〜アレサシリーズ〜
機種:ゲームボーイ、スーパーファミコン
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●久しぶりのゲームです

 先日、ふと思い出して遊びたくなったので近所のゲーム屋で探して買ってきました。ゲームボーイのアレサ2、箱説つきで1,000円。まあ安いほうなんじゃないかな、と思います。

 このゲームは中学のときに好きだったゲームですね。塾で一緒だった友人が面白そうに遊んでいたのを眺めていたものです。特に、見せてもらったのはラストバトルだったんですが、「斬りつけると同時に火球を発射する魔剣」「無数のエネルギー光球を発射する杖」など妙にサイバーな武器やら何やら素敵なキャラクターのイメージに惹かれたのをよく覚えています。

 その後、何気なく覗いたゲーム雑誌で「スーパーファミコン版発売」ということを知り、高校の期末試験期間中に購入という無謀なことをしでかしたりしたのもいい思い出ですね。友人を使ってヨドバシに予約までしたもんですが、今思うとそんなことをしなくても買えたかな、と。さして話題にもなりませんでしたし。


●ゲームボーイのほうがアクは強いかも

 このシリーズは、ゲームボーイで3作、スーパーファミコン(以下スーファミ)で2作出ています。一応世界観は共通ですが、スーファミ版はゲームボーイ版からかなりの年月が経った後、という話になっており、ごく一部のキーワードを残して別物の世界になってるのがなんとも。

 んで、筆者が遊んだのはそのうちゲームボーイの2と3、スーファミの1です。どれも、それなりに面白くはあるんですが……なんというか、なんじゃこりゃ的な部分が多くあるのがご愛嬌ってとこなんでしょうか。まとめて話そうとするとどうしても大変なので、とりあえずまずはゲームボーイから行きます。


●嫌な王女だな、こいつ

 ゲームボーイ版は、舞台を「アレサ王国」に据えた物語で、主人公はそのアレサ王国の王女マテリア(※1)。王女とは言っても悪者に国を滅ぼされた後なので、そのことは当然伏せてあります。お約束ですね。そして、そんな彼女が毎回何かしらの事件に巻き込まれる、というのが基本のストーリー。しかし、王女といってもマテリアはおしとやかになんか全然育っておらずむしろ暴れたいクチなので、大喜びで事件に巻き込まれて行くのがミソかも。1作目は乗っ取られたアレサ王国を解放するまでのお話、2作目は因縁の悪者ハワードとの決着、3作目は過去のアレサ王国にて、といった感じ。今遊びなおして再確認したりしていますが、やはり普通のいわゆる「剣と魔法」とは一線を画した雰囲気があって、筆者的に好感度は高いですねえ。


●単位はPERA。なんか貯まらなさそうな名前

 どんな感じに他一般と違うのかというと、まずは金。なんだか知りませんが妙にシビアでして、物価は桁外れに高く(一番安い武器で2万とか)、怪物撃退による収入は異常に少ない(500とか)んです。その上怪物もある程度こちらのレベルが上がった時点で出現しなくなります。要するに、各ポイントごとにレベル制限があるってことね。なので、地道にやるなら迷宮の中の宝箱を漁って金を拾い集めるしかありません。この宝箱の中身が法外な金額だったりするのも(10万とかはザラ)可笑しいんですけどね。

 んで、地道にやらない、というかちょっと先んじてでも買いたいものがある、となればキャッシュディスペンサーを利用することになります。ていうか、普通剣と魔法の世界にそんなものねえよ。使い方としてはまさに「あっとその時!!」なんですが、「借金トンボ」なる謎の生物がいつでも取り立てに来る、というのと必要なときに限って「ディスペンサーがねえ!」というのがあったりするんで気軽には利用しづらいのがネック。筆者は「サヤンの鏡」という松明的なアイテムを買うときに、ディスペンサーの不在ですごく困りました。

 それとか1作目では、ゲーム開始直後に「金はディスペンサーの中に入れてあるから好きに使え」と言われるらしいのが非常に印象深い話です。ていうか、そんなに金に関してきついゲームなのに武器が壊れるとか、その壊れた武器を状態変化にかかって投げ捨てるとかいうシステムは勘弁してほしいところですが。

 ついでにこのゲーム、ストーリーを進めないと「余った装備品を売る」という店が出現しません。さらには売却できる品物も店ごとに決まっているという始末。買い換えた武器を気軽に下取りに出せないということなので、割とストレスが溜まります。普通、武器屋で下取りとかもできるようにしないか?


