〜ドラゴンクエスト7〜
機種:プレイステーション
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●一応国民レベルゲームの片割れのはずですが

 まさか、ドラゴンクエスト(以下ドラクエ)シリーズは誰でもご存知だと思います。筆者は過去ファミコンの1、2と4にスーパーファミコンの5と3を遊んでいますが、あまり見た目に変わらないこのシリーズでも着実に変化をしてきているのだなということはよく伺えますね。んで、このドラクエ7ですが、誰に話を聞いてもけっこう評判がよろしい。ということで、たまたま借り受ける機会もありましたから一つ遊んでみることにしました。


●結局超ハマり

 それからだいたい二月とちょっと遊んでますかね、シナリオについてはもう完全に終了していてまた隠しダンジョンもボス相手に11ターン、まあそこそこのところまで詰めたかなという感じですが、感想としてはやはり評判どおりの出来だったと。すなわち、面白い

 シナリオとかは直接遊んで知ってほしいので細かいことはあんまり言えないんですが、重要な要素として「複数の場所と時代への遡行」というのがあります。簡単に言えば、「過去であるトラブルを解決してから現代に戻りそこを訪れてみると」とか「過去会った人物が別の時代に行ったときに歳を重ねた姿でひょっこりでてくる」とかそういう出来事がたっぷりあるということですね。なんか歴史の生き証人になった気分(実際、ゲーム中ではまさしくそうなります)が味わえます。しかし、お約束の主人公万歳な出来事ばかりでもなく、時々とんでもない事件に巻き込まれたりするのがこのシナリオで好感の持てるところでしょうか。そういやヘラクレスの栄光2にもありましたね、こんなのが……。

近くに巣食う怪物に生贄を捧げ続けてついに老人ばかりになった村を訪れた主人公、そこで主人公は自分を追って旅をしていた恋人がこの村に立ち寄ったがために生贄に捧げられてしまったことを聞く。慌てて怪物を倒しに向かい、彼女の無事を確認して村に戻るとなんと村人が若返っている。何事かと思えば、「実は村の老人たちは生贄になるのを忌避するために若者が変装した姿であり、代わりに村に立ち寄った旅人を捕まえては生贄に差し出していた」というふざけた話がこの村の真実なのであった。

 まあ、こんな感じの話もあるよと。

 それで筆者としては、こういうような状況に遭遇したときにもっと自由に振舞えるようにしてほしいなあ、と強く願います。上の話なら、間違いなく筆者は村人皆殺しを選択するでしょう。「お前らにも事情はある、それは理解するがだからといって無関係の人をその事情に巻き込んで殺していいのか。死んでタルタロスで謝罪して来い」と。また、謂われのない罪で囲まれたときなんかはせめて抵抗させろよ、とか本気で思っちゃいます。

 ……作り手の意図したようにしか話が進まない、その結果プレイヤーの意思とキャラクターの行動に乖離が生じる。これは今の日本の「ロールプレイング」ではよくある話なわけですが、こういうのは正確にはロールプレイングとはちょっと違うよ、ということはいつかお話ししてますよね。で、ドラクエ1とドラクエ7、どう違うんだろうとかちょっと考えてみました。


●今回は漫然と進めてると行き詰まりますけどね

 ドラクエ7は、長いシナリオに数々のイベント、プレイヤーはそれらのイベントを製作者の意図したとおりに、黙然とただ流されるままに解決していく。たとえばこちらに絶大な感謝を述べる王様に対して深く礼を返すこともできなければ、勝手な思い込みでこちらを犯罪者と決め付ける村人に対し実力を振るうこともできない。ドラマチックな展開がある分、こまかい出来事に対しプレイヤーは介入できない。正直、脳内補完(勝手にキャラクター同士のやりとりを想像したり、とかね)も難しいんじゃないかな、と思います。やはり、そういう「インタラクティブムービー」的な側面はありますよね。

 一方、ドラクエ1は製作者の意図した「ストーリーを持った」イベントはまったくありません。銀の竪琴を渡して雨雲の杖をもらい、それと太陽の石を渡して虹の滴をもらう。イベントらしいイベントといえばそれくらい、ここに「尊い誰かの自己犠牲」とか、「ある村人の野心」とかそういう物語を感じさせる要素はありません。ただ、ものをもらうだけ。ではドラクエ1はなんなのか、間違いなくロールプレイングでしょう。


