2019年の読書日記

番号 書名・著者・出版社 内容・感想など ☆いくつ?
1 不倫のオーラ
 林真理子著
 文藝春秋
一月十一日
 今年最初の一冊が、まさか林真理子さんのエッセイになるとは思ってませんでしたが図書館で借りてきたその日に思わず読んでしまったのでこういう結果になりました。仕方がないじゃないか読みやすいし面白いんだから。
 一年のはじめの一冊はもう少し重厚なものを読もうと思って、文庫本を何冊か買っておいたというのに・・・。今年の読書もなんだかなーーな本でいっぱいになりそうな予感がいたします。まあいいか・・・。
2 単細胞にも意地がある・なまこのからえばり10
 椎名誠著
 毎日新聞社
一月十二日
 このシリーズの1から9までを読んだ記憶がとんとないのですが(もしかしたら何冊か読んでいたかも、でも読んでなさそうな気がするな)タイトルに惹かれて読んでみました。いつもの椎名さんのエッセイでした。
 私はあまりおっさん臭いエッセイは好きではないのですが、このおっさんのエッセイは結構好きです。でももう少しご飯を作ってくれる奥さんに感謝したほうがいいと思います、でもそんなことは書いてないだけで、よく分かっているんだろうとも思うけれども。
3 ようこそ、絵本館へ
 あさのあつこ著
 文藝春秋
一月十三日
 絵本自体読まなくなって久しいのですが、別に絵本が嫌いなわけではないので借りてみた絵本の紹介本です。
 思えばポチが小さい頃、山のように読んだものでした・・・自分が小さかった頃よりもよほどたくさん読んだんじゃないかな、今となってはいい思い出ですが、ポチと一緒に読んでおいて本当によかったと思ってます。
 なんというか多幸感に包まれたこの本、著者の紹介の仕方がうまい!
4 とるとだす
 畠中恵作
 新潮社
一月十四日
 しゃばけシリーズの何冊目か、まだ読んでいない本を図書館で見つけたので借りておきました。
 おとっつあん危うし、と思ったけれども案外大丈夫でしたね・・・。
5 花だより・みをつくし料理帖特別巻
 田郁作
 角川春樹事務所
一月十八日
 久しぶりに読んだシリーズの番外編、登場人物全員がいろいろ大変なこともあったけれど、落ち着くところに落ち着いて幸せに暮らしているよ、という便りのような本でした。
6 英国一家、日本をおかわり
 マイケル・ブース著
 寺西のぶ子訳
 角川書店
一月二十四日
 あれから十年後、英国一家は再び食べ歩きで日本を縦断するために戻ってきました、あんなに小さかった二人の息子さんたちももうすっかりいっぱしのティーンエイジャーになっていました。
 このくらいの歳の時に外国でしばらく生活する経験を積むということは、それだけでも大きな財産になるんじゃないかなと、本文とはあまり関係のないところで思ったりしました。
 全体としてイギリス的なユーモアに溢れたとても面白い本ではあるのだけれど、ブースさんが日本の普通のカレーライスの良さを理解できなかったのがちょっとだけ残念です。やっぱり育った環境、小さい時から食べてきた物の影響ってあるものですな。
7 美女は天下の回りもの
 林真理子著
 マガジンハウス
一月二十六日
 また林真理子さんのエッセイを読んでしまった・・・。このシリーズは「アンアン」に連載されているのですが、いかにもアンアン読者の好きな内容、例えばオシャレとか芸能人のこととか書かれているにもかかわらず、それがちゃんとした女子向けの人生訓とかエールになっているところがすごいと思います。
 そして自分の失敗談をそれはおかしく書いてあるのが素晴しい、よくある女流作家の自慢話ばかりのエッセイのなんとつまらないことか!自分を客観視できるってことは大事だと思います。
8 カムパネルラ版銀河鉄道の夜
 長野まゆみ作
 河出書房新社
一月二十八日
 「銀河の通信所」シリーズの二冊目、カムパネルラの語る銀河鉄道の夜の物語ですが、混線して入ってくる中原宙也さんの話が結構メインになってます。中原さんは宮沢賢治さんの大ファンだったようです。
 銀河鉄道の夜はともかく、賢治さんの詩の方はなかなかに難解で、私ごときの頭では長い閧ルとんど理解不能だったのですが、中原さんのツッコミのおかげでほんの少しだけ理解できたような気がしないでもないですが、やっぱりほとんど分かってません。
9 東海カフェ散歩
 レイガス著
 月兎舎
一月三十一日
 東海地方の素敵なカフェめぐりの本、著者が三重の松阪在住なので、三重のそのあたりと愛知の情報が多めです、岐阜はあまり載ってません。珍しいなと思ったのは、著者が男性なこと。男の人でもカフェ巡りが好きな人っているんですな、ただの偏見だけど。隠れ家的な店が多めでかっこいいです。
10 アンソロジーおやつ
 PARCO出版
二月一日
 時々読んでいる食べ物アンソロジーシリーズのうちの一冊でテーマは「おやつ」、子供の頃好きだったお菓子を懐かしむとか、今やめられないとまらないお菓子について語るとか、だいたいのエッセイが多幸感にあふれているのに、まれにものすごく不幸な体験が綴られていたりするのがかえっておもしろいです。
11 オイディプス王
 ソポクレス
 藤沢令夫訳
 岩波文庫
二月二日
 ギリシア悲劇愛のあまりとうとう買ってしまったこの本、お正月の前に購入したのに結局読んだのは一月末になってからでした。それはおいといて、内容はちょっと思っていたのと違っていてギリシア悲劇ほぼまんまでした・・・考えてみればソポクレスさんだから当たり前か・・・でもまあ何度読んでも救いようがなくて素晴しい物語であることには変わりありません。
 私が一番知りたいことはすでに失われてしまっている部分のようです、オイディプスが二人の息子を呪う場面なのだけれど、これがなんでそうなったのかが知りたいんだけどな。その結果どうなったかは残された物語なので分かっているから余計気になります。
☆☆
12 ヘッポコ征夷大将軍
 長谷川ヨシテル著
 柏書房
二月五日
 まずはタイトルがナイス、図書館で一目見た時からもう読む気マンマンになりました。鎌倉時代から江戸末期までの歴代の征夷大将軍の比較対照がメインなのだけれど、その書きっぷりがライトで面白い、軽めの読み物ではあるのだけれど作者の愛が詰まっていて軽すぎず重すぎず、ちょうどいいくらいのボリュームになってます。
 私は日本史も世界史も中学校どまりなので、詳しいことは全然分からないのだけれど、なかなかに楽しめる本でした。しかし鎌倉時代と室町時代の後期はややこしい、ややこしすぎるぞ日本史。
13 アクロイド殺し
 アガサ・クリスティー作・羽田詩津子訳
 早川書房
二月十日
 最近ポチにクリスティーを勧めたので、久しぶりに自分も読んでみました。以前読んだのはちょうどポチの年頃、中学三年生の時だったので何十年ぶりでしょうか。中学卒業までに図書室にあったクリスティーの赤本を全部読みたいと思っていて果たされませんでした。
 当時から順番はめちゃくちゃに読んでいたし、何を読んだかもだいたい忘れているのでこの「アクロイド殺し」も読んでいたかどうかはわからないのですが、久しぶりに読んだクリスティーは大変に面白かったです。やはりポワロさんは素敵すぎます。
 しかしこちらも年をとったぶん若干老獪になったのか、途中で犯人が分かってしまいました。新本格派の推理小説だとたいてい分からないのですが、でも中学の時も時々犯人分かったりしたよな・・・。犯人が分かろうと分かるまいと物語の魅力に変わりはありません。
14 自殺会議
 末井昭著
 朝日出版社
二月十二日
 タイトルの割に表紙のイラストがいいかんじに脱力してておポンチだったので、どんな本かと興味を持って読んでみました。著者のお母さんはダイナマイト自殺、その他にも身内を自殺で亡くされた方や自殺を思いとどまらせる活動をしている方など自殺に関連のある皆様がわんさと出てくるのですが、不思議に重くも湿っぽくもないからりとした印象の本でした。
15 名画で読み解く・イギリス王家12の物語
 中野京子著
 光文社新書
二月十七日
 図書館で見つけた時に「果して読んだ本かそうでないか」がちょっと分からなかったのですが借りてきました、そして読んでみたら未読でした、ラッキー!タイトルどうり名画で読み解くイギリス王家の歴史の本、ヘンリー八世から現代まで長々と続くイギリス王家の歴史がとても面白く学べます。
16 山怪・弐・山人が語る不思議な話
 田中康弘著
 山と渓谷社 
二月某日
