書名・作者・出版社 | 日付・内容・感想など |
ロシア幽霊軍艦事件 島田荘司作 原書房 |
五月三日 御手洗さんが石岡くんを置いて外国に行ってしまう前に二人で解いた事件である。石岡くんは何もしてないようだが。 「アナスタシア」の真贋をめぐっての推理だが、めずらしく二人の目の前では殺人も何も起こっていない、歴史ミステリーである。 推理はさておき、こんなに仲がよかったのに…いや、喧嘩したわけじゃないのだが。 |
ダヤンのカントリーダイアリー 塩野米松文・池田あきこ絵 ほるぷ出版 |
五月三日 図書館で見つけるとついつい借りてしまうダヤンシリーズ、私はカントリーライフには縁もゆかりもないけれど、絵も物語もあんまりかわいくてサビがきいているので読んじゃうんだよな。 でも、私のお気に入りの千年なまけはなかなか出てこない。 |
我が館にさまよえ虚像 秋田禎信作 富士見ファンタジア文庫 |
五月四日 「魔術師オーフェンはぐれ旅」シリーズ十八巻である。一巻から順番に読んでいるはずなのに前の話をほとんど忘れてしまっている。オーフェンのシリーズにはシリアス(?)長編の「はぐれ旅」シリーズとギャグ中心の「無謀編」があるのだが、まとめて読み返したいのは無謀編の方なのだ。 シリーズタイトルからして全然違っていて、タイトルを読んでいるだけで情けなくてけっこう笑える。 |
Missing 神隠しの物語 甲田学人作 電撃文庫 |
五月五日 アルバイトで食いつないでいる作者のデビュー作、なのだそうである。 神隠し、都市伝説などのモチーフはけして嫌いではないが、ちょっと消化不良かな。 |
火の誓い 河井寛次郎著 講談社文芸文庫 |
五月七日 以上三冊はベスに借りた本である。 これは、著者による美しいものについてのエッセイだが、著者の好きな日本の光景などいろいろなものは、多分もうないだろう。 |
作家小説 有栖川有栖作 幻冬舎 |
五月九日 短編集で、作家に関する妙な話、ミステリー仕立てのものやホラーに近いようなものも有るんだけど、「奇骨先生」がほのぼのしていて好きである。 最後の「夢物語」は結局幸せなのかそうでないのかよくわからない、分からなくたっていいけどさ。 |
イースターのおはなし ターシャ・テューダー作・ないとうりえこ訳 メディアファクトリー |
五月九日 ターシャ・テューダーの復刻版絵本。 日本にはイースターの習慣はもちろんなくて、どんなものかピンとこないけれど、きっといいものなんだなと期待させる本。 素朴だけれど、ものすごくかわいい。 |
不思議の国のアリス ルイス・キャロル作 脇明子訳 岩波少年文庫 |
五月十二日 十三日から二十八日まで図書館は図書整理のため休館である。 アリスを読んだのは久しぶり、そして何回目であろうか…何回読んでも意味不明である。 谷山さんの新譜の中に「海亀スープ」という歌があるが、それのオリジナル版とも言えるような歌をニセ海亀が歌っているのがうれしい。 |
鏡の国のアリス ルイス・キャロル作 脇明子訳 岩波少年文庫 |
五月十三日 不思議の国、の後はやっぱり鏡の国を読みたくなるわけだ。 ちなみに、私のお気に入りというかしょっちゅう描いているハンプティ・ダンプティが登場するのはこっちである。 |
挿絵の中のイギリス リチャード・ドイル 富山太佳夫編訳 弘文堂 |
五月十四日 コナン・ドイルの親戚であり、19世紀の挿絵(諷刺)画家だったリチャード・ドイルの作品と生涯についての本で、この時代のさまざまな催し物の様子などもよくわかるが、それよりも気をとられてしまったのが最後の広告一頁であった… 「叢書 死の文化」シリーズってこの出版社だったのか…昔二冊ほど読んで一冊はおもしろくてもう一冊はつまらなかった。おもしろかったのが「永訣かくのごとくに候」(大岡信)で、ものすごく読んでみたいのが「オフィーリアの系譜 あるいは、死と乙女の戯れ」(本田和子)である。 |
世界の民話4 東欧1 飯豊道男訳 ぎょうせい |
五月十六日 こうなったら順番に全部読もうかという気になってきた新装・世界の民話シリーズ。 マケドニアの民話に「男になった娘」という話があり、これがかの名作「ヘンデク・アトラタン物語 不思議の国の千一夜」とそっくりであった。多分これが元ネタだろう。 |
