〜ゴジラジェネレーション/マキシマムインパクト〜
機種:ドリームキャスト
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●街壊しゲームぅ?

 先日、何気なしにインターネットをさまよっていたら、このゲームのことを取り上げているページがありました。それによれば、「ゴジラやメカゴジラを操り、実際とほぼ同じ街並みを破壊していくゲーム」だそうで、怪獣の挙動やら何やらがスゲえイケてるんだとか。ゴジラ好きっ子の私としては、この話題はごく当然興味をそそります。ということで早速中古にて購入。いや、ほんとは高かったらやめんべ、とか思ってたんですが、他のタイトルが一様に2,500円以上なのに対し、このゲームだけ980円という素敵ぶり。残りわずかな今月(2000,06,10現在)の食事代をはたき、買ってしまいました。


●沖縄の秘密基地から出撃

 今現在進めているアリーナ姫の冒険が一段落ついたところで、「どれ、では試してみるか」とこのゲームを起動します。使用キャラはメカゴジラ。なんと昔のデザインです。すると私はブラックホール第3惑星人(※1)ですね? 「ムム、好感触」と思っていたそこに飛び込んでくる、メカゴジラのテーマ! 燃えます。最高です。その瞬間、私は地球侵略を企む宇宙人の司令官になりました。さすがに猿のお面なんかはないですが、気分はもうノリノリ。ゲッチョンゲッチョンとのんびり歩き出すメカゴジラの姿に誇りと野心を込めて、地球侵略に出発! 「さあ、ゆけ、メカゴジラ! 地球人どもに我らの力を見せてやれ!」

−ゲーム中−



●他の怪獣と闘わせろ!!

 結局、その日は大阪の市街に存分にメカゴジラの足跡を刻み、さんざんフィンガーミサイルとスペースビームを撃ち込んだ時点でくたびれてやめました。面白いけど、どうせなら全兵装攻撃をゴジラやガイガンあたりにブチ込みたかったな、というのが正直な感想。街壊すためだけにこれだけ武器積んだんじゃないんだからさ、本来の目的に使わせてくれたっていいじゃん。このゲームを遊んだ人は、絶対こう思うだろうと思いますよ。怪獣の挙動なんかは完璧なぶん、残念でなりません。

 どうでもいいことですが、私、大阪のあたりのある会社とけっこうお仕事関係でやり取りをしています。で、以前その会社から「使って欲しい」と社屋から撮った風景写真が送られてきたことがありました。その景色から察するに、どうも大阪城に近いところにその会社の社屋があるようなのです。ということは、今回のメカゴジラの襲撃で、もしかしてそこの社屋も壊れたんじゃないかな、なんて思ったりしまして……。ゲーム中では夕暮れだったので営業時間は終わっていたでしょうが、破壊が広範囲だったもんでどのみち担当の方も逃げ惑ったことでしょう、なーんて。あんまりリアルに作ってあると、こういう下らないお遊びもできるということでした、はい。嫌らしいですね。


●夢かなったり……あれ?

 翌日、マニュアルに「隠しキャラを出すために『あつめてゴジラ』が必要」というようなことが書いてあったため、自転車をこいであちこち見回りに出ました。前にゴジラっぽいビジュアルメモリを見かけたことがあったもんで、あれがそうなんだろうと簡単に考えていたんですが、どっこいそれは違うものだったようでして。

 結局お目当てのものは見つからず、途方に暮れていたところで目に入ったパッケージ。それが、「前作で多く寄せられた『巨大怪獣との一騎討ち』をはじめとし、ゲーム性を大幅に強化!」の謳い文句が輝くゴジラジェネレーションの続編「マキシマムインパクト」でした。

 おお、今度は怪獣とサシでやりあえるのか! とまたしても殺し文句に引っかかり、値段の安さも相まって(新品1,980円)、まだ前作も遊びきっていないというのにこちらも早速購入してしまいました。さあ、今度こそ存分に全兵装攻撃を……。「プレイヤーは平成ゴジラを操って……」 なに、ゴジラしか使えんと言うのか!? しかも平成以降の知らない怪獣ばかりが敵にリストアップされている!

