〜デジタルデビルストーリー 女神転生1、2〜 機種:ファミコン |
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●こういうことって、ないですか?先日、電車に揺られていてふと思った。「あれのシェルターの音楽って、こうだったっけ?」とりあえず、これまで遊んだゲームにおいてゲーム中の音楽は割と覚えている私のこと、すぐに出てくるだろうと思ったのだがどうも記憶のものはなにか違うような気がしてならない。 そうしてああだこうだと考えているうち、他の音楽やそれぞれの曲の使われていたシーン、そして戦いの記憶などが次々と蘇ってきた。当時思いきり熱中していたから、そういった記憶がとても懐かしい。「そうだ、帰ったら聴いてみよう」 その夜、私は合体材料にされてスライム(※1)になる夢を見た。 ……なーんて、ちょっと気取ったようでいるアホな書き出しで始めてみました。まあ、脚色もありますが電車の中で曲をたどっていたらあれこれ出てきた、というのはほんとです。ということで、今日は女神転生シリーズの原点となったファミコン発売分2本のことを語ろうと思います。
●ファーストコンタクト 〜衝撃〜まずは1作目からいきますか。これ、私は別段興味を持ってなかったタイトルなんですが、中学時分に姉がどういう経緯でかクラスメイトから借りてきたようで、しばらく姉が遊んでいるさまを眺めているうちになぜか私が遊んでいるようになった、というのが始まり。マニュアルはなし、攻略本は遅れて届く、とのことで何がなんだか分からなかったんですが、とりあえず歩いてみようということになりそこらをさまよう私ら姉弟。
私:「武器屋とかは?」 マニュアルがないとは言えかなり豪快な会話ですが、とりあえず武器屋はないものと考えて1フロア降りてみることにしました(下り階段はスタート地点のすぐそばにあるのです)。 で、階段を降りて数歩歩かないうちに敵と遭遇しました。名前を見ればマッドスラッグ、泥なめくじ。まあスライムのようなものだろうと攻撃をかけ、1点程度のダメージ。丸腰だからこんなものかな、とか思っていたら、反撃で受けたのがなんと24ダメージ。おいおいおいおい、こっちの体力25点しかないんだぜ? まあ結果は当然ゲームオーバーです。ボスらしき怪物がこちらをあざ笑うゲームオーバー画面の前で2人そろって呆然としていました。
私:「……これ、絶対武器屋あるわ。なかったらゲームにならん」 それから一週間、どうにか武器屋を見つけてレベルをちょこちょこ上げていた私(当時は交代でこのゲームに当たっていました)のもとに攻略本が届きました。ああそうそう、お店でとりあえず買える武具を一式買ってから再度マッドスラッグと戦ったんですが、与えるダメージは6点程度、受けるダメージは2点程度とものすごく強くなりました。これほどに武器防具の効果の大きいゲームって、たぶん他にないと思います。
●素晴らしきバランスそれで攻略本に目を通したんですが、このゲームすごいです。興味津々で攻略本を読みふけっていたんですが、ふと目にした最終エリアのクリアレベルの目安が61。このゲームの最高レベルです。「有利に戦えるお薦め仲魔」もクリシュナ、ウォンロン、オーディンとゲーム中最強の仲魔が並ぶ始末。装備についても同上といった風情で、たぶん当時のきつめのバランスにおいても「クリアするために最高レベルが必要」と臆面なく言えるゲームはこれだけだったと思います。今のゆるゆるなゲームバランスからは信じられませんね。 それと、後日あるところで最強パスワードを入手したもので、さっそく試してみました。いやー、きついこときついこと。序盤こそすごく楽なんですが、最終エリアのアンフィニ宮殿ともなるととてもじゃないけどいちいち戦ってなんていられません。最強状態なのに逃げ回る主人公の中島たち、ものすごく間抜けかつ悲惨な図です。あの攻略本、なんの誇張もしてなかったんですね。出てくる雑魚敵全部倒してなおラストボスを圧倒できる最近のゲームとはえらい違いです。
●壮絶な血戦中学生当時の話に戻します。攻略本を片手にやっとこさレベルを上げ、ダイダロスの塔最強の仲魔ケルベロス(※2)もメンバーに加え、さあ準備は整った、いつぞに俺を馬鹿にしてくれた魔王ミノタウロスへの雪辱の刻来たれり! 部屋に入るや否や画面を埋め尽くさんばかりの大きさでミノタウロス登場。音楽も重いベースが威圧感を醸し出すナイス音楽(CDではどうしても低音が再現できなかった、とのことで別の音になってます。残念だー)。もう後には退けねえ、やってやるぜ!! と勢い込んで挑んだんですが、これがまた強いのなんの。攻撃回数は多いしダメージはでかいし、こっちのダメージは全然いかないし体力が700とかあるしでもう必死です。長い長い戦いが始まりました。 それからしばらく(体感時間30分)、聖獣バクのメディカル(ベホマと思ってください)、パートナー弓子のメディ(ホイミと思ってください)も尽きかけたころ、「ボスッ」という音とともに画面に表示される経験点とお金、消えうせるミノタウロスの絵、そして耳に入る聞きなれた迷宮の音楽。おお、やったぜ!!
