標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第9回]

●落ち着いて、最初からもう一度考えてみよう!

とんでもないこととは、それほどとんでもないことではありませんでした(落ち着いて考えてみれば!)。
ちょっと、年甲斐もなく飛ばし過ぎでしたね。少しペースダウンしたほうがよさそうです。
おさわがせしてしまい、申し訳ありません。
何、皆様にとってはたいした問題でも何でもないのです。
でも、私にとっては、致命的、というか、わずかに残っていた未練の糸が断ち切れてしまったようで…。今は、まあ、かえってサバサバしていますけれど…。

基板の取寸のことなのです。
なんだ、そんなこと!
いえいえ、そんなことでもないのです。これは結構重要なことなのです。
先回、基板の寸法の話をいたしました。
そのとき、定尺1m角の板から取るので、ロスをみると230mmの上は310mm、だと書きました。
1m角の板から230mm×310mmの基板は4×3=12枚取れます。これでほぼ原価が決まってしまいます。
ところで、気がついてしまったのです。
何を勘違いしてしまったのか、第2の基板図がすこし大きいようなので、測ってみると、あれま、倍寸で660mm!あったのです(実寸では330mm)。
何を考えていたのでしょうね!第3の基板はちゃんときっちり230mm×310mmにおさまっています。
あわてて、基板屋さんに電話しました。

短辺は230mmなので作業ロスは20mm確保できる。だから、長辺はロス3mmということで、だめ?

だめですね。

と、ニベにもないご返事。
ということは、わずか20mm飛び出たおかげで、この基板は230mm×480mm(!)と同じコスト!
定尺からは4×2=8枚しか取れないので、原価5割アップ!このサイズで5割アップは、死ね!と言われたようなもの!

たかが20mm。TTL14pinIC1個分の幅です。基板には、未使用のスペースもある程度は残っていたので、なんとかなるのではないか、とあらためて図面をながめてみたのですが…。
にわかに熱中症にでもなったみたいに、目がかすんで、頭がクラクラ…。
だめだ、これは…。なにせ、職人芸よろしく入り組んだところをあちらへこちらへとまるでクモの糸のように配線をめぐらせてしまっているので、いまさらICを縦1列も移動させるなんて、そんなことをするくらいなら、もう一度最初から配線しなおした方がまし!

仕事だったら、やりますよ。プロなんですから…。お金もらってこんなみっともない基板、納品できやしない。泣きながら徹夜してでも作業します。でも、幸いにして、受注仕事ではなかったのですよね!よかったァ!

でも、これで、最初に書いたように、わずかにまだ残っていた未練がプッツリ切れました。
これで、もう、商品化は断念!

●やっぱりムリだった…。

いくらなんでもTTL300個なんて組立キットは最初から無理だったのですよね。
私だってこんなすごいものになってしまうとは、さすがに想定外だったものですから…。
でも、なんとか、ならないかな、なんて、頭のすみのどこかで、まだ、甘い期待というか希望が残っていたようです。
それが、この、基板サイズのミスで気持ちが一度に落ち込んでしまいました。
いいじゃないの、20mm飛び出たって…。

そういうもんじゃないんですよね。仕事ってのは。
一度ケチがついちゃったら、もうだめ。
だから、この企画はボツ。
このページも、はやくも、閉鎖!
って、それは、余りに短兵急に過ぎます。

今回、とにもかくにもここまでやった、ということは、ムダではなかった、と信じています。
考え方に間違いはなかった。
ただ、当初予想しなかったとしても、結果的に、これだけの規模のものを、いきなり商品化しようとしたところに、ムリがあった、と言わざるを得ません。

では、先のことはともかくとして、ここまでやってきた、今回の基板はどうしましょう?

実は、どうしようか、と、今、迷っているのですが。
まあ、でも、せっかくここまでやってきて、ホームページでみっともないところまで披露してしまったことでもありますから、とにかく試作のみということで、基板は発注してみよう、とも考えてみます。
せっかく150頁ものノートを書いてしまったことですから、これをまとめて、回路図集として販売してみたら、ひょっとしたら、どなたかご購入いただけるかもしれませんね。
そのためには、画餅ではなくて実際に動いた回路である。という裏付けとして、基板を作ることには、まんざら意味がないわけではないかもしれません(問題は、それで試作費用が回収できるかどうか、ですけれど…)。

●でも、せっかくなので、CPUをつくる組立キットはあきらめたくはない

コンセプトとしては、よいと思っていますので、何とかもっとICの数を減らして、誰でも手軽につくれるようなキットになるよう、工夫してみたいと思います。
結局、はやくも、羊頭狗肉になってしまうようですけれど、ここまでやってきて、やっぱり8ビットCPUを組立キットでつくるのはムリだという実験を実際にやってしまった、と考えれば、それはそれで意義があったと思います。
とりあえずは、今回の基板作業も続けつつ、新しいもう少し簡易な組立キットの設計にも挑戦してみたいと、今、考えています。
それらの内容についても、固まってきたところから、このホームページで皆様に紹介していくつもりです。
また今回の作業を通じて得たいろいろについても、引き続きご紹介を続けていきたいと思います(まだ[第3回]の、フラグ問題の解答も載せていませんし、ね)。
2008.7.16upload

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