 読み終えたあと読書日記をつけるのをうっかり忘れたため、いつ読んだか分からなくなってしまいました、まあそれはいいとして、ずっと前に読んだ一冊目よりもずいぶん面白かったような気がします。
 山で起こった不思議な話を山に関わる人々に聞いたという体裁の物語なのですが、一冊目よりも余分なところが削ぎ落とされてよりシンプルになったところが良かったのかもしれません。
17 王妃たちの最期の日々・上
 ジャン・クリストフ・ビュイッソン/ジャン・セヴィリア編
 神田順子・土居佳代子・谷口きみ子訳
 原書房
二月二十四日
 前に「国王編」を読んでいて、いつか王妃編も読みたいと思っていた本、残念ながら上巻のみしか図書館にありませんでした、下巻はまた今度読みたいです。
 上巻はクレオパトラからマリア・テレジアまでざっと十人の王妃たちの生き様と死に様が書かれています、歴史の勉強にもなりそうなものですが、これがならないんだよな・・・。
18 山怪・参・山人が語る不思議な話
 田中康弘著
 山と渓谷社
二月二十六日
 本文よりもより面白かったのが後書きでした、考えてみればこの本は現代の聞き書きであって、ネットとか投稿で話を募集しているわけではありません、著者が山へ出かけて行って、不思議な話をそこに住む人々から収集しているわけですが、もうそれだけでこりゃもうすごいわ・・・賞賛に値するわ・・・。そして本に書けそうな話にめぐりあうまでの苦労が後書きからにじみ出ているところがなんとも、納得しました。
19 名画で読み解く・ブルボン王朝12の物語
 中野京子著
 光文社新書
二月二十七日
 数日前に読んだ「イギリス王家」と同じシリーズの本です、「ハプスブルク家」編もあるのでこちらも是非読みたい、ブルボン王朝とハプスブルグ王朝って、結構因縁があるのできっと面白いことでしょう。
 「イギリス王朝」と「ブルボン王朝」の最大の違いは、今も続いているか否かだと思うのですが、何がどうなってフランス王室が潰えたかということに興味があります。逆に今も王家が存在する国の方が珍しいのかもしれませんが。
20 スタイルズ荘の怪事件
 アガサ・クリスティー作
 矢沢聖子訳
 早川書房
三月一日
 多分中学生の時に読んでいると思うのだけれど、全く覚えていませんでした、犯人もトリックも。
 一番犯人らしい人が犯人で一番犯人らしくない人が共犯者というのが素晴しい、ストリキニーネが使われるのも懐かしい感じがします。
21 みんなの機内食
 機内食ドットコムRlKiya
 翔泳社
三月三日
 図書館で見つけた本ですが、一度読み始めたらもう目を離すことができないほど魅力的でした。投稿によるいろんな航空機の機内食の本です。
もう二十年以上飛行機に乗っていないので機内食にもとんと縁がありません、縁がないからこそなんと素敵に美味しそうに見えることか!ビジネスクラスはともかく、エコノミークラスの普通の機内食がちんまりしていたり、箱に入ったりしているのがまたとても可愛いです。
22 王妃たちの最期の日々・下
 ジャン・クリストフ・ビュイッソン/ジャン・セヴァリア編
 神田順子・土居佳代子・山田洋子訳
 原書房
三月六日
 17番目に読んだ本の続きです、図書館であっさり見つかってよかったよかった、続きもものすごく面白かったです。
 今度はマリー・アントワネットから1935年に亡くなったベルギー王妃アストリッドまでの十人の物語で、かの有名なエリーザベト(シシィ)なども入ってますが、一番印象に残ったのはシャルロッテ・フォン・ベルギエンという王妃です。
 メキシコ皇帝マクシミリアンのお妃で、ナポレオン三世に直談判するためにフランスに来ているうちに狂気に陥り、その後60年精神を闇に閉ざされたまま亡くなった人です。ちなみにマクシミリアンはとっくの昔にメキシコで処刑されてます。
 絶対真似したくない人生を送った人ですな・・・。
23 手に持って、行こう・ダーリンの手仕事にっぽん
 小栗左多里・トニー・ラズロ
 ポプラ社
三月六日
 「刃物・和紙・器編」ということで、著者の出身地の関市からスタート、手仕事の体験をしているコミックエッセイです。
 ごくまれに出てくる「高校の先生に言われた話」が懐かしい、言いそうな先生は二人くらいいました。
24 サラ弁
 ほりえさちこ著
 主婦と生活社
三月十七日
 この春からポチがお弁当になるのでお弁当のレシピ本を何冊か見ているのですが、最近みた本の中でピカイチだったのがこの本でした。サラリーマン向けのお弁当なので全く可愛らしさはないのですが、すごくがっつりとしていて美味しそうです。
 のっけ弁当はいろいろ真似してみよう・・・。ちなみに私はお弁当は、きれいに入れるのは好きだけどけして可愛くは作りません、というか無理。
25 標本BOOK
 さとうかよこ著
 日東書院
三月十八日
 副題は「お気に入りのものを集めて作るインテリア標本の楽しみ」です。実は私は標本が大好き、けれども上野の博物館にある標本よりも、どちらかというと東京駅前の郵便局ビルのインターメディアテクの標本の方をより愛好しております。つまり学術的(?)にきちんと分類されているよりも、カオスな状態の方が好きなわけです、綺麗な標本もいいですが、無念の表情で死んでいる標本だとなおよろしい・・・。
 出来れば古びたガラス瓶や、木の箱、漆塗りの紙の貼られた紙の箱に入っていて、一つ一つに小さな紙のラベルがついているのが望ましいです。この紙のラベルというのが大切であって、間違ってもプラスチックのタグなんてついていてはいけません、そこんとこ最近のインターメディアテクはちゃんと分かっているのだろうかとちょっと心配になります。
 そういう標本もどきを自分で作ってしまおうという趣旨の本、素晴しい!と言いたいところではありますがいまいち萌えきらなかったのはなぜなのでしょうか、我ながらよく分かりません。
26 水木しげるの妖怪事典
 水木しげる著
 東京堂出版
三月二十二日
 以前にも読んだことがあるような気がしますが、また借りて読んでしまいました。
 あいかわらず絵が凄すぎる。
27 文豪ストレイドッグス・太宰治の入社試験
 朝霧カフカ作
 角川ビーンズ文庫
三月二十三日
 最近ポチが漫画の方の文ストを読み始めて、とうとう小説にまで手を伸ばしてきました、私ももちろん全冊読んでおります。
 漫画の方の話で恐縮ですが(しかもネタバレだし)16巻でミッチーがただの三下でないことが判明して、ものすごく嬉しかった自分に驚いています、そうか・・・私ミッチー好きだったんだ、ということに始めて気がつきました。いやもちろん漫画のミッチーじゃないですよ。
 話は変わりますが、小説はもちろん面白かったです、漫画の方の世界観そのままなので、原作が好きな方にはお勧めです。
 そして私は現代版(?)A辻行人VSK極夏彦が読みたいです、ポチ買ってくれないかな。
28 あしながおじさん
 ジーン・ウェブスター作
 谷川俊太郎訳・安野光雅絵
 朝日出版社
三月三十日
 正直「あしながおじさん」は子供の頃から数えて三回か四回は読んでいます、しかし今回ほど「物語の面白さはあらすじだけではない」ということを思い知ったことはありませんでした。物語を読む醍醐味の一つに、その世界に入り込んでいく楽しみということがあるということを久しく忘れていました。
 著者が若くして亡くなっているのが本当に残念です、お年を召していったならばいったいどんな物語を書いてくれただろうと思うと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ女史のようにずっと書いて欲しかったです。
☆☆
29 今日の人生
 益田ミリ著
 ミシマ社
四月一日
 「今日の人生」がテーマ(?)のコミックエッセイ(?)、どこまでが本当でどこからがフィクションかよくわかりませんが「ああ、こういうことあるある」というのはよく分かります。
30 文豪ストレイドッグス・太宰治と黒の時代
 朝霧カフカ作
 角川ビーンズ文庫
四月二日
 文スト小説版二冊目、今回は太宰さんがどうしてマフィアをやめて探偵社に入ったか、その原因となった事件についての物語です。
 惜しい人を亡くした・・・。どうりで織田作さんが、漫画の方に全く出てこないと思いましたよ。
31 日本の幻獣図譜・大江戸不思議生物出現録
 湯本豪一著
 東京美術
四月八日
