〜ベルセルク 千年王国の鷹 聖魔戦記の章〜
機種:プレイステーション2
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●一匹残らず、しらみ潰しだ!!

 最初に断っておきますと、私もともとこの漫画大好きです。だから今日は、ちょっと暴走気味かも。

 今から10年とちょっと前ですか、高校時分に友人から「スゲエ漫画があるんだよ」と言われて渡された超殺戮バトル漫画がこのベルセルクでした。巨大な異形の剣を携えた「黒い剣士」ガッツの、壮絶な戦いの旅。血と死体、苦痛と怒りで彩られた夜の旅。

 はじめはそれこそガッツの想像を絶する戦いぶりに目を奪われ、敵に対する凶悪なまでの容赦のなさに心を奪われるばかりだったのですが、物語が進むにつれてなぜ彼がかくまでに敵に容赦をしないのか、またなぜかくまでに冷酷とも取れる言動を取るのか、よく分かってきまして。……地獄を味わった者だからこその、強さ。価値観。半端な感情はすべて、ガッツの前に立ったとき地獄で鍛えられた心の刃の前に斬り裁かれ、「甘えにすぎなかったのだ」ということをまざまざと見せ付けられます。剣を激しく振るう彼の姿も、世俗に満ちる人々の惰弱な心をぼそりと一言で斬り裁き、黙らせる彼の心の有り様も、雄雄しく、美しい。いつしかそう思うようになっていました。

 もちろんまじめで厳しいだけの漫画でもなく、可愛らしく変なムードメーカーや、時折登場する並み大抵ではない奇人(※1)がいたってまじめに物語に織り込まれますのでそういう点でも私は大好きなのです。青鯨超重装猛進撃滅騎士団団長アドンや黒犬騎士団団長ワイアルド、クシャーンの王子シラット辺りはたぶん私のようなひねくれ者の心の琴線を直撃したことと思います。

「黒犬騎士団心得!」
「え、エンジョイ&エキサイティング!!」

 伝説の名文句でしょう。


●ドラゴン殺しの一撃に耐えられる人間なんて、たぶんいないよ

 それからしばらく、この漫画はアニメになり、そしてドリームキャストでゲームになりました。アニメは第一話だけ観て残りは時間帯の問題で観られず、その時点では「うまくやってるな」と思ったのですが、後で聞くとどうも評判悪かったみたいで。アドン閣下はともかく、ワイアルドがカットされたという話はショック以外の何者でもありませんでした。「つまらない大人になっちゃうよ〜?」 シラット殿下はどうだったんでしょうかね、あの壮絶な体術は見てみたかったのですが。

 それでゲームの方も、評判はどうだったのか分からないんですが個人的にはバイオハザードと同じカメラワークを取っている故の難点(※2)がありまして、また人間が即死しないとかいろいろこまごまと不満があったもので、ちょっと遊び続ける気にはならなかったのですね。悪くなかったとは思うのですが、いかんせん荒削りな部分が目立ちすぎまして。オリジナルエピソードということですし、見ものだとは思うのですけど……。

 そんなわけですから、今回のプレステ2版も正直期待はしてなかったのです。「前作のままだったら、たぶんきついよ」という具合でね。で、「買ったよー」という友人に、見せてもらいました。いや、甘かった。すごいです今回、前作に比べてはるかによくなってる!


●そこら中が血の海に……

 今回は、前作と違い原作の漫画にもあったエピソードのゲーム化という形です。ただ、オリジナルエピソードがいくつか無理のない形で織り込まれていてその部分でも見ものではありますね。もちろんゲームそのものも、カメラワーク方式や基本システムの変更などによって格段に遊びやすくなったという印象を受けます。前作でも相当のものだった巨剣「ドラゴンころし」の迫力は今回さらに増していて、まさに漫画の光景が音つき、声つき、悲鳴つきで動いて再現されるという具合になっています。すごいです、ほんとに。

 ただ、今回のミソは、「カウンターアクション」「ガッツアクション」に集約されます。それぞれどういうものかと言いますと、カウンターアクションは敵の攻撃に対し、絶妙のタイミングで防御ボタンを押すことにより短いデモ映像が入り、逆にダメージを与えるというそれ自体は大いにありそうなもので、またガッツアクションは画面にサインが出ている間に強攻撃を敵にヒットさせることで発動する、一種の魅せ攻撃です。同時に敵の特定の部位を破壊したりして特殊な効果も期待できるというものなのですが、凄まじいのはこのデモ映像の出来でして、原作世界にあった、強者と強者の人知を超えた剣撃乱舞を余すところなく映像化しているのです。

