演劇

演劇 幸せの背くらべ モンテ・クリスト伯 表紙へ

幸せの背くらべ

NLT
  黒柳 徹子他
  4月1日〜3日

感想

1、倉敷 浜崎和代さん
 黒柳さんの魅力がまるごとつまった上質のお芝居に会員はとても感動しています。
第1幕は、黒柳さんが意表を突いた声とセリフで、セリフをよどみなく繰り出し、木村さんが舞台を引き締め、真堂さんが初々しく、と対比が絶妙で笑い声が上がります。第2幕は一転して、1人の女性のそれぞれの年代を振り返り、生きるとは、幸せとは何だろうと問い掛けてきます。お金も夫も息子も自分に幸せをもたらしてくれたか、自分のありようはあれで良かったのか、と自問しながら、でも、仕方がなかったのよ、一生懸命生きてきたり、自分がこうなって初めてわかったの、人生の至福のときは死を迎える瞬間って事が、というようなセリフにおもわずうなずいてしまいました。人間は死に向かっていきているのだから、今を大切に生きなくては行けない、と強く思いました。
カーテンコールで黒柳さんは自分の心情を吐露し、少し重くなった観客をリラックスさせて帰路につかせます。まさに心憎い、すばらしい演出です。この劇に出会えて幸せです!

2、倉敷 はつ恋Kさん(84才)
 テレビでは長い間見馴れていた黒柳徹子さんを舞台で間近に見るのは初めてのこと。1幕目、誇張され凝った顔のメイクは幕間の派手な衣装とのアンバランスで一層老いを浮きだたせ、次々に飛び出す奇妙な台詞と声の調子の変化のおかげで、悲哀を覚えるはずの老いの動作を笑いの中に見せました。芸達者な女優さん方に合いの手を入れてもらいながら殆ど一人芝居のような長台詞をこなす黒柳さんに絶賛します。2幕目、若年、青年、老年(まだシャキッとした)と、3時代を台詞一つ無い若者(息子)を舞台に加えることで傷ついた母親の心情を感じさせ、夫との時代の生き方を問うとともに、人生の至福とは何かまで、笑いの中で問う素晴らしい舞台でした。終幕は、舞台挨拶に立たれた黒柳さんは、贈られた花束をサッと客席の私の膝の上に投げ与えてくださった。その花束を手にして感じたのが、「これぞ至福の時」