〜我が想い出のファミコンカセット2〜
機種:これ以上ないくらいファミコン
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●なつかしのビデオ屋さん

 ということで、第2弾。今回は、地元にあったあるビデオ屋がやっていた「ファミコンカセット有料レンタル」に端を発するゲームの話題です。このサービス、まあ読んで字のごとし、な内容なんですが、具体的にはそこのビデオ屋の会員券を持っている人に一週間200円程度でファミコンカセットをレンタルしていたというものです。割と品揃えに渋いものが多く、また当時高級品のファミコンカセットを(期限付きとはいえ)手軽に遊べる、というのは非常に魅力のある話で、私もよく利用したものでした。レンタル対象カセットのラインアップに「女神転生」とか「ドラゴンクエスト2」というような、「一週間じゃ絶対解けねえだろ」というゲームが混じっていたのは御愛嬌、といったところでしょうか。


●ゲームレンタルって、見たことありますか最近?

 ちなみに、今は売っているゲームのケースを見ても分かる通り、「有料レンタル」には何やら特別な許可(個人的には、たぶんどうやっても下りない類のものだと思いますが)がいるそうで、そう考えるとこのビデオ屋もそういう許可はもらわずに勝手にやっていたんじゃないかと思います。まあ、その辺の許可がどうとかはもうお店がない以上は分かりませんが、このサービスも客が付かなくなったのか早々と切り上げられてしまい、レンタルに供されていたカセットも捨て値で売りさばかれてしまいました。


●どういう経緯でバレたんだろうか

 それとこれは余談ですが、このビデオ屋は店頭にいくつかアーケードゲームを並べていました。その中に、当時話題になった「改造基盤スト2(※1)」があったんですが、これはどうしたものかカプコンに稼動させていることがバレたようで、カプコンロゴの入ったジャンパーの人に店員が何か言われてたのを見たことがあります。いやあ、これも噂で「改造基盤を稼動させてる店にはカプコン社員が来て撤去していく」ってのがあったんですが、本当だったとはねえ。まあ、当然っちゃ当然ですね。もちろん、その後改造基盤は撤去されました。

 さて、ゲームの話。


■「聖飢魔II 〜悪魔の逆襲〜」のお話

 あの悪魔バンド、ゲームにもなってます。「世紀末に解散する」とか言って本当に解散してしまったようですが、その後一体どうしているんでしょうかねえ。いや、個人的には大好きなんですよ。見た目とかだけでなしに、歌とかも。だって、すごくうまいじゃないですか、いい声してるし。ねえ?

 で、私がこのバンドの曲を聞きはじめたのは小学4年生の時でした。それまではガンダムの歌とかばっかり聞いていた私にはこれはけっこうな衝撃でして、まあ当時はレコードでしたし気軽に買い集めるというわけにもいきませんからアルバム一本を繰り返し聞いていたわけです。ちょうどそんなとき、件のビデオ屋でこのゲームをレンタルしていたのを見つけたもんで、さっそく借りてみました。

 内容としては、横スクロール、面切り替え型のアクションですね。操作感覚にちょっと、いやかなりクセがありまして、慣れるまではまともに進むことさえままなりません。また、時間=体力というシステムを取っているため、ぼやぼやしていると何もしないうちにゲームオーバーになってしまいます。


●このストーリー、もしかして本人のアイデアですか?

 このゲーム、ストーリーが非常に印象的だったんです。おおよそこんな感じだったかな。

「黒ミサ(コンサートのことです)を開き、日夜悪魔信者を増やし続ける悪魔バンド・聖飢魔II。彼等のあまりの成長ぶりを危険視した神はバンドメンバーの4人を投獄し、黒ミサに必要な楽器と大法典(たぶん楽譜)もすべて没収してしまった。怒り狂ったバンドリーダー・デーモン閣下は神の思惑を粉砕し、ひいてはここで完全な決着をつけんと立ち上がるのであった」
……なんか、マイケルジャクソンのムーンウォーカーと話の流れがあんまり変わりませんね。しかもよく見ると、要するにコンサート禁止にされたというそれだけの話。いや、バンドで飯食ってる人たちにコンサート禁止は死活問題ですが、しかしそこに悪魔やら神やらを混ぜ込んだだけで、ずいぶん壮大になるものです。


