標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第289回]

●道具について

前回はキットの組立に必要な道具や、あった方が便利な道具について一通りの説明をしました。
今までに何回かハンダ付けをしたことがある方でしたら必要な道具はお持ちでしょうから、一通りの説明があれば十分かと思います。
しかし、余りハンダ付けの経験が無い方や、ひょっとしてこの機会に初めてハンダ付けをしてみよう、とお考えの方は、必要な道具を新規に購入しなければなりません。

そういう方々にとっては、もう少し詳しく道具を選ぶ際のポイントとか、あるいは具体的な商品名、もしくは実物の写真などがあると、参考になるのではないか、と思います。

そこで、今回は、組立説明書の本文の紹介から一旦離れて、いつものように、「つくるCPU」の連載記事として、紹介してみたいと思います。

そのような記事そのものや、あるいは写真なども組立説明書にそのまま掲載してしまうことも考えないわけではありませんが、せめて組立説明書ぐらいはCDROMにPDFファイルとして収録するだけではなくて、紙に印刷したものをキットの付属品としてつけたいと思います。
しかし印刷物(といっても正規に印刷するなどということは、とてもコスト的には無理ですから、プリンタで出力しただけのものになるわけですが)はなかなかに用意するのに手間がかかります。
それに写真などは普通紙に印刷するよりも、画面で見た方がはるかに鮮明でわかりやすいものですから、あえて紙に印刷するメリットは余り無いとも言えます。
そういう観点からすると、今回の記事は、このままネット上で見ていただくか、せめてCDROMに収録して、オフラインで見ていただくことになるかと思います。

●ハンダゴテ

ハンダゴテはなんといってもハンダ付けには無くてはならない肝心かなめの道具ですから、その使い易さこそがいのちです。
そうとは言っても、私個人としては、それほど特殊なハンダ付けをしてきたわけではありませんから、必要な都度、店頭で適当に選んで、その結果まあまあ使えればそのまま使うといった程度の使い方で、気がついたらもう過去30年以上、ハンダ付けをしてきたことになります。

ですから、あれこれこだわって試してきたわけではありませんから、これが一番ですよ!と言えるほどの思い入れのある製品はありません。
道具がいくら良くてもそれを使いこなすだけの技術が伴わなければ、それこそ宝の持ち腐れ、になってしまいますから、過度に道具にこだわる必要はないと思っています。
藪医者の薬味箪笥という言葉もあることですし、ね。

30年もハンダ付けを、しかも仕事でやってきたのだから、さぞや高価なハンダゴテを使っているのだろう、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ごく普通の、大体2千円程度のものを使用しています。
何年か前、たまたま店頭で購入したものが、なかなかに使い易いものだったので、それをずっと使っています。
それが2千円程度のものだったというだけで、たとえば千円程度のハンダゴテでも良いのではないかなぁ、とも思います。

そういうわけで、現在使っているハンダゴテは、5年かあるいはそれ以上前にたまたま店頭で購入したもので、気に入って、それ以後はずっと愛用してきたのですが、さすがに古くなって、どうも熱の出方が鈍くなってきたように思いましたので、今回、この記事を書くにあたり、同じ製品を新規に購入することにしました。

前にもどこかで書いたことですが、人に説明をしようとすると、色々調べてから書かなければならなくなり、そうすると今まで気がつかないで過ぎてきたことに、初めて気付く機会になることも出てきます。

せっかく記事にするのですから、この機会に製品のパッケージなども写真に撮ってご披露申し上げようと思い、何気なくそのパッケージに書いてある製品紹介とか特徴とかをあらためて読んでみましたら、気に入ってずっと愛用してきた、このハンダゴテは、なんと、IC、LSIには、不適/Not suitableと書いてあるじゃありませんか。

うむむ。気がつかなかった…。
私としては、この製品がすごく気に入っていて、ずっと愛用してきましたし、もちろん主たる用途はIC、LSIのハンダ付けなのですけれど、別に不都合や不具合を感じたことは、全くありません。

まあ、あれです、弘法は筆を選ばず、なのですよ。
しかし、いくら自分としては気に入っていたとしても、メーカーが「ICには不適」だとしているものを皆様方におすすめするわけにはいきません。
というわけで、肝心のハンダゴテについては、具体的な商品名は、無しということになってしまいました。