●苦しい経験のほうが、後々充実した記憶になるとは友人の談ですが

 ドラクエ1って、けっこうバランス厳しめなんですよ。ただ、多少きつめでも絶妙のバランスを持ってまして、何をするにもほどほどに苦労するようできてます。んで、そういう「苦労」から思い出は作られていくんじゃないか、筆者はそう思うのです。

 たとえば、命がけで長い時間かけて金をため、棍棒から銅の剣に買い換えたとき。そして、試し斬りでその威力を味わったとき。たとえば、悪魔の騎士と激戦を繰り広げ、やっと勝利したとき。そうして手に入れたロトの鎧の威力。こういう「やった!!」っていう気持ちはキャラクターもさることながら、間違いなくプレイヤーのものでもあります。この一体感が本当の「成り切り」、そしてこの喜びや達成感、プレイヤーの印象に残る「節目」ってのがイベントに相当するんじゃないでしょうか。まあ脳内補完だけで物語が構成されているともいえますが、こういうところから筆者はドラクエ1をロールプレイング、と断言するのです。


●やはり、本来の味はオリジナルでないと味わえませんよ

 ……最近のゲームはこういう「達成の喜び」があまり実感できないように思います。それというのはやはり、全体にゲームが易しめだからなんでしょうね。または、与えられたシナリオに印象が埋没してしまうか。まあ、筆者はインタラクティブムービーもロールプレイングも大好きですからどちらがいい、とは言いません(どっちもそれぞれいいところはありますからね)が、「俺ロールプレイングが好きなんだよ」とかいいつつファイナルファンタジーの4以降しか遊んでないなんて人には、ぜひドラクエでもファイナルファンタジーでも、ファミコン版初期の作品を遊んでみてほしいですね。リメイク版じゃ駄目よ。

 余談なんですけど、ゲームボーイ版を遊んでた友人が「鎧の騎士相手に素手、裸じゃさすがにきついから初めて武器買ったよ」とか言うんですね。てことは、ドムドーラ近辺まで装備品なしで進めていた訳か。なんだそりゃ、ずいぶん易しい話じゃねえか、と。ファミコン版でそんなことやったら開始直後に即死です。別に彼が悪いというわけではないですが、本来のバランスを知らない人間が「アレクリアしたよ」とかいうのは一抹の不快感をさえおぼえる、そういう私は古すぎる人間でしょうか。女神転生のスーパーファミコン版リメイクだけ遊んで「1作目簡単じゃん」とかほざくのは言語道断、殺すぞてめえとさえ思いました(いたんです、そういう馬鹿タレが)。


●カジノはペルソナが一番出来がいいですね

 ともかく、シナリオを楽しむという面からいけばこのドラクエ7は間違いなく面白いです。時間の流れを駆使して描かれる重厚な物語、ときどきちょっと難しいですが実に面白い。また、遊べる要素もいっぱいあっていいです。カジノだけは未だに確率垂れ流しの感がありますけどね。カジノでせこせこ稼ぐより、怪物虐殺して金巻き上げてそれでコインを買うほうが手っ取り早いという。


●「友達」って

 それともう一つ。このゲーム、主人公の親友が旅に同行しますが、彼はかなり早い段階で姿を消し、以降戻りません。会うこともないのですが、最後にその彼から「俺たち、友達だよな」という手紙を受け取ります。そう、確かに友達だけど、もうずっと会えないなんてさびしいよ、いろいろ積もる話もあるんだぜ、聞いたらきっと腰抜かすようなネタがさ、会って、そういう話をしたかったよ……。手紙を見た筆者、そう思って一人モニターの前で涙していました。詳細は実際に遊んでください、長いけどそれに見合うゲームですから。

 んで、それに関連して思ったんですけど、「友達」ってなんなんでしょう。つるんで遊びまわる相手? 相談したり、されたりする相手? めちゃくちゃ疎遠な相手でも、そう呼べる? もう一生会えないとしても? ……実際のところ、私にはよくわかりません