●マニュアルには確か楽器については書いてなかったような……

 とりあえずそんな感じだったんですが、私もこのゲームを解こうとずいぶん頑張ったものです。攻略本もなく、裏技なんてのも知らないといういわば真っ白けの状態(※2)からよくぞ解いてのけたと自分でも思いますが、ここにひとつ落とし穴があったんですね。

 ストーリー中に、「楽器」という単語がありましたね? ゲーム中、ステージごとに1人ずつメンバーが囚われているんですが、それと同時にお店で各メンバーの持ち物らしき楽器も売っています。お店の商品のなかではこれがもっとも高額で、死にかけている閣下攻撃力不足に悩む閣下には、そんなものを購入している予算などありません。が、これがとても大事なものだったのです。これを購入しなかった私、さんざんな苦労の末に神を倒して大法典を取り戻したのですが、その結果表示されたのは「楽器が足らん。出なおして参れ」の一文。そしてタイトルに逆戻りというなんともスパイシーなイベントでした。「何ィ、楽器が重要だったのか!!」


●苦労の末に見たものは

 さあ、怒り心頭のこの私、かくなる上は楽器をすべてそろえてクリアせんと燃えました。先の大屈辱クリアで、ステージの仕掛けはほぼすべて頭に入っています。あとは金のやり繰りと自分のケアレスミスのみがライバルでした。

 長い戦いの末、以前のクリアよりも弱い武器で神を撃破し、大法典に近づく我が閣下。さあ、今度こそ感動のエンディング……のはずが。画面に表示されたのは、妙てけれんなステージの上で緩やかに飛び跳ねるメンバーの方々とその手前で無表情に並ぶ、なんか国産版のフラック(by Wizardry)っぽい信者の群れ。そして、それをしばらく見せられた後に出現した「よくぞ成し遂げた。誉めてつかわす」の一文。そしてまたタイトル。「何ィ、これがエンディングか!!」

 まあ、我ながらホントよくやったもんだと思います。たぶん、コンティニューを知らなかったとはいえノーミスで両方のエンディングを見た人ってのは、そんな多くないと思いますよ、ええ。閣下に誉められちったしね、いえーい(この辺、嫌そうな声で)。


●本人たちはこれ、遊んでみたんですかねえ……

 そんなわけで、これは非常に思い出深いゲームとなりました。その後別口で入手したんで、今手元にあります。もっとも、今クリアしろと言われても絶対無理ですが。

 それとこのゲーム、お店に入る度に変なコメントが出るんですが、それが妙に好きでした。「今日はもう寝ろ」とか身も蓋もないのが多かったなあ。


■「J・J」のお話

 昔、ディスクシステムで「飛び出せ大作戦」というゲームがありました。これはほとんど情報がなくてですね、そんなわけなんで友人の弟(でいいのか?)にやらせてもらったとき、「J・Jじゃねえか!!」と叫んだものです。ケンイチ君、弟君であるところの彼はお元気ですか?

 というわけで、どうやらこのゲームは「飛び出せ大作戦」をカセットに移植するにあたり、ステージの色合いやら何やらをちょっと変えただけのもののようです。が、もともとの出来が良かったということなんでしょうな、とても面白いゲームでした。


●ガイガンはいいデザインですよね

 このゲームも、件のビデオ屋でレンタルしたのが出会い。なんかストーリーもありまして、なんでも主人公であるところのJ・Jは犯罪者。そして監獄星(星一個丸ごと監獄)に突っ込まれていたのを、己の脚のみを頼りに脱獄を図るというなんともイカした男の物語でした。

 己の脚といえば、昔の映画「ゴジラ対ガイガン」において、宇宙人の基地から脱出してきた主人公たちが「車を使えば攻撃される」というのを見越して車を置き去りにし、無事逃げ延びることができたというシーンがありまして、そのときの「やはり文明なんかに頼っていてはろくなことにならない。ここは親からもらった(自分の脚をぱぁんと叩いて)自分の脚で逃げよう!」という台詞は非常に印象深いものでした。たぶん一生忘れないでしょう(といっても、台詞の大意だけですが……)。


