〜ゴールデンアックス・ザ・デュエル〜 機種:アーケード、セガサターン |
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●「戦斧 ゴールデンアックス」というのが正式名称筆者が高校のときくらいに、ゲーセンにひょいっと現れた格闘ものですね。当時はストリートファイター2に端を発した格闘ゲームブームが絶頂だった頃と記憶してますから、まあこんなのがあってもいいんじゃないかな、と思ったものですが。 ちなみにゴールデンアックスというのはだいーぶ前にセガが作ったファンタジー系のアクションゲームで、ごついおっさんにごつい女、それにごつい爺さんの3人からキャラクターを選んで悪の兵隊に立ち向かうというものです。メガドライブにも移植されており、こちらは3まで発表、他にゲーセン版では「初作の続編」という位置付けでもう一作発表されたりしておりました(ごつい爺さんは歳で足腰立たなくなり、人食い鬼みたいな大男の背中に背負われているのが涙を誘います)。
●クレジット制限がきついのが泣ける印象としてはとにかくスパルタンという感じで、悪の兵士に斧で2、3発食らわせ、膝をついたその頭に柄でゴツンゴツンとまた食らわせ、最後に掴んで崖から投げ捨てたり(そこに、敵の兵士や時々味方も巻き込まれていくのが笑える)、悪の兵士にまとわりつかれて四苦八苦しているところに牛頭の巨人が忍び寄ってきて、鉄槌でこちらの頭をかち割るといった光景が満ち溢れます。当然プレイヤー同士の当たり判定も完備されており、敵も味方もまったく容赦というものを知りません。 難易度もまた然りで、いきなり画面の外から高速でタックルをしかけてくる兵士や、ダウンからの復帰に合わせてドラゴンに火を吐かせる魔術師など、とかく一筋縄ではいかないゲームです。
●チキンレッグ、獣王記にも出てますなそして、この掲題のゲームは、そんなゴールデンアックスを格闘にしたゲームなのでした。なるほど、そう言われると背景にチキンレッグがいたりするなあ。盗賊に暴行を加えて上がりを強奪するのもそのまんまじゃないか。 それでこのゲーム、遊んでみるとけっこう出来自体は悪くなくてですね、まあコンピュータは相変わらずスパルタンに強いですが、操作の反応も悪くないし、なかなか面白いのではないかと。対戦なんかも(乱入されて)何度かこなしましたが、選んだキャラクターの性質もあり超高機動戦闘が展開できて、ずいぶん楽しい思いをさせてもらいました。一応、ノーコンティニュークリアなども達成できています。やればなんでも出来るもんだ。
●なんかこのエルフ、顔が変じゃないか? ……え、発狂してんの!?んで、特に筆者の秘孔(ここは『つぼ』と読んでください)に刺さった部分がありまして。 キャラクターの人選に関しては、やはりスパルタンという印象があります。過去のシリーズの縁者という設定で、おっさんと女と爺さんが本人ではないものの出演しているというのはお約束として(全員きちんとごついのが嬉しい)、実に怪しげな呪術師、でぶちんの爆弾魔、明らかに怪物に分類されそうな巨人(善良属性付き)など、やはりただのファンタジー世界ではないなと云われなく嬉しくなってしまいます。 そして、個人的なヒット。過去のシリーズにおいて悪の軍団を率いたデスアダー閣下
と、発狂したエルフ(※1)
。どちらも流してしまうにはもったいないくらいのインパクトを持ちますので、嬉しくない解説を加えましょう。
●なんでこういうキャラクターの案が出たのやら発狂エルフ、というのは実は筆者の持ちキャラクターだったりしました。魔法の短剣を両手に一つずつ持ち、ヘヒャヒャヒャヒャと笑いながら敵を氷の刃で5寸に刻む、悪趣味なキャラクターです。体を水に変えて自在に移動できるために、熟練すると敵をその機動性で幻惑できるという、なかなかに面白い性能を持っていました。「あァ、このお肉のザクザクした感触、……YOUに解かるかなァ?」「もっともっと斬りたい気分だよ……」などという斬新極まる台詞が実に印象に残ります。 ちなみに、現在のようなエルフ、美しき森の住人が定義されたのは「指輪物語」からだと聞きますが、指輪物語においてはこのように堕落したエルフなどは一人も存在せず(堕落したエルフは、ミドルアースではオークとなります)、みな少々厭世的なところはあるものの基本的に正義のために行動します。また、ダンジョンズ&ドラゴンズにおいてはドロウ、他のゲームではダークエルフなどという名称で悪のエルフが登場したりしますが、筆者の知る限り「発狂している」という嫌な要素を装備したエルフというものはこのゴールデンアックスともう一つ、ドラッグオンドラグーンのアリオーシュだけです。未だにこういう例を他に見ないというのが非常に面白いところ。 そうそう、自分は遊んでないのではっきりとしたことは言えないんですけど、このドラッグオンドラグーンのアリオーシュというキャラクター、どうも本気で狂っているらしくてなんだかすごいという話です。