 特に、ライバルとも言える魔人とガッツの戦いでは「連撃の最中、地面に刺さっている剣を取って瞬時に二刀流に切り替えさらに畳み掛ける」「地面の剣を蹴り上げて緊急回避に使う」など両者天才的な剣技と戦いのセンスを魅せてくれますが、この息詰まる応酬が完全に再現されています。ガッツの撃ち下ろしを紙一重でかわし、体勢をわずかながら崩したガッツめがけて必殺の斬撃を撃ち込むゾッド。その、攻撃に意識が集中した瞬間を狙い澄ましたガッツの斬り上げを、さらに身体を反らしてゾッドが回避する。追いの斬撃を送るも巨剣はすんでのところでゾッドのラム・ダオに阻まれる。両者間合いを外し、瞬間にらみ合う。わずか3秒ばかりのカウンターアクションのデモ映像ですが、この迫力ばかりは実際に観てもらわないと、言葉だけではとても伝えられません


●おい、今手足があさっての方向向いてなかったか!?

 もう一つ、絶対に観てもらいたいのが、竜に変じた豪傑との戦いでのガッツアクション。このときのガッツはとある事情により身体のリミッターが外れた状態となっており、自分で動かしていても「嘘……」とつぶやいてしまうような動きを見せます。そんな中での白眉がこのガッツアクションでして、体勢を崩した竜の身体を駆け上りながら一瞬で頭部に三連撃、駆け上がった反動でそのままジャンプして頭に回転斬りを一撃、飛び降りてからもう一度飛びかかりつつ一撃、暴れるその頭部にさらに一撃を加えてから離脱するという華麗なアクションを4秒そこらで見せてくれます。とにかくボス戦での両アクションは難しい分どれも必見、そう言い切ってしまいます。

 そうそう、雑魚にももちろんガッツアクションは炸裂しますよ。こちらは剣技の応酬ではなく一撃必殺アクションとして表現され、これも対集団戦では非常に役に立ちます。個人的にはトロール相手の「蹴り、柄頭殴りから首落とし」「巨剣の腹で殴ってから首落とし」が大好き。ゴーン、と除夜の鐘もかくやといわんばかりのいい音が鳴ります。あと、カウンターアクションはどうも一見無理そうな攻撃も取れるようですね。グルンベルドの火炎放射にも対頭振り回しと同じ、口に手を突っ込んで発砲から瞬間六連斬が炸裂しました。


●剣撃アクションの新しい魅せ方?

 えーとね、コレ遊んでて、百匹斬りモードのゾッドと何回も戦って殺されてを繰り返して思ったんですが、これまで剣撃の応酬や拳と拳の応酬、激しい打ち合いをゲームの仕組みに組み込んだうえでしかもうまく演出してのけたという例は極めて稀有なのではないかな、と。いろいろありましたよね、ドラゴンボールの気功波同士の押し合いや幽々白書の「ラッシュ」でしたっけ、正面からぶつかり合って連続パンチで相手と押し合うっていうのは。ジョジョにもありましたし、またギルティギア辺りの「攻撃に攻撃を合わせると弾き合う」というのもこれに類するものでしょう。

 でも、私の知る限り、そういう要素はどれも見るのが難しかったりただわずらわしいだけだったり、そもそも任意実行が不可能なレベルだったりして「あちらを立てればこちらが立たず」だったように思うのです。エルツヴァーユも攻撃ヒット時の演出はすごかったですが、攻撃同士の打ち合いは地味でしたし。ああ、エルツヴァーユもこのゲームとメーカー同じでしたね、このノウハウ使ってエルツヴァーユをさらにかっこよくしてくれんものだろうか。でも、少なくともこのゲームでは、ガッツアクションにしろカウンターアクションにしろゲームの進行には必須のものとなりますし、使用についても極端に難しいというものでもありません(一部早すぎる攻撃は極めて取りにくいですが、それでも取ることはできます)。さらに何より、かっこいい! 言うことなし、そう思います。


