標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第365回]

●またお一人完成されました

HT様。完成おめでとうございます。
じつはHT様からは、3日ほど前に、「トラブル発生」というメールをいただいていました。
ずっと調子良く進んでいたのですが、最後のTK80回路を組み上げたところ、7segLEDがでたらめに表示される、という連絡でした。
ただキーを押すと、MYCPU80回路のBレジスタのLEDが反応する、ということでしたので、多分モニタプログラム自体はまともに動作していて、表示回路にハンダ付け不良があるのではないかと判断し、そのようにご返事をさしあげました。
そうしましたら、オシロで見たところ、回路図bR1のIC250のpin5とpin9に+5Vに混じって+2.5V程度のおかしな波形が見える、というメールをいただきました。

+2.5Vの波形は出力信号がショートしたときに見える波形です。
IC250のpin5とpin9のラインのどこかにショートがあります、とご返事を差し上げました。

そのあたりの余分なハンダを吸い取ったりした結果、pin5、pin9の波形はきれいになったようなのですが、どうもトラブルは解決しなかったようなのです。
で、とりあえず、基板を送ってください、こちらで調べてみます、とご返事さしあげて、基板が到着するのを待っていました。

そうしたら、またメールをいただいて、なんでも自力で解決してしまわれたんだそうです。
基板のあちこちを一生懸命調べていたら、なんとAND回路の一部、回路図bQ2、IC84のpin3とIC70のpin2との間に断線があるのを発見した、とのことでした。
うーん。これだけ大きな基板ですから、ひょっとすると断線やヘアショートがあるのではないか、と心配してはいたのですが。
HT様。ご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

てっきりLED表示回路だと思っていたのですが、原因はとんでもないところにありました。
断線がみつかったラインはAND命令回路です。
TK80モニタプログラムではANDは何箇所かで使われていますから、そのAND回路に断線があったということですと、TK80モニタプログラムがまともに動作しなかったとしても、無理はありません。

断線をつないで修復したところ、TK80モニタが正しく動作するようになった、とのことでした。
HT様。断線を発見していただいて有難うございました。

率直な感想として、すごい!と思います。
HT様が自力で発見されたことがです。

ことの成り行きから想像しまして、理屈で回路を追いかけていった、というのではないと思います。
ひょっとして、基板をお送りいただいたとして、もし私が調べていたとしても、果たして発見できたかどうか。
なんたって、LED表示がおかしい、というところから始まっていましたから、当然表示回路のどこかがおかしい、と思って必死になって調べることになっただろう、と思います。
まあ、多分に後出しじゃんけんみたいな言い方ですけれど、どこかの時点で、表示だけではなくて、TK80モニタ自体もまともに動作していないらしい(AND命令が正しく機能していないはずですから)、ということに気がついたなら、あとはどこがおかしいのか、ということをプログラムの流れを追いながら追求していくことで、結果的に断線にたどりつけたかもしれません。

でもそれは「TK80モニタの動作がおかしい」ことに、いつ気がつくかに懸かっています。ひょっとすると、かなり長時間、頭をかかえて苦しむことになったかも知れません。

HT様は、そこのところを、あの大きな基板の、それこそ無数と言っていいほどの配線を、多分虫眼鏡で追いながら、ついに独力で断線を発見されたのですから、これはもう十分賞賛に値すると思いますし、驚嘆すべきことでもあると、正直なところ、感嘆いたしております。

なんて全部他人事のように書いていますけれど、そもそもは基板に断線があること自体がけしからぬことなのですよね。
まことに申し訳ないことです。
でも、半分は不可抗力的なところもあるということでご理解いただきたいのです。
これほどの基板ともなれば、サイトチェック(人間が目で見て検査を行うこと)は、困難です。ふつうはチェッカーを用意することになると思いますが、そうするとそのコストは、かなりのものになってしまいます。
それじゃあ、とても皆様に安く供給することはできません。
ですから、基板屋さんには、「チェッカーはいりません。サイトチェックで万一断線、ショートがみつかっても、破棄しないで、補修してくれればいいから、できるだけ安くしてちょうだい」と頼んだのです。

今回は、そのサイトチェックをスルーしてしまって、HT様にご迷惑をおかけすることになってしまいました。
ひょっとすると他の皆様の基板でもおこりうることと心配をしております。
現在、5名の方が完成されました。
残りの4名の皆様からはご連絡などはいただいておりませんが、ひょっとして途中のどこかで異常動作にぶつかって困っていらっしゃるようなことがありましたら、断線やショートの可能性もありますから、お早めにお問い合わせいただきますよう、お願いいたします。

HT様。
ご苦労をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
お詫びするとともに、こころより感謝申し上げます。
本当に有難うございました。
そしてもう一度、本当におめでとうございます。

●残りのパーツを発送いたしました

やっと全部出来上がりましたので、残っておりましたUSB関係他のパーツ、説明書を発送いたしました。
これで、やっと一段落です。
いやあ。ほんとに長丁場でした。
発送が済んで、いま、ちょっと一息ついているところです。
昨年5月に設計を開始してから、なんと1年半もかかってしまいました。
この連載記事もまるっと1年以上続いています。
正直なところ、書く方もそりゃあ大変ですけれど、読んでいただく方も大変だと思います。ここまでおつきあいいただいて本当に有難うございました。
では、これで。

というわけにはいかないのですよね。
まだ、続きます、です。

●ちょいとサービスです

MYCPU80のTK80用回路には、電子オルガンのプログラムや[第363回]でお話しました、自動演奏プログラムなどで、音を出すための小型スピーカーを基板に取り付けています。
ところがこのスピーカーが基板をちょいと移動したりするたびにぶらぶらして結構じゃまになるのです。
それについては当初から、邪魔になるかもしれない、と予想はしていたのですけれど、やっぱり実際にじゃまになってみると、なんとかしたい、という気持ちになります。
確かに、こりゃあ、じゃまだ。

そこで、こんなことをしてみました。

スピーカーをケーブルで基板に直に取りつけていたのを、写真のように、スピーカーにはプラグをつけて、そして基板にはジャックをとりつけました。こうすることでスピーカーが邪魔なときにはプラグを抜いて、スピーカーをはずせるようにしました。

今回お送りした残りのパーツの中に、このプラグとジャックもサービスでつけてあります。
このようにしてみたい、とお考えの方は、そのようになさってください。

●もうひとつの工夫

[第363回]で、自動演奏のプログラムを作って、私の妻がそのデータファイルを作ってくれたというお話をしました。
これは、はたから見ていてもなかなかに大変な作業です。
音階データをひとつづつTK80回路のあの小さいデータキーを使って入力していかなければなりません。
まあ、ここは、スペースがないところに無理やり配置していますので、小さいキーを置くしかなかったのです。
皆様には、ここは我慢していただくしかありません。

しかし、自動演奏のデータファイル作りということになりますと、これは純然たる業務です。
業務ということになりますと、作業能率のためのカイゼンを常に考えなければいけません。

そこで、データファイル作成のために、このような改善をしてみました。

他のシステム用の5×5キーがありましたので、それを利用して、楽にキー入力が行えるようにしました。
作業能率が上がったことは言うまでもありません。

えー。それじゃあ、このキーも分けてちょうだいよー。
とおっしゃる方もみえるかもしれませんが、これは、ちょいと、だめです。
なんたって、こんな具合なのですから。


その代わりと言っちゃ、なになのですけれど、もうひとつ皆様にサービスで差し上げるものを考えました。
本日はもう時間が無くなってしまいましたので、それについては、次回で説明をいたします。
2009.10.17upload
2009.10.18追記

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