●神話だと、背中を見られるのをすごく嫌がるそうですな(妖精辞典より)関係ない話ですが、最近は助平な漫画やイラストなどで煽情的なエルフの絵を見かけることがあります。が、ここで筆者は声を大にして言いたい! 「エルフの本質は、そんなところにはないぞ!!」 別に、「本来のエルフなら誇り高い種族だからそんな恥辱には云々」などというのではないのです。その外見的魅力から女性のエルフはしばしば略奪の憂き目に遭い、結果望まぬ半エルフを生してしまうという話はいくらもあります(この半エルフの悲哀は、ドラゴンランスのタニスがよく見せてくれますね)。ただ、女性のエルフ(らしき外観を備える存在)の、外見的性的魅力、そればかりが良さではないぞと。 いいですか、イラストででもなんでもエルフを扱おうという人々、まずは映画「ロード・オブ・ザ・リング」を観て下さい。そして、レゴラスの立ち居振舞いにがっちりと注目、食らいつくほどに注目して下さい。死ぬほどかっこいいその姿に、新たな感動を覚えること請け合いです。「エルフ? エロ漫画でよくネタにされる、耳長い美人でしょ」などという認識を抱いている慮外者は、これを機会に認識を改めるように。 なお、あの映画で描かれるレゴラスの姿は映画のオリジナルではなく、原作でも実際に華麗な戦闘を見せます(映画ほど極端ではありませんが)。エルフが体力的に劣る、というのはたぶんダンジョンズ&ドラゴンズ、あるいはウィザードリィのイメージではないでしょうか。
●悪の大王……って、これでいいのか?続いて、デスアダー閣下。 この人は、ゲーセンにおける初作、2作目(メガドラ版では2は別の悪者、3は……どうだったかしら)のラストボスも務めていますが、そのどれでも基本的なビジュアルが変わっていないというのは、この逞しすぎる格好(※2)がこの人のイメージだからだということでいいんでしょうか。巨大な鉄兜に革の下半身タイツ、同じく革のベルトを肩にかけて真っ黒いマント、手にはでかい斧と変な楯という豪壮なお姿なのですが。 そして、性能的にもかなりクるものがありまして、とにかく挙動が遅いというのはまあしょうがないにしても、必殺技が二つ、しかもうち一つは条件(楯で防ぐ、殴るなどを繰り返す)を満たすと使用不能になるという切り捨てぶりはいかがなもんかと。さらに、超必殺技「デスバーン」は敵を掴んで大爆発を起こすというものなのですが、これも自分が巻きこまれてダメージを受けるという感動的な仕様になっております。変な蹴り技ばかり装備しているのも激しくポイントを追加する要素ですね。 しかし、大木を切り倒すがごとくに斧を真横にスイングして敵に撃ちこむ様や、立ったままスライディングを繰り出す様、ドロップキックをあっさりと撃墜される様そして「デスセントーン」と称して背中から敵めがけて落ちて行く様などはやはり彼の魅力を十二分に引き出していると言えるでしょう。ていうか、この人明らかにエンペラーな雰囲気(馬鹿要素大量含有)を醸し出してますね。
●実際は敵が強すぎて音楽どころじゃないですがこのゲーム、個人的には音楽大好きです。発狂エルフのステージなんかは剣撃乱舞、というようなハイテンポなバトルをしたくなる勢いがあったりしますのと、ところどころ入る水音が実にいい感じに聞こえます。あと、医者のステージなんかは「異文化の村」という雰囲気がよく出てますね。 逆にボイスはしおしおで、特に主人公のやられボイスが「あぁ〜ん」と間抜けに聞こえてしまい、これは逆に力が抜けて行きます。あと、デスアダー閣下の「むぅぅん」「でぇぇい」というお声がなんか妙に笑える自分。
●一応移植もされています 今ごろ、サターンで大量に投げ売られているのが泣けてきますが、そのぶん入手しやすいとも言えるでしょうか。サターンのパッドでは少々動かしづらい部分がありますが、もともと移植しやすい基盤で作られたゲームですので移植度は非常に良好です。宣伝するわけじゃありませんが、デスアダー閣下の御勇姿を拝したい、またクレイジーエルフとはなんぞと興味を持たれた方は探してみてもいいのではないか、と思います。探すだけで十分かとも思いますが。
※1 エルフ![]() ![]() 名前はキール。文中、一度も紹介してませんでした。目がイってるのが本格的ですね。エンディングではなんか正気に戻り、美人の妹と二人どこかに立ち去って行きますが、こいつ居場所どこにもないんじゃないか?
なんか主張強い方ですねえ、この人って。玉座の横ではなんか煮られてるし、その玉座には女の人みたいなのを侍らせてるし、よく趣味のわからない人ですわ。
※ とりあえず、取り込み画像。問題あったら言って下さい。 |