「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて カレン・ウィン・フォンスタッド著・琴屋草訳 評論社 |
五月二十六日 「シルマリル」「ホビット」「指輪物語」の年代別、地域別地図帳である。解説も詳しく、読み始めるとあきることがない。 歴史はともかく地理は苦手だが、「指輪」に関する問題集等があったら、あえてチャレンジしてみたくなってしまうかもしれない。 「指輪物語検定・一級」とかあってもいいのに、受けるかどうかはまた別だが。 |
飛ぶ教室 ケストナー作 高橋健二訳 岩波世界児童文学集 |
五月三十日 吉野朔実さんの「お父さんは時代小説が好き」に「泣ける本の代表」として載っていた。 泣けるほどではなかったけれど、たしかに美しい話であり、これが書かれた時代を思うとなおさらである。 |
ダレン・シャン5・バンパイアの試練 ダレン・シャン作 橋本恵訳 小学館 |
六月八日 発売日に無事ゲットしたこの本、本当に児童文学かと心の底からしみじみと思った。 詳しい感想などは、後でダレンコーナーに載せるつもりなのでここには書かないが、悲惨の一言に尽きるな、何もかも。 |
女ひとり旅読本 ひとり旅活性化委員会 双葉社 |
六月八日 久しぶりに図書館に行った、というかやっと行けた… これは「ガールズ・バックパッカー・マニュアル」シリーズの一作目、二作目と三作目はすでに読んでいる。 海外に行く予定もないし、私の性格ならば絶対パックツアーでいくと思うのだが、なんだかんだいいつつも面白いんだよね、このシリーズ。 出来れば役に立たないほうがいいに決まっている捨て身の裏ワザがたくさん載っている。 |
春になったら苺を摘みに 梨木香歩著 新潮社 |
六月十一日 友人の書評を読んで読みたくなった本なのだが、表紙の写真が星野道夫さんのものであることで私のこの本に対する株は読む前から少しあがった。この人の写真は大好きなのだ。でも、これ多分アラスカかどこかで撮られたものだろう(と思う)。 この本は作者の英国の友人とそのまわりの人々についてのエッセイだが、今度は物語の方を読んでみたい。図書館にあるといいな。 |
ダヤンと時の魔法 池田あきこ作 ほるぷ出版 |
六月十二日 ダヤンシリーズの絵本ではなくて長編ファンタジー小説である。これが三冊目のようだが、私、二冊目読んだっけ? ダヤンも謎の多い猫だけど、今回の殊勲者はなんといってもジダン、何をやってもかっこよすぎる猫、あまりにも素敵すぎる。 この物語の最後で行方がわからなくなるのだが、お願いだから帰ってきてほしい。 |
グリムが案内するケルトの妖精たちの世界・上 トマス・C・クローカー編 グリム兄弟解説・注 藤川芳朗訳 草思社 |
六月十四日 以前、下巻から読んでしまった本だが、無事上巻も見つかった。 上巻は、主にグット・ピープルとクルーラホーンについての話が集められている。 グット・ピープルといわれるものたち、つまりは妖精一般、チェンジリングとかプーカとかについての話なのだが、そういう固有名詞は出てこないし、物語としてきれいにオチがついて、まとまりすぎてるような気がする。伝説とか言い伝えってのは、もっといいかげんなものなので、かなり作られているだろうな。 |
カナリアのシスリーB ターシャ・テューダー作 ないとうりえこ訳 メディアファクトリー |
六月十四日 見つけると読んでしまうターシャ・テューダーの復刻版絵本、今回はカナリヤの話。 身近にいる動物を絵にすることが多い人なので、きっとこの絵本が描かれた頃、カナリヤがいたのかもしれない。 |
カモメに飛ぶことを教えた猫 ルイス・セブルベダ作 河野万里子訳 白水社 |
六月十六日 その猫の名はゾルバ、飼い主の男の子に愛されている太った黒い猫、カモメの名はフォルトゥナータ(はじめは名無し、でも猫達にこの名をつけてもらう)。 ゾルバと仲間の猫達が、カモメを卵から飛べるようになるまで見守り育てる話だが、この猫たちがとても誇り高くてやさしくていいんだよな… 最後に猫達に協力する人間も、なかなかに人間離れしているけど。 |
オフィーリアの系譜 あるいは死と乙女の戯れ 本田和子著 弘文堂 |