 我ながら趣味の悪い本を借りたな、と思うのですが趣味の悪い本ってたいてい面白いんですよね、この本も面白い本でした。各地のお寺や旧家に伝わるような幻獣のミイラや骨の写真がたくさん載っていて、ほとんどは「あれとあれをつなぎ合わせて、上手く作ってあるな」と思うようなものなのですが、とある廃寺に祀られていた「五大魔王尊」の写真は、人骨に角が加工されているものなのですが本当に禍々しくて「何に使って何を願ったのか」考えるだけで恐ろしい代物だと思いました。
32 黄犬ダイアリー
 ドナルド・キーン・キーン誠己著
 平凡社
四月十二日
 ドナルド・キーン氏の本を始めて読みました、日本に帰化した日本文学の研究者ということは知っていたのだけれど、ここまで日本のことを好きでいてくれたなんて知りませんでした。本当にありがとう、キーンさん。
33 マリー・アントワネット運命の24時間
 中野京子著
 朝日新聞出版
四月十二日
 マリー・アントワネットの生涯には少し興味があるので、見かけた本を時々読んでいるのですが、これはヴェルサイユから逃亡した日の出来ごとを中心に書かれています。で、思い出すのがかの有名な「ベルばら」ですが、国王ルイの書かれ方がえらく違っていてそこが一番面白いと思いました。
34 怪談5分間の恐怖・つきまとう本
 中村まさみ著
 金の星社
四月十四日
 待望の新刊が出ていました、児童文学にしてはえらく本格的なこの怪談のシリーズ、もう大喜びで読んでしまいましたよ。
 人生に怪談って必要なのかどうか悩むところですが、私にとってはきっと必要なんだろうなと思います。
35 日帰り旅行は電車に乗って・関西編
 細川貂々著
 ミシマ社
四月十四日
 息子さんが十歳の頃の電車旅の実録漫画で、関西編、いろいろなところに行っていろんな電車に乗っています、楽しそうです。
 そしてなんと伊賀鉄道にも乗られているではありませんか、これは地元を走っている電車で、時々乗ることもあるし走っている姿を見かけることはもうしょっちゅうあるのですが、始めて見たときにはかなり笑ってしまった特徴ある外観なのです。
 とにかく地元の電車のことが本に載っているのはうれしいものです。
36 中野京子と読み解く運命の絵・もう逃れられない
 中野京子著
 文藝春秋
四月十六日
 こちらも待望の新刊です、いろんな画家のいろんな絵が載っているのだけれど、直に観たことがあるのは多分モローの「ユピテルとセメレ」だけだと思います。これも実物を本当に観たのかはあやしいものだけれど、モロー美術館に行ったことがあるので。
 あまりにごちゃごちゃしていて何が描いてあるのかよく分からなかったのだけれど、この章を読んだらやっと納得出来ました。やっぱりギリシア神話の知識って大切だよね。まだまだいろんな本読んで勉強しなくては。
37 角野栄子の毎日いろいろ
 角野栄子著
 角川書店
四月二十一日
 副題は「「魔女の宅急便」が生まれた魔法のくらし」です、著者の好きな身の回りのものとか生い立ちとかが紹介されているのですが、私的に一番食いついたのはその本棚の写真です。どんな本が入っているか目を皿のようにして見てしまいました。知っている本があるとやっばりうれしいものですな。
38 世界の廃墟・遺跡60
 リチャード・ハッパー著・渡邉研司訳
 東京書籍
四月二十二日
 世界の廃墟や遺跡の写真集、詳しい解説もばっちり載っていて読みやすい本です。さていろいろな廃墟が載っているわけですが、すごく「なんだかな・・・」と思ったのが「アテネオリンピック競技場」・・・ついこのあいだアテネオリンピックがあったような気がするのに、もう廃墟ですか!計画性がないにも程がありすぎです、これだからギリシア(以下自主規制)。
 そしてもう一つは「奈良ドリームランド」、隣の県ではありませんか。営業しているうちに行っておけばよかったかも、そうすればよりいっそうの感慨をもって廃墟本を読むことが出来たでしょう・・・時々こういう本に載ってるよね、ここ。早くなんとかしようよ。
39 メアリ・ポピンズ
 トラバース作・岸田玲子訳・安野光雅絵
 朝日出版社
四月二十四日
 この前読んだ「あしながおじさん」と同じシリーズの本、著者も訳者も違うけれど挿絵と出版社、版形が同じ可愛い本です。
 それはおいといて、メアリ・ポピンズという話を久しぶりに読んだのですが、これは「ナニイ」という仕組みが分かっていないと全然わけが分からない話なのではないかと思います。メアリの個性はおいといて、そもそも普通のナニイがどういう人なのか分からないといまいちピンとこないんじゃないかと思われます。つまり分かるような分からないような不思議な話なのです。
40 鳥籠の小娘
 千早茜作・宇野亜喜良絵
 角川書店
四月二十四日
 読んでいる最中に「ちょっとだけ赤いろうそくと人魚に似ている」と思いましたが、主人公の女の子は人魚よりもよほどアグレッシブで自分の幸せを追求しておりました、まあよかったよかった。
41 怪談5分間の恐怖・12時05分15秒
 中村まさみ著
 金の星社
四月二十七日
 あとで後ろを見たら、一冊飛ばしていることが判明しました、今度見つけたら読まなければ。
 今回図書館で、かなり面白そうな本を何冊も借りたのだけれど、真っ先にこれを読んでしまいました。よほど好きなんだな、怪談。
42 沢村さん家のそろそろごはんですヨ
 益田ミリ著
 文藝春秋
四月二十八日
 コミックエッセイではなく創作漫画、四コマです。お父さんとお母さんと40歳の会社員の娘さんが一緒に住んでいるという日常ほのぼの漫画なのですが、私は20代の黄昏時に結婚して家を離れているのでいまいち主人公の気持ちというか、シチュレーションがよく分かりません。どちらかというともう親の気持ちで物事を考えてしまうのだけれど、沢村さんのご両親は何を考えているのでしょうか。
43 死に山・世界一不気味な遭難事故「ディアトロフ峠事件」の真相
 ドニー・アイカー著
 安原和見訳
 河出書房新社
四月二十九日
 新聞の書評か何かで見て、読んでみたいと思っていた本が図書館にありました、それなりに分厚い本(350P位)だったにもかかわらず二日で一気に読んでしまいました。
 1959年に旧ソ連のとある峠で、登山中の若者九人が遭難死した事件(または事故)なのですが、その時の状況があまりにも不可思議で、どうして若者たちは安全なテントを飛び出して薄着のまま夜の雪山で死ななければならなかったのかどうにも分からなかった、というような出来事なのですが、この謎に取り憑かれたアメリカ人のライターが、現地調査までして出した結論が意外と言えば意外でした。
 現在の著者の動向と、当時の学生たちの行動が章ごとに交互に書かれているのが読みやすく、最後までかなり集中して読むことが出来ました。
☆☆
44 怖いへんないきものの絵
 中野京子・早川いくを著
 幻冬舎
四月三十日
 平成最後の日の読書はこの本になりました、読んでいる途中まで全く気がつかなかったのですが巷で評判の「へんないきもの」と「怖い絵」のコラボ企画でした。そう言われてみればタイトルがそのまんまですな。
 怖い絵シリーズは読んでいるのにへんないきものシリーズは読んだことがないもので、でもかなり面白そうな本なのでこっちも読んでみたいです。
45 図解・古代ローマ人の日常生活
 洋泉社MOOK
五月一日
 漫画の資料になるかな、と思って借りた本でしたが、あまり資料にはなりませんでした。その代わりと言ってはなんですが、古代ローマに関してのどうでもいい知識ばかりが身に付いたような気がします。本当にどうでもいいことばかり、真面目でまともなことは全然頭に入りませんな。
46 文豪ストレイドッグス・探偵社設立秘話
 朝霧カフカ作
 角川ビーンズ文庫
五月六日
 福沢さんと乱歩さんの出会いの話で、乱歩さんはなんと十五歳くらいでした、もう可愛いのなんの。いま放映されているアニメ第三期で、太宰さんと中也さんのやはり十五歳くらいの話があったのですが、この二人はすでにそんじょそこらの大人よりはよほど大人になっていたので、その差がもうものすごかったです。
 福沢さんと乱歩さん、まるでお父さんと子供のようでほのぼの(?)していていっそ素敵でした、お互い成長したんだろうな。
47 地球上の全人類と全アリンコの重さは同じらしい。
 椎名誠著
 早川書房
五月九日
 SFマガジンに連載しているエッセイをまとめた本なので、書いてある内容もなんというかさいえんす・ふぃくしょん風味でした。あまりSFには興味がなくてほとんど読んだことがないのですが、椎名さんらしい味付けで読みやすかったです。
 あいかわらず蚊の話が嫌だ!絶対アマゾンとかシベリアとか行かないぞ!