●グルヴェイグだけ由来が分からん

 ほんとにこの仕組み、ほかの剣撃アクションものでも取り入れるんじゃないか、そう思いますね。個人的にはフレームグライド、アレにこのガッツアクションとカウンターアクションを取り入れたものを遊んでみたいです。フレームグライドも、基本兵装に巨剣が含まれるんですよね。銃、巨剣、盾、砲に拳ですか。アーマードコアと同じメーカーの作品ですが、アーマードコアとは似て非なる方向性を模索したゲームでなかなか個人的には好きでした。まあやはりというか荒削りな点も多かったりして評判伸びないまま終わってしまいましたけども。アレでカウンターアクションのような剣の打ち合いが入ってたら、さぞかし派手なシーンができたろうと思うのです。

 フレームグライドは剣はただ振り回して当てるだけ、オープニングのように剣対剣の打ち合いはできない仕組みでした。連続剣も特定操作で三連撃だけ、しかも相手も鉄塊なのに斬ると「ざしゃっ」て音がする、オープニングだと「ガシィン」て衝撃音なのに。操作の単純化などを図るうえではある程度は仕方ない、それは理解できますけど「えー?」と思ったのも確かで。特にミョルニール、アンスウェラー辺りはものすごい衝撃音がしそうな重厚なデザインなのに「ざしゃっ」て。ああ、アンスウェラーのあのデザイン、好きだったな。

 そういえばグルヴェイグ辺りもデザインが好きで、また使ってみたい武器コンセプトだったんですけどもね。短い剣を先端に備えた両刃斧、振ったり突いたりいろいろできるかっこいい武器だったんですが、システム上通常斬撃では突きにしか使えず。もったいないなあ。まあ私の場合は通常斬撃と魔法剣の使い勝手を考えたらデュランダルしか道がなくてそれを使うしかなかったんですけど。つうかあのメーカーはデモ映像で普通にやってることが実際のゲームではできません、てのが多くてね。ちょっとがっかり。


●嫌なことでも言われたからってやるのはガキの使いってんだぜ

 それから、これも大事なこと。ガッツの、他者には冷酷にさえ映るその人生哲学も、しっかりゲーム中に含まれています。このゲームでは、ゲームオリジナルのキャラクターとしてシャルルという男の子が登場するのですが、彼もまた「使徒」となっています。

 知らない人のために説明の必要がありますね。人の人生というものは、時としてあまりにもつらい出来事が多々あります。人はそれを運命と呼びますが、運命はまた己が選んだ者たちに、救済の手を差し伸べることがあります。それが「ベヘリット」と呼ばれる卵のような物体でして、これは選ばれし者のもとに行き着くよう出来ています。そして、運命の輪が選んだ者に苦難を、想像を絶する苦難を与えたときにこのベヘリットが「天使」を呼び、そしてその選ばれた者は天使たちに大切なものを捧げることによって人間を超越した存在「使徒」へと転生を遂げるのです。複雑な事情により、ガッツの敵はこの使徒という名の怪物たちや「天使」たち、ひいては運命そのものとなっています。

 で、そのシャルル少年ですが、幸せに暮らしていた彼はある日理不尽な出来事によって、まだ幼い最愛の妹のみを残して総てを失ってしまいます。絶望に囚われたシャルルは廃墟となった我が家でベヘリットを見出し、そして使徒となりました。それから彼は自らよりどころを築き、そこで静かに暮らしていたのですが、その平穏はガッツの来訪によって失われます。それ以後少年はガッツの後を執拗につけ回し、ガッツにとってもっとも苦しく、悲しい形で死を与えようと目論むのです。ですがその目論みはガッツの意思の前に崩れ去り、そしてシャルル自身も倒れることになりました。

 細かいやりとりは正確に覚えておらず、また確認にも非常に時間がかかる以上ここでお話しすることはちょっとすぐにはできません。ごめんなさいね、頭良くないもんで。ただ、印象に残った言葉はいくつか、おぼろげながら覚えてます。

「お前を殺せば、僕らはまたあの平穏な花園に戻れる!」
「吹けば飛ぶような花園だがな」

「痛ェか? これが、現実ってやつだ!!」

「なんで……なんで! なんで効かないんだ!」
「現実ってのは、厳しいもんなんだよ!」


●闇にまみれた薄汚え命……その通り。命ってのは飾りもんじゃねえのさ、ぼうや

 難しいものでしてね、私なんかは「自分はまったく悪くないのに周囲の勝手で地獄を味わわされた」というシャルル少年のつらさは分かるつもりでいます。もう余計な面倒はごめんだ、僕は静かに暮らしていたい。そう思う気持ちも同じ。ただ、「花園の中でぬくぬくしてるだけの人生なんて、生きてるとは言わねェ」と言われたときに、少し寂しくなったのは事実です。生きてるという実感を得られる、そんな人生は羨ましいな、と。

