの時あっちを選んでいたら」というもしもを一生背負って生きていくのが女ってものだと思います。
はらぺこおとりよせ便
 たかはしみき著
 集英社
六月某日
 日本全国お取り寄せグルメを取り寄せて、その感想をイラストエッセイで綴った本、軽く読めておいしそうでかわいいです。
 でもお取り寄せグルメってやったことないな。
少女と魔法
 須川亜紀子
 NTT出版
六月二十五日
 副題は「ガールヒーローはいかに受容されたのか」です。もともとは研究論文で、論文用語がいっぱい出てきてそこがかなり読みにくく、この本をつまらなくさせていると思います。普通の出版社から出せるくらい、内容的にはおもしろいのだからもう少し読みやすく修正してくれればもっといいのに。
ひさしぶりの海苔弁
 平松洋子
 文藝春秋
六月二十八日
 この人の食べ物エッセイを最初に読んだときは「女の人なのになんておっさんくさい書き方だろうか」と思ったものですが、もうすっかり慣れました。むしろ飾り気のないその食べ物への執着心が清々しいくらいです。
 海苔弁を食べるとかつて海苔弁を食した時のその風景、心情まで思い出される、といった趣旨のことが書かれていて、そこは全く同感です。私は海苔弁というと、きまって大学時代のコーラスクラブの演奏会のリハーサルを思い出します。大きなホールのロビーのそこそこで食した海苔弁、本番の前の腹ごしらえ、懐かしいな。
はずれ先生にあたったときに読む本
 立石美津子著
 青春出版社
六月二十九日
 別にポチの今年の小学校の担任の先生がはずれだと思っているわけではありません。去年の先生と比べると若干…なところがあるなと思っているだけなのでございます。それよりも隣のクラスの先生がまだ新任でいつまでたってもクラスが落ち着かず、どう考えても保護者にも子供にもなめられている様子なのが気になります。
 私は、「誰でも最初はビギナーなんだからちょっとのことくらい多めに見ようよ」と思っていたのですが、この前その先生が地区懇談会に地区担当として来たとき、同年代の他の先生と比べても全く発言しなかったことが気になります。控えめで発言しないのか子どもの様子を見るほど余裕がないのか、どっちにしても先生という職業上それはあまりいいこととは思えません。
 それで図書館で偶然見つけたこの本を読んでみたのですが、参考になったようなならないような。まあいいか隣のクラスだし。とにかく子供の前で先生の悪口は厳禁、先生が怒ってばかりだったら家庭ではなるべくいいとこ見つけて褒めるとか、親の考え方を変えてみるとか。特効薬はないようです。
遠野物語remix
 京極夏彦×柳田國男
 角川学芸出版
七月一日
 ちょっと前に新聞広告で見て、是非読まねば!と思っていた本がタイムリーに図書館にありました。
 どこまで遠野物語のファンなんだ京極夏彦…どこまで読んでも遠野物語、著者の柳田國男へのファンレター、あるいはラヴコールのようでした。
 とてもおもしろくて楽しい本だったのだけれど、遠野物語というとあの文章がつまりにつまったみっしり感、どこまで読んでも終わらない感じが幸せなのに、一話ごとに改頁がされていてみっしり感があまりないところが残念といえば残念でした。これがもっとみしみしにつまっていて、全話入っていればずっといいのに!