48 「女子」という呪い
 雨宮処凛著
 集英社
五月十日
 時々新聞の論評欄で名前を見る人の本を始めて読んでみました、最初はなんというか「怒り」の熱量がすごくて読んでいて疲れてしまったけれど、最後の方はいい塩梅に落ち着いていたような感じかいたします。
 最後は「今はまだまだ女にとって生きにくい不平等な時代かもしれないけれど、これからもう少しは良くなってくるかもしれないよ」という希望のようなものを感じました、怒っているだけではなくちゃんと変えていく方法を考えているところが良い本だと思います。
 ただ、女の人生が不自由なように男の人生もそりゃもう不自由だと思うので、お互いそれなりに譲歩しあってやっていくことが大切なのではないでしょうか。難しいけどな。
49 怪談5分間の恐怖・うしろを歩く者
 中村まさみ著
 金の星社
五月十一日
 図書館にポチと行ったら、ポチが何も言わずにこのシリーズの未読の新刊三冊を持ってきてくれました、一度に三冊か!やるな、ポチ。その時点で私のかご(図書館で本の持ち運び用に貸してくれるかご)には怪しい本しか入ってなくて、「なんだかな・・・」と思っていたのですが、その後普通のかわいい本も無事に入ってめでたしめでたしでした。これで司書のお姉さんに変質者だと思われなくてすんだと思います。よかったよかった。
 で、色々面白そうな本を借りた挙句真っ先に読むのがこのシリーズなのですな・・・。個人的には「ガザミ」の話が怖かったかな、この前鳥羽で食べたガザミの味噌汁は美味しかったな。
50 怪談5分間の恐怖・乃木坂の怪談
 同
五月十二日
 うっかり続けて二冊読んでしまいました、三冊目はとっておくぞ!
51 柳田國男・ささやかなる昔
 柳田國男著
 平凡社
五月十五日
 民俗学者柳田國男氏の書かれた短めの文章を集めた本、エッセイというには重厚で学術書というにはやや軽い、やはりエッセイに近いのでしょうか、そういうつもりで読んでみました。
 昭和初期の文章なのでちょっと読みにくいところもありますが、この人の書かれる日本語はとても丹精で美しいと思います。そして柳田翁の愛した美しい日本の風景や習俗が今となってはどれだけ残っているかどうか、なんだかもうすいませんと言うしかない・・・。
52 あるかしら書店
 ヨシタケシンスケ著
 ポプラ社
五月十五日
 なんだか久しぶりにかわいくて健全でしかも面白い本を読んだような気がします、私の普段の読書って一体なんなんだ。
 一番印象的だったのは「水中図書館」、カッコよすぎる・・・。
53 怪談5分間の恐怖・封印された本
 中村まさみ著
 金の星社
五月十六日
 シリーズ三冊目はしばらく読まずに置いておくぞ、そして後で楽しく読むのよ!と思っていたのですがその決心も五日しか持ちませんでした。バーカバーカ・・・。
54 学校に行きたくない君へ・大先輩たちが語る生き方のヒント。
 全国不登校新聞社編
 ポプラ社
五月十七日
 表紙が西原理恵子さんのイラストだったので借りてみました、不登校だったりした経験のある各界著名人に不登校だった若者がインタビューをして、それをまとめた本なのですが、全然期待せずに読んだらこれがすごく面白く、人生の励ましになるような内容でした。なんだかもう目からウロコよ。
 さて私の不登校経験は、実はありません。中学校ではそれなりにひどい目にはあってきたと思うけれど、当時の自分があまりにも阿呆すぎて「そうだ、学校を休めばいいんだ」ということを一ミリも思いつかなかったんだよね。それを思いついたり、朝お腹が痛くなって体が教えてくれたりする人は私よりもずっと正直で賢いんだと思います。私は中学校にちゃんと通って、自分がそれなりにぶち壊れたような気がします。
 ただどうしても行きたい高校があったのと「中学校なんてすぐオサラバさ」と分かっていたのでなんとかなりました。そして人格がある意味ぶち壊れてかなり楽になりました。
55 文豪ストレイドッグBEAST
 朝霧カフカ作
 角川ビーンズ文庫
五月十八日
 原作者による二次創作のような物語でしたがそこは流石に原作者、大変に読んでいて楽しくおいしい物語に仕上がっていました。すべては織田作のため、織田作のためだったんだなあと思うと太宰さんがとても可愛い人に思えてきます。
56 文豪ストレイドッグス55Minutes
 同
五月二十日
 今までの文スト小説とは違って、主人公は敦くんでちゃんと探偵社に入社してからの物語、難事件を一つ解決してくれます。
 しかし太宰さん、なんで屑籠に入っていてなんで屑籠がそんなに似合っているんだ・・・。
57 へんないきもの
 早川いくを著・寺西晃絵
 バジリコ株式会社
五月二十一日
 以前に読んだことがあったようななかったような、もうなかったことにしてしまおう。
 色々な変な生き物がイラストとともに紹介されている本なのですが、その紹介文が爆裂おやじ臭くていちいち下ネタに走っているところが一周回って素晴らしいです、大変勉強になります。
58 世界のすごいお葬式
 ケイトリン・ドーティ著
 池田真紀子訳
 新潮社
五月二十四日
 タイトルだけを見て、怪しい本かと思って借りてみたら大変真面目でまともな本でした。アメリカの葬儀社に務める著者が世界の一風変わったお葬式に参加して、葬儀のあるべき姿を考えてみたよ、という本です。
 日本のお葬式も、アメリカの基準から見るとかなりユニークだということが分かりました。そしてお墓の問題というのはほぼ万国共通なんですな。
59 あの方を斬ったの・・・それがしです
 長谷川ヨシテル著
 KKベストセラーズ
五月二十九日
 歴史上有名な戦や暗殺事件で誰でも知っている武将や要人が暗殺されました、しかしその実行犯は誰?それは案外誰も知らない人なんじゃないかな、という目からウロコの謎を追求した本です、まずは着眼点がすばらしい、そして案外実行犯の記録が残っていることに驚きました。いやあよく調べたと思います、すごいです著者。
 歴史を作るのは有名人(しかも勝った方)ですが歴史を動かすのは市井の人なのだなあとしみじみ思いました。
60 またまたへんないきもの
 早川いくを著・寺西晃絵
 バジリコ株式会社
五月三十一日
 最後の方のサナダムシのところを読んでいて、はっきりと「この本前にも読んだことがあるわ」ということに気がつきました、遅い・・・遅すぎるぞ私、すごいぞ私。日々ものすごい速さで脳みそが退化していることの証明ですな。
 で、二回目を読んで、この本は見かけほどくだらなくもおやじくさくもないと思いました。自然環境の保護や種の絶滅への警鐘が主なテーマだということにやっと気がつきました。
61 私がオバさんになったよ
 ジェーン・スー著
 幻冬舎
六月四日
 著者以前に対談をやって、「もう一度会って話したい」と思った人との対談集、なるほど一筋縄ではいかない内容でした。
 基本的にはダイバーシティとか男女の不平等などについて話しているのですが、著者と私との間にはなかなかに深くて広い谷があって、それは東京と地方の問題だったり結婚と子供のことだったりするのですが、正直結婚して子育てしている人間には、残念ながらものを考える時間ってものがないのよ!著者も対談相手もものすごく人のためになることを考えているのよ、そこはすごく良くわかるしどんどん考えて発信して欲しい、けれども、多分子供を育てるということに関して理解している人は、あの本の中にはいないんじゃないかなと思いました。
 世間に対して物事を考える時間があり、発信する方法もある、是非子供を育ててみてほしい、そして思ったことや考えたことを論じて欲しいと思いました。
62 おかん飯4・つやつや追いあぶら編
 西原理恵子・枝元なほみ著
 j毎日新聞出版
六月某日
 ちょっと前に読み終えていて、記録しておくのを忘れていました。一番最初のまえがき漫画がすばらしい、こういうこと言ってもらえるお母さんは本当に幸せだと思います。
 料理のレシピは、あいかわらずちょっとうちの食卓とは合わないな・・・おいしそうなんだけどな。
63 文豪ノ怪談ジュニアセレクション・死
 東雅夫編・注釈
 汐文社
六月六日
 アンソロジーの良いところは、普段自分では絶対読まないような作家の物語が読めるというところにあると思いますが、この本はまさにその大ビンゴ、大当たりの連続でした、ナイスセレクト!
