本市では、第五次総合計画において「憧れ 誇り 日本一のまち 松山」をめざすべき将来像として位置づけ、「みんなでつくろう みんなの松山」をその推進姿勢としていますが、これは、市民が知恵と工夫を出し合いながら、自分達のまちの問題解決や魅力の創出などに主体的にかかわり、行政との協働によって、まちづくりを進めていこうという思いを込めたものでございます。

 本市では、こうした視点から重要施策である、「市民との協働によるまちづくり」を推進するため、これまで「ボランティアやNPO活動の支援」、「地域コミュニティ活動の促進」とともに「市民参画の推進」に鋭意取り組んでまいったところです。

そのような中、国におきましては首相の諮問機関でもあります、第29次地方制度調査会で基礎自治体のあり方について見当が進められ、住民自治の基礎であるコミュニティ活動の推進が重要議題の一つとなっております。

また、多くの自治体は行政だけでは対応できない地域課題を多様な主体で支える「地域力」によって解決しようという試みが始まるなど住民自治の仕組みを再構築する動きは全国的な流れになってきております。

そこでまず、本市がこれまでに実施してきた「市民との協働によるまちづくりの推進」に関する具体的な取り組みとその成果についてでございますが、「ボランティアやNPO活動の支援」に関しましては、平成17年10月に「松山市市民活動推進条例」を施行し、新たに基金を設置して市民活動団体への補助金助成制度を創設したほか、19年2月には、条例の理念を具現化するため、市民活動推進指針を策定し、市民や行政などそれぞれの主体が目指すべき方向性を示させていただいたところであります。

また、「地域コミュニティ活動の促進」に関しましては平成17年度に堀江地区をモデル地区に指定し、住人自治の強化策や官民協働のあり方について実地検証した上で18年度に「地域におけるまちづくり基本構想」及び「同基本計画」を策定しました。

さらに19年度からはコミュニティ推進地区の普及拡大に向け補助金交付制度の創設やボランティア・スタッフが地域に出向いて行う活動支援など様々な取り組みを行ってまいりました。

また「市民参画の推進」につきましては行政情報の積極的な公開に努めるとともにわくわくメール、みんなのまつやま夢工房などの多様な公聴方法によりまして市民の意見を広く市政に反映できるよう努めてまいったところであります。

次に本条例によってどのようなまちづくりを目指していくのかということにつきましては、条例案の前文にもございますように行政としては市民主体のまちづくりができる環境作りに努め、可能な限り、権限と財源と責任を委譲することにより地域コミュニティが一定の裁量を持ち、自己決定、自己責任のもとでまちづくりに取り組む、地域分権型社会の実現を目指そうとするものでございます。

また今の段階で条例を制定する意義についてで ございますが、先ほど申し上げたようにモデル地区での試行を経て19年度からは、コミュニティ推進地区の普及拡大を図りながら実際に地域活動に関わっている住民の意見を取り入れ地域におけるまちづくり制度を構築してきたところでありますが、これらを継続的かつ安定的に推進していくため、今議会に「松山市地域におけるまちづくり条例」案を提案させていただいたところでございます。

次にその課題でありますが地域におけるまちづくりでは、より多くの住民が主体的に関わることが肝要であることから説明会の中で先行のコミュニティ推進地区の事例などを紹介するほか5年目を迎える愛媛大学との協働事業などによって人材育成や市民の啓発に努めてまいりたいと考えております。

しかしながら、住民の自治意識の醸成には時間を要しますことや特に権限と財源と責任の移譲についてはまちづくり協議会の成長と成熟度合いに応じて移譲の内容や時期を見極めていくことが必要であると考えています。

最後に何らかの理由で協議会を立ち上げられない地区への支援策についてでございますが、そういった地区に対しましてもこれまでどおりコミュニティ活動全般に関する相談に応じるほか、先進事例等の情報の提供、さらには財団法人自治総合センターのコミュニティ助成事業を活用した活動支援等を行ってまいります。

またこうした支援と並行してまちづくり協議会の立ち上げに向けた意識啓発や人的支援等を引き続き実施してまいりたいと考えています。

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