直後、横で寝込んでいた姉を叩き起こして倒した旨を興奮ぎみに伝えると「……んあ? すぺえすしゃとる?」という謎のお言葉。ななな何をおっしゃっているのですか、姉さん?
●消し炭体験記 まあそんな感じでさんざん苦労しつつもなんとかメデューサを倒し、ロキを倒し、やっとこさ行き着いたマズルカの回廊。哀しげな音楽がなんだか心に沁みますが、直後私の命も迷宮に沁みていきました。この作品のサキュバス、強すぎです。5〜8体で出現し、全員でカンデオン(ギガデインと思ってください)を合唱。一発で100点近いダメージを受けますんで、これだけで九割がた死ねます。それでこっちのエトナ(マホトーンと思ってください)は効果範囲が1〜3体、全然役に立ってません。これでどうせよと? と言いたくなりますが、まあこれでもどうにかなるんですから絶妙なバランスというかなんというか。
●目移り目移りただ、この時点ではどうにもできなかったもんで、魔貨(この世界のお金で、マッカと読みます)とマグネタイト(悪魔をアッシャー界、すなわち現世に実体化させておくエネルギー)、そして私の気力はどんどん減って行きます。そうして気力が尽きかけたころ、とある所で女神転生2の攻略本を見ました。……死ぬほど面白そう!! もうカンデオンで消し炭になる毎日なんて嫌だ、俺は羽田のシェルターに移住するんだ!! と燃え盛り、そこにきてさらに友人に「2はねー、ルシファー(※3)が仲魔になるんだよー」という話を聞かされてしまい、もはや居てもたってもいられない状態に。一作目を貸してくれた人に直接談判に行くも「一作目をクリアしないとだめ」とあっさり断られ、こうなりゃ俺が自ら買ってやるぜ、とあちらこちらを探し回ってようやく発見。イヤッホー!! ということで、当時私は1作目を途中で投げ出すかたちで2作目に移っていきました。後に、1作目は雪辱を果たさんと再チャレンジしたんですが、どうにかマズルカは駆け抜けたものの今度は炎の腐海でレベルドレインの嵐にさらされてまた轟沈。パスワードはまだ残っているはずなので、いつかまた続けたいですね。つうかね、必ず解くよ、俺は。 ●つうか、彼女にパンチさせれば必勝なのでは ああそうそう、余談余談。このゲーム、悪魔との会話は最初期の作品ですからかなり乾燥気味なんですが、どうにかするとパートナーである弓子が会話に割って入り、中島に強烈なパンチをくれるそうです。500近い体力が一気に瀕死になった、とのことでとんでもない彼女もいたもんですが、悪魔の性別の書き分けもない時点でそういう強烈なイベントは作っているあたり、製作者の根性のよさがうかがえます。なお、このパンチイベントは「真・女神転生2」に復活していますが、主人公ではなく悪魔に牙が向けられます。会話のできる相手なら例え破壊神シヴァであっても一撃で滅殺という最終必殺技になってます。
●「神」との戦い ここから2作目のお話。これは1作目に比べると迷宮のサイズ、戦闘のテンポ(3倍くらいよくなっています)、バランスなどで強力に改善が加えられています。物語も、前作が中島のカルマの消化のような感じ(原作つきですし)だったのに対し、より深くなっていて遊び応えがあります。分岐が入ったり、「『神』と呼ばれるものが正しいばかりではない」というストーリーを打ち出し始めたのもこの作品。会話は今遊ぶとやはり乾燥気味ですが、それでも自分で交渉の手段を選べるという点で新鮮だったものです。はっきり言って、私はこれがシリーズ最高傑作だと思っています。
