2015.3.25
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第21回]


●スピードアップコンデンサ

前回のアレ、ゴマの油、の正解はスピードアップコンデンサでありました。
なんとかもう少し立ち上がりを速くでないものかと苦吟しておりましたら、「そういえば確か、スピードアップコンデンサつうのがあったっけなあ」という考えといいますか言葉といいますか、それがぽわっと浮かびました。
今までそんな必要を感じたことはありませんでしたので、知識としてもいいかげんなままで、経験することもなく今日まできてしまいました。
そこで遅まきながら、さっそく試してみましたところ、前回の写真にありますように、その効力は絶大でありました。

おおっ。
こんなに利くの!?
しばし絶句、でありました。
というか、まだ、半信半疑、こんなに利いてよいものか、さては妖怪の仕業かもなどと、眠い目をこすったりなんぞいたしましたです。
なぜかと申しますと。

これがスピードアップコンデンサなのですが。

(ベース抵抗とパラレルに入っているのがスピードアップコンデンサです)

さて突然ですが、ここで問題です。
前回お見せした写真は、どれくらいの容量のコンデンサを使ったものだったでしょうか?

最初はこのくらいかなあ、と思いつつ1000pFのセラミックコンデンサをつないでみました。
それで、おお!利いた、利いた!と小躍りいたしました。
もう、万歳三唱であります。
が。
興奮がおさまってくるにつれて、徐々に冷静な思考が戻ってまいりました。

うう。
1000pFはちょっと大きいのではないの?
なんたってミラー容量なんてお化けに悩まされたりしたあとですから、その同じラインに1000pFもの容量がさらに追加されるなんてことは、できればやりたくありません。
そこで手持ちのコンデンサ(今回使ったのはすべてセラミックコンデンサです)を使って、試しながら少しずつ容量を下げていきました。

100pFでもOKでありました。
56pFでも、おお、OKではありませんか。
まさかと思いつつ、22pFに換えてみましたところ、なんとそれでもOK!でありました。

最終的に、前回の写真の値はこれ、でした。

ええ。
なんとたった15pFです。

ええっ。
こんな小さなものが本当に利くの?
と、にわかには信じがたい気持ちになったのですが、皆様はどうお思いになられますでしょうか?

ここまで書いてきまして、前回の写真が違うものだったことに気が付きました。
波形はよく似ているのですが、実は別のある回路(いずれそのうちご説明いたします)のテストをしたときのものでした。
本物はこちらでした。

ちょっとオーバーシュート気味でありますが立ち上がりはそこそこシャープです。

レンジを拡大してみました。

入力の落ち始めから、出力の立ち上がりが終るまで35nsほどです。
これなら、まあまあよろしいのではありませんか。

こちらは出力パルスの立ち下りのところです。

入力の上がり始めから、出力の立ち下がりが終るまで40nsほどです。
立ち上がり(2SA1015がアクティブ)も立ち下り(2N7000がアクティブ)もだいたい同じ程度の遅延時間です。
バランスが取れていて結構よい感じだと思います。

しかしここで満足するのはちょいと早すぎます。
さらに進んでテストをいたしました。
上の回路でどの程度の負荷がドライブできるのでしょうか。
それを確認するための負荷テストです。
下の回路図のように、出力に負荷抵抗RLをつないで波形を観測しました。

これは2SA1015のドライブ能力の確認です。
ベース抵抗が大きいので、ひょっとすると、余り電流が取り出せないのでは、という懸念があったからです。
2N7000については必要ありませんでしょう。

2SA1015のhFE(直流増幅率)は、データシートによりますと、たまたま手元にあって今回使ったYランクが120〜240とかなりばらつきがあります。
これがOランクですと70〜140とちょっと低めになります。
まあだいたい100倍はあると考えてよろしいでしょう。
51KΩを流れるベース電流は約0.1mAですから、コレクタ電流は10mA程度は取り出せそうということになります。
Oランク品ですとワーストケースでは7mA程度ということになりますが、負荷のほとんどは2N7000のつもりですから、それだけ取り出せれば十分でありましょう。
しかしそれはあくまで計算上のことですから、やっぱり実際に試してみなければ安心はできません。

RL=1KΩのときの出力波形です。

オーバーシュートが消えて、かえっていい感じの波形になりました。
このとき計算上は5mAのコレクタ電流が流れていることになります。

RL=510Ωのときの波形です。

少し波形がくずれていますが5V近くは維持していますから、この波形ならまず大丈夫でしょう。
このとき計算上は10mAのコレクタ電流が流れていることになります。

これで、BS250の代わりに2SA1015を使うことで、当初懸念しておりました仕入れコストの問題ですとか、仕入れできるかどうかといった不安からは脱却できそうで、ひとまずほっと胸をなでおろしました。
もちろん中には2SA1015では都合が悪くて、どうしてもBS250を使わなくてはならない回路も出てくるかもしれません。
そのときはそのときで、そういうところだけBS250を使うということでも問題はないと思います。
要はBS250を500個とか1000個とかというように大量に使うことさえなくて済めばよろしいのです。

さて。
普通でしたならば、これにて一件落着。
めでたしめでたし、となるところなのですが。
私の場合、どういうわけか、そうはすんなりとおさまってはくれないのでありますね。
本当にストレスの多い人生であります。

実は、前回のところを書くにあたって、波形の写真とか回路の写真とかをあらためて撮ろうとしましたら、以前にジャノ目基板で作りましたテスト用の回路基板がどこかにはまりこんでしまって一時的に行方不明状態になってしまいました。
まあ、大した回路でもありませんから、とりあえずもう一枚作ってしまいました。
それで、作ったまではよかったのですが、さっそくその基板を使ってテストしてみましたら、どうしいうわけか、出力波形がおかしいのです。

こんな状態になってしまいました。

出力波形のH電圧が、高すぎます。
どう見ても5Vじゃありません。
かなりオーバーシュートしているみたいです。
電源も回路も以前にテストしたときのものと同じはず…。

じつはこのあと、以前にテストしたときの基板が出てきましたので、それを使ってテストしてみましたら、上のほうでお見せした写真と変わりない波形で、なんら問題はありません。
ええー。
ひょっとしたら2SA1015のランクが違うとか…。
虫眼鏡でよーく見比べてみたのでありますが。
2SA1015も2N7000も同じロットのようでありました。
もちろん回路だって確認してみましたが、ちゃんと上でお見せした回路図通りに作ってありました。

ううう。
なぜだあ。
ともかくこのまま捨て置くわけにはまいりません。
オーバーシュートのピークは9V近くあるように見えます。
このままでは、この出力にメモリなどをつないだら破損してしまうかもしれません。

なんとかしなければ。
そもそも、どうして2枚目として作った基板だけ、こんなおかしな出力になってしまうのか。
まったく謎だったのでありました。

次回に続きます。

トランジスタでCPUをつくろう![第21回]
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