 私は別段好きで生まれてきたわけではありませんし、未だかつて生きてて良かった、生まれて良かったなんて思ったことはありません。その逆はいくらでもあります。世の中には嫌なことばかりですからね、楽しく時間を過ごしていても周囲の勝手でいきなり不愉快な思いをさせられる。今の願いは「静かに、余計なものにかかずらわずに、速やかに命を終えること」です。口先だけではなく、これまでの経験から私はそういう願いを持つようになりました。少なくとも、並々ならぬ経験は何度もしてきてますからね。だけど、ガッツのように強く、強く生きてる人から見れば、所詮私も「世間の厳しさに耐えられなくて花園に逃げ込んだ、甘ったれた子供」なんでしょう。肯定します。まあ今更、どうしようもないといえばそうだけどさ。たとえ花園の中でも、私の成さなくてはならないことのためには相応の苦労もあります。

 誤解する人がいそうなんでこれだけは言っておきますけど、ただ他人に「自分だけつらいって顔すんな」と言うのは簡単ですからね? ただ、人にそう言えるだけの重みがあなたにあるのですか、と。人は別の個体のことを理解できるようにはできてませんが、だからこそ「理解できてるような顔をする」というのは非常に危険な行為です。それでもなお「甘えてる」と言われた相手に反発させず納得させるには、言う側が地獄を乗り越えてて、人としての重みを持ってないと無理なんですよ。「分からんね」というならば、そもそもそんな人間に「甘えてる」などと他人に言う資格は存在しない、覚えておいてください。

 このベルセルクもそうなんですけど、「銃夢」って漫画も強い精神力のすごさを、「強い人間」の有り様をうまく描いてますよね。生きることは戦うこと、それをそのまま体現してるすごい漫画だと思います。


●まあ、何とかなるんだから些細なことかも知れませんが

 これからこのゲームを遊んでみようかな、という人に、先にお話ししておきます。前作に比べてかなり良くなったといってもまだ少々荒削りな部分が目立ちましてね、今から言う箇所はよほど意識して操作しないと怒りゲージを溜めることになりますので注意してください。

  • ロックオンが甘い

     もとよりボタンを押しっぱなしでロックオン、というのもどうかと思うんですが、敵を認識する範囲で微妙なところがあります。かなり遠くからでも相手を捉えることがあれば、すぐそこにいるのにあさっての方向を向きっぱなし、とか。何度かボタンを押しなおしても駄目な場合もありますので、そういうときは踏み込みで距離を離したほうが安全でしょう。それと、背中側に敵を回してしまうとロックオンが強制的に外れますので注意してください。

     もう一つ、ボス戦ではロックオンはほとんど必須といえますが雑魚戦ではまともに敵をロックせず、使い物になりません。ロックオン中の斬撃も、敵に対する方向補正がかからないため大きく踏み込むような攻撃を出してしまうと敵の後ろまで通り抜けてしまい、隙を作るという有様です。特にロックオン中の斬撃は強攻撃につないでもつながなくても終了時の隙が大きいという驚愕ものの仕様ですので、ロックオンを途中でやめるなどして工夫しないとつらいです。念のため、ロックオン中の斬撃は二発目までならロックなしの斬撃につなげます。

     またこれに伴う事柄として、時折敵をロックした状態で飛びのきを行おうとしてなぜか通常の踏み込みが出てしまい、斬られて敗北というのが何度かありました。入力方向というのは関係なさげだった(レバーは明らかに下方向に入力されてました)ので、こういうこともあると覚えておいてください。

  • 飛び道具に対する対策がほぼ存在しない

     一部、鷹の団の兵士や死霊傭兵、トロールなどにクロスボウを持った連中が混じっていますが、こういう飛び道具に対する緊急回避というものが存在しません。一見回避に使えそうな踏み込みも攻撃に対するヒットが残っていますし、防御も動けなくなるというところからダメージを受けないだけで無力、根本的な解決にはなりません。さらにはダメージ時の「リバーサル」も飛び道具に対しては発動しません

     すさまじいのはどれもクロスボウを連射してくるという点で、クロスボウの連射は構造上の問題で本来リピーターくらいでしか実行できません。一撃で死んでくれる兵士くらいならともかく、耐久力の高いトロール辺りに三方向に散られてクロスボウ連射などをやられるとほとんど死が確定、そういうレベルにまとまっています。これがため、回復の使えない百匹斬りモードはすさまじい難易度になります。とりあえずロックオンクロスボウで対抗するくらいしか思いつかないのですが、ロックオンもまた微妙な精度なんで頼りにしきれないんですよね……。