●このじじいが食わせ物でしたねえ

 他一般との違い、その2。魔法の話です。この世界だと、魔法はベン=マルキストという人が作ったんだかどうかしたんだか、マルキストフォースという魔法の本を用いて使用します。ところがこのマルキストフォース、未完成というか成長過程にある代物でして、なんでも「使えば使うほど成長していく」んだそうで。なので、フォース開発直後の1作目では成長が足りず、攻撃魔法が一切存在しなかったという話。今筆者が遊んでいる2ではそれなりに開発が進み、一応後半でもらえる魔法の本に攻撃魔法が用意されているんですが、まあなんというか変わった経緯だなあと思うのです。後のスーファミ版1作目ではこの「使えば使うほど成長していく」という概念がシステムに取り入れられていて、結構面白い味わいを醸したりしていますがそれはまた後で。

 ちなみにゲームボーイ版、魔力を数値化したパラメータ(いわゆるマジックポイント)がねえなと思っていたら、なんと体力を消費して魔法を使っていたそうで。道理で魔法使いが簡単に死ぬわけです。魔法失敗率が結構高いのに殺生な話で。パラメータアップ系の魔法に具体的な効果が見えないのも結構困り者だしなあ。


●燃ォえ尽きろォォォォォ!!

 ああそうそう、それと魔法関連の面白いシステム。ゲームボーイ版では開始直後に「カプセル」なるものがもらえます。何に使うのかというと、怪物を閉じ込めるのに使うんですね。で、どのように捕まえるかといえば、怪物へのとどめの一撃をマルキストフォースの「ファイアボール」で行えばいいのです。が、普通に撃ちこんでもたいがい弾き返されてしまうので、欲しい怪物は徹底的に痛めつけ、抵抗できなくしてからファイアボールで焼き尽くすと。いや、本当にこういう描写です。モンスターの燃えカスをカプセルにポイと放りこみます。

 カプセルに入れた怪物の燃えカスは、使い捨ての味方戦力として活用します。これが雑魚でもかなりの戦力になったりするため、とってもお役立ち。後半登場する中ボスなどはラストボスを圧倒するほどの戦力になりますので、是非活用していきたいところですね。唯一の問題は、ファイアボールの命中率の低さ。

 それで、このカプセルモンスターの仕組みを改めて見直すと、「ポケットモンスター」の捕まえ方にそっくりですね。やっぱり、怪物を捕獲するとなると「ボコボコにしたうえで網を投げる」のが一番いいんでしょうか。


●ナマズが「ナマズの肝」を売ってるというのはどうか

 他一般との違い、その3。キャラクターとか。「アレサ王国」というのが舞台だとは先ほどお話ししたと思いますが、このアレサ王国、国民のラインアップが妙です。いわく、トンボとか大蟻とかてんとう虫とかナマズとかゾッピーとか。一応人間もいるんですけど、しかしなあ。全部人間と同サイズ、というのもスリラーな話で。あ、ゾッピーというのはなんか形容し難い生物です。ファイナルファンタジーのモーグリみたいな位置付けですかね、モーグリに比べると全然かわいくないですが。

 それと、このシリーズはアイテムの名前がよくてですね。回復の薬が「マチョビタン」、眠気覚ましが「オハイヨ」、混乱解除が「コンランドリー」、一撃死の呪薬が「シンデクレヨン」など、どのようなセンスのもとに名づけられたのか想像もつかない結果となっています。すごいセンスだよなー。

 他に、聞いた話ですが怪物は総てラストボスのハワードという人が水晶に魔法をかけて作り出しているとか、パーティメンバーのドール(※2)という魔法人形も生産者が違うだけでそれと同じ方法で製作されているとか、とかくちょっと変わった世界観に染まったゲームでした。

 そういやそのハワードの経歴で「兄弟子を殺して云々」とかあるんですが、その兄弟子の名前がジェフなのはサウスタウン物語(※3)ですか? これでハワードの名前がギースでジェフの姓がボガードだったらマジで本物なんですが。


●シャンパン屋はどこにあるんだよ!?