六月二十日 叢書・死の文化シリーズの五冊目、図書館で取り寄せを頼んだ本である。「無理かもしれないなーーー」と思っていたが、四日市の図書館にあった。個人誌の入稿と重なり、本を読むべきか作業を進めるべきか悩んだが、結局両方ともやったわけだ。 オフェーリアに触れられているのは結構少しだが、古今東西いろいろな事例が揚げられているのが分かりやすくて面白い。もう一度くらい読んでから返そう。創作少女やってる人にはお勧めできるかも。 |
イギリス生まれの物語たち 佐久間康夫著 松柏社 |
六月二十一日 めずらしく左とじ、横書きの本だが、最後まで読んだら納得、英語教材の中の読み物を中心にまとめた本であった。 イギリスの児童文学その他の物語の解説だが、ほんのさわりの部分しか載っていないのでかなり物足りない。でも仕方がないか。 |
だれでもない庭・エンデが遺した物語集 ミヒャエル・エンデ作 ロマン・ホッケ編 田村都志夫訳 岩波書店 |
六月二十一日 エンデの遺稿集、なにがすごいってこの本に載っているほとんどの物語が未完で、ほとんどの文章が断片だということである。 特に未完の物語は、さすがに読んでいておもしろいだけに続きがすごく気になるところなのだが、まさに「けれどもこれはべつの物語」であり、永遠に語られることもない。 ちなみに私がエンデ作品の中で一番好きなのは「遺産相続ゲーム」と「鏡の中の鏡」である、けっこうひねくれた趣味なのかもしれない。 |
ホワイト・グース ターシャ・テューダー作 ないとうりえこ訳 メディアファクトリー |
六月二十二日 またもやこの作者の絵本だが、今まで読んだものとはあきらかに趣のことなる幻想的な物語、どこまでいっても青い世界。 結局主人公の少年は、踏みとどまるけれども。 |
東京少年 長野まゆみ作 毎日新聞社 |
六月二十二日 現代もので、しかも物語の終わりには主人公を含めたたいていの人があるべき場所におさまっている、ハッピーエンドといってもいいだろう…珍しい。 うじうじめそめそした父親と息子とくらべると、母親のふっきりかたは大変気持ちがいい(大迷惑だが)作者は少年ばかりを主役にしているけれど、作者の書く女の人(女のこも)たいていこうなので、主役にはなれないよな。 |
からくりからくさ 梨木香歩作 新潮社 |
六月二十五日 このまえエッセイを読んで、おもしろかったので小説も読んでみたらやはりおもしろかった。 からくりからくさというタイトルが言いえて妙、そしてぴったりである。 物語の大筋からみればほんの枝葉だけれど、「能面の顔を怖いといっていられるうちはまだいい」といったかんじのところがあって、納得。人間の顔の方が怖い場合ってあるもんね。 |
オランダ靴の謎 エラリー・クイーン作 井上勇訳 創元推理文庫 |
六月二十七日 前にクイーンを読んだのはいつだったか…確か小学生の時、子供向きに直された本を何冊が読んだことがあったような気がする。 久しぶりに読んだクイーン、久しぶりに読んだ翻訳ものの本格推理、しかも父子どんぶり、おもしろいじゃないか!特にお父様ステキ。 しかし、どうも図書館にはこれ以外の本が入ってはいないようだ。どうしようかなーーー。 |
崖っぷちだよ、人生は! 中村うさぎ著 文藝春秋 |
六月二十八日 考えてみれば、私はこの人の書いたジュニア小説を一冊も読んだことがない、本来はそっちがメインのはずなのに、である。 ショッピングの女王様、税金や健康保険料を滞納しても、ガスを止められてもブランド品を買ってしまう困ったお方の爆笑エッセイである。 人には、こえちゃならない一線というものがあると思うが、案外越えるのって簡単かも…しれない。 |
ぼく、ネズミだったの! フィリップ・プルマン作 西田紀子訳 偕成社 |
六月二十八日 リベンジフィリップ・プルマン、この前「琥珀の望遠鏡(だったっけ)」を借りて読もうとしたら、続きものの3冊目だったのであきらめたという苦い過去を持つ作者の本をはじめて読んだ。 主人公の男の子が繰り返し言っていた言葉の意味が最後になってはじめてわかり、「もうひとつのシンデレラ物語」という副題にも納得。 一見かわいい話で最後もハッピーエンドなんだけど、けっこうえぐいというか、シビアかも。 |
玩具草紙 長野まゆみ著 作品社 |