●死線をくぐり、熱血児となるのだただ、遊びやすくなったとはいえきつめのバランスは変わっておらず(だからこそ油断できなかったのですが)、ちょっと気を抜くとあっさり御陀仏です。特に、友人の例がそれを如実に表しているでしょう。 物語中、パートナーがさらわれるという展開がありますが、このシリーズでは人間が死んでしまうと仲魔がいてもゲームオーバーです。ということで、これはかなりのピンチになるんですが、友人はそれを強力な仲魔をそろえることでカバーしました。このメンバーの前にはもはやアスタロートなど敵ではない、と敵地に乗り込んだのはいいんですが、そこで遭遇したメデューサの首。猛然と斬りかかる仲魔たちを無視し、それは恐怖の視線を主人公に向けました……。直後画面に表示された、三途の川の渡し守。私の名はカロン…… 「今日、一人の男が死んだ。何故だ!!」 まあ、俺もムドハンマ(ザラキの強力な奴と思ってください)で人間二人だけ狙い撃ちされて終わったことあるし。それから、俺らは知ってたからやらんかったけど、ギリメカテにオートモードで攻撃かけて全滅したって人、どのくらいいるのかなあ? これもまた伝説の始まりですよね。
●絶対音楽は忘れられないですね私の場合、このゲームの話となればまずは音楽です。何回も繰り返して遊び、さんざんさまよいさんざん戦い、そしてさんざん殺されているわけで、そうなると自然耳に入ってきている音楽も覚えてしまうものなのです。私なぞは普通に記憶を手繰るよりも音楽を頭の中で流すほうがよほど記憶が蘇ってきます。 そんなに素敵な音楽ですが、なんかシリーズ通して作曲担当の方が同じみたい(少なくとも、真・女神転生if...まではそうです)でして、すでに「女神転生」といえばその人、というふうに私のなかでは固まってます。いやあ、かっこいいんですわこれが。サマナーはどうなんだろうなあ。あ、それとペルソナ1作目はこの女神転生の作曲の方と魔神転生の作曲の方が共同で任に就いたようで、まさに女神転生音楽の集大成、といった具合。最高でしたね、あれも。 余談ですが、真・女神転生と同2においても作曲の方は同じなんですが、どうも音楽に割り当ててもらえた容量がすっごく少なかった、とかいう話がありまして(確かCDのブックレットに載ってたはず)、それがため音楽が未消化に終わってしまっているようです。つうかマジに短い曲しかないもんなあ。で、この未消化に終わっている曲は「真・女神転生if...」において完全版に近い形でリメイクされています。吉祥寺アーケードの曲は本当にあれだけ(曲を2周させて24秒)だったようですが。
●べラボー参上!!キャラクターで思い出深いのは、バクダ博士ですな。ゲーム中では確か「バクタ」なんですが、正確にはバクダ、漢字にすると爆田です。口癖は「わしがバクダ博士じゃ」。彼の口走る「わや姫」といい、味わい深いというかなんというか。ああ、これって「超絶倫人べラボーマン」っていうゲームの敵役ね。わや姫、戦いたかったなあ。リメイク版の「旧約女神転生」ではスチープンとかいう名前に差し替えられていてだいぶ腹立たしかったものです。 そうそう、以前女神転生ファンクラブの単行本でこのバクダ博士を指して「バクラ博士、ゼビウスのバキュラ(※4)を作った人」とか書いてあってかなり可笑しかったんですが、違いますよ筆者の方。つうかほんとにそんな名前の奴がバキュラを作ったのか? いや、私はファードラウトサーガは読んでないですからわかりませんが。 それと、他のところでは北欧の女神ノルンを指してグラフィックのイメージが天使に似ている、というのを理由に「天使の一員か?」とか書いてましたね。いや、そのイメージってあくまでも「真女神if...」だけのものなんだけど……。