 ちょっと苦言。今2作目を遊んでいるんですが、ストーリーの流し方が強引というかめちゃくちゃなところがありまして。ゲームは最初、マテリアの誕生日だというところから始まるんですが、ここで育ての親に「シャンパンを買って来い」と金を3万ばかり渡されます。で、ついでにドールも呼んで来ようとてプレイヤーに操作が渡されるんですが、最初の街のなかにはシャンパンを売っている店もドールの姿もありません。こりゃ一体どうしたことか。

 実は、マニュアルには「ドールは『ウルウルの砦』にいる」という情報が記載されているんですが、ゲーム中にはその情報が一切露出してきません。ウルウルの砦とやらの場所についても情報がありませんので、前作を遊んでいない人は最初にもらった金で装備品を買い込んで街の外に出て行き、あてどなくさまよって現時点で選択できる行動を総当り的に潰して行く必要が出てきます。その金はシャンパンを買うための金じゃないのか

 マニュアルの話は読めばいい、というだけなのでまあいいんですが、しかし地理的な情報についてはなんともなあ。砦に行きたいのに「プキの門がどうたら」とか言われても困るだけだって。


●「素手で十分よ! ボテボテにしてやるわ!!」

 実際のところ、このゲームは完全な面クリア型の進行でして、フラグを満たさない状態では先には絶対進めないようになっていますし、フラグを満たしたところには往々にして戻れなくなります。まあそれは別にいいんですが、その「先に進めない」という理由が変な人が通せんぼしているからだとか、その変な人がフラグを満たした途端「しょうがない、戦ってやるか」という妙な台詞を残して中ボスになったとか、力技での進行管理が目立ちすぎます。そのくせ露出してくる情報が全体に少なめで(『相談』コマンドを使ってもあまりヒントが出て来ない)、進行に困ることしばしば。キャラクターどころかゲームまで力技かい

 それでも、解けるようには作ってありますし、戦闘バランスが極悪とかそういうわけではありません(良くもないですが、もっと酷いゲームは他にいくらもあります)ので悪いゲームじゃないんですけどね。それに、考えようによってはその妙てけれんなキャラクターたちの態度も妙な世界観の一部とも取れますし。まあ、良くも悪くもクセのあるゲームということでしょうか。しかしながら、今は「ハネスの砦」でヒントの少なさと嫌がらせのようなマップに辟易している真っ最中。これ、ノーヒントで解けるのか?

 ちなみに、シャンパンはエンディングまで引っ張られます。てことは、もしかしてアレサ2の冒険は1日の出来事か?


●トンボとかも一緒に滅ぼされたんだろうか

 では、そろそろゲームボーイの話題も尽きそうなのでスーファミ版の話を。こっちは1作目しか遊んだことはないんですが、購入の経緯とかもあって思い出深いゲームではあります。

 物語は、ゲームボーイ3部作のときからずっと後の話。アレサ王国のお転婆王女の話は歴史の彼方に消えた時期のこと。主人公のアリエルは、自分の出自もよく分からないまま育ての親と暮らしていたが、怪しげなじいさんを禁忌の山に案内したことから事件に巻きこまれ、というお話です。こちらはゲームボーイ版に比べると金の問題やキャッシュディスペンサー、奇ッ怪な住人たちというような要素はかなり削られており、ごく普通に剣と魔法の世界、といった感じなのは寂しいと評するべきか改善されたと評するべきなのか。