六月二十九日 この作者の本はたいていそうだが、この本も装丁、挿画が大変きれいでかわいい。 子供の頃に集めた小さいこまごましたもの、文房具とかボタンとか何かの包み紙とか、そういうものに関するエッセイ。 女の子ってなんで出来てるの?っていうマザーグースもあったよな…女の子は小さい細かいかわいいきれいなもので出来てる…わけでもないけれど、そういうものは確かに好きだった、大昔はね。 |
ケストナーの「ほらふき男爵」 池内紀・泉千穂子訳 筑摩書房 |
七月一日 エーリヒ・ケストナーが、例えば「ドン・キホーテ」とか「長靴をはいた猫」とかを子供向けに書きなおした再話集。 実を言うと、私は「ガリバー旅行記」を岩波少年文庫版で読みきれなかったクチだが、ケストナー版ではすんなりと読めた。 ケストナーの生い立ちとか、なぜ子供の本を書くにいたったかなどもこっそり載っている。 |
崖の国物語1 深森をぬけて ポール・スチュワート作 唐沢則幸訳 ポプラ社 |
七月三日 目にはついてたんだけど、今まで読もうかどうか迷っていた児童文学シリーズをやっと読み始めた。 化け物系である、私は別に美人ちゃんが出てこないと読めないというわけではないのだが、正直言って化け物づくしにはまいった。しかし、ゴブリン系が好きな人にはたまらないかも。 一巻で主人公は冒険の旅に出る、そしてかなり酷い目に会いつつ成長し、父親と再会するのだ。 |
崖の国物語2 嵐を追う者たち | 七月三日 もしかしたら、登場人物の死亡率の高さは、最近読んだ児童文学の中ではナンバーワンかもしれない。 結構好意の持てる、いいキャラクターでもばたばたと殺されていくのがなんだかな…いくら人間じゃないといっても。 二巻では主人公はぐっと強くなり、さらにはかわいい女の子も出てきた。三巻が楽しみだけど、こんなことならまとめて借りておけばよかった。 |
アーサー王ロマンス 井村君江著 ちくま文庫 |
七月三日 定番の物語というものがある、私にとってはアーサー王関連とケルト妖精話がそうなのかもしれない。 この本は、アーサー王関連の多くの物語のおいしいところをとって編まれていて、途中で飽きる事無く読めてけっこうお勧めである。 シャロットの娘の名前が「エレイン」なんてはじめて知ったよ。どこにもシャロットの娘なんて書いてないけどさ。 |
魔法使いの少年 ジャック・センダック作 ミッチェル・ミラー絵 長田弘訳 みすず書房 |
七月三日 「詩人が贈る絵本シリーズ」の中の一冊。 とにかく挿絵が印象的、少年の顔も少女の顔も、静かで悲しげで老人のようだと思った。 |
捩れ屋敷の利鈍 森博嗣作 講談社 |
七月五日 人物紹介のところを見て、犀川先生の名前があるのを確認して読んだ。 各シリーズの登場人物が出演しているようだが、残念ながら最近の作品をあまり読んでいないのでいまいち楽しめない。 犀川先生は声だけの登場、いつも寝ぼけてるし。推理はすごいけど。 |
だれも猫には気づかない アン・マキャフリー作 赤尾秀子訳 東京創元社 |
七月七日 かのはらさんお勧めのアン・マキャフリー、だまされたつもりで読んだらおもしろかったではないか! これはとある中世のお話、ある一国の領主様のところにたいそう賢い猫がいて…という話。 |
ケルトの神話 井村君江編 ちくま文庫 |
七月七日 副題は「女神と英雄と妖精と」である。 読み始めてから、以前に絶対よんだことがあるぞこの文章、と思っていたらやはり「世界の神話」シリーズの文庫版だった。 しかし、神話ってどうして何回読んでも頭にはいらないのであろうか…だから何回読んでもおもしろいけど。 |
クマのプーさんの知恵 A.A.ミルン文 E.H.シェパード絵 吉田利子訳 PHP研究所 |
七月七日 クマのプーさんシリーズ至言集。 最後にプーさんシリーズを読んだのはいつだったかな。 |
クマのプーさんとしょんぼりイーヨー 同 |
七月七日 前述の本と同じシリーズだが、私の場合こっちのほうがよりいっそう納得出来る言葉が多いような気がする。 ロバのイーヨーは、プーさんシリーズの中では一番のお気に入り、マイナス思考も極めればプラスにかわるのだ。 |
崖の国物語3 神聖都市の夜明け ポール・スチュワート作 唐沢則幸訳 ポプラ社 |
