標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第114回]
●なにしろ大変な作業ですので…
前回見ていただいた通り、このすさまじい回路の図面チェックをこなしていかなければいけません。
私は単細胞の見本のような人間ですので、同時にひとつのことしかできません。
マルチタスクは全くだめ。
よくバックに音楽を流しながら仕事をなさる方がみえますが、あれができません。
ハンダづけなどなら、まあ手作業なのでよいのですが、今回のように回路設計となると、もうだめです。
クラシックだって、軽音楽だって、だめ。
意識を集中して、没頭しないと、作業がはかどりません。
回路設計だってだめですから、プログラミングならば、もちろんとんでもない。
意識を集中して、全身に力をこめて、ときには「うーっ」などと、うなりながらひたすらエンピツでなぐりがきをします。
よくそれで、疲れないね?
とんでもない。そりゃあ、しっかり疲れます。
週に一度、週末に、昨今はやりのスーパー銭湯で疲れをいやし、そのあとは何もかもしばし忘れて、古女房殿と発泡酒ですごす、わずかな時間がリフレッシュタイムです。
あ。そんなわけですので、図面チェック。戦闘モードに突入してしまいますと…。
なにしろ、不器用な単細胞ですので、その図面チェックにとりかかりますと、ひたすら、作業に没頭いたしたい。
ちょいと頭を切り換えて、ホームページをちょこちょこと、こなしながら…、など器用なことができません。
要するに、単なる言い訳なのですが、しばらくホームページの不定期更新が続きます。
図面チェックさえ済めば、基板を発注してしまいますから、そうしたら、多分、少しは時間もとれるようになると思います。
できれば、なんとか、年内に、せめて試作基板は完成させたいと思います。
ですので、いましばらく、ご辛抱いただいて、おつきあいをお願いいたします。
●どうしてここまでやるのでしょう?
最近は、なんだか、おばか、がはやりのようですけれど、
「なんで、ここまでやるの?あんたはばかか?」
などという声が聞こえてきそうです。
じつは、ときどき、自分でも、本当はそうかもしれない、などと少し心配になったりします。
まあ、自分のことなら、おばかだって、何だって、一向に構わないのですけれど、そうすると、そのおばかなホームページに何ヶ月もおつきあいいただいている読者の皆様に対しては、それこそ申し訳がありません。
そこで、なんとか、おばかでも酔狂でもない、もっともらしい理由を考えてみることにしました。
いまどき、8080やZ80をロジックICで作ってなんになる?
FPGAを使えば簡単なのに、なぜ?
どうして、こんなアホなことをしているの?
うーん。それは…。
たぶん、私が人間だからでは、ありませんか、ねえ。
人間なんて、不合理なものです(と、思いますけれど。違いますか?)。
せっかくの、一枚の絵や写真をバラバラの小片にして、それを徹夜でまたもとの絵に組み立てたり。
そうそう、プラモデルだってそうですよね。
最初から完成品で入手したほうがずっときれいで簡単なのに、わざとバラバラの部品になったものを購入して、苦労してバリを取ったり、サンドペーパーで磨いたり…。
ロボットが見たら、「あんたたち、なにしてるの?ニンゲンワカリマセーン」て言うでしょうね。
たとえば、きれいな花が咲いていたとして、いまどきならデジカメでぱちり。
簡単、きれい、くっきり。文句無しです。
でも、それで満足できないのが、人間の不思議なところです。
小さな花に、何時間もかけて、一生懸命、スケッチしたり、色を塗ったり。
そんなことをして、なんになるのでしょう?
そういえば、突然、思い出しました。
昔、むかし、ずっと昔に読んだ、手塚治虫さんの「鉄腕アトム」、
アトムはすごい能力をもっているけれど、絵は、わからない。
ヒゲオヤジ先生がアトムに写生をさせたら、なんだか分子だか原子だかの配列みたいなものを、画用紙にいっぱい描いてしまいました。
配線図や回路図が芸術だというつもりはありませんけれど。
でも情報や機能を具現したものというよりも、むしろ、私には、絵画に近いもののように見えてしまいます。
こうやって一本一本こつこつと配線していくのは、大変な作業です。
自動配線をやってくれるCADもいろいろあるというのに、いまどき手作業なんて…。
ですけれど、だから、楽しいのでは、ありませんか?
苦労してこそ、仕上げたときの喜びもまた格別です。
コンピュータが全部やってくれたら、うれしくも楽しくもありません。
自分で仕上げてこそ、
「この、ろくでもない人間どもの、達成感は、泣ける」
結局のところ、なぜ?の問いには、あのだれでも知っている、有名なことば、
「そこに、山があるからだ」
に、落ち着くような気がします。
まあ、このホームページに関しましては、余り杓子定規に、何の役に立つだろうか、などと考えないで、
「なかなか、面白いじゃないの?」
と、リラックスして楽しんでいただけたら、と思いますよ。
あ。もうひとつ、全く関係ないお話を思い出してしまいました。
その昔、英語の百科事典を売っていたベテランセールスマン氏から聞いたお話です。
ドアをノックしたら、ひげ面のおじさんが顔を出して、なんだか昼間からお酒を飲んでたみたい。
「なんだ?」
あなたには、とても向くものではありません、とは言えませんから、
「こういうものを紹介しています」とだけ言って、逃げようとしました。
すると、そのおじさんは、
「見てやるから上がれ」
困ってしまいますよね。
お酒を飲みながら、セールストークを聞いているのかいないのか…。
「あのう。英語、わかります?」
「知らん。わからん」
セールスマン氏も困ってしまい、やけくそで、分厚い百科事典の見本を畳の上にとんと置いて、
「これね。分厚いでしょう?これをね、3冊ぐらい積むとね。ちょうど、枕の代わりになるんですよ」
そしたら、そのおじさん、怒るかと思いきや、
「うん。わかった。よっしゃ、こうたる(買ったる)」
人間なんて、不合理なものなんです。
2008.11.19upload
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