〜赤石体験廃人記〜 =RED STONE= |
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●もう次の仕事探すようかな2006.07.19、その日も雨でした。どうしましょう、今月まだ八日しか仕事してないんですが。 しかしまあ、まぎれもなく天災なので誰に文句を言ってもはじまらないのもまた事実。そんなわけで私の手元に残ったのは「朝六時起き」という、「早起きは三文の徳」な事実。さて、やることもないのにどうやって時間を潰そうかしら。
●放置期間、およそ数ヶ月そこでふと思い出した、「三時間ポータル」の存在。これまではまとまった時間もなくまたゲームそのものへの興味もかなり失せていたので気にもかけませんでしたが、そうかこんなときに使ってみればいいのか。 これでは何のことだか分からないので、補足説明。(自称)MMOロールプレイング「RED STONE」(以下赤石)では、レベル上げやアイテム収集を有利にする「ポータルオーブ」という要素を現金で売り出しています。それらの要素は有効期限が切られており、支払う額によって効果のほどやその期限の長さも変わってくると。なので、とにかくいくらかでも払えば多少なりとも有利になるのは間違いない仕組みです。通常の参加では料金が発生しない分開発元や運営はこういうところで収入を得ているわけですが、なかなかに面白いやり方ではあるなとは思いますね。この赤石に限っては、やり方があざとすぎて気に食わないんですが。 主に「廃人」などと不名誉な呼称を与えられるような人物はこのポータルを購入し、さらに日に夜を次いで遊び続ける、というかすでに遊ぶという表現ではない気もしますがとにかく長時間をこのゲームに費やすのだそうです。大変ですね。
●廃人への招待状 で、この「三時間ポータル」というのは割と最近のキャンペーンでプレイヤーに配られたもので、三時間だけ最高級ポータルと同じ効果が出るというもの。要は「お金を払うとこんなにすごい効果が出るのですよ〜」という宣伝ですね。実際、そのポータルとやらを買うか買わないかで天と地ほどの差が出るという評判だったので、なるほどその実情を知るにはいい機会です。試してみましょう。
●凄い格差ですね、次のレベルまで100万とか言われる世界では結論ほかは後に回すとして、とりあえず三時間ポータルの正確な仕様。すべて制限時間内です。
ちなみにポータルというのは英語の古い言い回しで「入り口」という意味です。だからポータルサイトとかいう呼称があるんだけど、しかしこのポータルオーブの解説に「神秘の力『ポータル』が込められている」って書かれてるんですよね。なんかスゲー微妙な感じがしません? まあいいけどさ、俺が書いた文章じゃねえし。
●クモのくせに脚六本。本土のクモは新種揃いなのか?ということで、実験開始。称して「体験入学」ならぬ「体験廃人」ですか。用いたキャラクターはレベル97の戦士、そして実験場に選んだのは「ガディウス大砂漠 グレートフォレスト北部地域」。この地域はレベル97時点で一体潰すごとにおよそ1000の経験を獲得でき、しかもこちらの攻撃三発程度で確実に潰せる「ソードスパイダー」というモノが存在しています。これが現状ではベストのカモ。本来ならもっといいポイントもあるのでしょうが、現時点の我がキャラクターの戦闘力やほかの人間とのバッティングなども考慮すると、この辺りが一番安全かなという判断ですね。 予定としてはおよそ二時間ほど経験稼ぎに費やし、残った時間は有料ダンジョンを二つほど観光してこようかな、という具合。手近なところでは「ミスリル鉱山」と「オート地下監獄四階」てところですね。入るのに金取る以上、有利な要素が何かしらあるだろうと見ているのですが、さてどうでしょうか?
●まずは経験稼ぎまずは現着、そこからポータルの使用を開始します。ちなみに次のレベルになるのに必要な経験は80万強、これはここまでの蓄積があるが故ですね。蓄積がなければ120万ほど要求されますが、さてここから三時間、さあどこまでレベルが上がるでしょうか。 ポータルを使ったとてこちらの戦闘力が上がるわけではないので実験を続けるのにも相応の代償が必要ではあるのですが、やはり開始数分で特に目を引くのは「取得経験二倍」です。単純に考えてペースが倍になる、ということですからね。一体倒して2000の経験、かなりの効率上昇です。しかしながら80万という数字は物理的に非常に遠いので、結局レベルはなかなか上がらないのですが。 ちなみにアイテムもザラザラ出てきます。もっとも武具としても金券としても価値のないガラクタや、貴重な魔法の込められた品物でもその魔法の効果がどうしようもないという産業廃棄物すれすれの代物ばかりですが。アイテムドロップ二倍といっても、さほどありがたいものでもなさそうですね。
●移動とかそのほかそうして続けるうち、やがて訪れる戦利品処分&回復薬補給のとき。持てるアイテム数はもちろん有限ですし、持ち歩いている薬も有限ですから手に入れた戦利品を処分し、薬を補給に行かなければ首が回らなくなってしまいます。この実験に使っている地域は拠点となる街からは非常に遠く、なので普段私は補給の必要が発生したならばその日の稼ぎはそこまでとし、おとなしく切り上げてしまいます。はっきり言って通ってられません。 ですが、今回は少し事情が違います。同じ地域にある武器屋で戦利品を処分するのにはじゅうたんを使い、街で薬を買ってから現場に戻るのにはポイント記憶で対応と。通常の十分の一程度の時間で済んでしまいました。こりゃあすごい、と思った瞬間です。なるほどね、こりゃ堕落するわ。便利すぎるもの。
