2020.3.10
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第200回]



●トランジスタの逆接続

前回の続きです。
データラッチ回路について考えていくなかで、トランジスタが逆接続状態になることに気がつきました。
MOSFETは寄生ダイオードのために逆接続は絶対に禁止ですが、バイポーラトランジスタの場合にはそれほどのことはあるまい、と軽く考えていました。
バイポーラトランジスタの逆接続回路については、[第162回]に書いています。
たとえば2SC1815などのNPNトランジスタの場合、通常はエミッタをGND側につなぎ、コレクタ側が+電位になるような使い方をします。
2SA1015などのPNPトランジスタではエミッタを+側(通常は+電源)につなぎ、コレクタ側が−電位になるような使い方をします。
そのとき各トランジスタのエミッタとコレクタを入れ替えて接続してももとの回路と同じように動作します。
そのような接続を通常の接続に対して逆接続というような言い方をします。
ただしhFEはうんと小さくなり通常の接続に比べて1/10程度に低下してしまいます。
わざわざそんな使い方をしても全くメリットはありませんから、普通は教科書通りの使い方をします。
しかし意図しないのにトランジスタが逆接続状態になってしまうことがあります。
[第162回]ではその可能性について書いているのですが、そこでせっかくそのことに気が付いていながら考えがいま一歩足りなかったために、その後に随分回り道をしてしまうことになりました。
[第162回]では逆接続状態になったとしてもそれほど電流は流れないので大したことはありません、なんて脳天気なことを書いていますが、とんでもない考え不足でした。
下の図は[第162回]でお見せしたものに加筆したものです。

たとえば赤矢印で示した状態のときについて考えます。
この回路ではWRGがOFFのときも+5Vの電圧がT6のエミッタにかかります。
その状態でAがH、BがLだったとするとT6のエミッタからR7を通ってT4のエミッタに図の矢印の向きに電流が流れてしまいます。
[第162回]ではBを流れる電流はR6の51KΩを通るわずかな電流だけです、と書いていますが、その先はどこに流れていくのかという肝心のところを見落としてしまっていました。
そもそもT6のエミッタコレクタ間がONになるということを頭ではわかっていながら、そのとき流れる電流について全く落としてしまっていました。
このときT6が逆接続状態になっています。
hFEは通常の1/10程度と考えられますから、仮にそれが10倍だったとすると、このときのT6のエミッタコレクタ間抵抗は5KΩぐらいとかなり小さな値になります。

ここでB点がLのときというのはどういうときなのかということについても深く考えていませんでした。
最初にA点にHが与えられそのときにWRV=+5V、WRG=GNDであると、T6がONになってBがLになります。
その直後にT1がONになりC=Hになって、それによってT4がONになります。
T1、T2とT3、T4はフリップフロップ回路を構成しているので、その状態はWRV、WRGが印加されなくなっても安定して維持されます。
このときB=Lになりますが、それはどういうことなのかということです。

T5、T6の影響がなくなったとき、T1のベース電流がR1(51KΩ)を通してB点を経由してR7(10KΩ)を通ってT4のコレクタエミッタを通ってGNDに流れます。
B点は+5VとGND間を51KΩと10KΩで分圧したものになりますから約0.8Vになります。
実は今日の今までこの計算は考えていませんでした。
まことにもってうかつな話です。
実はデータラッチ回路を考えて試行錯誤を繰り返して最終的に上の図の形になったのですが、その過程ではいろいろあってR7が余り小さな値ではまずいという途中の回路を経たために、10KΩにしたのでした。
今計算してみますとB点が0.8Vというのはかなり危ない値です。
そろそろT2の2SC1815がONになりかかるぎりぎりの値じゃないですか。
この抵抗値についてものちほど検討することにいたしましょう。

今はまずはトランジスタの逆接続についてです。
上の図のようにWRG(+5V)からT4のエミッタへ電流が流れたとすると、このときB点の電圧はどうなるでしょうか?
計算を簡単にするためにT1とT6のベース電流は考えないことにします。
するとhFEが10倍と仮定すると、B点は+5Vを5KΩと10KΩで分圧したものになりますから、約3.5Vです。
Lどころではありません。
完全に浮き上がってしまっています。
これじゃあ誤動作しないほうが不思議です。
その通りでした。
データラッチについてしっかり検証しないで、この回路のままでより複雑なINC/DECレジスタ回路に進んでしまったために、奇妙な現象がいっぱい起きて、しっかり悩まされることになってしまったのでした。
今ようやくことの核心にせまることができましたが、余りに情けない回り道でありました。

途中ですが本日も時間がなくなってしまいました。
次回に続きます。

トランジスタでCPUをつくろう![第200回]
2020.3.10upload

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