●ずいぶんと様変わり

 今作ではゲームボーイからシステムを完全に一新してまして、魔法の仕組み、戦闘の仕組み、フィールドの具合など完全に別物になっています。その結果、ぱっと見も普通のロールプレイングみたいになっているのはどうも微妙なところですが、まあ見かけよりも中身のほうが重要ですし。

 魔法については、これ非常に筆者は評価しているんですが、ゲームボーイ版における「使いこむだけ強化される」という仕組みが採用されております。いいですねこういう自分たちの過去の作品にちゃんと注意を向けているのが見えるのって。具体的には普通のレベル経験点のほか「魔法経験点」というものが設定されていて、戦闘中に魔法をバリバリ使うことで魔法経験点が上がると。要するに、普通のレベルのほかにもう一つ上げなきゃいけないレベルがあるようなもんなのではっきり言ってうっとうしいだけなんですが、でも自分たちで作った設定に従ってシステムを作ってるというのは筆者はものすごく好感を持ちます。稼ぎも超序盤でできますしね。なお、次の作品ではやはりというかこの「魔法経験点」の仕組みは排除されてしまっています。評判良くないのが目に見えるシステムだからしょうがないか。


●「取り囲まれた」感はよく出てますが、取り囲まれてばかりでもなあ

 戦闘。自分たちの四方に敵が出現する、という見かけを取っていますが、結局のところドラクエとかでやられている「スライム2体組みとスライム1体」というのを視覚化しただけ(※4)なんであまり意味はないかなと。この仕組みのおかげで魔法の効果範囲がちょっと特殊、というだけですし。

 というかこのゲームの戦闘には見かけとかそれ以前の大問題がありまして、なんと敵に与えているダメージが一切表示されません。数字どころかダメージの指標(重傷を負わせた、とか)すら表示されませんので、敵にどの攻撃が効果があってどの攻撃が無効にされているのか、とかそういったことがちょっとそっとじゃ分かりません。一応パーティの向きを変えることでどの敵がどの程度弱っている、というのは判別できますが直接のダメージ量を知ることにはつながらないわけで。おかげでボスに効果のないダメージ魔法をひたすら撃ち込み続けたなんていう不毛なことを繰り返したものです。なんでこんな仕様になっているのかは永遠に謎ですが、とりあえず次の作品では改善されたみたいです。当然ですね。


●アンデッドは光のソウル……なんでまた

 それで、今回はゲームボーイ版のカプセルと燃えカスのコンビがない代わりなんでしょうか、敵が「ソウル」という宝石に化けます。これを利用したシステムで「ミクストフォーム」というものが新たに作られました。簡単に言えば武器や防具の合成システムなんですが、これがまた複雑で、ちゃんと利用しようとするとかなりよく説明を読み込まないとルールがよく分かりません。しっかり理解できれば、そしてソウルの収集に時間をかければ強力な装備を作れる、というものなんですが、いかんせん法則が複雑なのと、ダメージ非表示のせいでせっかく調整した装備品の効果がよく分からない、挙句序盤では合成に使用できるソウルの数が少ないため本当に強い装備が作れない、といちいち利用意欲が減じて行く作りになっています。結局どうだったんでしょうかね、これの本当の利用価値って。

 とりあえず、火のソウル10個でファング用の最強武器「ネイルリベェンジ」(本当にこういう名前。普通はリベンジあるいはリヴェンジだと思うが)、土のソウル10個でアリエルはじめ一部キャラクター用の強力な鎧「ロングコート」。この程度です、筆者がミクストフォームに見出した利用価値というか有効性は。


●装備品の種類だけはいっぱいあるんだけどねえ……

 そうそうミクストフォームで思い出しました。このゲーム、装備品の名前とか性能設定がかなり妙な事になっていまして、鎖かたびらとか鉄の鎧に混じってタートルネックのセーターとかダッフルコートとかがあったり(しかもかなりの種類)、仮にも金属で作った小札かたびらよりもなめし革で作った鎧のほうが強かったりします。武器に関しても同様で、明らかに魔法の込められている剣よりもただのでかい鉄棍棒のほうがはるかに強かったりして、実に納得いきません。一番納得がいかないのは、ゲームボーイ版で最強だった剣が、鉄棍棒に劣る威力しかないこと。2種類ある両方がそのザマで、しかもそれをはるかに上回る威力を持つものはただのでかいクロスボウ……。