●有料ダンジョンはさて予定通り時間が過ぎたので、経験稼ぎは切り上げて観光です。まずは「ミスリル鉱山」、ここは適正レベルが現時点に比べて非常に低いので稼ぎなどは期待していないのですが、名前が名前ですから何か内装で凝っているところでも見られるかな、と思ったのですが。ふ〜む、何にもないですねぇ。うろついている怪物も、なんだか微妙なのばかりですし。経験倍になっててこの数字か、これじゃお話にならんぜ。適正レベルだったらどうなんでしょうかね。 次いで、「オート地下監獄四階」。ここはもう内装なんかも気にするところではないでしょうから、何か面白いことでもあればな、と思い訪れてみました。怪物なんかはここも微妙なのばかり、脆くて経験が少ないか経験が多くて非常に頑丈か。どちらもしても私では稼ぎにはなりません。まあ本来稼ぎに来たんじゃないからその辺りは置いておくとして。
●何にしても面白みのないマップでしたと、なにやら地域の中央辺りに店があります。見れば薬などを売っている模様、これならわざわざ街まで補給に出る必要もないね! と言いえぬ怒りが頭をもたげた瞬間。 店主は「この奥に光の精霊がいる」などと言っています。ほう、精霊か。アイテム設定にしろ怪物設定にしろいい感じに捻じ曲げられているこの赤石の世界で「光の精霊」とは何者か、とくと見せてもらおうか。正直私このゲームのアイテムや怪物の設定考えた奴のこと軽蔑してます。中学生の作った「俺ファンタジー」世界じゃねえんだからよ、もうちっといろいろ調べて勉強してから考えろ、な? とりあえず地図を見るに、反時計回りで地図を回ればその「奥」とやらに行かれる様子。どたどたと走ってその付近まで行きます……が、なんかいきなりレーザー当てられて死にました。何かの罠か? とも思ったのですが、良く見れば近くにいる怪物に狙撃された模様。おそらくはそれが「光の精霊」とやらなんでしょうけれども、どう見ても宇宙人なんだよなあ。ホワイトジェイド、だっけかな。まあどうでもいい話です。
●こういう形で金かけといてまったり、てのは贅沢以外の何者でもないなと思う俺結局のところ観光もろくな成果は得られず、残り三十分ほどをまた経験稼ぎに充てて、三時間は終了しました。この間、上がったレベルは2。稼いだ経験は、およそ220万程度……といったところでしょうか。感想としては「便利すぎる」の一言に尽きますね。 もうちょっと詳細に言うと、まず時間制限がついた上で経験が倍、こうなると怪物潰しの効率を優先しなければもったいない、という考えが来ます。そして現時点で有効な稼ぎ場所に瞬時に移動することができる、通常移動を要求される場合でもおおよその場合じゅうたんによって高速移動ができる。こうなると、私には開発側から「効率を追求せよ」と言われているとしか思えません。極論、このポータルを使う以上はあらゆるほかの要素をかなぐり捨ててでも経験を稼ぐべき、そう見えます。
●要するにあいつら馬鹿なんだよ本土韓国では、ネットカフェにおいて不眠不休で三日ほどこういったゲームに取り組み続け、死亡したなどというサンプルも報告されているようです。この赤石における課金要素を見るに納得できますね、金払って期限切られて、じゃあ休んだりするのも飯食ったりするのも無駄な時間、そういう考え方をする人間だって出るでしょう。 ま、そんなのはそれこそゲームと現実を混同して破滅するろくでなしの類なんですから淘汰されて然るべきなんですけどね。現実に破滅してるし。その辺は運営の問題じゃなくて使う側の問題だから、別段気にすることでもないんですが。 ただ、この手の「不特定多数の人間と接する機会のあるゲーム」において効率だけを追求させる仕様というのは、逆にゲームそのものの存在価値をなくしてしまっているのではないかな、とも思うのです。ウルティマオンラインのように「なんでもできる箱庭」を用意するわけでもなければ、ディアブロのように単純に戦闘に特化した、遊び手によってはアクションゲームとさえ捉えられるほどの完成度を持つわけでもない。 なればこそ、コミュニティの充実などどこかしらで差をつけないとならないだろうに、それすらも割といい加減ではこのゲームの見るところってなんなんでしょう。できることの幅が少なくてしかも調整も不十分なくせに金とることだけは三人前以上に考える、それって商売としてもどうかと思うんですが。
●執着がかなり減ったからいいことと言えばいいことだけれどそんなわけですから、私としてはすでに「退屈極まるレベル上げしかやることない」とこのゲームを見ていたのですが、今回の体験廃人でもう一つさらにその考えが深まったように思います。どれほどの高性能アイテムが拾えたとして、扱えなければただのガラクタ。そして、それをほかのプレイヤーに売るにしても、ゲーム中の資金などにさしたる意味もない。そんなわけだから、私は自分で扱えないアイテムは「産廃」と称して適当な値段をつけて売ることに決めました。なーんかアホらしくなっちゃってさー。 なんとなく続けてますが、とりあえず現状ではほかにやるゲームもないし、くらいの考えですかね。序盤こそ楽しめますが、100レベルになるかならないか辺りからはよほど魅力的な知り合いでもいないことには続くものではありません。
●希望という名の贈り物には汚物しか詰まっていなかった、て感じかな最初の街から初めて外に出て、「病気のコボルド」を攻撃していたときの感覚。隣町まで歩いたときの感覚。見知らぬマップのことごとくに希望が詰まっているように見えた時期が、私にもあったんですが……どうにもねぇ。そんな感じの体験廃人三時間。赤石でつるんでいる仲間たちの参考にでもなれば幸いです。 ちなみに私は金輪際ポータルなどは買わないことにしました。現金をこんなのに突っ込むのは心の底からアホらしいと思えましたので。 |