2003年五月以降

書名・著者・出版社 感想・内容など
三日月少年漂流記
 長野まゆみ作
 河出書房新社
五月六日
 移転した分館ではじめて借りた記念すべき本。
虹の家のアリス
 加納朋子作
 文藝春秋
五月六日
 前読んだ「螺旋会談のアリス」の続編、短編集。
 作者が昔アニメ少女で「地球へ…」の原作ファンであったということにはおおいに驚いた。商業出版物の後書きにどうどうと書いてあるのにはもっと驚いたけど。
ダーシェンカ あるいは子犬の生活
 カレル・チャペック著
 千野栄一解説・保川亜矢子訳
五月八日
 友人が出産前祝いに贈ってくれた装丁の美しくかわいい本。
 ダーシェンカは白い小さなテリア種の犬で目と鼻と耳が黒くてマヌケな顔の愛らしい子犬であるのだが、今となってはお母さん犬の気持ちや「自然の声」がなんたるかがよくわかる。
玉響に散りて
 霜島ケイ作
 小学館キャンパス文庫
五月?
 封殺鬼シリーズ二十五巻、発売後しばらくしてようやく買えた。
 問題はほとんど解決されていない、というかこれからだけど、いろいろな人間関係だけはやや改善されたようだ。
アンブラと四人の王子
 アン・ローレンス作
 金原瑞人訳
 偕成社
五月十四日
 某掲示板で「ラブだ」と聞いていたので読んでみたが、やはりラヴであった。
 お姫様と王子様達のリリカル可憐にして実際的な物語。
わたくしだから
 大槻ケンジ著
 集英社
五月十六日
 元筋肉少女帯、現特撮のボーカリストオーケンのエッセイ集。
 もしかしたら案外話が合うかもと前前から思っていたが、多分絶対合わないであろうと判明した。想像していたよりもすさまじそうな人だが、そうでないとあんな曲は作れないよな…。
夏の王
 O.R.メリング作
 井辻朱美訳
 講談社
五月十八日
 メリングのシリーズ四作目、ずっと読みたいと思っていた本なのはいいが、肝心の三作目をまだ読めていない。
1000の風1000のチェロ
 いせひでこ作
 偕成社
五月二十四日
 「グレイのしっぽ」の作者による阪神大震災追悼チェロコンサートのことを描いた絵本なのだが、その「グレイのしっぽ」という本は私が今まで読んだ中で一番泣いた本であった。読む人によってはなんともないかもしれないけれど、しばらく前に十六年家族同様に暮らした犬が死んでいたので仕方がない。
 この本もきれいだけれどとても悲しい。
不思議を売る男
 ジェラルディン・マコーリアン作
 金原瑞人訳
 偕成社
五月二十六日
 お話はおもしろかった、おもしろかったんだけど何か今一つ釈然としないものがあった。
 古道具屋の娘さんとのロマンスは必要だったんじゃなかろうか…というか、逃げるなよ、青年!
オヤジどもよ!
 中村うさぎ著
 フィールドワイ
八月四日
 久しぶりに上野の図書館に行ってまず借りてきて読んだのがこの本というのがけっこう笑える。
 世のオヤジどもに対する罵詈雑言の数々と思いきや、オヤジへの檄文となっている妙なエッセイなのだがおもしろい。
オペラ座の幽霊
 ジョン・ベレアーズ作
 三辺律子訳
 アーティストハウス
八月八日
 今日中にこれだけは読むのよ!ときばって読んだ「ルイスと魔法使い協会」シリーズの六作目、今回もルイスはとんでもなく恐ろしい事件に巻き込まれ、ローズ・リタとともになんとか解決する。
 このシリーズのいいところは、何度恐ろしい目にあってもルイスが決して慣れることがなく、けして勇敢で「どんとこい!俺にまかせろ!」な少年にならないことであろう。なってしまったらつまらないじゃないか!
