〜キングスフィールドシリーズ〜 機種:プレイステーション |
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●アーマードコアもいいゲームですあるとき、友人であるところのG田氏に「これ面白いよ」と言われてアーマードコアを借りました。なるほど、最初は滅法難しかったものですが、操作に慣れて戦えるようになってくるとものすごく面白い。そんな風に楽しく遊んでいる折に「設定資料に気になるキャラクターたちのイラストが掲載されている」というんで、その設定資料集を買って読んでみました。まあイラストも拝見させてもらいましたが、設定資料といえば開発者インタビューが載っているものです。 そんでそのインタビューに、「アーマードコアと操作方法が同じ、アクションタイプのファンタジーRPG」というような感じでこのキングスフィールドが登場していたんです。へえそうなんだ、アレと同じなら俺でも遊べるな、と思いまして、早速近所のゲーム屋にて購入してきました。特価、新品980円。今思うと、みんな「見る目」がねえなあ、という感じですかね。
●哀しみに満ちた物語さて、私のゲーム事情といえばちょっと特殊だったもので、買ってすぐ遊べる、ということは割と少ないんですね。そんなわけなんで買った直後はマニュアルを読んで楽しむしかないんですが、そのマニュアルに掲載されていたストーリーがまたショッキングなものでして。だいたい以下のような感じです。 過去に国を救った英雄ジャンは、その後王様として平和な治世を敷いていたが、ある日急におかしくなってしまい一変して極悪になってしまう。国の行く末を憂えた王の親友アレフは、王妃と王子を城から脱出させてから城を封印、閉鎖し、その直後に息絶えてしまう。王子ライルに「いつか、お前が父を止めねばならんのだ」と言い残して。 文中のジャンというのはキングス1の主人公、アレフというのはキングス2の主人公です。ああ言い忘れてた、私が最初に買ったのがキングス3ね。当然予備知識なんかまったくありませんでしたから、のっけからのこの不幸な物語に度肝を抜かれたのをよく覚えています。最後の敵が父親にして前々作の主人公、こんなに壮絶なカルマたっぷりの物語を私はほかに知りません。
●開始直後の即死が伝統になってますね(あと、レザーシールドと骸骨)「どんなゲームなんだろう、どきどき」という汚れのない純粋な期待はいきなりショッキングなストーリーによって曇りを見せつつあったわけですが、まあストーリーなんぞは刺身のツマ、遊んでみればそんなもの気にならなくなるだろう、と自分をちょっとなだめて遊んでみることにしました。いきなり顔の造作のないおじさんに剣を渡され、「さあ国を救え」と言われます。おーし、いっちょやるかぁ!! 意気込んで小屋から出ると、そこは野原。そこここに壊れた荷馬車や人骨が見え、空は地獄のように暗く、音楽は寂寥感に満ち。 ……あの、希望もなにもない光景なんですが? ストーリーの暗さがゲーム中にもたっぷりと滲み出してます。しかしここでたたずんでいても状況は変わらん、進もうとて歩き出すと行く手に川が見えました。そういえば大好きなアーマードコアではちょっとそっとの水なら平気だったが、こいつはどうか? と疑問が頭をもたげます。さっそくダイビング!! 「ギャァーアァァ」 王子はハンマーガイでした。というか、コレ書いててふと思ったんですが、アーマードコアも水に頭まで浸かるとミッション失敗でしたね。てことは、このメーカーの作るゲームって基本的にプレイヤーはハンマー? 余談ですが、このメーカーの作っているゲームで私の遊んだことのあるゲームのうち、主人公が少しでも水中に対応した能力(つまりは泳げる、もしくは息をこらえられるってこと)を持っていたのはシャドウタワーとキングス4だけです。なんでしたっけ、プレステ2の着せ替えゲームとかはやったことないんで知りませんが。
●全て回避してしまえば、回復の必要なんかないわけで 話を戻します。そんな風にバタバタな感じではじめたこのゲームでしたが、実際遊んでみるとマジで面白くてですね。怪物の攻撃を鼻先すれすれでかわし、その隙をついて一歩踏み込み強振を叩きこむ。コマンドタイプのゲームでは味わえない感覚です。序盤で閉口したのはセーブポイントはどこ? ということと宿屋の値段が異常に高い、ということでしたが、まあセーブポイントはともかく体力については「食らわなければいい」というだけのことですから、それは自分の腕でフォローすればいいだけで。これもコマンドタイプではできないことですね。ていうか、宿に泊まるより薬草買ったほうが安いんですわ、これが。
●結局、朝の4時までかかりました ちょっと思い出深いのは、ちょうどこの時仕事でムービーのレンダリングかけてたんですよ。ところが筆者、ヘタレなんで制作が遅れてたんですね。さらにはサスペンドとかも知りませんでしたから、データを家に持ちかえってことごとくレンダリングをかけ、一つ終わったらまた次、その間に寝ておくという、今思うとまるっきり馬鹿なことをしていたわけなんですが、眠れなくなったときにこのゲームを引っ張り出して遊んでいたわけなんです。いろいろ行き詰まったりしてたんですが、この夜中の戦いでゲームも進んだし仕事も一通り済んだしと結果オーライでした。