 こんなもんかな。後はステージ構成がちょっと冗長だったり敵の配置がいやらしいところがあったりしますが、まあなんとかなるレベルですからいいんじゃないですか? しかしコレ、最初のうち強く思ってたのは「ウルトラマンのゲームと方向性がよく似てるなあ」と。こないだプレステ2でウルトラマン出たでしょ、アレも原作世界の再現は120%のレベルなんですよ。出撃するジェットビートルが少し揺れてたのは本当に感動ものでした。ただ、その分荒削りな部分が目立ってしまって少し味を落としてしまっている、というのがね。左レバーの入力方向で把握しきれないくらいに攻撃パターンが変わるってのも似てますし。

 でもま、原作の漫画が好きならこれは「どういうゲームなのか」くらいは知っておく価値があります。ガッツの剣技はどれほどのものなのか、なかなか見る機会なんてないと思いますよ。オープニングの曲(ラストバトルの曲も同じ)、すごくかっこいいし。


●友達ってのは、半端じゃなく重い存在だと俺は思うよ

 一つ、言い忘れていたことがありました。これを見てくれてる人、あなたにとっての「友達」。「仲間」。それは、どれほど重い存在ですか?

 このゲームにおいて、ガッツは「もう会うことはできない」と完全に理解、承知していた人々と、たとえ悲しい形にせよもう一度会うことができました。たとえ、夢に過ぎないと分かってはいても。紛い物に過ぎない、斬らねばならないと分かってはいても。彼らは初め、ガッツに辛く当たりました。「お前のやっていることは、我々の願いではないのだ」と言って。でも、すべてのからくりを知った後に出会った彼らは、戦いのさなかにも「お前は、そうやって邪魔なものを総て斬り倒してきた。もちろん、今でもそうだろ? ……それを、もう一度俺に見せてくれ」と言ってくれます。斬り倒した後に、「戦の後、お前と酌み交わした酒は……うまかったよ」と言って去って行きます。

 「すべては幻に過ぎなかったのだ」と言うのは簡単です。「お前の思う、『言って欲しい言葉』を幻が言ったに過ぎない」と。でも、私にはどうしてもそうは思えない。「銃夢」のジャシュガンのように、そうは思えない。ほんのひと時でも、本人たちが想いを伝えてくれたのだと、そう思えるのです。


●有利に戦いを進めるために

 最後に、私が気をつけてたことをこまごま書いていきます。

  • 敵制圧率は、初回プレイで確実に100%にすること

     一度クリアしたステージは敵を絶滅させることができます。これを総てのステージに対して行うことでとある武器を入手できますが、この制圧率は完遂しないままクリアしてセーブしてしまうとリセットされてしまいます。つまり、完全に最初からやり直し。武器の取得を目論むのなら、必ずその回のプレイで全ステージ分敵を絶滅させてください。

  • 三回目の踏み込みでは、必ず攻撃を出す

     マニュアルにも書いてありますが、踏み込みは三回まで連続して出すことができ、三回目は終了時に崩れた体勢を立て直そうとする動作が入るために大きな隙を作ることになります。ただ、三回目の踏み込みを踏み込み攻撃に変えることで多少隙が軽減できますので、特にボス戦において踏み込みを回避などの目的で使う場合には必ず最後を踏み込み攻撃にしてください。時間のロスがぜんぜん違います

  • 剣技、剣速は早い段階で最大まで上げる

     まず振りの速さがぜんぜん違います。それからこの二つのスキルを最大にすることでさらに使える技が変化しまして、特にロック中のレバー前方向攻撃である走り込み突きはシャルルとの戦いや百匹斬り、ミッション10のゾッド戦で非常に重宝するはずです。

  • パック、義手大砲も早い段階で最大まで上げる

     パックは純粋に回復量が30%では間に合わなくなるからです。一度の操作で80%回復してくれれば、かなり安心できるでしょう。義手大砲は通常使用のほか、敵に組み付かれたときなどに脱出目的で使用することもありますので、チャージが早いほうが便利でしょう。一度の回避に2分待つか、それとも1分と少し待つだけでいいのか。そういうこと。