●一部私信。よく読んで理解するように

 なんでこんなことを言うかといえば、筆者の周りに家庭を持って疎遠になった友人が数人いるからです。彼らが私をどう思ってくれているか、それはわかりませんけども、このまま自然消滅してもおかしくない、そのくらいに連絡の頻度は落ちています。また、こちらから連絡を入れてもつながらない場合も非常に多くなっています。

 別に、それが悪いということではないんですよ。家族がいるってことは、その面々の命、生活を全部背中にしょったわけですから、そんな状況下で友人がどうのとかほざいていたら離婚されてもおかしくありません。ですので、むしろ連絡がなくなるのは当然のことと理解しています。ていうか、逆に家族持ちのくせしてまめに連絡入れてくるようだと不気味ですよ。お前が気にかけるべきはお前の家族であって、俺じゃねえよ? もちろん連絡入れてくれるのは嬉しいですが、しかしもっと気にかけるべきことがある、それははっきり申し上げておきましょう。そういうことだから、結婚した奴は家族を守ることに専心するように。男女同権とか言っても、結局男は外で戦い女は家の中で戦う、そういう作りになってるんだから。

 結婚する友人に「寂しくなるな」と言ったところ「勝手に過去の人物にするな」と言われたことがありますが、別に俺がしたわけじゃあない結婚するってことは互いにとって過去の人物にならざるを得ないことなんだよ、とここまで読んでもらえれば言ってることは分かると思いますが。

 こんないきさつがありますからして、最後の手紙を見たときに考え込んでしまったわけなのです。要するに、本当のところ友達減るのが寂しいんでしょうな。まーしょうがない、年齢的にもおかしくない話だからね。俺はこのまま歳男になるから、せめてこんな奴がいたくらいには憶えておいてくれ。


●あああ、またハングった!!

 最後に苦言。

 このゲーム、かなり無理してディスク2枚に詰め込んだという話で、ために何かあるたび止まります。筆者の場合は戦闘終了後、画面切り替えに行って帰ってこないとか帰ってきたけどなんか音楽が変(乗り物に乗ってもフィールドの曲のまま)、この状態で画面を切り替えるともうアウトということがけっこうありました。戦闘回数をかなり稼いだ後に止まられたので、かなり泣きが入ります。対策はないそうなので、まめにセーブするくらいしかないんですかね。これはファッキン

 それともう一つ、先に書いたとおりこのゲームは物語が重厚、ということはすなわち滅法長いということでもあります。まとまった時間が取れない人は、そういう部分でちょっと不利と言えますか。話忘れちゃうからね。まあ、面白くない、興味が持続しないと感じたならやらなければいいだけの話、そこら辺は各自見切りを付けるべき部分でしょう。

 バランス的にも、序盤はきつい戦闘ばかりが待っていて筆者的には大喜びだったんですが、キャラクターにいろいろデコレーションできるようになると戦闘難易度が急に落ち込んでしまい、後半にでもなればただの虐殺行という風情になってしまうのが実に残念なところ。ゲーム中断のときに「冒険を続けるのか」と聞かれますけどそれに「冒険? こりゃ虐殺というんだ」と突っ込みを入れてしまうくらいに、ええ。ある一部の特技なんかは異常に強力ですから、そんなものを全員に持たせようものならバランスの崩壊は目に見えてます。「便利な特技を封印する」とかやればいいんでしょうけどね。すると今度は職業レベル稼ぎとかで不利なんだよなあ……。


●気軽にお勧めはしませんけど、面白かったとは言えます

 このゲーム、筆者はめちゃくちゃ気に入ったんでついつい気合入れちゃいましてプラチナキングを作る(実に千回単位の戦闘を繰り返す必要があります)とかやっちゃったんですけど、さすがに人それぞれということでしょうか、筆者お気に入りのあるサイトでは「つまんない」と言われてますね。まあ繰り返してますけど、その辺は個々人々の好みということで、筆者には何も申し上げられません。

 しかし、少なくとも変なできそこないのゲームを遊ぶよりはよほどマシ、とだけは言えます。ちょっとそっと納得行かない展開があってもいい、いろいろ味わいたい。そういう人は手にとってもいいんじゃないかと思いますがね。