●身一つが武器、体が資本

 肝心の内容としましては、柱に体当たりしてアイテムを取りつつ、そこら中にある谷間をジャンプして飛び越え、ひたすら画面奥に向かって走って行く、というものです。各ステージの最後では突然スペースハリアーのような構成に変化するんですが、まあこれは「飛んでいるときのポーズが変」という以外には別に取り立てて重要なことではないように思います。このゲームの味わいのすべては、道中に集約されているんじゃないでしょうか。

 それと、確か「飛び出せ大作戦」でもそうだったと思うんですが、セレクトボタンを押すことで画面をぶれさせることができます。どういう用途に使うものかといいますと、ほら、昔よくあったじゃないですか、「赤と青のセロハンで作る立体眼鏡」っていうのが。あれをかけて画面をぶれさせることで立体視を再現しようというものなんですねー。意欲的というかなんというか、とにかくこういう実験的な要素はいいなあと思います。なんかほほえましいですね。

 とにかく、これは音楽のノリのよさとあいまって妙にハイな気分になる、ちょっと面白いゲームでした。近所で安く売っているのを見かけたので改めて買ったんですが、やっぱりいいゲームですね。


■「アルゴスの戦士 〜はちゃめちゃ大進撃〜」のお話

 時折同じタイトルのゲームがゲーセンに置いてあるのを今でも見かけますが、これはそれとはちょっと別物です。基本的なところは同じなんですが、ステージ構成などで大幅な改修を受けており、そのためゲーセン版での攻略情報はおよそ役に立ちません。いや、まあゲーセン版にはサブタイトルがありませんし、やっぱ別物ですね。

 内容としては、ブレードの生えた巨大ヨーヨー「ディスカーバー」を使って敵をばすばす切り裂いていく、横スクロールのアクションです。また、他に鎖鎌を引っ掛けて崖を攀じ登ったり、崖にボウガンでロープを渡して滑車で滑ったりといろいろなアクションが用意されていて、当時としてはえらく多彩な動きができたのも印象深いですね。これはゲーセン版にはなかった要素。


●エベさんはお元気ですか?

 このゲーム、音楽がなんかすごく印象的なものばかりでして、全体に泥臭いというか、それなのに妙にヒロイック、いやスパルタンてところでしょうか。ええ、自分でも何を言っているのかよく分かっていません。んで、こんな私ですから曲を全部覚えてしまい、学校だろうとどこだろうとお構いなく口ずさむというすごいことをしていたんですが、あるとき答案採点の最中にぷーこぷーこやっていたらば担任にすげえ怒られたということがあります。そうそう、森の音楽だったんですよ。エルガが倒せなくてなかなか解けなかったから、真っ先に覚えちゃった曲でした。あー、もう覚えてませんけどね。


●もしかして、あの弾壊せたのかなあ

 それで、パッケージのファニーさとは裏腹に実はかなりハードなゲームだったんですが、特に印象深いのはラストボスの獣王ライガー。なんかレスラーとかアニメヒーローみたいな名前ですが、このゲームではなんか悪人だそうで。

 それはおいといて、画面右端に陣取って両手からバリバリ弾を吐いてくるというのがライガーの攻撃パターンなんですが、この弾にしろ彼本体にしろ、接触すると3ゲージ分のダメージを受けます。そしてこのゲーム、コンティニューしたときの初期体力は3ゲージ。……どうやって倒しゃあいいんだぁ!!


●「ドラゴン」のミスタイプじゃないよ、「ドラゴ」ね

 その後、「そうか、一度脱出して回復すればいいんだ、よしじゃあ脱出しよう」とか思いましてライガーの部屋から出たんですが、なんか来た道が無くなっていまして(ロープを渡す杭が消滅していた)、結局生きて帰ることはできないという壮絶な罠に出くわします。コンティニューは無限なのでそれを当て込んで青空へダイブしたところ、コンティニューポイントが最終面のスタート地点になってやがりまして、「またあの道中を行くのかよ」ともうやる気もなにもなくなりました。