七月九日 とうとう読みきった崖の国シリーズ、挿絵はクリス・リデルという人で、このシリーズは絵と文章のコラボレーションであった。 三巻ではもう主人公強いのなんの、一巻のおもかげがすっかりなくなってしまったのがちょっと残念だが、物語としては上出来というか納得の出来るきれいな終わり方をしている。なんとなく続きそうだし。(続くのかな?) |
はるかな国の兄弟 アストリット・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波少年文庫 |
七月九日 「長くつ下のピッピ」シリーズを読んだ時も感じたが、リンドグレーンのお話はどんなに陽気な物語でもどこか物悲しい。 時々、児童文学の中には大人の本がおよびもつかないほど容赦のないものがあるが、これはまさにそのパターンだと思う。 もちろん物語自体は美しいのだが、こんなんありかい!もしかしてリンドグレーン、現実世界が嫌いだった?かと思っちゃうよ。 |
猫道楽 長野まゆみ作 河出書房新社 |
七月十日 長野まゆみさんの本はいろんな出版社から出ているが、それにしても出版ペースが速い、うれしいけど。 かわいいタイトルと装丁にだまされた本。 |
トロイアの黒い船団 ローズマリー・サトクリフ著 アラン・リー挿絵 山本史郎訳 原書房 |
七月十一日 「サトクリフ・オリジナル」シリーズの4、ギリシア神話の物語上編である。 どっかで聞いた名前だと思っていたら、「ケルトの白馬」の作者であった。 そのサトクリフによる「イリアス」の再話、要所要所がおさえてあって大変読みやすく、挿絵も美しい。 |
オデュッセウスの冒険 同 |
七月十二日 「サトクリフ・オリジナル」シリーズの5、ギリシア神話の物語下編。 こっちは「オデュッセイア」の再話、王女「ナウシカ」に関する記述が他の部分と比べてやたら丁寧な気がする、別にいいけど。 |
小さなスプーンおばさん アルフ・プリョイセン作 大塚勇三訳 学習研究社 |
七月十ニ日 昔、アニメで時々見ていたスプーンおばさん、その原作である、三部作の最初の本。 奥付を見たら、初版が1966年、この本は2002年に発行されて109版目であった、絶版になる児童文学も多いのに、おばさん、強し。 |
影の王 スーザン・クーパー作 井辻朱美訳 偕成社 |
七月十五日 感想を一日書き忘れると、思い出すのに苦労するな…。 現代に生きるシェイクスピア劇の劇団員の少年がシェイクスピアの時代にタイムスリップし、御本人様と会いつつパック役を演じて帰ってくる話。 トリックスターが一人いる。 |
黄金の羅針盤 フィリップ・プルマン作 大久保寛訳 新潮社 |
七月十六日 ライラの冒険シリーズ第一巻、はじめから順番に読みたいと思っていたシリーズの一冊目と二冊目が図書館にあった、ラッキー! で、読み終わった直後の感想はというと「この両親は全くもう!」であった… 強く、かつ野望にあふれる両親を持つと子供は苦労するという話がこれから三巻まで続きそうだ。 |
神秘の短剣 同 |
七月十六日 ライラの冒険シリーズ第二巻、このシリーズも読み出すと止まらないな。 一巻は完全に異世界の話だったが、二巻からこっちの世界や他の世界が出てくる、そこをライラはいったりきたりするわけだ。 二巻で一番かっこよかったのは気球乗りのリー、ちなみに一巻では熊のイオレク。 |
美少年日本史 須永朝彦著 国書刊行会 |
七月十八日 日本の歴史は美少年愛の歴史、まさにそういう本。時代と共に姿、名前を変えながら脈々と受け継がれるその道の案内本。 一番驚いたのはその中に詩人大手拓次の名を見つけたこと。あんた、相手は女の子だけじゃなかったんかい!ちょっと見直したというか、これから詩の解釈が違ってきそうだ…。 |
詩集・フォークソング 日本のフォークを愛する会編 主婦の友社 |
七月十八日 60年代後半から70年代前半に流行ったフォークソングの歌詞集。 知らない歌ももちろん多いが、中学のころ音楽の授業やコーラスクラブで歌った歌も案外多かった。「翼をください」とか「あの素晴らしい愛をもう一度」とか今でも歌われているんじゃないだろうか。 |
魔女ファミリー エレナー・エスティス作 井上富雄訳 瑞雲舎 |
七月二十日 副題は「ガラス山の魔女たち」、多分こっちのほうが通りがいいだろう。 「ガラス山の魔女たち」は昔、岐阜に住んでいた頃行き付けの図書館で背表紙だけ見ていて、結局借りることのなかった本のような気がする。 登場人物の女の子三人が三人とも「月の光のような、あるいは太陽の光のような金髪」ってのがいいかも。 |