陰摩羅鬼の瑕
 京極夏彦作
 講談社
八月十五日
 一週間近くかかってようやく読めた京極堂シリーズの新刊、今回は途中で意外と話の予測がついて、しかもそのとおりだったのだがそれにもかかわらずやっぱりおもしろかった。すっぱりきっぱり割り切れた事件で、しかも関口くんがあまり壊れなかったのが珍しいかも。さらに犯人が自分の罪を認め、まっとうに償おうとするのがもっと珍しいかも。
日本人には思いつかないイギリス人のユーモア
 北村元著
 PHP研究所
八月十五日
 育児の片手間、右手でガラガラを振りながら左手で読んでいた本。イギリスと言ってもその実体はいくつかの国のあつまりであるのだが、そのそれぞれの文化とかお国柄によって冗談も変わってくるものだなあ、感心しながら読んでいた。
 もちろん、しょうもないネタも満載であったが、冗談はしょうもないからこそ面白いのだ。
すっごくイタリア
 ひらいたかこ・磯田和一著
 東京創元社
八月十六日
 あまりにもどこにも行けないので、せめて旅行の本でも読んでどこかに行った気分になろうと思ったがやはりなれなかった。
 特にイタリアという国に興味があるわけではないが、このシリーズこの著者の本は読みやすくてイラストもきれいなのでお気に入りである。
デウスの棄て児
 嶽本野ばら作
 小学館
八月十七日
 今まで読んだこの作者の本の中では、はじめてロリータ服を着た女の子が出てこなかった。
 天草四郎ものであるが、歴史上の有名な人物だけに、物語としての結末が容易に予想されそしてそのとおりだったので私としてはいまいちであった。やはりロリ服の少女が原付持ち上げて暴れる話(下妻物語)の方が好みだ、好き好きだが。
盗まれた記憶の博物館・上
 ラルフ・イーザワ作
 咲寄進一訳
 あすなろ書房
八月二十三日
 これも片手で団扇だのガラガラだのを振りながら読んでいたのだが、こういう「物語」はそういう読み方をするものではないな、と少し反省した。
 反省したところで今は読書の時間なんてとれないから仕方がないのだが、集中して読まないとおもしろさが半減しそうな気がする。
 まだ上巻なので物語の半ば、これからが勝負だ!特にこの作者はな…。
どろぼうの神さま
 コルネーリア・フンケ作
 細井直子訳
 WAVE出版
八月二十九日
 現代のヴェネチアが舞台なのだが、時代をもっと古くしても充分に成り立ちそうな物語、やはりヴェネチアだからかな?
 子供は大人になったら何でも出来ると思い、大人は子供の時代を懐かしむ、でもそれがほんとうにそうなったら?元に戻らないところが物語としては珍しいと思う。普通、元に戻ってめでたしめでたしだけど。
マジョモリ
 梨木香歩作
 理論社
八月三十日
 イラストは早川司寿乃さん。絵と文章のイメージがぴったりあった美しい絵本。
 神様への畏れとかうやまいとかも大事だけれど、こんなふうに一緒に遊べたらそれはそれでとても素敵。
 そういえばこの話も、女性しか出てこない。
魔法がいっぱい
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作
 田中薫子・野口絵美訳
 徳間書店
八月三十一日
 クレストマンシーシリーズ外伝にして短編集、今まで出てきた登場人物総ざらいという感じだが、一番「その後」が気にかかっているグウェンドリンは出てこないのが少々物足りない、彼女の場合ひどい目にあってるとちょうどいいんだけど。
 あいかわらずクレストマンシーは派手な服を着て、おいしいところで大活躍をしている。もういいおっさんなんだけど。
くらのかみ
 小野不由美作
 講談社
九月一日
 講談社が出す子供向けミステリーシリーズの第一回配本三冊のうちの一冊、それがよりにもよって小野さんである。他の作家陣もなかなかすばらしい。
 いつも思うことだが、なんで私は物語の余韻を楽しまずに筋だけおっちゃうかな!この本を楽しむにはゆっくり読むことが肝要であろう。
コドモノクニ
 長野まゆみ作
 河出書房新社
九月五日