 一番最初の西條八十の詩からしてなんかもう凄まじすぎて何も言えません、絵にしてみたいけれど絶対呪われそう・・・。
☆☆
64 でらうまカンタン!名古屋めしのレシピ
 Swind/神凪唐州著
 新紀元社
六月十日
 この本を図書館で見つけたとき、「やった!」と思いましたよ・・・素晴らしき愛すべき名古屋めしの数々、レシピ付きで載っている本を見たのは初めてではないでしょうか、著者に感謝感激です。
 しかし、本文にもあるように味噌カツ以外はほとんど家では作りません、名古屋でご飯を食べる時のとっておきのメニューという扱いになっております、少なくともうちでは。その中でも最近のトレンドは「あんかけスパ」で、お気に入りのお店が一軒あって、名古屋に行くたびに一食はそこで食べたいと常に思っております。ああ食べたい、今からでも食べたい。
 小倉ネオのパンは、最近他の地方でも見かけるようになりましたが、名古屋圏以外の人はあれをどのように考えているのでしょうか、逆に知りたいです。私はもちろん大好きですよ。
65・66 源氏物語宇治の結び・上下
 荻原規子訳
 理論社
六月十一日
 おそるべし千年の恋物語、訳者が荻原さんだったせいか「西の善き魔女」を初めて読んだ時のような猛烈な勢いで読み切ってしまいましたよ。いやはやものすごく面白かったです、しかし最後がなんとも尻切れトンボのような気がして残念ではあります、あのあとどうなったのか・・・。
 源氏物語に出てくる男は現代の基準では、見掛け倒しのサイテー男ばかりのような感じがいたします。まあだからこその物語ですけれど。
☆☆
67 ギリシア・ローマ神話人物記・絵画と系図で描く100人の物語
 マルコム・デイ著・山崎正浩訳
 創元社
六月十三日
 私はギリシア神話やギリシア悲劇が大好物、しかし登場人物が多すぎて混乱するためちょっと頭の中を整理してみようと思って読んでみました。意外と分かりやすく、かつ読みやすくて面白い大変に親切な本でした。
 しかし「いつの間に産んだ?」とか「あんたに兄弟がいたんかい?」とか「あんたの死因をもっと詳しく」とか謎も深まる一方でした・・・。奥深きかなギリシア神話の世界、もう一生ついていきたいです。
68 皇室へのソボクなギモン
 竹田恒泰・辛酸なめ子著
 扶桑社
六月十七日
 明治天皇の玄孫竹田氏に辛酸なめ子さんが皇室について色々なことを質問する、といったかたちの対談集、なめ子さんだけあってかなり立ち入ったところまで聞いていて、なかなかにおもしろい対談になっていました。
 おもしろいといえばおもしろいのだけれど、今の皇室の男性不足による危機的状況とか、天皇のお仕事の大変さとか、なんだかとても大変というかもうどうにかしなくてはならないのでは?とも思いました。男性皇族を増やすにはどうすればいいか、そりゃお后様増やすのが一番なんだけれど、この時代そんなことは出来ないからな・・・。
69 明治宮殿のさんざめき
 米窪明美著
 文藝春秋
六月十八日
 ついでにもう一冊皇室関係の本を読んでみようと思って適当に借りてみました、こちらは明治時代の皇居での生活を綴った本で、久世番子先生の某マンガは、ものすごく勉強された上で描かれていたということがよく分かりました、もうほとんど「ぱれすめいじ」の世界でした。
 そして今の皇室や天皇のありかたと、明治時代のそれとのなんと異なることよ、それなのに宮中祭祀等は多分同じだと思われるので、天皇はものすごくハードワーカーなのだなと思いました。確かにもう少し皇族増やして、仕事を分散させたほうがいいかもしれません。
70 スーパー!
 渡部千春著
 飛鳥新社
六月十八日
 世界のいろいろな国のスーパーマーケットの陳列棚のみの写真集、テーマごとに頁が分けてあります。一番面白かったのは著者も力を入れたであろう「マギー・ブイヨンVSクノール」のスープストック対決のコーナーでした。原材料の牛や豚やトリ、そして魚のそれぞれの佇まいにお国柄が出ていました。
71 虚構推理短編集・岩永琴子の出現
 城平京作
 講談社
六月二十日
 漫画の方で読んだことはあったのですが、ポチが購入したので小説版短編集を読んでみました、頭の中で漫画の方の映像に変換されるのでとても便利でした。
 最後のうどんの自動販売機の話は、もし私が車の運転が出来たならばググってダッシュで出かけたくなるくらい破壊力抜群でした。
72 母親が知らないとツライ「女の子」の育て方
 江藤真規著
 秀和システム
六月二十一日
 たまには子育て指南本でも読んでみようかと思って読んでみました。ポチは基本素直なかわいいちゃんなのですが、最近はやっぱり生意気になってきたなあと思って、なまじ頭がよくて常識がある意味私よりはあるので若干理屈っぽいところがまたかわいいのです。
 参考になったようなならなかったような・・・本当に子育ては人それぞれですな。
73 生きるとか死ぬとか父親とか
 ジェーン・スー著
 新潮社
六月二十三日
 愛と憎しみは表裏一体、よほど仲がいい肉親でも恨みつらみは必ずあるものと私は常常考えております。著者のご家庭もまあ、そうだよね、の範疇かな。著者はお父様に対してふくむところも色々あるようですが、傍から見れば普通の仲良し親子ですな。お父様と一緒にお墓参りや会食、いいではありませんか、これからもその関係をキープしてください。
74 ビブリオ漫談・「笑い」と「ユーモア」あふれる本の紹介
 笠倉剛著
 あいり出版
六月二十五日
 ポチが借りてきていたビブリオバトルの本を読んでみました。今は小学校でも中学校でも高校でもビブリオバトルがあって、とてもうらやましいです、一度やってみたかった。
75 烏に単は似合わない
 阿部智里作
 文藝春秋
六月三十日
 私はあまり小説を読まない方だと思いますが、最近読んだ小説の中ではどんでん返しピカイチでした、いやあ驚きの展開と結末でしたよ。
 途中まではよくある「初恋の君」ものかと思っていたのですが全然違っていました、見事にだまされましたな・・・。続きを読むのが楽しみです。
76 77 仮面教師SJ・1 2
 麻城ゆう作
 新書館ウィングス文庫
七月三日
 一巻の途中で、一度読んだことがあるということに気がつきました・・・まあいいか、すっかりオチを忘れていたし。幸い読んだことがあるのは一巻だけでした。友達から借りている本なので、早く読まなきゃと思ってはいたのだけれどすっかり遅くなってしまった・・・。
78 仮面教師SJ・3
 同
七月五日
 読んでいると主人公のクラクラ先生の特殊能力とか努力と根性が印象に残るのだけれど、そういえばジョーカーシリーズだったなと時々思い出します。なんかJが誰だか分かってきたような、全然外れているような・・・、多分違うな。
79 仮面教師SJ・4
 同
七月六日
 外れていました・・・残念。
808182 仮面教師SJ・567
 同
七月十二日
 なんとか全部読み切りました、主人公のクラクラ先生の女運の悪さが笑いを誘っていたのですが、最後の最後で良さそうな彼女が出来かけたのが意外と言えば意外でした。でも案外三ヶ月くらいでダメになりそうな気もします。さて、友人に返さねば。
83 文豪ストレイドッグス外伝・綾辻行人VS京極夏彦
 朝霧カフカ作
 角川文庫
七月二十一日
 ポチが購入してきた本、正直「一体全体どういう内容なのだろう・・・」と不安もありましたが、読んで納得、なるほどこの手があったか!と作者に拍手喝采を贈りたいです。綾辻氏が探偵で京極氏が悪の権化、そして可憐なヒロインにして優秀な(?)エージェントの辻村ちゃんが探偵助手(ちがう)といった役回りなのですが、この辻村ちゃんがいい味出してました。ぜひぜひ挿絵付きで見たかった。
 所々に文スト本編の登場人物が出てきたり(坂口さんだけ出ずっぱりですが)、京極氏の作品へのオマージュっぽいところがあったりしてなかなかに楽しめました、オチにもびっくりよ。
84 お互い40代婚
 たかぎなおこ著
 KADOKAWA
七月二十二日頃
 コミックエッセイの名手たかぎなおこさんがとうとうご結婚されました、おめでとうございます!そして出産も!ますますおめでたい!
 本当に素敵なダンナ様が見つかってよかったです、どうか末永くお幸せに!