●俺に……俺に力があれば!!で、そんな風に順調に進めていくうちあの暗いストーリーのことは忘れかけていたんですが、さすがにそのまま忘れ去ってしまうというわけにもいかず。というのも、ゲーム中、主人公が幼いころに何度か会ったことのあるお姉さんが店構えてまして。んで、ゲームを進めていくうちにその女(ひと)、主人公の助けになればと危険なところに一人で行ってしまうんですね。置手紙一つ残して。 当然追いかけました。知り合いがわざわざ自分のために命危険にさらしてるんですから、こりゃあ気になるでしょう。ところがそのフィールドがまただだっぴろく、しかも敵は強いので「彼女は無事か!?」という気持ちをいやがうえにも高められてしまいます。 焦燥に満ちた探索の末、彼女は見つかりました。予想もつくと思うんですが、敢えて黙っておきます。直後私は近くにいた怪物にダッシュで斬りかかって行きました。私としては、あの場所か彼女の店の前にでも一つ剣でも立てておきたかったところですが。 そうそう、ここで「指輪が取れなくなった」とかいう話を聞いたことがありますが、そんなことないです。地面をよく調べるとひょいっと出てきますんで、問題ないはずです。
●これも……俺の不甲斐なさなのか……他にも、封印された城の地下で10年間耐えぬいた男が婚約者の生存を聞き(実はこの婚約者はすでに死んでいる)、外に出ようとして地上への階段の前で怪物に殺されてしまったとか、小さな村に居残った姉妹を守るため戦っていた剣士が力尽きて殺されてしまい、落ち着いていた村の状況がまた怪物地獄に逆戻りとか、そういう暗いエピソードが尽きません。特に村のイベントは楽にクリアできるレベルになってから発生しやがったため、「もう遊んでる場合じゃねえんだ、待ってる人がいるんだよ」という気持ちに囚われてしまい、大慌てで王を倒しに行ったものです。 そんなわけなので、最後の戦いが終わった後に戻った平和というものが妙に重く感じられました。いろんな人の犠牲とかの上に取り戻せた平和、考えてみるとそういうことを実感できたゲームというのもこのキングス3くらいかも知れません。
●「月明かりの剣」の力 それと、ここでまた余談。このキングスシリーズのキーアイテムである「ムーンライトソード」ですが、世界観としては微塵もつながりのないアーマードコアシリーズにも、型番がmoonlightという光線剣として登場しています。これが恐ろしい破壊力を秘めるもので、「本来のムーンライトソードとはどれほどのものなのか」と期待してゲームを進めていたのですが、剣としての威力はともかく剣を媒介として放つ魔法は恐ろしい威力を実感させてくれました。いや、剣の威力って実感できないんですよね、後半手に入る剣ってどれも滅法強いから。
●やはり、2が最高にお薦めです その後、3が面白かったもので、2、1と続けて購入し、一通り解いてみました。キングスファンの間で人気が高いのは2だ、と専らの評判なんですが、確かに遊んでいて一番楽しかったのは2でしたね。何て言いますか、マップの作り方がうまくてですね、「あの高いところに見える入り口はなんなんだろう」と思いつつ先に進んで行くと、いつのまにかその入り口から下を見下ろしている自分に気付く、という感じなんですねこれが。「次はどんなところに着くんだろう」とどきどきしながら一歩一歩歩みを進めて行く、そんな冒険を楽しめました。舞台は暗いけどな。
●できないものを投げ出すのは簡単ですがさて、このゲームは攻略本がなかなか見つかりませんのでWEB上で攻略情報を探したんですが、そんなときにこんな感じの意見を見かけました。 最低。攻撃は当たらないし自由度が高すぎて何をしたらいいか分からないし雰囲気暗いし。最高のクソゲー。 ……ハァー……。何と言いますか、ずいぶんと適当なことを述べてらっしゃるなあ、と思ったものです。とりあえず、その意見を見て即座に浮かんでしまった突っ込み。
実際、上記の意見を読んで閃いてしまったことは、「この意見の持ち主は、好きでこのゲームをやったわけではないな」ということ。たぶん、友達の家かなにかでちょっと遊んだだけなんでしょう。それで気に入らなかったからクソゲーだと断じたんだな、と私は見ました。