時計はとまらない フィリップ・プルマン作 西田紀子訳 偕成社 |
七月二十日 今まで読んだプルマンの本の中では一番短く、あっというまに読めた。 おとぎばなしなのにあいかわらず辛口。 根性のない時計職人は殺されるし、物語を終わらせることの出来なかった作家は行方知らずになるし、謎の博士はなぞのまま、でもきれいなハッピーエンドで終わるところがすごい。 |
琥珀の望遠鏡 フィリップ・プルマン作 大久保寛訳 新潮社 |
七月二十一日 ライラの冒険シリーズ第三巻、最終巻である。 すべての人々が、あるべきところへ戻る、例えばライラの両親は奈落の底へ、気球乗りのリーやロジャーは大気の中へ。 天使だの教会だのが出てくるけれど、キリスト教的な説教くささがないところがありがたい。キリスト教的、というか一神教の賛美で終わる物語は、つまらないもの。 |
書斎曼荼羅・本と闘う人々1・2 磯田和一絵と文 東京創元社 |
七月二十二日 有名作家の書斎拝見本である、ただし写真ではなく、イラストとエッセイ風の軽い文章でまとめてある。 私もささやかながら日夜増殖を続ける本と戦っているつもりではあるが、スケールが違いすぎる。 きちんと分類する作家とそうでない人との差がすごいが、ちなみに私は分類する方だ。 |
古城の幽霊ボガート スーザン・クーパー作 掛川恭子訳 岩波書店 |
七月二十三日 このシリーズはもしかして、この子供だましのようなタイトルで損をしているのではないだろうか。 時代は現代、舞台はスコットランドとカナダ、出てくるのはケルトの家付き妖精ボガート。 スコットランドの古城に住んでいたボガートが、あることからカナダの大都会トロントに行ってしまって一騒動を起こしてから子供たちの機転で戻ってくる話。 もちろんおもしろい。 |
ネス湖の怪獣とボガート 同 |
七月二十三日 その続編。舞台はネス湖。ネッシーは実はボガートの変身だった! 一族(とりついていた人間の一族)を失った悲しみのため、ネッシーの姿のまま湖底で眠っていたボガートを、先のボガートが自分の住処までつれていく話。 |
ムーミン・コミックス5 トーベ・ヤンソン ラルス・ヤンソン作 冨原眞弓訳 筑摩書房 |
七月二十四日 副題は「ムーミン谷のクリスマス」、本当は一巻から読みたかったし、それが無理ならスナフキンの出ている巻から読みたかったが、いまいち探せなかった。 一応漫画なんだけれど、児童文学の方と印象は全く変わらない。 |
剣の歌 ヴァイキングの物語 ローズマリ・サトクリフ作 山本史郎訳 原書房 |
七月二十六日 「サトクリフ・オリジナル」シリーズの6、今回は完璧に作者のオリジナル。 今までのこのシリーズと比べて何か物足りないな、と思っていたら、アラン・リーの挿絵がなかった。 ヴァイキングの青年が村を追放(期限つき)されてから、剣の腕をもってさまざまな主人に仕え、年季があけたら奥さんをもらって故郷に戻り落ちつく話。 こう書くと身もふたもないが、なかなかの冒険物語。 |
有名人のご臨終さまざま マルコム・フォーブス ジェフ・ブロック著 安次嶺佳子訳 草思社 |
七月二十九日 そのものずばり、古今東西…じゃなくて主に西洋社会の有名人の臨終の様子をあつめてある本、悪趣味といえばそれまでだが、読んでみるとそれなりにおもしろい。 もちろん、孫やひ孫に囲まれて、自宅のベットで眠るように…なんて人は一人も載っていない。 |
妖精図鑑 空と風の精 ビエール・デュボア著 ロラン・サバティエ絵 つじかおり訳 文渓堂 |
七月三十日 イラストがとても美しく、また載っている妖精のセレクトがロマンチックでちょっと暗黒入ってて大変参考になる。 このほかにも「森と大地の精」「海と草原の精」というシリーズがあるらしく、是非みてみたいものだ。 |
ミッシング・マインド はじまりの記憶 キャロル・マタス ペリー・ノーデルマン作 金原瑞人・代田亜香子訳 あかね書房 |
