日本の先住民族であり、人類学の謎であり、都会あるいは農村の一生活者でもあり、
伝説の彼方の古代人でもなく、あなたの隣に住んでいる、アイヌを取り巻く奇妙で残酷な状況は、
極めて難解です。
我々は「アイヌ民族」とはいえ、言語や文化の多くはは失われ奪われており、
また、理不尽な差別も、多くの場で未だに発生しています。語られないだけで。
一言に差別といってもさまざまで、多くの人間は差別をしながら、それに気がつきません。
複雑な立場を理解されない、あるいは、頭から「違いなどない」「存在しない」という否定、
ただのおっさんでしかないのに、「自然と共に生きる素晴らしい民」と憧れの対象にされるのも、
また別の形の差別であると思います。
しかし、ここにアイヌがおり、姿形は昔と変われど、いまも生きている事は、何者にも否定出来ません。
民族や帰属意識は、言語、文化、宗教、地域、血統などによって断定できるものではありません。
そして、その隠された存在、しかもあなたの足元にいるものである「アイヌ」に触れたとき、
あなたは何を思うのでしょうか?
知らなかった隠されたものに触れて戸惑う人、あるいは、
日本とは違う言語や文化のほうに興味のある人もいることでしょう。
しかし忘れてはならないのは、アイヌを取り巻く問題とは、つまりアイヌを取り巻く和人の問題であり、
「アイヌの世界」だけで繰り広げられるものでもないということです。
ある意味、アイヌをアイヌの世界に閉じ込め、事態を難解にしているのは、
無自覚な「和人」そのものともいえます。
ここでは、アイヌについて、あるいは自身について社会について、
それぞれの立場で発信・問題定義をしている方々のページを紹介します。
必ずしも、アイヌの言語や文化などの情報を発信しているページばかりとは限りませんが、
そうでない場合でも、管理人が、アイヌや、アイヌを取り巻く和人の問題についての理解があり、
そういった話を可能な場所です。
(問題提起・現実社会での運動・アホ議員)
(複数の掲示板・問題提起)
福島より発信、ストネコこと、ストームキャットさんのページ。
ただの議論サイトではなく、将来的には政治的な力を持った、
現実社会での実行力ある存在を目指す。
農村改革についてや、広い視野での話し合いが可能。
最近は東北の独自性や道州制を考えるページとなっている。
管理人:ストームキャット
(法律関連資料集・掲示板)
アイヌ民族に関する資料や、
文献・Webサイト情報、管理人の考察や意見などを掲載するページ。
アイヌ文化振興法、旧土人保護法、
ウタリ協会草などの案法律関連の資料が充実。
管理人:手塚利彰
(問題提起・考えるヒント・各種資料)
ジェンダーやセクシャリティ、教育、人権、民族等に関わる問題について
の資料や、様様な現象を元にした、「考える種」が豊富なサイト。
新聞記事案内、図書案内、法律・条約・宣言集案内、
考えるヒントと参考資料案内などが、非常に広範囲に充実。
管理人:成田文広
2000 9.30 開催
(問題提起・現実世界の運動・資料)
アイヌ文化振興財団が企画した「アイヌ特別展」が名古屋で開催された時の、
問題提起運動のページ。
特別展に展示物として使用されている「児玉コレクション」の成立過程にあった
問題性についてと、その問題点を考慮せずに展覧会にしようしている
財団の姿勢の問題点に付いて発信。
「考える集い」「アイヌ特別展」自体は既に終了しているが、
児玉教授の活動に関する新聞記事、この問題提起に対する財団からの返答や、
アイヌ自身からのメッセージなどの資料を多数掲載。
発信者:oripakEsaman
2001 11.19-30 開催、毎年この時期に開かれる模様。
(問題提起・現実世界の運動・交流会)
ピリカ全国実さんでは、毎年11月頃に、関東・関西ともに、アイヌ民族を招待
して交流ウィークを開催しています。
財団(アイヌ文化振興・研究推進機構)などの資金に頼らずに成立している
場所では、呼ばれるアイヌも言いにくい事も言えるようになって、
他の文化イベントではなかなか話し辛い事も、色々と本音が聞けるようになります。
また、深刻な話ばかりではなく、歌や踊りもあり、二次会もあるので、
なかなかバランスよいイベントになっていますね。
発信者:全国ピリカ実行委員会
2002 2.3 開催、毎年この時期に開かれる模様。
(問題提起・現実世界の運動)
「北方領土の(2月7日)日」と「北方領土に関する日露交渉」に反対し、
問題提起をする運動。
「北方領土」と呼ばれる土地は、もともとは日本もロシアも関係無く、
アイヌが住んでいた土地なので、アイヌの声が反映されないのはおかしい。
95年2月以来、毎年「北方領土の日」に反対し問題提起すべく、
この時期に全国集会を開催されています(ピリカ全国実の結成は96年)。
アイヌ民族・琉球民族のほか、幅広く多くの活動家が参加する、
アイヌ関係の活動では最もラディカルな発言が行われる集会です。
また、2001 2.4-10 に、札幌・旭川と行われた第7回全国集会には、
山本一昭、川村シンリツ・エオリパック・アイヌ、アシリ・レラ、石井ポンペ、加納沖、など、
アイヌから様様な面々が参加、沖縄からは、まよなか しんやさん、
遠く韓国からは歴史学者の朴孟沫さんも参加。
oripakEsamanも名古屋での「アイヌ特別展を考える集い」の報告を行った。
発信者:全国ピリカ実行委員会
2001 10.12-15 開催、毎年この時期に開かれる模様。
(問題提起・現実世界の運動・ふれあいの旅)
阿寒湖畔で開かれる、まりも祭りそのものだけでなく、
ウィルタの手による博物館ジャッカドフニ、豊富な資料を持つ北方民族資料館、
先史時代の遺跡モヨロ貝塚、屈斜路湖畔の舞踊団、モシリの舞台などを周遊。
今回は、途中摩周湖、硫黄山などの観光地も周り、盛りだくさんの内容でした。
道中は、川村兼一さん、北川しま子さん、阿部茂さん、などの、豪華なアイヌ
民族の活動家の面々と共に周り、観光と学習・体験の両方を味わえる旅です。
ただし、ちょいと参加費が高いのが難点。それだけの価値はあると思いますが。
発信者:全国ピリカ実行委員会