●つうか、最近の「ロールプレイング」が間違ってるんだよま、クソゲーと言う分には全然問題ありません。だいたいゲームについてどう感じるかなんてのは人それぞれですし、その感じたことについての意見はどれもが「正しい」ものであるわけで、そこに私ごときが口を差し挟む余地はありませんものね。 ただ、これだけははっきりと言えます。もとよりこのシリーズは、最近のボタンを押してりゃ先に進めるタイプのロールプレイングとはまるでわけが違います。「自分の頭で考えて進めて行かなければ楽しめないゲーム」です。こういう言い方をすると反感を買うこと必定ですが、敢えて言えばボタンを押していれば先に進める最近流行りの似非ロールプレイングしか遊んだ事のない、しかもそれらのゲームをやる際でさえ攻略本を開始直後から参照し続けるような人にはこれの面白さは理解できません。恐らくは、どのファンもそう言うでしょう。 そして、想像するに上記の意見の持ち主はその手の遊び方をしている人物ではないかと。でなければ、「自由度が高すぎて何をしたらいいか分からないからクソゲー」などという意見は絶対に出ないはずです。 以前別のところでもこういうことについて私自身の意見を述べていますが、ゲームってのは基本的に難易度の高低の差こそあれ、注意深く当たって行けば普通は攻略本なんかなくても解けるようにできています。できてないものは真にクソゲーといわれる範疇に入ってしまいますが、それは別口の話題ですね。んで、そういうものを前にして「何をしたらいいか分からない」なんて言うのは自分で考える努力を放棄している、ということに直結します。
●道中大変な方が、達成感はありますよ?「別にたかがゲームなんだからいいじゃん」と思われる人もいるでしょう。事実私もそう思わなくもないのですが、個人的にはゲームだからといってずーっと答え見っぱなし、なんて態度ではどんなことに対しても自分では何も考えられず、何も決められなくなってしまう、そう思っています。例えが極端ですが、仕事に出ても誰かに何か言われない限りただ立っているだけ、仕事をもらっても攻略テキストがないから、分からないから投げ出す、そんなでは社会人失格でしょ? 仕事がなけりゃ自分で「何かやることないですか」くらいは聞くべきですし、分からなかったら周りの人にやり方を聞くのが当然ってもんです。 答えを見るのは構いません。人に聞こうがカンニングしようが、ゲームだから、所詮は遊びなんですから全くオッケーです。たださ、その前にちょっとだけでも自分で考えて答えを探してみようや。それが、ゲームを進めて行く楽しさを大きく増すんだからさ。答え見てそれを辿っただけ、てのと自分でよーく考えて、迷って、それで最終的に答えを見つけられた、てのと。どっちが満足度が高いかよ?
●自分の足で歩くことの価値なお、私はキングスフィールド3は掛け値無しに完全自力でクリアしております。何も知らないで遊んだからこそミーナの行く末に酷く衝撃を受けましたし、長く行き詰まっていたハイエルフの遺跡で正しい道を発見したときは「これで冒険を進められる!!」とレンダリング中で眠れない自分の身の上を激しく喜んだものです。これらは、攻略本で大筋を知っていては味わうことのできない感情ですし、まして「クソゲーだ」などと投げ出していたのでは一生縁がない感覚です。 もし「俺はやりがいのあるゲームで遊びたい」という人がいましたら、是非このシリーズをまずは攻略本なしで遊んでみて下さい。攻略ページはWEBでいくらも見つかりますし、また訊ねればヒントを返してくれる掲示板もあります。が、まずはそれらに頼らず、自分の足で歩き、自分の頭で考え、自分の手で道を切り開いてみてください。その楽しさを、よく味わってください。それこそがロールプレイングの、ひいてはゲームの楽しさの一つなのだ、と私は信じます。本格的に行き詰まったら、その時にこそそういったカンニングを行えばいいのです。たとえ最終的にはカンニングだらけで終わったにしろ、「自分の力で戦い抜いた」箇所は最高の思い出になってくれるはずです。
●「打ち出した拳にこそ隙が存在する」(Byケンシロウ)んですよ蛇足。このゲーム、上記の意見にもあるように通常攻撃は割と当てづらいかも知れません。が、距離が把握できなくて当てられないのなら、話は簡単目標に密着して振ればいいだけのことです。簡単ですね? ところが、ここで「よし、もう大丈夫」と敵に正面から近づいた人はもれなくかじられることでしょう。さ、どうすればいいですかね? これも簡単、敵の攻撃をどうにか押さえこめばいいのです。具体的には敵の攻撃後の隙を狙うか、そもそも攻撃できないであろう側面や背面から狙う、など、ですね。どういう理屈かはおわかりでしょう? もし好きで何かゲームを遊ぶなら、この程度のことはせめて自分で考えて思いつきたいところですが。(2002.7.30)
●あっ……と、もう一言さらに蛇足。念のため追記しますが、筆者には特定個人を攻撃する意思はありません。私が嫌いなのは、あくまでもゲームをするときに、微塵も自分の頭を使わないというゲームへの接し方です。 まあ、自分の風呂敷を広げるうえで、あるWEBサイトで見かけた「意見」を都合良く踏み台にしている、というのは事実です。はっきり言って、文面を展開する上ではこういうのは最低の書き方だ、というのも自覚してます。人の言うことに文句つけるのは簡単ですからね。そういう意味では、取り上げた意見の持ち主には悪いことをしたかな、と思います。 ですが、それをおしてもなお言いたいことがあったんで敢えてこういう書き方をしました。その辺酌んでもらえるとありがたいです。それと、だからと言ってこの一文を免罪符にするつもりもない、ということも書き添えておきましょう。(2002.8.5) |