 とりあえず具体的に名前を出しますので、ファンタジー好きー、とかゲームボーイ版好きー、とかいう人は眺めてみて下さい。ラメラーアーマー防御力92、ソフトレザー防御力180。ミスリルメイル防御力200、スタデッドレザー防御力260。ブリザードソード攻撃力128、モーニングスター攻撃力250。ロングソード攻撃力24、ブロードソード攻撃力120。ハワードソード攻撃力182、ジャスミンソード攻撃力242、アーバレスト攻撃力350。どれだけ変か(※5)、お分かりになります?


●同じ武器なのに威力が違う、どういうことだ?

 ていうか、攻撃力については攻城戦用の巨大なモーニングスターとかアーバレストとかなんだ、と言われたらそこまでなんですが、だとすると普通冒険にはそんなもの持ち歩きません(単純にでかすぎる)し、だいたいロングソードとブロードソードになにか極端な違いでもあるのか? どっちも似たような剣だろ、使ってる材質の違いか? それを言うなら、ミスリルがただの煮込み革に負けてるのはなんでだ? などなど、いろいろ突っ込みどころがありすぎるわけですよ。製作者、たぶん武具の名前だけあちこちから拾ってきて適当に付けたんでしょうね。しかし、特にミスリルの部分は納得いかねえな。それと、フルフォースは入れておいて欲しかった。

 ちなみに、「取りまわしのよさとか動きやすさが装備効果に反映されてるんじゃないのか」という意見もあるかと思いますが、そういった部分は装備効果とは別にキャラクターパラメータの増減で表現されていますのでそんなことはありません。だから変なんです。


●ちょっとしか使えないキャラクターとかもけっこういるしなあ……

 すでに苦言だらけですが、さらに鞭打つかのごとく苦言。

 ちょっとシナリオ、もの寂しいですねえ。行き詰まったりすることは少ないんですが、仲間の入れ替わりが激しいのに装備制限が強めだったりするもので、せっかく作った最強剣、ラストメンバーでは誰も装備できませんとかけっこうあってミクストフォームがさらに虚しくなってますし(途中で抜けるアナスタシアの専用最強武器なんて、何か意味があるのか?)、説明不足で何がなんだかわからない奴とかいますし、ていうかエルダとエフライムってどうなったわけ? とかレイラはどういう理由で生まれたわけ? とか、ともすればアリエルって何者なの? とか未だに消えてない疑問も多いわけですよ。

 まあ、「想像の余地があるんだよ」ということかも知れませんが、それを言いすぎると今度は「説明する気がねえのかてめえ、つうか考えてねえな」となりますので適当なさじ加減で終わらせなきゃいけません。ていうか、伏線の未消化てのも絶対あると思うぞ。


●ていうか女神の光って何者よ

 そして最大の疑問。マテリアはどうなって、今何をしているわけ? ゲームボーイ版のラストがあまりにもあっさりと終わり、しかも筆者の知る限りなんのフォローもされていないのでこの辺は最大の謎にして、最もスーファミ版に期待していた部分でもあったわけです。が、ゲームボーイ版の話はすっぱりと切られているうえにドールも何も語りませんので、最大の謎は謎にして終わっているんです。これは単純に筆者の期待しすぎかも知れませんが、しかし非常に残念だったことも確かで。


●ちなみに、1の伏線は2には一切活かされてないそうで

 ……見返しても、やはりスーファミ版の話は悪いところの挙げつらいみたいになっているなあ。しかしまあ、ゲームそのものは割とストレスなく遊べる仕上がりなので、ゲームボーイ版のことを忘れて遊べばかなりイケると思います。魔法のレベル上げが面倒だったら序盤で全部覚えさせればいいだけのことですしね。でも、それ以前にこれに目が行くかどうか、と言われるとあんまり行かないかも、としか言えないんですが……。もし興味を持ったという人は、今だったらめちゃくちゃ安いんで買ってみるのもいいんじゃないかと思いますけどね。