●リメイクの出来? 最低だ!!それから、今ちょっと言いましたけど、このタイトル2本、一応スーパーファミコンでリメイクされています、が。私に言わせればこれは完全に移植失敗作ですので、本当の味が知りたければオリジナル版を探してください。はっきり言って、これを解いた程度ではぜんぜんもともとのよさが分かりません。 つうか、1作目はバランスが変わりすぎてて面白くないのね。先に書いた「カンデオンの嵐」はダメージが10点程度と驚愕ものの調整を受けてますし、迷宮そのものの構造が変わりすぎていて全然懐かしくないです。ミノタウロスも弱いし。 で、2作目はバランスとかはまあオリジナルに近いんですけど、音楽のアレンジと敵グラフィックの描き直しがぜんぜんよくないんです。ファミコン版より音源をせこくしてどうするつもりなんでしょうか? グラフィックも、きれいにはなってるんですけど小さくなってるし。ぬああ、俺の思い出のゲームはこんなんじゃねえ!!
●エミュレータ? 邪道だ!!……なんかマゾヒスティックな気もしないでもないですが、実際きっついバランスをどうにかやり込めて先へ進めていく、という経験がこれ以上ない思い出として刻まれていることは事実ですんで、どうにも言いようはないですねえ。とにかく、この2本のゲームは私のゲーム人生の3度目の驚愕です。今遊ぶとあまりにへヴィなバランスにクラクラすること請け合いですが、素晴らしいゲームですのでこれは一度遊んでおかれるのがいいと思います。つうか、自分を「ゲーマーだ」と言われる方は死んでも遊んでください。実機で。そして解いて下さい。でなきゃゲーマーを名乗ることを許しません。 なんで実機かと言えば、このゲームに関しては、どこでもセーブなんていう機能付きで遊ぶことに意味がまったく見出せないからです。気を抜けばいつでも死ぬ、その緊迫感の価値を大事にしましょう。
※1 スライム 悪魔が実体化に失敗した姿。ゲーム中最低の仲魔で、大概は種族同士の相性が最悪だった場合に提示される。他の悪魔と合体させるとHP、MPの回復効果になるがわざわざそんなことをするくらいなら回復の泉で金を払おう。
ギリシア神話における地獄の番犬。悪魔召喚プログラムを実用化した中島がロキのほかに契約を結んだ悪魔で、造反したロキとは違って非常に忠実。三つ首のはずだがこのゲームでは首一つとして描かれていて、めちゃくちゃかっこいい。このときのイメージがメーカーにも残っているようで、ほとんどの作品でケルベロスはイベントキャラクターとして登場する。
サタンとも呼ばれる地獄の大王。初作のみラストボスとして登場し、中島と激戦を繰り広げる。原作では中島と弓子を計略によって陥れ、大変な窮地に追い込んだ。 後のシリーズではサタンとは別人物として描かれていて、サタンは唯一神の意志を受けて地獄へ降り、あらゆる物への裁きを行う悪魔、ルシファーは堕とされた神々の代表として唯一神と戦う悪魔として設定されている。この設定のため、ルシファーは唯一神を倒す可能性を秘めた主人公に力を貸すのである。
往年の傑作シューティング「ゼビウス」に登場する施設などの構成素材で、輸送の際には板状にして回転させつつ目的地まで飛ばす。非常に強固な素材で、ソルバルウの火力では傷一つつけることはできない。 ゲーム中では大量に出現する障害物、といった感じで登場し、設定のとおりに不死身。うわさでは「256発対空ショットを食らわせると壊れる」という話だが、本当のところはどうなのか。なお、「パロディウス」シリーズでは「256」の吹き出しをつけたバキュラが登場し、攻撃を当てる度に吹き出しの中の数字が減って行くというイカしたジョークがある。
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