●おまけ。たぶん称号は以下の通り。他にもあるかもね。

  • 新兵
  • 十人長
  • 百人長
  • 千人長
  • 黒い剣士
  • ゴッド・ハンド
  • エルフ次元流免許皆伝

 受けたダメージの総数と、クリアまでの時間が関係してるみたいです。たとえばボスバトルにおいて、ラストのゾッドあたりは大体2分30秒くらい、体力半分くらいで倒すと免許皆伝がもらえたように思います。これかなり厳しくて、倒した後のデモも容赦なく時間に繰り込まれますから実はものすごく大変だったりします。別になんのメリットもないんですが、新兵は嫌ですからね、ガッツを使う以上は。あとボーナス武器はそれぞれ威力がどうという実感はなさげですが、リーチは明らかに違いますので苦労したい向きにはサラマンデルの短剣なんかが向いてるんじゃないですかね。どれも取得は大変です。



※1 並み大抵ではない奇人

 いたってまじめなこのベルセルクの世界で、いたってまじめに変な人というのもいまして。まあ妖精のパックはもとより変なキャラクターとしてすごい味わいを醸し出す役回りですからいいんですが、ほかの人々はかなりキテマス。

 青鯨超重装猛進撃滅騎士団団長アドン、これは彼が受け持つ騎士団の名前を見ればすでに変人とお分かりいただけるかと。初登場からして大仰に「岩斬旋風……!!」と叫び、叫んでる最中にガッツに思い切り殴られて「が、がんじゃん……」と言い残したり(『岩斬旋風……何よ?』というガッツの台詞がさらに場を盛り上げる)、ほかにもコボルイッツ家に伝わる秘伝の拷問方法「悶絶100年殺し」やら、死んだふりに「活殺自在の術」(『死んだふり』と自分で注釈をつける)と大仰な名前をつけたり、あとなんか不意をついてクロスボウで撃つのにも大仰な名前つけたりして面白いんですよこいつ。最後に登場したときの甲冑もすごかったしなあ……。

 ワイアルドというのは犯罪者のみを集めて結成された汚れ仕事専門の「黒犬騎士団」団長で、何か妙な価値観を持った人物。やることなすこと極悪そのものですが、ところどころの台詞にすさまじいセンスがにじみ出ています。黒犬騎士団心得は誰の心にも強く刻まれているのではないでしょうか。他にもガッツの剛剣を反射神経だけでいなし続けたり歯で受け止めたり、巨大な落石を腕一本で叩き返したりと信じがたい行動を繰り返します。「怪獣かあれは!?」

 シラットというのは、印欧系の痩身の若者。初めチョイの殺され役として定義されたキャラだったそうなのですが、初登場で魅せた、常人をはるかに凌駕する体術言葉では伝えられません!)や「チィィィエストォォォ!!」という奇声が人気を集めたということで今でも元気に登場しているというすごいキャラクターです。いや、あの体術もこのゲームでなら完全再現できるはずなんですが、残念ながらシラットが登場しないため見られません。カウンターアクション扱いで、見たかったなあ……。個人的にはボスコーン将軍の「邪魔なり!!」もすごいと思いました。まじめでも、行き過ぎると馬鹿に見えるのはなんでも同じです。

 最近の登場人物では異端審問官のモズグス様がものすごい人でした。この容貌は絶対使徒だろ、と思ったらただの人間というのがショックだった人で、「剛力招来! 超力招来!!」 「神(ゴッド)! 千手砲(せんじゅカノン)!!」という台詞がひねくれ者の琴線を直撃しました。頂礼もすごかったしな、あんなことやってるから顔が平たくなるんだわ。

 そういやこのゲームで百匹斬りミッション10のゾッドに勝ったとき、パックが「オレが一番ガッツをうまく使えるんだ!」と言い出して、かなり笑わせてもらいました。お前が使ってるんじゃないだろー!


※2 カメラワークの難点

 バイオハザード、ひいてはアローン・イン・ザ・ダークは例えば一つの大きな部屋の中に3箇所カメラを置き、キャラクターの位置に応じてそれを切り替える、そういう手法で画面を映しています。純粋なアドベンチャーならそれは問題ないのですが、いざ戦いが発生したときに、その2つのカメラの切り替えポイント付近で戦うことになればどういうことになるか。ちょっとした立ち位置移動でカメラがころころ変わってしまい、操作方法の不統一頻繁なカメラ交代による操作ミスなどが頻発することになります。ドリキャス版のベルセルクはそこまで極端ではなかったのですが、視界が固定されているのにその視界の外から攻撃を受け続けるというのはどうしても問題でしょう。