 そうそう、このゲーム、音楽の切れ間がほとんどありません。どういうことかは実際遊ばれるのが一番ですが、割と驚きますよ。あと、魔法の名前がなんか非常に気に入ったりしてましたね。あー、そんなことはどうでもいいんですが。とりあえず、筆者は好きなゲームではあります。それと、当時これを教えてくれたガンメン氏と業守氏に感謝の祈りをささげます。ビコーンビコーン。


●ブライトボルトがお役立ち

 忘れてた、魔法レベルの上げ方。超序盤、ニネヴェ近辺に「デスフライ」という敵が出現します。超絶的な雑魚なんですが、こいつは風系の魔法に完全な耐性を持っていますので、出現したらひたすらエアポーズAを撃ち込み続けます。ファングは防御、ドールは適当にヒーリングでも使っておけばいいでしょう。これだけです。もしめんどっちかったら、全員回復魔法連発でもオッケー

 こんなやり方でも魔法経験点は蓄積されますので、ちょっと気の長い話ですがそのうち魔法を覚え始めます。マジックポイントが尽きるまで魔法を撃ち込んでから戦闘を解決する、これをしばらく繰り返せばいいでしょう。ただ、魔法を使った回数が多いほうがいいのか、それとも強力な魔法を繰り返して使うのがいいのかはちょっと分からないので効率がいいと思ったほうを各自試すようにして下さい。

 回復は、魔法を使いつづけることもあってアイテムに頼ることになりますが、どっちにしろニネヴェがすぐそこにあるので困ることはないでしょう。ドールは一度離脱しますが、復帰したときに魔法レベルを上げて帰ってくるのである程度上げておけば十分、むしろアリエルの魔法レベルは限界まで上げておくことをお勧めします。ノーヴァまで覚えてしまえば、あとは先に進めるだけです。そこまで気が長くないという人は、ブライトボルトまで覚えれば十分です。逆に言えば、ボス戦においてはブライトボルトもしくはブライトムーンCが必殺武器となりますので、範囲攻撃であるブライトボルトがないと後々困ります。実際、ボス系に対してはノーヴァよりもブライトボルトのほうが有効ですしね。



※1 マテリア

 ファイナルファンタジーのアビリティ宝石のことではない。先述のとおり、ゲームボーイ版3部作の主人公で、双子の妹にエミリータがいる。初作ではだいたい十代前半、2作目では16歳程度、3作目では二十歳程度。3作目のラストで母に導かれて女神「アレサ」となったようだが、その後は結局なにもしていない。

 性格としてはお転婆、とあるがお転婆というよりは狂暴で、お礼参りは大歓迎、そのお礼参りの相手を撃破した後に「弱いわねェ」と平然と言い放つ。基本的に「物事の解決は力で」というタイプ。ゲーム中、子供にババァ呼ばわりされるシーンがあるが、筆者はいつ剣を抜いて子供に斬りかかるかと気が気でなかった。

 マテリア本人は未婚のまま姿をくらましたが、妹のエミリータは結婚し、キーナとクルマナというこれも双子の女児を生している。姉娘・キーナの方は伯母そっくりに狂暴だったというが、王国はその姉娘が女王を務めていたときにヴァンダール帝国に襲撃されて滅亡してしまうという嫌なエピソードが追加されている。


※2 ドール

 ゲームボーイ3部作とスーファミ2作、他リジョイスという外伝的な作品のすべてに登場しているキャラクターで、目立たないがいい脇役といった感じ。マテリアの片棒を担いで暴れまわるだけあってけっこうな性格をしており、よくぼそっと毒舌を振るう。