 ・・・というか、40代になっても結婚できる人は出来るものだと感銘を受けました、諦めないってすごいわ。
85 増補改訂・イギリス菓子図鑑・お菓子の由来と作り方
 羽根則子著
 誠文堂新光社
七月二十六日
 以前に読んだ本の改訂版をまた読んでしまいました、つくづく私は英国のお菓子が好きだなあと自分でも感心しました。
 紅茶よりもコーヒー派ですが、材料を混ぜて焼いただけの素朴なお菓子にたまらない魅力を感じるのです。
86 キノの旅22
 時雨沢恵一作
 角川電撃文庫
八月八日
 久しぶりにキノの新作を読みました、基本的にキノや師匠の若かりし頃の話はひどく、フォトの話は可愛いことが鉄板ですな・・・。中でも「餌の國」と「川の畔で・a」は悲惨でした。
87 スーパービジュアル再現・消えた巨大生物
 エマニュエル・グルンドマン・ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ著
 日経ナショナルジオグラフィック社
八月二十日
 久しぶりにまっとうに本を読みました、舞踏会だのその前のコピー本制作だのなんだので読書する間もなかったのですが、やっと落ち着いてきました。本を読むのはやっぱり面白いです。
 そして内容的にも好みのど真ん中、消えた巨大生物ですよ!恐竜だけではなくそのあとに生まれて繁栄して巨大化の道をたどり、そして滅んでいった生き物たちの歴史が綴られている本です。
88 お咒い日和・その解説と実際
 加門七海著
 角川書店
八月二十二日
 以前図書館で同じ著者の「お祓い日和」という本を借りて途中まで読んでいたのですが、あまりに清々しく清廉な内容だったので、自分が払われてしまうような気がして全部読めませんでした、が、こっちの本はばっちり面白かった!おはらいよりもおまじないの方に親しみを感じました。
89 津々浦々お化け生息マップ
 村上健司監修・宮本幸枝著
 技術評論社
八月二十四日
 図書館に「夏の怪談コーナー」みたいな棚が作られていてそこに置いてあった本を適当に借りてみたならば、存外に読みやすくて分かりやすく面白かったです。「祢々切丸」の逸話と写真が載っていたのがナイス!三メートルを超える大太刀が空を飛んで妖怪退治というのがなんとも新しくて素晴しい・・・。
90 文豪ストレイドッグス・太宰、中也、十五歳
 朝霧カフカ作
 角川ビーンズ文庫
八月二十五日
 ついこの間まで放映されていたアニメ第三期の最初の方の物語、太宰さんと中也さんが十五歳で初めて出会って(しかもろくでもない出会い方を)ともに戦ったお話なのですが、二人共「これで十五・・・?」と思うほどの老齢さでした。恐るべき子どもたち、といえばかっこいいけれど、単に中身がジジ・・・いや失礼。
91 虚構推理
 城平京作
 講談社
八月三十日
 漫画版で読んだことのある「鋼人七瀬」のお話でした、小説も面白かったけれど「よくぞこれを漫画で描いた!」という感動の方が強かった・・・よくもこんなややこしい話を。
92 虚構推理・スリーピング・マーダー
 同
九月一日
 ポチの高校の吹奏楽部と他校との合同コンサートに持って行って、待ち時間にずいぶん読めました。こちらは初読み、ちょっと驚くような展開でした。ヒロインの琴子ちゃんに、まともな高校生活と部活動があったことが一番驚いたかな・・・。あれをまともと言うならば、でもある意味楽しそうな高校時代でしたよね。
93 おかあさんの扉8
 伊藤理佐作
 オレンジページ
九月二日
 著者の娘さんのあーこちゃんももう八歳、よそ様のお子さんの成長は早いものです。
 子育てのスケールが大きいというか、その割にネタがささやかなのが余計笑えます。
94 マリコを止めるな!
 林真理子著
 文藝春秋
九月六日
 今年の春に出版された比較的(とっても)新しいエッセイ、週刊誌ネタとかも多いのだけれど、まだまだネタが新鮮で面白いです。最近昔の読書日記を読み返しているのですが、かなり前から著者のエッセイを読んでいたと判明、前はそんなに好きじゃなかったのに、今では結構好きだよこの人のエッセイ。
95 日本史汚名返上・「悪人」たちの真実
 井沢元彦・和田秀樹著
 光文社
九月十一日
 歴史的、かつ世間一般で「悪人」と言われている人がどういう心理状況で結局何を成し遂げ、そして出来なかったかを検証した本、大変勉強になりました。井伊直弼の「安政の大獄」の動機が目からウロコでした。
96 絶対に出る世界の幽霊屋敷
 ロバート・グレンビル著・片山美佳子訳
 日経ナショナルジオグラフィック社
九月十五日
 ここ数年読んだ本の中では一番心躍るタイトルでした、本を開く前のワクワク感は最高でした。
 実際読み始めると、解説文が少なすぎてちょっと残念でした、もう少しそこんとこ詳しく・・・と何度思ったことでしょうか。それから井戸に頭部を切断されて投げ込まれた死体が夜毎に頭を求めて叫ぶのは不可能なのでは?一緒に頭も投げ込まれているのならば手を伸ばせば届くのでは?とか余計なツッコミを入れたくなる愉快な記述があったりもしました。
 「何何色の貴婦人」も多すぎて、戦隊が組めそうでした・・・。もう少し校閲の人は頑張ろうよ!
 写真もどの本とは言いませんが幽○城とか悪○館と同一のものも多く、オリジナルの写真ばかりではないことがバレバレでした。
 そういうなんというか欠点も多い本ながら、その趣旨は素晴しく読んで面白いのは確かです。
97 ボクたちの駄!菓子
 初見健一監修
 オークラ出版
九月二十日
 最近バイト先で駄菓子の担当になったので、参考になるかなと思って読んでみました。確かに自分が面倒を見ている駄菓子も何種類かありましたが、特に仕事の参考にはならないかな・・・。勉強にはなったけれども。
 それよりも、子供の頃近所の駄菓子屋でよく買って食べた懐かしい駄菓子が今も販売されていると知って驚きました。特に好きだったのは「マンボ」シリーズと「フルーツヨーグルト」、親に見つかると「体に悪い」とよく叱られたものでした、懐かしいなーーー。
98 羊と鋼の森
 宮下奈都作
 文藝春秋
九月二十五日
 流石本屋大賞受賞作だけあって大変に美しい物語でした、本当に心が洗われるかのよう、こんな小説を読んだのは久しぶりです。
 しかし、あまりにもすべてが美しすぎて「あれ?何か事件起こらないの?」とかちょっと思ってしまったのもまた事実、これは単に私の心が腐っているだけで本とかお話のせいではありません。呪われよ、私の腐れた魂よ!
99 文豪ノ怪談ジュニア・セレクション「厠」
 谷崎潤一郎・松谷みよ子ほか
 東雅夫・監修
 汐文社
九月二十五日
 何回かに分けて少しずつ借りて読んでいた本がやっと読めました、直前の一冊と比べるとなんとあらかじめ汚れた内容であったことか!まあ「厠」なので仕方がないですが。
 しかしこの本はこの本でまるで匂い立つような耽美さに溢れていました、特に谷崎氏は素晴しい、なんという見事なスカトロ趣味なのでしょうか、もういっそ賞賛に値します。どんなことでも格調高い美文で書かれると「そうなんだ」と納得出来てしまいそうになるのがアレですな・・・。
100 101 102 転生先が少女漫画の白豚令嬢だった1 2 3
 桜あげは作
 KADOKAWAビーズログ文庫
九月二十八日
 友人から借りていたおすすめ本、今流行りの「転生物」を初めて読みました、さらにその中に「悪役令嬢もの」なんてジャンルがあるなんて全く知りませんでした。かなり面白くて一気に三冊読んでしまいました、まずヒロインが容姿性格とも最悪の白豚のような令嬢で、婚約を破棄されたその日に前世の記憶に目覚め、処刑されるはずの未来を変えていこうと頑張るラヴ・ロマンスです・・・。
 三巻まで読んで、処刑まであと半年くらいのところで終わっています、いやあ続きが気になるわ・・・。
103 図説・英国レディの世界
 岩田託子・川端有子著
 河出書房新社
十月五日
 以前にも読んだことのある本ですが、図書館で見つけたのでもう一度借りてガチ読みしてしまいました。英国ものは何回読んでも参考になるし面白いです。
104 猟師食堂
 田中康弘著
 エイ出版
十月五日
 エイ出版のエイという字が出ないのでカタカナにて失礼します。実は適当に「なんとなくおいしそう」と思って借りたのですが、なんと「山怪」シリーズの著者でした。本来のお仕事がこっち関係なのでしょうか、狩りやマタギに関する本がたくさん出ていました。
 日本各地の猟師をしながら獲った獲物をさばいて料理して出す料理店の店主に同行取材したルポです、ジビエはほとんど食べたことがないのですが(猪鍋だけ有り)大変おいしそうでした。
105 悪役令嬢、セシリア・セルビィは死にたくないので男装することにした
 秋桜ヒロロ作
 角川ビーンズ文庫
十月七日
 ポチがなんとなーーく購入した悪役令嬢ものを読んでみました、前に読んだ白豚令嬢もむごい設定だったけれど、こっちも負けず劣らずでした。悪役令嬢に転生した現代の女の子が前世に気がついて、自分の未来と性格と見た目を変えていこうとするのはどちらも同じなのですが、そのパターンは無限にありそうですな。見た目と性格を変えてステキになった彼女がモテモテになるのもまた同じ。
 ある意味お約束の範囲なので、安心して読めてしまうのが玉に瑕かもしれません。
106 死者の書・口ぶえ
 折口信夫作
 岩波書店
十月九日
 ずっと前に一度読んでさっぱり分からなかった「死者の書」に再チャレンジしてみました。一度目よりは少しは分かったような気がするけれど、分からないことや理解できないことの方がずっと多いので、もうこの物語は人生の節目節目で時々読みかえそうと思います。
 逆に「分かりたくないのになんだかすごく分かりやすかった・・・」のが「口ぶえ」の方。私の読書人生の中でどん引き小説第一位の座に輝きました。BLは好きですよ、でもここまでガチだとちょっとつらい・・・しかもこれが著者の自伝的(でもないか)私小説だと思うと尚つらいものがありました。いやもうじっとした汗の匂いたつようなトライアングル、しかも心中落ち!?