プラチナキングあれこれ

職業特性: 力−10%、素早さ+20%、身の守り+100%、賢さ−20%、かっこよさ+10%、最大HP−60%、最大MP±0
特殊耐性: 混乱を除く状態変化系魔法と即死魔法は完全無効、他の魔法にも高い耐性を示す。また、職業レベル7からすべての魔法が完全無効になる。
完全修得ボーナス: 身の守り+255ポイント
=ドラゴンクエストVII 公式ガイドブック下巻より抜粋=


 戦闘重ねて頑張って作りましたので、使用感などをば。

 上の資料を見れば分かるとおり、この職業は極めると鉄壁の防御力を入手できます。では、それがどの程度のものなのか。基本的に、プレイヤーの使える特技、呪文の類は完全に無効化できます(ヒットすれば確実にクリティカルになる『魔神斬り』は性質上除外)。唯一警戒していた「メタル斬り」、これは攻撃を確実にヒットさせるというものですが、これも基本防御力の高さでダメージを皆無にできます。

 ただし、一部のボス用特殊攻撃は無効化できずに直撃してしまうため、「仁王立ち」で味方にくる攻撃すべてを肩代わりして無効化、ということはできません。そして、職業による補正でヒットポイントが半減させられてしまうためダメージ自体には非常に弱く、したがい一発でも受け始めるとピンチという具合なのが実際です。もっとも、そういう攻撃は得てして大した威力を持たないため、連続して受けなければどうにか持ちこたえることはできるのですが。


 修得できる特技としては、「ベホマズン」が目を引きます。死亡率の異常に低いキャラクターが全体完全回復を持っている、というのはやはりとても心強いこと。「ビッグバン」はより強力な「アルテマソード」が他の職業で入手できるためあまり意味なし、変身もさして使い道なし、他の特技はここに行き着くまでに他の職業で入手済み(そういう意味で言えば、エビルエスタークなんかも特技面でのうまみはまったくありません)と来ていますので、ベホマズンにすべてが集約している、といえるのでしょうか。


 職業補正である「力10%ダウン」と「ヒットポイント60%ダウン」というのは少々きついことですが(敏捷性アップは大して意味がない)、それを考えても鉄壁の防御力は非常に便利です。ヒットポイントはともかく、力は元値を上げておくことでまだフォローの利くレベルですので、作れれば作ってしまうのがやはりいいんでしょうね。ただ、メダル110枚集めて転職だと戦闘力という部分においてちょっと不安が出るかも知れませんから、転職させる前に他の特技などを一通りそろえておくのがいいでしょう。

 また、少ない体力については自動回復能力が付加される「神秘の鎧」をコスタールのカジノで買って(40万ゴールド、戦闘重ねてプラチナキングを作るのなら安い金額です)装備させることである程度フォローが利きます。どうせ防御力という点については職業補正のおかげで(基本防御力100%プラス、マスターで255ポイントプラスどんな防具着てても同じになりますから、職業などではプラスできない特殊能力のある防具のほうが賢いわけです。プラチナキングお勧めの防具としては、ほかにたとえば山彦の帽子とか不思議なボレロがいいかなと。アクセサリーは攻撃力上昇系がいいでしょう。


 追記。仁王立ちを使用しての、ボス戦における身代わり作戦についてですが、全体にくるボス用特殊攻撃は肩代わりも出来ない(仁王立ちも無効)ということが発覚しました。必ずダメージが全員に拡散するということですから、連続4連発とかやられない限り、ある程度の体力さえあれば即死することはまずありません。これに従い、仁王立ちによる身代わり作戦は完璧に有効、というわけではありませんが非常に有効な戦術として機能します。「煉獄火炎」や「ジゴスパーク」などを無効化できる、これだけでかなり戦況は変わります。それに、地味ながらも侮れない「一発ギャグ」「ステテコダンス」なども確実に無効化できるわけですから、危険なのは「妖しい瞳」による強制催眠くらいなものです。

 もう一つ。雑魚戦闘でも身代わり作戦が非常に有効なのですが、蓬莱大王の「念じボール」はボス用の特殊攻撃であるようで無効化できません。身代わりもできませんので、多少の警戒は必要になるでしょう。