七月三十日 マインド・スパイラルというシリーズもの児童文学の二作目、途中から読むのはやめようと思っているのに、一作目がなかったためニ作目から読んだのだが、やはり後悔した… 最近の児童文学にはかえって珍しい、元気なお姫様と理性的だけど少々気弱な王子様の冒険物語なのだが、物語を語るその口調がちょっといただけない。子供向けに訳されているのかもしれないが、まるで出来そこないの少女小説のようである。物語の設定や登場人物は、ステレオタイプぎみだけどそれなりに魅力もあるのに、惜しい。 |
スプートニク スプートニク協会 ジョアン・フォンクベルタ著 管啓次郎訳 筑摩書房 |
七月三十一日 新居昭乃さんの「降るプラチナ」というアルバムの一曲目に「スプートニク」という歌がある。私はこの曲がとても好きで、いつか絵にする時の参考にこの本を読んでおこうという腹であった。 スプートニクという名前は知っていても、実際のところ何があったのかはよく知らなかった。 旧ソ連の宇宙船ソユーズ2号、乗っていたのは一人の宇宙飛行士とクローカという名のライカ犬、もう一隻の宇宙船ソユーズ3号とドッキング操作中作業に失敗し、飛行士と犬は永遠に宇宙に消えた。…ここまでならば不幸な事故ですむのだが、その後秘密保持のためにその存在自体が歴史から消されていた。本当に何があったのかは今でも分からない。 |
コーンウェールの聖杯 スーザン・クーパー作 武内孝夫訳 学研 |
八月一日 私的スーザン・クーパーフェア実施中、とはいっても、翻訳されていて図書館にはいっている分はだいたい読んでしまったのかな。 これは、子供たちによる聖杯探究ものである。敵方のさまざまな妨害にもかかわらず、実際発見して博物館におさめておこづかいまでもらった。しかし、カップは見つかったものの肝心の謎はとけず、次巻に続いている。 味方の教授の正体も、敵方の本当の正体も実際のところは分からないままで、続きが期待される、復刊希望。 |
スクランブル・マインド 時空の扉 キャロル・マタス ペリー・ノーデルマン作 金原瑞人・代田亜香子訳 あかね書房 |
八月四日 マインド・スパイラルシリーズの一作目、あっさりと図書館で見つけた。 やはり児童文学にかかわらず、シリーズものは最初から順番に読むに限る、一巻から読んだほうがとっぴな設定もしっくりくるってものよ。 今ごろ気がついたのだが、これはお姫様の一人称で語られているから、こういう言葉遣いなわけだ。そう思えば納得も出来るけれど、もうすこし上品に話してもいいんじゃないかな?正真正銘のお姫様なんだからさ。 |
りかさん 梨木香歩作 偕成社 |
八月五日 「からくりからくさ」の続編、主人公の子供時代、人形のりかさんとであった頃の物語。 |
娼婦のルーツをたずねて 京都、そして江戸・大阪 豊浜紀代子著 かもがわ出版 |
八月五日 万葉の時代から昭和までの娼婦の形態をさくさくと追いかけている研究本。 深く踏みこんだところはあまりないけれど、分かりやすく書かれている。 |
蒼い千鳥花霞に泳ぐ 高里椎奈作 講談社 |
八月六日 薬屋探偵妖綺談シリーズの最新刊(?)で、まだリザベルが出ていなくて座木が高校生をしているころの物語。 基本的にほのぼのとしたムードのただようミステリー妖怪ノベル。結局勘違いでオチがついた… |
黒白の絆 霜島ケイ 小学館キャンパス文庫 |
八月八日 封殺鬼シリーズ二十四巻、コミケに出発する前に買って読んでおいた。 敵の正体はだいたい分かったけれど、まだバトルの最中。 一番大変かつ情けないのは、どうみても三吾だ、ちゃっちゃと自分でなんとかしたまえ。 |
少女遊戯 宝野アリカ作 愛育社 |
八月十九日 アリプロライヴの時に買った、ボーカルのアリカさんの詩集。迷ったけれど結局ゲット。 装丁は大変美しい、中身は、詩集としてはまあまあかな。 |
病が語る日本史 酒井シヅ著 講談社 |
八月二十一日 糖尿病、マラリア、ガン、結核などさまざまな病気の歴史、いつ頃、どこからきて、どんな治療法がされて、どんな有名人が罹病したかなどを分かりやすく丁寧に書いてある。心のネタ帖にかきとめておきたい本。 |
科学と科学者の話 寺田寅彦エッセイ集 池内了編 岩波少年文庫 |
八月二十二日 実は今まで何度か読もうとしていてそのたびに挫折していた寺田寅彦氏のエッセイ、岩波少年文庫でやっと一冊読みきった。 なんというか、こう素敵な先生である。物理のことは全く分からないが、この先生の講義なら受けてみたかったかも。 |