 お手上げです、私はビオランテ以降の怪獣には縁が遠い男なのです。しかし、マニュアルをよく読めば、それなりに楽しそうな感じ。ゲームオリジナルの「SMG-2ND」(メカゴジラセカンド)「MGR-2ND」(モゲラセカンド)なる新顔も拝みたいし、暴れているうちに最近の怪獣連中ともお近づきになれよう、とて起動しました。おお、オープニングが素敵だ。


●昔の身軽さはどうした!?

 前作が怪獣をラジコンのように操ってどれだけ街を壊したかを競うゲームだったのに対し、今作は強制縦スクロールのシューティングゲームのような感じになっています。ゴジラは勝手にある方向に向けて歩いていき、プレイヤーにできるのはある程度の方向転換と攻撃指示くらいですので好き放題に街を壊すことはできず、おかげで某社企画部の方々も逃げ惑わないですみます

 このゲームで不満だったのは、とにもかくにもゴジラが遅いこと。いや、基本的に鈍重なのは当り前なんですが、敵の攻撃がけっこう厳しく、さらにこちらの指示も聞いてるんだか聞いてないんだかわからないような状態ですので慣れないうちは死にまくります。一番困るのは、攻撃ボタンを二度押ししてしまって攻撃をいきなりキャンセルされること。たかが戦車にゴジラがやられるなんて、ガンダムがザクマシンガンの数発で爆発するようなもんだよ、と悲しくなりました。

 ボス戦では、相手を中心にしてゴジラが円を描くような動きになります。が、ここでもまたやたらと動きが重ったく、さらに上半身を伏せる「回避」はかわせない攻撃のほうが多いためまるで使えません。挙句、またしてもこっちの言うことを聞かないというとんでもない状況ですもんで、「回避行動を取りつづけ、敵の攻撃を回避できたらラッキー」というような悲惨なことになります。光線は無理にしても、体当たりとかは腕を組んだりして防げるだろうに、困ったもんです。これを見ている限りではとても「シェー」をやる(※2)ような身軽さがゴジラにあるとは思えません。なんとかならんかなあ。スペースゴジラとかは身軽に動き回るのに。せめてサイドステップだけでも身軽に。


●デストロイヤ強すぎ

 一応さんざん苦労してノーマルレベルまではクリアできたのですが、それまでにはものすごい時間と気力を消耗します。こちらの性能の悪さに加え、敵のルーチンがかなりきついんですね。特に、飛行形態を持つ怪獣(キングギドラとか)は大抵体当たりを仕掛けてきますが、密着状態からいきなり繰り出してくることがざらにあるため、しばしば怒りゲージが最大まで溜まります。絶対かわせない攻撃なんて作るなよな。


●おお、光線が跳ね返ってきたぞ!! (ダイヤモンドミラーね)

 結局、ささくれだった心を鎮めるために、前作に逆戻りです。さあメカゴジラよ、次の目標は横浜なり。のったらのったら進んでいくメカゴジラの前に、自衛隊の擁する「メーザー殺獣光線車」や戦車、映画「ゴジラ対ビオランテ」でおなじみの「スーパーX2」が立ち塞がりました。ふん、地球人風情が何をしようとスペースチタニウムは破れん!

 とか思って強気でいたらあら不思議、我がメカゴジラは地面に倒れ伏し、動かなくなってしまいました。直後に表示されるゲームオーバーの文字。……壊れちまったのね……。ゴジラによってメカゴジラが首を折り取られたときの司令官の心境まで理解しちまいました。「ええい部下ども、残骸を直ちに回収のうえ、修理と強化を急げ!!(※3)」 現在、我がメカゴジラMK-2は待機中です。次の出撃はいつになるやら。っていうか、地球防衛隊が原作に比べて強すぎるのじゃ!!


●やっぱりオキシジェンデストロイヤーが必殺技?

