2015.4.1
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第27回]


●オープンドレインのウラ技!(2)

前回の続きです。

ワイヤードオア回路の高速化のために思いついた、オープンドレインのウラ技的回路。
それが前回お見せしました下の回路でした。

一見、A1015と2N7000の「コンプリメンタリ」回路にしか見えませんが、よく見るとA1015のベースエミッタ間に1KΩの抵抗が入っています。
そしてベース抵抗の代わりにコンデンサが入っています。
この1KΩの抵抗とコンデンサがキモなのです。
入力信号がHからLに変わると2N7000の出力はOFFになります。
と同時に入力信号がLになった瞬間にA1015のベースに入れたコンデンサがエミッタベースを通して急速に充電され、このときA1015はONになり出力はHになります。
しかしコンデンサがわずかな期間で充電されてしまうとベース電圧は1KΩでプルアップされていますから+5Vになります。
したがってA1015はOFFになります。

論より証拠です。
実際の波形をご覧ください。
上の回路にパルスを入力して出力波形をモニタしてみました。

今回の場合、余りクロックが早いとオープンドレインの出力波形が見づらいかもしれないと思い、入力信号(上側CH1)は2MHzにしました。
下側(CH2)が出力波形です。まずはRL(負荷抵抗)なしでの出力です。

うむむ。
これではオープンドレインか普通のコンプリメンタリ回路の出力かわかりませんね。
ただよく見ると出力波形はHのときの電圧が少し低めに出ています。
これは正真正銘オープンドレインの出力なのですが(ただしHの期間のみ)、負荷抵抗がなくて出力ラインがハイインピーダンスなので、おそらくトランジスタの寄生容量だかなんだかそんなもののせいでHレベルが維持されていると思われます。

その証拠に負荷抵抗RL=1KΩにしてみますと、こんな波形になりました。

A1015がベースに入れたコンデンサのためにアクティブになるのは立ち上がりの30nsていどの期間だけで、あとは出力がOFFになるため、1KΩの抵抗によって出力ラインの容量成分が急速に放電されていくのがわかります。
つまりその期間は出力は間違いなくハイインピーダンスになっているのです。
ここでもうひとつ注目していただきたいのは、出力波形の立ち上がりのシャープさです。
これこそ欲しかったものでした。

しかしひょっとして、その期間もハイインピーダンスではなくて、1KΩに負けているだけなのでは?とお思いかも。
ですけれどそれならば0Vまで落ちませんよねえ。
そういう疑いを晴らすために、電流を測定してみました。

上の回路で負荷抵抗RLなしのときの電流値です。

単位はμAです。
1.52mA流れています。

こちらは負荷抵抗RL=1KΩのときの電流です。

1.841mA流れています。
差し引き0.321mAの増加です。
この増加分はA1015がアクティブの期間にVdd(本当はVccですけれど)からA1015のエミッタ、コレクタ、1KΩを通ってGNDに流れた電流値と考えられます。
本来は5mA流れるところ、みかけでは0.321mAしか流れていないように見えます。
0.321/5は32/500でもありますから、つまり周期が500nsのパルスのうち32nsの期間だけ1KΩに電流が流れていることになります。
これはオシロの波形と一致します。

ところでもう一度ウラ技のオープンドレイン回路を見てください。

A1015のベースエミッタ間に入れた抵抗とコンデンサの有る無しで、「コンプリメンタリ」回路かオープンドレイン回路かになります。
つまり抵抗1本とコンデンサによってHC00がHC03になり、またHC04がHC05になってしまうのです。
これって、自分で言うのは自画自賛ですけれど、なかなかに秀逸なアイデアなのではありませんか?

2015.4.2訂正
回路図とその説明の一部を訂正しました。
詳しくは[第28回]を参照してください。

トランジスタでCPUをつくろう![第27回]
2015.4.1upload
2015.4.2一部訂正

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