トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第19回]
●最も切実な問題は
前回書きましたように、CMOSFETの基本的な動作テストがなんとか終ったつもりになって、論理ゲートの構築に入ったところで、思わぬ伏兵に足をすくわれてしまいました。
実はなんとなく容量性の負荷は大丈夫かなあ、と薄々は懸念しておりました。
まさかミラー容量なんてとんでもないものが出てくるなどとは予想もしていませんでしたけれど。
この問題は巨大回路を組み上げていく中で対策を考えなくてはいけないことになるかもしれません。
しかしこの企画を真剣に考え始めた当初から、私が最も懸念してなんとかしなければ、と切実に考えたことはもっとほかにありました。
それはコストをどうするか、という問題でした。
8080はおよそ4500個のトランジスタで構成されていたと言われています(一説には6000個とも言われています)。
大変な数量です。
ところで8080はCMOSではなくてNMOSで作られていたようです。
当時はPチャネルMOSFETは製造が難しかったので、NMOSで作らざるを得なかったのでしょう。
私はそこのところをCMOSFETで(つまりPチャネルMOSFETとNチャネルMOSFETで)作るつもりでおりました(ここが過去形なのが意味深であります)。
8080の内部構造がどのようなものであったのかよくは知りませんが、Nチャネルのみで構成されたロジック回路とCMOSで作ったロジック回路ではハード的に相当異なってくるのではと思います。
まっとうに考えればNMOSの回路の倍とは言わないまでも、ひょっとすると1.5倍くらいの量のトランジスタを使うことになってしまうかもしれません。
ま、ま、そこは努力と工夫によって、仮に6000個のトランジスタで出来たと考えましょう。
すると、その半数の3000個はPチャネルMOSFETということになります。
現在PチャネルMOSFETの唯一の候補はBS250だけです。
ところがすでにBS250の生産は終了しています。
今はなんとか海外からならば入手可能ですので、現在ちょっとまとまった数量を海外にオーダーしています。
しかし早晩入手不能になってしまうことは目に見えています。
実は。
BS250以外に、今も生産中のTO−92タイプ(3本足型)のPチャネルMOSFETはあります。
しかし。
高い。
とてもじゃありませんが、それを3000個は使えません。
あ。
BS250でも高いことは高いです。
3000個も使ったらそれだけで原価が跳ね上がってしまいます。
ええ。
趣味でやるだけならば、それでもよいわけですけれど。
いえ、まあ、そりゃあ年寄りの道楽のようなものですけれど。
でも、どうせ作るのでしたら、MYCPU80と同様に組立キットとして皆様に提供できるものにしたい、と考えています。
そういうことになりますと。
おのずから価格をどうするか、ということを考えずにはおられません。
そこが一番頭が痛いところなのです。
そうなりますと。
BS250を3000個つうのは非現実的です。
コストとしてもそうですし、たとえ数セット分だとしましても1万個、2万個という数を調達しなければなりません。
蓋をあける前からそりゃあ無理ということになってしまいます。
実は。
当初この企画を思いついた一番はじめの時点では、このところずっと書いてきておりますように、CMOSFET回路でいくつもりでおりました。
でも、上記のように考えていきますと、トランジスタ版MYCPU80はCMOSFETではちょっと無理じゃないの、という結論になってしまいます。
じゃあどうするの?ということなのですが。
そこのところがクリアできませんでしたならば、この企画はボツになっておりますです。
ええ。
書き始めてはおりませんです。
思いもよらぬウルトラCがあるのです。
それはそれとしまして。
それならば、なんで長々とCMOSFETでロジック回路を作るなどという説明を続けているのでありましょう。
それは、やっぱりロジック回路をCMOSFETで構成するというのが基本中の基本になっているからです。
トランジスタでCPUを作るなどと言いますと、まるで懐古趣味の権化のように聞こえますけれど、たとえば大学の電子技術関係の講義のテキストなどをインターネットで拝見いたしますと、このところ私が書いております、CMOSFETで構成するNOT回路とかNAND回路などは、学生さんのレポートの課題としてもよく出されているようなのですね。
つまりはそういうことですので。
トランジスタ版MYCPU80組立キットをつくろうという当テーマは、基礎編としましてはCMOSFET構造から入っていきますが、応用編になるにつれてこれからだんだんとCMOSFETではなくなっていく予定をしております。
もっとも。
副産物といいますか、途中で派生的に個別の74HCと同等の機能をCMOSFET回路で構成したレゴブロックのような小組立てキットを作ってみるのも面白いのでは、と思いつきました。
今、その第一弾としまして、CMOSFET版HC00とHCU04の組立キットを準備中です。
なんだかなかなかお話がまとまらなくって少しく要領を欠いておりますが、このまま次回に続きます。
トランジスタでCPUをつくろう![第19回]
2015.3.23upload
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