じゃあ、何を基準にして選べばいいのさ、という当然の疑問でありますが、以下申し上げることをご参考に願えれば、と思います。

経験から言える第一のポイントは、コテ先の形状だと思います。

図の左のものよりも、右のような形状の方が使い易いと思います。
左のものは割と安価なものに多いのですが、コテ先が広いだけ熱が拡散してしまって、効率が悪くなります。
今回の組立キットでハンダ付けをするパーツのほとんどのハンダ付け面積は非常に小さなものばかりですから、コテ先が細い方が熱効率からも有利ですし、こみいった部分での作業でも隣のパターンや端子などにショートしてしまう可能性が少なくなります。

じつは左の形状のものには、そういうこと以外にもちょっと気になる欠点があります。
そのことについてはコテ台のところで説明をすることにします。

とりあえず今回のキットのためだけに使えればよい、ということでしたら、できるだけコテ先が細いもので20W程度のものという条件で、多分千円程度のものが入手できるかと思います。
もし将来も使いたいというのでしたら、コテ先が耐蝕(サビ、腐食に強い)になっているものを選ぶとよいでしょう。

地方在住の方ですと入手するのに、ネット通販を利用することになるかと思います。
そうすると、送料とか送金手数料または代引手数料もかかりますから、どのみち千円程度は加算されてしまいます。
商品価格は千円程度だとしても、実際にそれを入手するには2千円程度はかかってしまいますから、ちょっと乱暴な考え方かもしれませんが、いっそのこと、もう千円程度をさらに加算して、セラミックヒータータイプのものを購入すれば申し分はありません。

メーカーは「白光」が良いと思います。

●糸ハンダ


ヤニ入りの糸ハンダです。
太さが0.8oのものが使い易いです。
これは1Kg巻きのものです。
今回の基板は超巨大ですけれど、いくらなんでも1Kgは使いません。
いったいどの位あれば足りるのか、実際にハンダ付けをして確認してみたいと思っています。

●コテ台と海綿


海綿(スポンジ)を受ける皿が小さくて丸い形のものや、コテ台とスポンジ皿が別々になったものもありますが、この写真のようなタイプが使い易いです。
海綿というのは、海に生きているあの海綿です。台所で使うナイロン製品ではありません(ナイロンのスポンジは熱で溶けてしまうので使えません)。

さきほどハンダゴテのところで、図の左の形状のコテ先には問題がある、と書きました。
左側のコテ先についている丸いものは、コテ先を交換するための止めネジの頭です。
この形状のハンダゴテの中には、コテ台の先端の開口部からコテ先が先に飛び出してしまい、おまけにネジの頭が開口部に引っかかってしまって、抜くときに毎回いらいらしてしまう、という困ったタイプのものがあります。
昔々に経験したことですから、今はそのようなことはないのかもしれませんが…。

●ニッパー



100円ショップでも売っていますが、そういうものはプラモデル程度の用途ならばともかく、抵抗やコンデンサのリード線をカットするのには不向きです。
この写真のように先が細くて小さく、その割にグリップがしっかりしているものが使い易いです。
これはちょっと高かったようですがはっきりした価格は覚えていません(多分1000円〜2000円程度?)。
ずっと何年も愛用していますが切れ味は変わりません。

●ピンセット


写真では分かりにくいかも知れませんが、先がシャープで固く、腰が強いものが使い易いです。
そういうものは割と高いのですが、安物では結局使い物にならないことが多いようです。

●小型ドライバ


マイナスドライバは写真のサイズ程度のものが使い易いです。
プラスドライバはそれよりも太いものがちょうどボルトネジの頭のプラスにぴったり合います。

●小型ペンチ


ペンチと書きましたが、どうやら普通のペンチではないようです。
こういうのは何と言う名前なのでしょう?
先が細くてとがっているのがなかなかに便利で、これもずっと長年愛用しています。

●IC挿入工具


これは古い道具です。
もう30年近く使っています。
実にシンプルなつくりなのですが、便利で手放せません。
多分今は入手できないのではないかと思います。
IC挿入冶具というような名前で、ICを挿入するための工具が売られていますが、この写真以外のものは使ったことがないので、なんともコメントできません。

もうあと少し紹介できなかったものもありますが、本日はタイムアウトになってしまいました。
続きはまた次回ということにしたいと思います。
2009.7.26upload

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