本市では国の方針で山鳥坂ダム建設計画から中予分水事業が除外されたことによりそれまでの水資源対策を根本的に洗い直し、施策を短期・中期さらに長期に分け節水の徹底や緊急水源の確保など出来る限りの自助努力を重ねる中で長期的施策としてなお足らざる一日最大4万8千立方メートルの確保に関し、想定しうる14項目19方策について検討いたしました。
その結果この不足水量を恒常的に安定して確保できる方策は「県西条地区工業用水の一部転用」と「海水淡水化」の2つに限られたものであります。そこでご質問の併用策でありますが、確保策の検討過程においてはあらゆる可能性を追求する中で19方策のうち安定して一定の水量が見込めコストの面においても現実的な西条工水の一部転用と海水淡水化を併用することも検討いたしましたが、単独策で実施する場合に比べコスト高になることから見送った経緯がございます。その理由としてまず西条工水の一部転用につきましては、仮に分水量を半減する場合、水利権の取得に要する費用は概ね水量に応じて削減できるものの、事業費のうちで大きなウエイトを占める導水トンネルや管路は保守点検の作業等のため、一定規模以上の大きさで建設せざるを得ないことから事業費の半減といったことに繋がるものではありません。
同様に海水淡水化につきましても逆浸透膜をはじめとしたプラント設備はその造水量に応じた規模に縮小できるもののプラントからの送水管路や濃縮海水の排水処理施設等はやはり一定規模以上の大きさで建設せざるを得ないことから結果として両者の併用作はスケールメリットは活かせずコスト高となるためであります。
こうした状況は、技術革新が著しい海水淡水化の最新技術をもってしても現時点においては変わるのものではないと判断しております。
新規水源開発にかかるコストは市民の皆さんに負担していただく水道料金に直結いたしますので最小の投資で最大の効果を得なければならない行政の責務として併用策は採りえないものであります。したがいまして全量を西条工水の一部転用で賄うことが最善策でありますので、引き続きこの実現に今後とも誠意をもって取り組んで参ります。