 純文学って怖い。
107 ウンディーネ
 M.フーケー原作・アーサー・ラッカム絵・岸田理生訳
 新書館
十月十一日
 この前の猫森残念旅行の時に佐々木さんに連れて行ってもらった古本屋さんにて購入した本、文庫本はすでに持っていますがこれは買いでしょう!後で奥付を見てみたら、なんと初版で1980年に発行されててました、紙の本って長持ちだよな・・・。
 ラッカム版はずっと読みたいと思っていたので、手に入れることが出来てとてもラッキーでした。
108 かわいい見聞録
 益田ミリ著
 集英社
十月十六日
 ポチがちょっと風邪ひいて連れて行った内科の待ち合いで一冊読めました。著者が「かわいい」と思ったものに関するかわいいエッセイ、そのセレクトが意外で面白いです。
109 「死ぬんじゃ ねーぞ!!」
 中川翔子著
 文藝春秋
十月十六日
 新聞広告で見かけたので借りて読んでみました、副題は「いじめられている君はゼッタイ悪くない」です。著者が中学時代にいじめられた経験をもとに、今いじめにあっている子供に向けて書いています。
 かなりニュアンスは違うけれどユーミンの歌に「幸せはあなたへの復讐」というのがあって、自分が将来幸せをみつけることが一番の復讐になるのではないかと思ってます。いつかちょっとした意趣返しをする時がやってくるかもしれません。
110 NHKスペシャル・失われた文明・アンデスミイラ
 恩田陸・NHK「失われた文明」プロジェクト
 NHK出版
十月十九日
 アンデスの人々はミイラとともに生きる人々、死者に対する考え方が若干日本人に似ているところがあって、あんなに遠い国なのにそういうところが似ているというのはなんだか不思議でうれしいかんじがしました。
111 もうすぐいなくなります・絶滅の生物学
 池田清彦著
 新潮社
十月二十一日
 自分が風邪ひいて行った医者と、ポチの風邪の続きで行った医者の待ち合いで読み切りました。小さな絶滅から大きな絶滅まで、生物の歴史は絶滅の歴史なのだということがなんとなく分かりました。
 けれどもネアンデルタール人のDNAがホモサピエンスの中に入り込んでいてそのおかげで現世人類は生き延びてこられたという話にはロマンすら感じました、きっとそこには、ひとりひとりの人間としてのロマンスとか恋とかがきっとあったに違いありませんから。
112 ギリシアの英雄たち
 曽根綾子・田名部昭著
 講談社
十月二十二日
 これも前に東京の古本屋で購入した本、なかなかにかゆいところに手が届くというか、知りたかった細かいエピソードがいくつか載っていました。しかし謎が謎を読んでしまうのがギリシア悲劇、ひとつの謎が解けたら次々と知らないことを知りたくなります。
 今回ちょっとだけ分かったのはアトレウス家の悲劇の大本、わからなかったのはふたご座の例の二人の死因でした。分かるまで色々読み続けよう・・・。
113 遺産相続ゲーム・五幕の悲喜劇
 ミヒャエル・エンデ作
 丘沢静也訳
 岩波書店
十月二十六日
 件の古本屋で購入した本三冊め、よくもこれだけ好みに合う本があったことよ・・・。
 この本を読むのは久しぶり、そして三回目くらいになりますが、あいかわらず書いてある文章の意味はわかるのだけれど何を言っているのかはさっぱりわかりません。登場人物の会話は噛み合っているけれど意思の疎通は全くなのです、やはり不条理劇はこうでなくてはおもしろくありません。つまりはものすごくわけがわからないのだけれどもものすごくおもしろい物語なのです。エンデの本の中ではやっぱりこれが一番好きだわ。
 以前に出した本の本でも同じようなことを書いているけれどもう一度書きます。物語の最終の場面が最高、最高に救いがありません。
☆☆
114 115 白銀の墟玄の月・1 2
 小野不由美作
 新潮文庫
十一月一日
 とある友人に「まだ読んでいないのだったら、全巻そろってから読んだほうがいいよ、でないと読み終わったあとで悶えるよ」と言われていたのに誘惑に負けて読んでしまいました、そして友人の言葉が正しかったことを知りました。
 しかし十八年、十八年待った甲斐がありました、十八年のあいだになんと老眼の進んだことでしょうか、こんなに本を離して読まないと読めなくなるとは!しかし長生きはするものですな・・・。
 本の感想は全部読んでからにします。
116 死の海・「中河原海岸水難事故」の真相と漂泊の亡霊たち
 後藤宏行著
 洋泉社
十一月三日
 数日前から読んでいてポチのピアノ発表会のリハーサル待ち時間に読み終わりました、昭和三十年7月28日に津市の中河原海岸で市内の女子中学生溺れて36名が死亡するという事件があって、その検証をまとめた多分初めての本なのだそうです。私は同じ県内に住んでいますが、そんな事件があったなんて今まで全然知りませんでした。
 しかし、水泳中の子供が防空頭巾をかぶってもんぺをはいた亡霊に海に引きずり込まれるという内容の怪談はどこかで聞いたか読んだことがあると思います。多分、そのもとになった事件だと思われます。
 松谷みよ子さんの「民話」によって有名になった部分もあるそうですが、そもそも民話というのは創作です。むしろ本人が否定した幽霊話を執拗に報じ続けたマスコミに非があるのではないでしょうか。当時の学校や教育委員会の授業の進め方、当日の気象や潮流など今となってはもう解明のしようのないことばかり、結局事件の原因はわかっていません。
 検証はしても解決にはいたらず、でも事件のことを今の世に知らしめるという役割は果たしていると思います。
117 陛下、お味はいかがでしょう。「天皇の料理番」の絵日記
 工藤極著
 徳間書店
十一月三日
 著者は元宮内庁大膳課厨房第二係、つまり天皇家の洋食の料理番で今はフランス料理店を営んでいる方です。天皇家の方々が普段何を召し上がっておられるかという素朴な疑問に回答を与えてくれる数少ない本だと思います。
 まず朝ごはんは普段はいつも洋食というのが意外でした、メニュー的にもけっこう普通、地味にすごく手がかかっていたりもしますが普通でかえって驚きでした。
 レシピなんかも載っていますが、これはうちではちょっと無理、さすが天皇家!
118 「失われた名画」の展覧会
 池上英洋著
 大和書房
十一月五日
 タイトルどうり天災、戦災、人為的な破壊、盗難、消失、行方不明などによって失われた名画の展覧会、いやはやなんと多いことよ・・・。あまりというか全然考えたことがないジャンルだったので、正直「こんなにあるのか」と驚きました。昔の芸術作品が残っているのは奇跡、そして作品を破壊したバカヤローどもに災いあれ、ほとんど鬼籍に入っているだろうけどな。
119 貧困専業主婦
 周燕飛著
 新潮選書
十一月八日
 最近新聞の記事か何かでちょっと読んだ覚えがあるので、本を借りてざっくりと読んでみました。「貧困専業主婦」、新しい言葉だと思います。まず自分がその当事者なのかどうか自問自答してみましたが、今のところあまり当てはまっていません。専業主婦なことは専業主婦なのですが、世帯所得が貧困まではいっていないからです。
 しかしもし旦那が死ぬか離婚するかして、保険金も慰謝料も入ってこなかったらそりゃもうあっという間にそうなりますな・・・。でもそうなったら今働いている企業にパートとして雇ってもらい直してばりばりに働くことでしょう・・・。
 著者の言わんとしていることも社会の仕組みの問題も理解はできたけれども、私は現状維持でいきます。
 趣味に生きるのよ!