流されびと考 杉本苑子著 文藝春秋 |
八月二十五日 日本の歴史の中で「流刑」にあった人についての研究書とエッセイの中間のような本。 こういった本は、あまりがちがちの「文献」でも読みにくいし、くだけまくりのエッセイでは基本的に役に立たない。 さじ加減が難しいんだよね、好き好きだけど。 |
樹上のゆりかご 荻原規子作 理論社 |
八月二十六日 なんだか久しぶりのような気がする荻原さんの新刊、今回はファンタジーや魔法が存在しない普通の、ただし特色のある高校生活の話。 読んでいると、やはりお祭り騒ぎが好きだった自分の高校のことを思い出す。たいていの人は、何かを思い出すだろう。 |
ケルトとローマの息子 ローズマリー・サトクリフ作 灰島かり訳 ほるぷ出版 |
八月二十七日 とうとう見つけたら必ず読むようになってしまったサトクリフの邦訳新刊、今回はケルトというよりは、ブリテンもの。 嵐の夜、難破した船から救い出された赤ん坊が、成長して義理の両親のもとを離れさまざまな辛苦のあげくに本当の父親(推定)のもとにたどり着く話だが、考えてみればこの物語も主人公は少年であり、この作者の少女を中心にした物語は読んだことがない。 読んだことがないだけで、存在はしているのかもしれないけれど。 |
愛のひだりがわ 筒井康隆作 岩波書店 |
八月二十七日 筒井康隆というと、どうしても中学生の頃に読んだ「農協月へ行く」とかの印象が強く、はちゃめちゃでナンセンスな作家だと長い間思っていたが、「わたしのグランパ」あたりから印象が変わった。 この本も、児童書の棚にいれておいてもいいようなまっとうな(?)女の子の成長物語である。 |
Missing2 呪いの物語 甲田学人作 電撃文庫 |
八月二十七日 前同じ作者のデビュー作を読んだ時、いまいちというかこりゃ駄目かもと思ったが、二作目からずいぶん読みやすくなったような気がする。 続けて、借りている分全部一気に読んでしまった。 |
Missing3 首くくりの物語 Missing4 首くくりの物語・完結編 同 |
八月二十七日 登場人物像が頭に入り、背景がだんだん分かってきて、物語の謎が深まればそりゃ面白くもなるが、最後に今回のヒロインが記憶処理されて終わるのはどうかと思う。 |
魚たちの離宮 長野まゆみ作 河出書房出版 |
八月二十七日 本当は夏のはじめか、お盆の前頃読みたかったが、今年はちょっと遅くなった。 毎年一度はこの本を読むようになって何年たったか分からないが、何回読んでも美しい本。 |
ダヤン 不思議の国へ わちふぃーるど大図鑑 池田あきこ作 白泉社 |
八月二十八日 文字どおりのダヤンの図鑑、登場人物(動物)や物語の世界の説明、今までのお話のダイジェストなどだが、あいかわらずイラストがきれいであきない。 パステルという画材には挑戦したことがないけれど、機会があったら使ってみようかなと思ってしまう。 |
少女スタイル手帖 宇山あゆみ著 河出書房新社 |
八月二十八日 筆者と私は同じ年の生まれであった…どうりで見覚えがあるものがたくさん出てくるわけである。 昭和四十年代の終わりから五十年代にかけて小学生(女子児童)だった人には懐かしいものがたくさんカラー写真で載っている。 今見ると「なんで?」と思うのだが、当時は宝物だったんだよね。 |
鏡の中の幽霊 ジョン・ベレアーズ作 三辺律子訳 アーティストハウス |
八月二十八日 ルイスと魔法使い協会シリーズの四作目、今回はツィマーマン婦人とローズ・リタが婦人の失われた魔力を取り戻すために過去に行ってしまう物語である。魔力は無事戻り、本来の時間へ帰ってくるのだが、特筆すべきはやはり叔父さんと一緒に別の場所に旅行に行っていたルイスが、痩せて帰ってきたことだろう。この話は次の本になるのだそうだが、どうしてルイスがいきなり痩せたのか、ヨーロッパでどんな怖い目にあったのか楽しみだ。 |
霧のむこうのふしぎな町 柏葉幸子作 講談社 |
八月二十九日 大変素敵な物語、子供の頃に出会いたかった本。 夏休みにリナは一人で「霧の谷」に行き、そこで働きながらまわりの人達とうちとけ、そして本来の自分の街に帰っていくという少女の成長物語なのだが、スタジオジブリの映画候補にもなっただけあって、そういうところは千と千尋の神隠しに似ている |