 めずらしく女の子の一人称ではじまる日々のなにげない記録、ただし昭和四十年台くらいの、と思ったら最初から最後までそのままだった。ただし少女はだんだん成長して美大に入る為の予備校で終わっている。特に大きな出来事があるわけではないが、このころ同じように子供時代を過ごしているのである程度は懐かしいところもある。私の少女時代とは全く違うけれど。
二人の眠り姫
 茅田砂胡作
 中央公論新社
九月十四日
 しばらくの間あまり本を読む時間と気力がなかったが、久々に一気読みをした。
 「暁の天使たち」シリーズの四巻目、図書館に入らないか、まだかまだかと狙っていたのだ。
 やっと女王様のお目覚めであるが、これでやっと役者が揃ったのであろうか、これから何が始まるかが楽しみだ。
 ところで、はるか昔の作者の同人誌作品にC翼版ディルフィニアがあるのは御存知だろうか?そこでは王様役の某さんのお母様がどう見てもスカーレットウィザードに出てくるジャスミンである。両方の作品の接点がこんなところにあるわけやね…。ちなみにこっちにはリィはいない。
終の神話・天泣の章
 霜島ケイ作
 小学館キャンパス文庫
九月十六日
 封殺鬼シリーズ二十六巻、上野の本屋に入っていて意外と簡単に買えた。
 側近衆と佐穂子と聖の姑、旦那、嫁関係がほのぼの殺伐としていてほほえましい…。
 弓生がこれからどうなるか、弓ちゃんに何かあったとしたら聖はいったいどうするのか、次巻で本当に終わるのか楽しみだ。
愛か美貌か
 中村うさぎ著
 文藝春秋
九月十七日
 「ショッピングの女王」シリーズ第四弾、今回は買い物ではなくホストクラブしプチ整形が中心であるのだが、「もしかしてこの本もう読んでいたっけ?」と果てしなくデジャヴを覚えた。他のエッセイと内容が似ているんだよね、ネタが同じなんだから仕方がないかもしれないけれど。
 それでも、この人の人生観には共感を覚える、人を笑うよりは笑われる方がいっそ潔よくて好ましい。
花火師リーラと火の魔王
 フィリップ・プルマン作
 なかがわちひろ訳
 ポプラ社
九月十九日
 たくさんの登場人物がそれぞれ好き勝手に突拍子もない行動をとって、そしてそれがそれぞれめでたしめでたしで終わるにぎやかなお話。
 児童文学なのですぐ読めるのだが、出てくる皆さんの背負っている人生を想像すると楽しいかも。
 ちなみに私が好きなのは、湖の女神と他の花火師のおっさんたちである、みんな端役だけど。
鬼族狩り
 霜島ケイ作
 小学館
九月二十日
 「封殺鬼選集」の新書版の方である。
 小学館キャンパス文庫は一巻から持っているのだが、挿絵がどうなったか気になって図書館から借りたら、結局全部読んでしまった。
 聖はイメージ通りだが、弓生がちょっとおっさんくさいかも。成樹と彩乃ちゃんは文庫の方がイメージに近いな。
ジョニー・ディクソン どくろの呪い
 ジョン・ベレアーズ作
 林啓恵訳
 集英社
九月二十三日
 「ルイスと魔法使い協会」シリーズの作者ベレアーズの別のシリーズものにしてまたもや児童文学のホラー、ベレアーズ節は同じだが「ルイス…」とは大いに違うところが一つある。それは「おっさん天国」、呪いを受けるのもおっさん(教授)ならばそれを解くのもおっさん(神父)、最後に少しだけ顔を見せた友人の教授もおっさん、一応主人公は少年なのだが彼が霞んでしまうほどのおっさん天国である。しかも彼らおっさんがとてもブラボーな方々ばかりなのだ。私はさほどおっさんびいきではないのだが、おっさん好きな人にはお勧めである。
 ところでこの本も、うっかりシリーズ二冊目から読んでしまった、でもあまり気にしてない。
サークル・オブ・マジック 邪悪の彫像・王様の劇場
 Dドイル・JDマクドナルド作
 武者圭子訳
 小学館
九月二十四日
 「サークル・オブ・マジック」シリーズの第二巻、次の巻で終わりである。
 魔法の修行の為諸国を行脚している主人公と相棒(?)の少女が行く先々でさまざまな事件に巻き込まれるのだが、一巻で主人公に殺された悪い魔法使いの幽霊がすっかり改心して主人公を助けるのには驚いた、こんなのありかい!