 実はライガーの部屋のちょっと前に回復ポイントがありまして、そこまで戻れればいいやくらいのつもりで飛び降りたので、スタート地点からやりなおしってのはかなりショックだったんですねー。なお、初回プレイではその回復ポイントの直後に待ちうけるシャドードラゴにボコボコにされまして、ライガーのところに行きついたときには死んだのも同然だったという。あ〜あ。


●今やっても解けるってもんでもないでしょうけどネー

 んで、この時はどう足掻いても解けないという結論に達し、おとなしく返却したんですがなかなか忘れられるものでもありません、こんなすごいゲーム。ということで、高校に入学してから再度中古で購入し、リベンジを目論みました。んで、結果。

大惨敗。

 ラストまではどうにか行くんですよ! 天空城まで頑張って行きついたんですよ! ところがライガーに全然勝てない!! いったいどうすりゃいいんだ!? ということで、またしても解けないという結論に達し、このときは友人にくれてしまいました。200円だったしね、まあいいやってことで。ところでコージ君、これ、大事にしてますか?

 しかし、どうしたって忘れられるもんでもありません、こんないいゲーム。ということで、またしても虎視眈々と復讐の機会を狙う私なのでした。どっかに安く売ってねえかなー。日本橋にもなかったからなあ……。


●ついに見つけたぞ!!

 とかなんとか思っていたらば、先日親戚の経営する床屋に散髪に行ったんですが、その帰りに床屋で教えられた中古ゲーム屋に立ち寄ったところ、見つけましたよ皆さん。中古、700円そこら。前買ったときの3倍強ですが、それを考慮しても、秋葉原とか日本橋ではそれこそ剥き出しの状態で5,000円とかしたものが、ちょっとカートリッジが汚れているくらいでこの値段で買えるんですから、これはもう購入するしかないでしょう。

 ということで、がっちり購入しました。それでちょっと遊んでみたんですが、なんかパワーアップとか体力回復とか、かなり効果が高いようで。当時は(高校生の時も)こういう特殊効果は使用してなかったんですよね。もしかして、そのせいで余計な苦労をしていたとか……?

 そいやその店、ロウ・オブ・ザ・ウエストとかも同じ値段で売ってましたね。壁一面が全部カセットで埋められてましたから、お近くの人は探しものにはいいかもしれません。ま、ぱっと見たところメタルスレイダーグローリーとかアテナみたいなプレミアムな代物はないようでしたけど。場所は東京、王子駅前のリバティーってとこです。王子がどの辺かはご自分でサーチング。


●今は亡きポニー・ビデオガーデンに捧ぐ……いや捧がん

 と、今回はビデオ屋関連のゲームで特に思い出深いものを3本ばかり挙げてみました。他にはポケットザウルスとかありますが、アレはルールがよく分からないまま歩き回って死ぬだけでしたのでノーコメントということで。しかしあのビデオ屋、B級ホラーとかもごっそりあったんですよね、「恐怖の人間釣り」とか「人食いトマトの逆襲」とか。そういう意味ではマニア垂涎だったと思うんですが、いつごろでしたか、敢え無く閉店となってしまったのです。残念ネー。



※1 改造基盤スト2

 当時大流行だったスト2ですが、それを当て込んでか海外で基盤に妙な改造を加えられたという代物が出回ったことがありまして。まあなんというか怪しげな雰囲気300%だったんですが、ちょうどスト2ターボが出るか出ないか、という時期だったこともあって「これがターボなのか!?」と思いこむ人々も続出したものです。

 回収されてるいきさつもあって今ではほとんど見られませんが、あるゲーセンで稼動しているのを確認できます。敢えて内容については触れませんが、見れば一発で分かる壊れぶりなので興味のある人はあちこちさまよってみましょう。


※2 真っ白けの状態

 私の家は雑誌を買わない家でして、そんなわけですからファミマガなんかも当然読んでません。また、当時攻略本なんてものもまるで買ってませんでしたから、ゲームについての情報は商品情報にしろ攻略情報にしろまったくといっていいほど持っていませんでした。こんな状況でよくぞアレを解いてのけた、と自分で自分を誉めることしきり。

 ところで先日知りましたが、聖飢魔IIの攻略本、ないだろうと思っていたらなんかあったみたいですねえ。やー、本気で驚きました