 で、このゴジラジェネレーションについてインターネットでいろいろ探してみたんですが、なんのことはない、クリアしてけば隠しキャラも出てくるみたいですね。なーんだ、「あつめてゴジラ」いらないんだ。隠しキャラでは、海外ゴジラと芹沢博士が楽しみでしょうがありません。でもこれ、平田さん(※4)生きてらしたらなんて言うのかな。

 しかしこのゴジラジェネレーション、おおよその場合クソゲー扱いなのは残念です。私は幼き頃からこういうミニチュアの町並みにそびえ立つ怪獣、というシチュエーション及びそのジオラマとかが大好きなもんで、大いにこのゲームを楽しんでいるんですが。また、マキシマムインパクトについては検索をかけてもほとんど引っかからず、唯一見つけた感想文では「前作のいいところをみんな流してしまった」というきつい評価。うーん、確かにそうねぇ。前作と同じ気持ちで遊ぶと痛い思いしますわ。まあ、前作の印象はすっぱり忘れて遊べばそれなりに面白いと思いますけど。ボス前の演出なんかは見ていて燃えますし。でも、前作のゲーム感覚を期待したぶんちょっとだけ損した感じ。やはり、メカゴジラの全兵装攻撃をゴジラにプレゼント希望。


●怪獣はいいね〜

 てなことで、この2タイトルは面白いです。しかし、「ゴジラ好きだからこそ楽しく遊べる」、逆にいえば「好きでなきゃ遊べない」という部分もこのゲームには確実にありますので、普通のアクションものとかを期待されるんでしたら、他のゲームのほうがなんぼかマシです。「俺はまっとうなるゴジラファンなり」という自信がある方以外は手を出さないほうが賢明でしょう。

 ああ、ゲームの内容に関しては常人には受け入れがたいこの2本ですが、両作ともに音楽はすばらしいです。「ゴジラジェネレーション」は正統派、「マキシマムインパクト」はアレンジ版といったところでして、映画からのまっとうなファンなら1作目、純粋に「血の滾る音楽を!」という向きには2作目をお勧めしたいところです。



※1 ブラックホール第3惑星人

 前メカゴジラのオーナー。メカゴジラにわざわざゴジラの皮をかぶせ、街を破壊させていました。「ゴジラは悪者なり」の印象を植え付けようとしたのだろうけど、もともとゴジラは人間嫌いですぜ。

 東急ハンズで売っていそうな猿の顔をしていて、とっても頭がいいんだとか。そんな感じはしなかったけどなあ。


※2 シェー

 漫画「おそ松くん」の登場人物、イヤミの得意技。映画「怪獣大戦争」において、X星でキングギドラをブッ飛ばしたときにゴジラがやりました。頭に手が届かないためなんだか不格好でしたが、あれはまぎれもなくシェーでした。役者さんのお遊び心だったといいます。

 ちなみにゴジラは見かけから鈍重、と思われがちですが、実はかなり身軽です。自分の身長くらいまでなら脚のバネと尻尾の反動を使って飛び上がるということが確認されていますし、尻尾を抱え込み、放射熱線を推進器に使って空を飛ぶ(当然顔は後ろ向きのため、進行方向が見えない)ということも確認されています。ともに「ゴジラ対ヘドラ」で見られますので、興味のある方はどうぞ。


※3 胸の装甲板

 ゴジラにちょっと詳しい方ならご存じでしょうが、メカゴジラは一度壊され、また修理されて出撃しています。この修理の際にちこちこっと戦力強化も施されてまして、その強化改造の一つが胸部装甲板の配列変更となっているわけです。胸の部分にゴジラの熱線が直撃したとき、左右に熱線を流してしまえるようにということらしいですが、映画では直撃した部分から爆発を起こしてしまっていたのでちょっと役には立ってなかったみたいですね。

 ちなみに、他の改造は指ミサイルの威力強化、手甲に単発のミサイルランチャーを増設、ヘッドパーツの接続部分に熱線砲を増設、となっております。マーキングも変更されてます。


※4 平田さん

 俳優、故・平田昭彦さん。芹沢博士ってのは、最初の「ゴジラ」においてオキシジェンデストロイヤーを作り、それでゴジラを葬った化学者の名前です。他にも「ウルトラマン」で岩本博士を、映画「南海の大決戦」でテロ組織のボスを、映画「メカゴジラの逆襲」で真船博士を演じていました。「知的なマスクで化学者役にはうってつけ」と評されていたんですけど、もらった役柄のせいでどちらかというとマッドサイエンティストに縁の深い俳優さん、という印象のほうが強いです。