2018.2.6
前へ
次へ
ホームページトップへ戻る


KL5C80A12マイコンボードの製作

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
KL5C80A12はZ80互換の高速高性能8ビットマイクロコントローラです。
残念なことに数年前に生産中止になってしまいました。
しかし当社ではKL5C80A12を使った組込みマイコンボードはまだ健在です。
そのKL5C80A12を使ったND80Z3.5上位互換マイコンボードの製作記事です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

[第14回]


●たかが56pF、されど…

前回からの続きです。
前回は2回目の試作基板で発生した、訳の分からない誤動作の原因をさぐるためにカメレオンロジアナをデータバス、アドレスバスとMEMRD、MEMWRの各端子に接続して波形を調べてみることにしました、というところまで説明をしました。
そしてその終わりのところで、実際に測定をしてみたところ意外なことがおきてしまいました、と書きました。
意外なこととは?

いえ。
厳密に言いますと、「おきなかった」のです。
ええ。
波形を見てみましたら細かく解析したわけではありませんが、ざっと見たところ、「何事も無くごく普通に動いている」ような波形でした。
つまりあれほどしつこかった、鉄板のように見えた異常が消えてしまったのです。

はて?
なんだかちょいと狐につままれたような感じで、「まさかどこもなんともないなんてことはないよなあ」と思いながら、キーをポンポンと押してみましたら。
あれ、普通に入力できるじゃないの?
むむ。
面妖な。
さてはまたあれか。
妖怪変化のいたずらか?

不審に思いつつZB3BASICを起動してみましたら。
何事も無く、普通に起動できてしまいました。
前回の写真をよく見ていただきますと、キー入力ができないはずなのに、LEDには100000C3と表示されています。
これはまともにキー操作が行なわれてUSB接続でZB3BASICが正常に実行できたときの表示です。

まてまてまて。
それじゃあ、これはどうだ?
ZB3DOS(CP/M互換DOS)を起動してみましたら。
起動できてしまいました。
まさか、ねえ?
念のため、そのままMBASICを起動して、STARTREKもロードして実行してみたのですが、何の問題もなく実行できてしまいました。

おお。
そういうことだったのか。
まだそれとはっきり確認できたわけではありませんが、長年の経験から、大体の見当がつきました。
あとは確認してみるだけです。
一旦電源を切ってもう一度電源を再投入して、それでも正常に動作することを確認してから、カメレオンロジアナのプローブを外していきながらキー入力を確認していきました。
そして。
ついに確認できました。
カメレオンロジアナのプローブを1本だけ残してあとは全部外しても正常だけれど、その最後の1本を外すとキー入力を受け付けなくなることを確認しました。
その1本はMEMWRに接続していました。

なぜ最初の試作基板でトラブルがおきなくて、今回の試作基板では問題がおきたのか、そこのところはよくわかりません。
まあ、あれこれ回路も変更していますし、微妙な違いによってこういうことがおきたのだと思います。
配線もぎっしり詰めてけっこう束ねてあちこち引き回していますから、たまたまノイズ的なものがMEMWR信号に乗ってしまったのだと思います。
そこにロジアナのプローブを接続したことで、わずかな容量によってそのノイズ(おそらくパルスの高速スイッチングによるヒゲか)が除去されたのだと考えられます。
あるいは前回の試作基板は追加配線だらけでスパゲッティ状態でしたから、それによる浮遊容量もかなりあったはずで、それでおかしなノイズ成分が除去できてしまっていたのかもしれません。
どんなノイズなのかは確認してはいませんがおそらく非常に細いヒゲ状のものだと推測しています。
ロジアナの簡単なクリップを接続しただけでつぶれてしまう程度のヒゲだとしたら、オシロスコープのプローブをつないだってつぶれてしまうはずで、見るだけ無駄かもと思います。

そうと決ったらとるべき対策はこれに決まりです。
小さなコンデンサをMEMWRのラインに取り付けました。


こういう場合、私は大抵は56pFのセラミックコンデンサを選びます。


なぜ56pFなのかといいますと、そこは長年の経験とカンなのです。
22pFでは小さいし100pFでは大きいかも、といった感じです。
たかがわずか56pFのセラミックコンデンサ1個だけですけれど、あれほどしつこかった誤動作がそれこそまるでウソだったかのようにピタリと止んでしまいました。

KL5C80A12マイコンボードの製作[第14回]
2018.2.6upload

前へ
次へ
ホームページトップへ戻る