 しかし、彼の幽霊が暗い森の中に出てきて主人公と話すところがこの本の中では一番のお気に入りである、絵にすればそれなりにきれいな光景だろうな。
崖の国物語外伝・雲のオオカミ
 ポール・スチュワート作
 唐沢則幸訳
 ポプラ社
十月九日
 前に三巻まで読んですっかり終わった気になっていたが、世代を一代戻してまだ続いていた、つまり主人公の親父の若い頃の物語である。
 クリス・リデル氏の挿絵はたしかに精密できれいだけど、登場人物全員が化け物系で美しくないのはオタクとしてはやはり一寸悲しいかも。
 若かりし頃の親父は主人公の少年と違って、あらかじめ勇気にあふれ使える奴であるのだが。
 未だ未読の三巻はどうやら奥さんとの出会いの物語らしい、ラブコメを希望する。
妖面伝説
 霜島ケイ作
 小学館
十月十日
 封殺鬼選集三巻、二巻をとばしてしまった。
 佐穂子デビュー、このころは高校生で初々しかった…今でも充分かわいいけれど。
 はじめからこんなに聖といい雰囲気だったっけ?鬼と陰陽師のカップルだけど、私はこの二人の組み合わせはとても好きだ。
エジプトのききめ
 ムラマツエリコ・なかがわみどり著
 JTB
十月十二日
 旅行記には著者と一緒に行動しているような気分になるものと旅行の思い出を話してもらっているような気分になるものとがあると思うのだが、この本は後者の方。気というか間の抜けたイラストとお手軽お気軽な文章と写真で構成されているのだが、著者二人のエジプト人に対する怒りとエジプトに対する憧れのようなものがひしひしと伝わってくる。
 痴漢とうそつきといいかげんなのはやだな、日本人としては。でもその風景と歴史はすばらしいんだろうな。
ジョニー・ディクソン ミイラと遺書と地下聖堂
 ジョン・ベレアーズ作
 林啓恵訳
 集英社
十月十三日
 「ジョニー・ディクソン」シリーズの第一冊目、この前うっかり二冊目から読んでしまったシリーズである。
 今回はおっさん天国ではなかったが、心から信頼できる大人がいて子供の話をよく聞き、いざという時には手助けしてくれるというのが「ルイスと魔法使い協会」とも共通するこの作者の特徴のような気がする。この話は主人公一人の大暴走だったけど。
 主人公は「おとなしくて勇気がなくて…」うんぬんと書かれてはいるのだが、こういうのは勇気がないとは言わない。普段おとなしいだけに時にぶちきれるのが将来性抜群である。
上高地の切り裂きジャック
 島田荘司作
 原書房
十月十五日
 御手洗さんシリーズにしては短めのお話が二本入っていて、最初の事件は御手洗さんのアドバイスを受けて石岡くんと里美ちゃんと刑事さんが解き十年前の事件は御手洗さんが訳のわからない解き方をした。
 十年前と比べれば石岡くんの男が10倍ほどに上がっているような気がする。御手洗さんがいない功罪であろうか、石岡くんがしっかりしなきゃね。
Missing8生贄の物語
 甲田学人作
 メディアワークス
十月十七日
 このシリーズも八冊目、最初の一冊を読んだ時には正直「なんだこりゃ」と思ったものだったが、三巻の「奈良梨取り」の話あたりからずいぶんおもしろく、かつ読みやすくなってきたような気がする。都市伝説や学校の七不思議に興味があれば読んでもおもしろいかもしれない。
 ただ、こうなってくると広げた風呂敷をいかにたたむかが問題だろうな…せっかくおもしろくなってきたので、最後でこけないでほしい。
ダレン・シャン9 夜明けの覇者
 ダレン・シャン作
 橋本恵訳
 小学館
十一月
 十一月は実家にしばらく滞在していたのと、冬あわせの締切りのせいでこれ一冊しか読むことが出来なかった、こういう月も珍しいかも。
 それでも意地で読んだのがこの本、長く続いていてこれからも続きそうなこのシリーズなのだが、まさかこの時点でこの人が死んでしまうとは思わなかった。この人あってのこの物語だと思っていたのに、この人がいたからこそこの物語を読み続けていたのに、こんなのって酷すぎるわ!しかし、読むのはやめないだろうな…。
 バンパニーズ大王の正体が予想どうりあの人だつたので、もしかしたらハーキャットの正体ってあの人ではないだろうか、と考えているのだがいかがなものでしょう?
できるかな3
 西原理恵子著
 扶桑社
十二月
 とうとう十二月は忙しすぎて図書館に行けなかった…。
 ポチがだんだん大きくなって、ますます本を読む時間がとれなくなってきたのだが、十二月中に唯一読んだ本がこれだと思うとちょっと笑える。
 一番おもしろく、かつホロリときたのが「ホステスできるかな」であった。最後の日に編集や作家の皆様が来て、お店中すごいことになったんだろうな。

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