困ってるひと
 大野更紗著
 ポプラ社
七月六日
 ビルマ難民問題に積極的かつ果敢に取り組んでいた大学院生が難病にかかり、みずからが難民になっていく姿を克明に記録した本。ものすごく困った状況なのに、文章は明快でおもしろく、じめじめとしていないのが魅力です。
思い出のマーニー上・下
 ジョーン・ロビンソン作
 松野正子訳
 岩波少年文庫
七月十日
 この夏ジブリが公開する映画の原作、観に行く予定は今のところないけれど、原作が図書館にあったので読んでみました。
 さすがジブリが選ぶだけのことはあって大変におもしろかったです、まさに英国児童文学の古典的名作にふさわしいと思いました。
怪談・牡丹灯籠
 金原瑞人著
 岩崎書店
七月十日
 「ストーリーで楽しむ日本の古典」というシリーズの子供向けの本、しかし大人でもばっちり楽しめました。
 牡丹灯籠ってこんな話だったのか、と目からウロコがぽろっと落ちました。怪談の部分しか知らなかったけれど、その前にお父様のあんな因縁話があったとは。群像劇で仇討ちで怪談でとっても因果応報で最終的にはハッピーエンド、なんかすごすぎます。
偉人は死ぬのも楽じゃない
 ジョージア・ブラッグ著・梶山あゆみ訳
 河出書房新社
七月十四日
 表紙の、あまりにしょうもないイラストが気になって借りてみました。内容もとてもしょうもない…てもしょうもない本って時々とても面白かったりしますよね。
 歴史上の偉人がどういう死に方をしたのか、この前読んだ「最悪の医療の歴史」という本と同じようなテーマで同じ人物も結構出てきます。でもこの本の方が読みやすいかな。
生存者ゼロ
 安生正作
 宝島社
七月十七日
 新聞に広告が載っていておもしろそうだったので、図書館で借りて読んでみました。読んでいる途中から、あまり自分の好みの話じゃないなとか、作者は北海道に何か恨みでもあるのだろうか、とか思っていたのですがそれでもやはり面白かったので全部読めました。
雨月物語
 金原瑞人著
 岩崎書店
七月二十三日
 「ストーリーで楽しむ日本の古典」シリーズ、今度は雨月物語を読んでみました。現代語訳の本は何度か読んでいるので、今回もそうだろうと思っていたら趣向が全然違っていました。廃校直前に一度だけ結成された文芸部の読書会で一人一話ずつ雨月物語を読んでいく、という設定になっていて、かなりわかりやすくて子供にもアピールするのではないでしょうか、なかなかよかったです。
あのとき、この本
 こうの史代・漫画
 「この絵本が好き」編集部・編
 平凡社
七月二十五日
 いろんな作家さんやイラストレーターさんが、お気に入りの絵本にまつわる話をしていて、それにこうの史代さんが四コマ漫画をつけているのですが、大変かわいくて読み応えもありました。なによりも自分が子供の時とか、ポチが小さい頃に読んだ本が載っているのは単純にうれしいではありませんか!
 もし自分が一冊の絵本について語るのならば、何にしようかな。「おばけでんしゃ」かな。
あしながおじさん
 J・ウェブスター作・坪井郁美訳
 福音館文庫
七月二十六日
 ポチが夏休みの読書用に学校の図書室で借りてきた本を、ポチより先に読んでしまいました。あしながおじさんを読んだのは一体何十年ぶりのことでしょうか。昔読んだ時に気づかなかったいろんなことが、なんだかばっちりわかったような気がします。
ターシャ・テューダーのマザーグース
 ターシャ・テューダー絵・ないとうえりこ訳
 メディアファクトリー
七月二十六日
 明日図書館に行く予定なので、読みかけの本をまとめて読んでしまいましたが今日一日暇だったわけでは断じてありません。むしろとっても忙しかったわ…。
 マザーグースが好きでいろんな人の訳の本を読んでいますが、やっぱり訳者によって印象が全然違います。そしてあまりメジャーじゃない唄が時々出てくるのもおもしろいです。ターシャのイラストはもちろん素敵。
冥土
 内田百聞作・金井田英津子画
 長崎出版
七月二十六日
 このくらい装丁に凝れたら楽しいだろうな、と思うほど装丁の凝った本。いやはやまったくうらやましい、予算があったらこういう装丁やってみたいものです。
 短編が何本か入っていて、一番読みやすくてわかりやすくて面白いと思ったのは「件」です。何を言うべきか言うべきことが見つからない件っていうのがいいなと思いました。
菩提樹荘の殺人
 有栖川有栖作
 文藝春秋
七月二十七日
 久しぶりの火村准教授と作家のアリスのシリーズ短編集、学生アリスよりもこっちのシリーズの方が好きなのですが、今回は大学時代の火村くんの話が出てきます。大学生位の頃からもうあまり今と変わっていないのね。
 あいかわらず火村准教授がなんだか可憐に思えてしまって困ります。


不幸な事故により消えてしまった分の記録を、プリントアウトした紙からスキャナーで取り込んでみました。見にくくてすいません。

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