120 女の偏差値
 林真理子著
 マガジンハウス
十一月十二日
 「アンアン」に連載されている林真理子さんのエッセイ、とんでもなく予約のとれない飲食店に行ったとか、芸能人の誰それに会ったとか、ダイエットのためにエステに行ったとか太鼓習っているとかブランドのドレス買ったとか、あまり興味関心のない分野の話ばかりなのに一気読みしてしまうのはやはり、文章がうまいのとそういういろんなことを通して女の人生や生き様を語っているからに違いない、と最近思うようになりました。流石林真理子、そんじょそこらの女とはひと味もふた味も違うわ・・・、ということにも最近やっと気がつきました。
121 フランス伝統菓子図鑑
 山本ゆりこ著
 誠文堂新光社
十一月十三日
 このシリーズの本はこれまでにイギリス編とドイツ編を読んだことがあるのですが、フランスのお菓子ってもう全然違いました。しゃれたお店で売っているようなお菓子と家で作るようなタイプと地方のお菓子に分けてあるのですが、お店で売っているお菓子が宝石のように美しくて繊細でかつ美味しそうなことよ・・・今すぐケーキ屋にダッシュしたくなるほどの恐るべき破壊力を持った本でした。
 しかし、私は知っている・・・奴らが日本人の普通の女子には困るほどの大きさと甘さであることを・・・なぜならフランスで食べたことがあるからさ!最初の数口は最高なんだけど、ね・・・。
122 子どもと一緒に覚えたい貝殻の名前
 東海大学海洋学部・海洋科学博物館・監修
 加古川利彦・絵
 インプレス
十一月十三日
 とにかく貝殻のイラストが美しい本、写真もきれいだし文章も程よいボリュームだけれどイラストがいい。
 それはおいといて一番印象深いのが「イモガイ」という名前の貝、攻撃的かつ猛毒だそうです・・・。
123 日本アイスクロニクル
 アイスマン福留著
 辰巳出版
十一月十六日
 昭和の初めから平成の終わりまで、日本で販売されたアイスクリームのムック本、懐かしいものもあり全く知らないものもありなのですが、やはり自分が子供だった昭和の時代のアイスを一番よく覚えています。
 それはおいといて、バブルの時代に岐阜の繁華街に出店したホプソンズというアイス屋さんがあって、自分で選んだ材料を混ぜてくだいて(?)出してくれるお店だったのですが、一度だけ食べに行ったことがあります。比較的早く撤退してしまったので、もうないと思っていたのですが、まだ何店舗か残っていると書いてあったのが驚きでした。もう一度食べてみたいかも。
124 友達以上探偵未満
 麻耶雄嵩作
 角川書店
十一月十九日
 奥付を見たら2018年に出ていました、なんかもう麻耶雄嵩さんの本を読んだのは本当に久しぶりです。ポチが図書館で借りてきた本なのですが、ここまで見事なご当地小説は初めて読みました。どのくらいご当地かというと、主人公たちが自転車で走っている風景の町並みがリアルに思い出せるくらいです。
 おそらく主人公のあおとももの二人の女の子が在籍している高校はポチが今通っているところだし、そのまえの出身中学もポチと同じ、殺人事件が起こった公園も美術室も知っています・・・そのおかげで情景が細部まで思い描けて、「ここで殺人、ぷぷっ」というかんじがいたしました。著者の地元愛がすごすぎて(?)ほかの印象が薄れるほどです。
 とはいえ女の子二人の野望渦巻く青春小説でもあります、それはおいておいて一つだけ説明しておくことがあります。二人が避暑のため自転車をすっとばして寿司屋に行くのは、お手軽に入れるカフェや喫茶店が存在しないからです、忍者シティーをなめたらあかんぜよ。
125 白銀の墟・玄の月・3 4
 小野不由美作
 新潮社
十一月二十三日
 続きがこの時期に出たのでどれほど原稿の妨害になったことか分かりません、しかし続きが気になって原稿が手につかなかったので先に読んでしまいました。
 ここから一部ネタバレになりますが、まさかあの方が自力で地下から脱出されるとは思いませんでした、まずはそこでびっくりよ・・・。そして著者のことなので最後はきれいに収まるところに収まるだろうと思っていたら、やはりそのとおりでしたね。しかし苛烈にな物語でした。
☆☆
126 農業高校へ行こう!
 全国農業高等学校長協会・監修
 家の光協会
十一月三十日
 農業高校の漫画というとなんといっても「銀の匙」ですが、この本ではリアルに存在している全国各地の特色ある農業高校が紹介されています。忍者の里にも、全国で唯一という私立の農業高校と、比較的普通の農業関係の学科のある実技系高校の二校があるのですが、一頁も載ってなくて残念です。
 実技系の学校はどこもかしこもそれなりに大変だと思うのですが、農業は生き物や自然が相手だけにさらに大変だと思います。しかしなんらかの志を持って入ってくる生徒が多いと思うので、頑張れ!
126 アラマタヒロシの妖怪にされちゃったモノ事典
 荒俣宏著
 秀和システム
十二月一日
 この世にはびこる(?)妖怪を分類して研究しちゃおう!というかんじの趣旨の本とお見受けしました。それはそれでいいのだけれど、これはこれで面白いけれど、ちょっと私の求めているものとは違う・・・ような気がしました。
127 ぼくらののら犬砦
 宗田理作
 ポプラ社
十二月五日
 久しぶりに読んだ「ぼくら」シリーズ、主人公たちは大学生とか浪人生とかになりました。今回はずたぽろの中学校が舞台でまたヤクザとかなんとかが敵にまわります、が、本当の敵はそういったものではありません。
 昔、ただ先生や学校に対抗していた頃と比べると問題が複雑になってきたよね・・・。
128 薬屋のひとりごと1
 日向夏作
 主婦の友社ヒーロー文庫
十二月十六日
 友人からまず漫画を借りて読んで、そのあと小説版も借りて読んでいます。本当は小説が先で後でコミカライズされたものですが、逆になってしまいました。中華風後宮薬屋ラノベ小説、主人公の猫猫の性格が大変独特で面白いです。続きも借りているので、さくさく読みたいところですがこの季節は忙しすぎる・・・。
129 薬屋のひとりごと2
 同
十二月十八日
 主人公と敵対しているかのように見えた片眼鏡の男の意外な正体が本当に意外でした。てっきり中ポスあたりかと思っていたら単なる純情で不器用ないい人ではありませんか。まあまだ二巻だから中ボス出してこないよね・・・。
130 薬屋のひとりごと3
 同
十二月二十二日
 暇な時ならばさくさく読めるライトノベルも、忙しいとなかなか読めません。大掃除と家事の合間にちょこっとずつ読んでます。だんだん謎が明らかになってはきたけれど、まだまだ先は長いので楽しみです。
131 薬屋のひとりごと4
 同
十二月二十四日
 こういう小説の常ではありますが、話が段々大ごとになってきました。そしてモノクル男の娘馬鹿っぷりがとても可愛く見えるようになってきてしまいました。
132 #名画で学ぶ主婦業
 田中久美子監修
 宝島社
十二月二十六日
 ツイッターに投稿された名画に付けられた主婦のつぶやき・・・あまりにもあるあるで素晴らしかったです。この名画にこの一言の組み合わせの妙、世間にはセンスと教養のある主婦の皆様がなんと満ち溢れていることか!
133 タイぐるぐる。
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 東京書籍
十二月二十七日
 久しぶりに読んだk.m.pさんの旅行本、今回の行き先はタイで、いつものようにいきあたりばったりな(ところもある)旅でした。
 どこでもいいから旅行に行きたい、明後日からコミケには行くんだけどな。
134 ヨチヨチ父・とまどう日々
 ヨシタケシンスケ著
 赤ちゃんとママ社
十二月二十八日
 著者の初めての子供が生まれてから、しぱらくたってから連載をはじめ、子供たちがそれなりに大きくなってから出版された本なのだそうです。子供が生まれたての時にはもう生活するだけで手一杯で、とても描いている余裕なんかなかったというのは実は私も同じなので、その気持ちと大変さはよく分かります。実際その当時は実録子育て漫画を描こうなんて思ってませんでした・・・しみじみ惜しかった、描いておけばよかったよ・・・無理だったけど。
 しぱらくたってから描けばよかったけれど、その時にはその当時のポチの様子を描くのにめいっぱいで、とてもさかのぼって描く気にはなれませんでした、残念。
135 日本人なら知っておきたい日本文学
 蛇蔵&海野凪子著
 幻冬舎
十二克二十八日
 副題は「ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典」です、舞踏会に行く準備が早めに終わったので、この日は年末にしては珍しいほどのんびりしておりました・・・。


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