 スーファミ版ではマテリアが姿を消した後にも国を守って戦っていたらしいことが伺えるが、封印した巨悪の復活を予測して自分もコールドスリープについた結果記憶をなくしてしまったのは実に彼らしい間抜けぶりだ。その生い立ちゆえに魔法的な呪縛には非常に弱く、敵に操られたり贋物を作られたりと割と気の毒。ゲームボーイ版1作目ではこいつが張り切りすぎたおかげでラストバトルが存在しないらしい


※3 サウスタウン物語

 ちょっとぼかした言い方だが、要は餓狼伝説のこと。もともと餓狼伝説はギースに謀殺された父ジェフの仇を取るために義理の息子二人が暴れ出す、という話だった。最近は餓狼伝説シリーズもすっかり絶えてしまい、キングオブファイターズシリーズにキャラクターだけがしぶとく出続けるという悲しい事態になっている。最近の若い連中は、テリーとアンディは義理の兄弟だとかリョウはテリーよりおよそ10歳程度年上だとか、そういう設定を知っているのだろうか。


※4 敵配置の視覚化

 なんかドラクエのファンサイトとかで、引き合いに出したような配置は変じゃないか、という投稿を見かけた事がある。それに対する返答として、パーティの右にスライム1体、左にスライム2体というのを簡略化して表示していると思って欲しいということだった。筆者個人としては非常に納得のいく説明だ、と思ったものだがいかがか。んで、このアレサ(スーファミ版)では実際に右を向いたり左を向いたりする必要があるので、グループが云々ということについてはもう少し分かりやすいんじゃないかなと。まあ、それを理解するためだけに中古屋で500円も払えとは言わないが。


※5 変な性能設定

 一応細かく解説。

 ラメラーアーマーというのは金属で小さい札を大量に作り、それを紐とかでつないで作った鎧で、ソフトレザーというのはなめし皮とかで作った鎧。バイクの革ジャンパーとかみたいなのを想像してもらえれば、それが金属で作った鎧よりも頑丈かどうかは自明のことのはず。そうであって欲しい。

 ミスリルメイルというのは「ミスリル」という架空の金属で作られた鎖かたびら(メイルというのが帷子系の鎧のこと。メイルアーマーという言い方もあるらしい)で、とてつもない防御力を誇る逸品だ。スタデッドレザーというのは、確か油で煮込んで堅くした革で作った鎧で、確かに頑丈だそうだがこれもミスリルとは比較のしようがないものだ、とはお分かりいただけるかと。どうしても、というなら巨大なトロールの渾身の一撃に革鎧が耐えられるか、ということを考えてみて欲しい。手っ取り早いのは、映画なり小説なりで指輪物語を見ることだ。

 ブリザードソード、というのは当然実際には存在しないのでなんとも言いようがない。もしかしたら、これが弱いのはレイピアみたいな貧弱な剣に魔法をかけたからだ、なんていうのが理由かも知れないわけだし。

 モーニングスターというのは鉄球の周りにびっしりスパイクを生やした武器で、このスパイク球そのものがモーニングスターというそうなので鎖でつないであるか鉄棒の先についているかは問題じゃないらしい。

 ロングソードは刀身が1メートルそこらの剣で、ブロードソードも刀身の長さそのものは大して変わらない。ちょっと幅が広いくらい。それだけなのに、6倍近い威力の差なんてつくか? 一応西洋の剣は武器そのものの重みで敵の肉を断ち斬るという使い方をするものなので物理的に重い方が高威力なのは分かるが、しかし6倍とは……。

 ハワードソードというのはアレサ1、2の最強剣で悪者ハワードが作ったという魔剣。切りつけると同時に火球を噴き出すという嫌な剣。同様にジャスミンソードというのはアレサ3において刀鍛冶ジャスミン=ガイが作った最高傑作で、なぜかハワードソード同様に切りつけると火球を噴き出す。で、アーバレストというのは単純にでかいクロスボウ。もともとクロスボウというものがかなりの威力を持つ(並の鎧なら軽々撃ち貫くという)ので威力云々は別段いいにしても、一本きりの魔剣とか超絶的な名剣が一般に生産できる武器には負けて欲しくない、と過去のシリーズファンは思うのだ。