2015.3.22
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第18回]


●やっぱりゲート入力抵抗は100Ω以上が必要でした

[第10回]で4MHz水晶発振回路の後ろにつけたインバータ回路のゲート入力抵抗を10Ωにすると、それがなぜか前段の4MHz水晶発振回路に影響して発振が止まってしまいます、と書きました。
今回NOR回路のテストを進めていくなかでたまたまその理由らしきものがわかりました。

下は前々回、前回お見せしたNOR回路の回路図です。

当初はゲート入力抵抗は10Ωにしておりました。
しかしそれではまずいことがわかりましたので、100Ωに変更いたしました。

どうしてそうなったかといいますと。

前回までのNOR回路のテストはスタティックな状態でのテストでした。
入力LED、出力LEDの表示を見てNOR回路として正しく機能していることの確認と、それから回路に流れる電流の確認をしたかったからです。
そのあとで、今度は動的な動作の確認をしてみることにしました。
すると、そこで思わぬ事態が発生しました。

[第10回]で作りました4MHz水晶発振回路の次段のインバータの出力をNOR回路の片方の入力につないだところ、なんとインバータの出力波形がくずれてしまいました。
さらに、NOR回路の2つの入力の両方にインバータの出力をつないだところ、さらに大きくインバータの出力波形がくずれて、NOR回路の出力も正しい反転波形ではなくて、途中に切れ込みが入ったおかしな波形になってしまいました。

MOSFETは入力インピーダンスがきわめて高く、ゲート電流はほとんど流れないはずで、前回もそのことを確認できたはずでした。
しかし、しかし。
とんでもない伏兵がいたのでありました。

その正体につきましては後に考察することにいたしまして。
百聞は一見にしかずでありますから、まずは実際の波形の写真をご覧ください。

下は何も接続していないときの4MHz水晶発振回路の次段のインバータ出力回路の波形です。

上側(CH1)がインバータの出力です。

インバータの出力を入力抵抗が10ΩのNOR回路の入力につなぎました。

するときれいだったインバータの出力波形がゆがんでしまいました。
下側(CH2)は10Ωの後ろ、CMOSFETのゲート端子のところです。
まるでくずれかかった氷山のようです。
どうしてこんなひどいことになってしまうのか、まるで謎だったのでありますが。

そこで[第10回]でゲート入力抵抗が10Ωではだめで100Ωにしたことを思い出しましたので、NOR回路のゲート入力抵抗を100Ωに変更してみました。
下がその結果です。

インバータの出力波形はまだ少し変形していますが、かなりよくなりました。
MOSFETのゲート端子のところの波形はまだくずれていますが、こちらも相当よくなりました。
これならまあなんとかなりそうです。

ゲート入力抵抗を100ΩにしたときのNOR回路の出力波形を確認してみました。

下側(CH2)がNOR回路の出力波形です。
NOR回路の片方の入力に4MHz水晶発振回路の次段インバータの出力(上側CH1)をつなぎ、もう一方の入力はGNDにつなぎました。

今度はインバータの出力をNOR回路の2つの入力につなぎました。

インバータの出力波形がかなり影響を受けていますが、NORの出力はまともな波形になっています。

今回はゲート入力抵抗を100Ωにしましたが、インバータの出力波形を見ますと、もう少し大きい抵抗にしたくなります。
そうすると今度は出力の遅れが気になってきます。
どのくらいの抵抗まで許容できそうか、ここはカットアンドトライが必要なようです。

ところで、そもそもなぜこのようなおかしなことがおきてしまうのか、ということについてなのですが。

●ミラー容量

MOSFETはゲート端子とソース、ドレイン端子が絶縁されていたはずでありました。
回路図記号もそれをイメージしております。
そこがバイポーラトランジスタと大きく異なる特徴で、ですからゲートに電流は流れないはずでありました。
が。

ゲートとその他の端子が絶縁されているということは。
もしもそこに周波数の高いパルスが入力されたといたしますと。
おお。
ひょっとして、MOSFETが増幅つきのコンデンサになってしまうのではありますまいか?

むつかしいことはよくわからないのでありますが。
なんですか、信号源側から見ますと、ゲート側にあたかも増幅された容量が出現してしまうのだそうでありまして、これをミラー容量と呼ぶのだそうであります。
むう。
はやい話がお化けでありますね。

うう。
上の写真を見ますと、まさにお化けであります。

それでは、どうするとそのお化けを退治することができるかということなのですが。
なんでもドレイン側にトランジスタを追加してその影響をなくすることができるのだそうでありまして、それをカスコードトランジスタというのだそうでありますが。

いやいやいや、それはだめでありましょう。
そんなことをした日には、数千個のトランジスタがそれこそ万のオーダーになってしまいます。
じょうだんじゃありません。

ということになりますと、ここはやっぱりゲート抵抗を大きくするしか手はないようです。

うむむ。
なんだかまだスタートしたばかりだといいますのに、はやくも波乱の幕開けになってしまいました。

トランジスタでCPUをつくろう![第18回]
2015.3.22upload

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