標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第30回]

●74HCU04

[第28回]でお見せした、水晶発振回路ですけれど、よくご存知の方でしたら、

ここは74HCU04を使うべきではないの?

とお考えかも知れませんね。
その通りです。

74HCU04は74HC04のアンバッファタイプです。
実は、私、以前から、余り深く考えないで、

うーん、アンバッファかぁ。発振だけではなくて、残ったゲートは他にも使いたいしなぁ…。
すると、アンバッファってのは、ちょっと、弱いのでは…。

などと、思い込みが激しいものですから、勝手に決め付けてしまって、それで、水晶発振回路にも通常の74HC04を使ってきてしまいました。

アンバッファタイプの方がバッファタイプよりも、より水晶発振には適しているらしいのですけれど、4MHz〜18MHzくらいまでの水晶ならば、74HC04を使っても問題なく発振します。
ただ、逆にバッファタイプの74HC04でなければ不都合な回路ではないのならば、水晶発振回路に74HC04をあえて使うというのは、なんだかなぁ、とも思いますから、ここは素直に、74HCU04を使うべきでしょうね。
はい。そういたします。

ところで、このアンバッファなる言葉なのですが、私は、先入観で、つい「ドライブ能力の弱いゲート」と思い込んでしまいました。
しかし、あらためてHCとTTLの違いなどについて書いたりしたので、

HCで、ドライブ能力が弱い(または強い)って、どういうこと?

はたと、疑問に感じて、それで、調べてみることにしました。

やっぱり思い込みはいけませんねぇ。何でも念のために、調べてみることが必要です。
74HCU04がアンバッファ(バッファが無い)構造である、というからには、そもそも通常の74HC04はどういう構造で、そしてそれはアンバッファタイプとはどう違うのか?を調べてみました。

わかりましたよ。
74HCU04のゲートは図のようになっています(1パッケージに6個あるインバータのうちの1個の内部構造です)。
[出典:PHILIPS Semiconductors社 74HCU04 Datasheet]

なんと、入力からすぐに1段のFETプッシュプル回路だけで出力になっています。
なるほど。デジタルというよりは、ごく普通のアナログ回路のようです。
リニアな部分が残りそうなので、逆に水晶発振回路には適しているというわけですね(うーん。アナログはいまいちよくわからんが、どうもそういうことらしい)。

それでは、普通の74HC04はどうなっているのでしょう。
[出典:PHILIPS Semiconductors社 74HC04 Datasheet]

こちらは内部構造というよりは、単なる論理図のよう。
どうも、アンバッファタイプのインバータの三段重ねということのようです。
バッファというのは、こういうことだったのですね。納得。
要するに、波形整形をきっちりやって、よりデジタル的になってますよ、ということのようです。

ちなみに気になる出力、ドライブ能力のことですが、74HCU04も74HC04もどちらも同じで、Hの流れ出し電流およびLの流れ込み電流ともに4mAです。
LSTTL10ゲートをドライブできますから、通常の用途なら、74HCU04でも74HC04でもどちらでも十分過ぎる能力でしょう。
ただ、なまった波形の入力があるなら、74HCU04は避けた方がよさそうです。

●74HCシリーズのデータシートの入手先

今回のデータシートの入手先です。
英文でよろしければ、ここのサイト(ALLDATASHEET.COM)がすごいです。
74HCだけに限りません。何でも有り、なんだそうです。
もう、自信がみなぎっています。

If You can't find within alldatasheet.com.
No where else in the world.

というんですから、自信のほどもハンパじゃありません。でも、確かにそう言い切るだけのことはある、と思います。

英文はちょっと、といわれる方には、74HCの日本語のデータシートでしたら(こちらについても、74HCに限りませんが)、東芝セミコンダクター社のサイトがよろしいようです。
ご紹介申し上げようとしたのですが、トップページ以外へのリンクは不許可!だそうで。
そんなぁ!いいじゃないの、74HCの検索ページにリンクしたって…。
なので、リンクはいたしません。
Googleなどで、「東芝 74hc」で検索すれば「製品データシート検索システム」がトップ近くにリストアップされるはずです。
2008.8.7upload

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